第二條 東亞海運株式會社の淸算については、その社長、副社長及び理事が、淸算人となる。但し、株主總會において他人を選任したときは、この限りでない。
前項但書の場合における淸算人の數は、七人を超えてはならない。
第一項の規定により淸算人たる者がないとき、又は淸算人が缺けたときは、運輸大臣は、淸算人を選任することができる。
第三條 運輸大臣は、淸算人中東亞海運株式會社を代表すべき者を定めることができる。
第四條 淸算人は、運輸大臣の選任した者を除く外、何時でも株主總會の決議を以て、これを解任することができる。但し、この場合における株主總會の決議は、運輸大臣の認可がなければその效力を生じない。
運輸大臣は、重要な事由があるときは、淸算人を解任することができる。
第五條 東亞海運株式會社は、その所有する不動產及び船舶その他の重要な動產(無記名債權を除く。)について賣却その他權利の移轉を生ずべき行爲をしようとするときは、運輸大臣の定めるところによりその許可を受けなければならない。
第六條 運輸大臣は、淸算人及び會社經理應急措置法第六條の規定による特別管理人に對し、淸算及び財產處分の方法に關し必要な事項を命ずることができる。
第七條 運輸大臣は、必要があると認めるときは、東亞海運株式會社に對しその帳簿竝びに營業及び淸算に關する書類の提出を命じ、若しくは報吿を徵し、又は當該官吏にその帳簿、書類その他の物件を檢查させることができる。
運輸大臣は、前項の規定によつて當該官吏に檢查をさせるときは、その身分を示す證票を携帶させなければならない。
第八條 運輸大臣は、商法第四百二十九條の規定による東亞海運株式會社の帳簿及び書類の保存者に對し、同條に規定する期間內何時でも、その保存に係る帳簿及び書類の提出を命ずることができる。
第九條 東亞海運株式會社の淸算については、商法第四百十八條、第四百十九條第二項、第四百二十三條第二項、第四百二十九條竝びに第四百三十條において準用する同法第百二十五條第四項、第二百三十七條第二項及び第二百五十八條第二項中「裁判所」とあるのは、これを「運輸大臣」と讀み替えるものとする。
第十條 東亞海運株式會社の淸算については、商法第四百二十六條及び非訟事件手續法第百三十六條ノ二の規定は、これを適用しない。
第十一條 東亞海運株式會社は、運輸大臣の定める日までに、淸算を結了しなければならない。
第十二條 この勅令に規定するものの外、東亞海運株式會社の淸算に關し必要な事項は、別にこれを定める。
第十三條 左の場合においては、東亞海運株式會社の淸算人、代理人、使用人その他の從業者又は第六條の規定する特別管理人は、これを三年以下の懲役若しくは禁錮又は五千圓以下の罰金に處する。
第十四條 左の場合においては、東亞海運株式會社の淸算人、代理人、使用人その他の從業者又は第八條に規定する保存者は、これを一年以下の懲役又は千圓以下の罰金に處する。
一 第七條又は第八條の規定による帳簿及び書類を提出しないとき。
二 第七條の規定による報吿をせず、又は虛僞の報吿をしたとき。
三 第七條の規定による當該官吏の檢查を拒み、妨げ又は忌避したとき。
第十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して第十三條又は前條第一號若しくは第二號の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對しても、各本條の罰金刑を科する。