(東亜海運株式会社の解散に関する勅令)
法令番号: 勅令第五百六十三號
公布年月日: 昭和21年11月22日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二號ポツダム宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く東亞海運株式會社の解散に關する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月二十一日
內閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋湛山
勅令第五百六十三號
第一條 東亞海運株式會社は、これを解散する。
第二條 東亞海運株式會社の淸算については、その社長、副社長及び理事が、淸算人となる。但し、株主總會において他人を選任したときは、この限りでない。
前項但書の場合における淸算人の數は、七人を超えてはならない。
第一項の規定により淸算人たる者がないとき、又は淸算人が缺けたときは、運輸大臣は、淸算人を選任することができる。
第三條 運輸大臣は、淸算人中東亞海運株式會社を代表すべき者を定めることができる。
第四條 淸算人は、運輸大臣の選任した者を除く外、何時でも株主總會の決議を以て、これを解任することができる。但し、この場合における株主總會の決議は、運輸大臣の認可がなければその效力を生じない。
運輸大臣は、重要な事由があるときは、淸算人を解任することができる。
第五條 東亞海運株式會社は、その所有する不動產及び船舶その他の重要な動產(無記名債權を除く。)について賣却その他權利の移轉を生ずべき行爲をしようとするときは、運輸大臣の定めるところによりその許可を受けなければならない。
第六條 運輸大臣は、淸算人及び會社經理應急措置法第六條の規定による特別管理人に對し、淸算及び財產處分の方法に關し必要な事項を命ずることができる。
第七條 運輸大臣は、必要があると認めるときは、東亞海運株式會社に對しその帳簿竝びに營業及び淸算に關する書類の提出を命じ、若しくは報吿を徵し、又は當該官吏にその帳簿、書類その他の物件を檢查させることができる。
運輸大臣は、前項の規定によつて當該官吏に檢查をさせるときは、その身分を示す證票を携帶させなければならない。
第八條 運輸大臣は、商法第四百二十九條の規定による東亞海運株式會社の帳簿及び書類の保存者に對し、同條に規定する期間內何時でも、その保存に係る帳簿及び書類の提出を命ずることができる。
第九條 東亞海運株式會社の淸算については、商法第四百十八條、第四百十九條第二項、第四百二十三條第二項、第四百二十九條竝びに第四百三十條において準用する同法第百二十五條第四項、第二百三十七條第二項及び第二百五十八條第二項中「裁判所」とあるのは、これを「運輸大臣」と讀み替えるものとする。
第十條 東亞海運株式會社の淸算については、商法第四百二十六條及び非訟事件手續法第百三十六條ノ二の規定は、これを適用しない。
第十一條 東亞海運株式會社は、運輸大臣の定める日までに、淸算を結了しなければならない。
第十二條 この勅令に規定するものの外、東亞海運株式會社の淸算に關し必要な事項は、別にこれを定める。
第十三條 左の場合においては、東亞海運株式會社の淸算人、代理人、使用人その他の從業者又は第六條の規定する特別管理人は、これを三年以下の懲役若しくは禁錮又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第五條第一項の規定に違反したとき。
二 第六條の規定による命令に違反したとき。
第十四條 左の場合においては、東亞海運株式會社の淸算人、代理人、使用人その他の從業者又は第八條に規定する保存者は、これを一年以下の懲役又は千圓以下の罰金に處する。
一 第七條又は第八條の規定による帳簿及び書類を提出しないとき。
二 第七條の規定による報吿をせず、又は虛僞の報吿をしたとき。
三 第七條の規定による當該官吏の檢查を拒み、妨げ又は忌避したとき。
第十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して第十三條又は前條第一號若しくは第二號の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對しても、各本條の罰金刑を科する。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
東亞海運株式會社法及び東亞海運株式會社法施行令は、これを廢止する。
東亞海運株式會社の社債の所有者の優先辨濟を受ける權利及びこの勅令施行前にした行爲に對する罰則の適用については、舊法は、この勅令施行後でも、なおその效力を有する。
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く東亜海運株式会社の解散に関する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月二十一日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
運輸大臣 平塚常次郎
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第五百六十三号
第一条 東亜海運株式会社は、これを解散する。
第二条 東亜海運株式会社の清算については、その社長、副社長及び理事が、清算人となる。但し、株主総会において他人を選任したときは、この限りでない。
前項但書の場合における清算人の数は、七人を超えてはならない。
第一項の規定により清算人たる者がないとき、又は清算人が欠けたときは、運輸大臣は、清算人を選任することができる。
第三条 運輸大臣は、清算人中東亜海運株式会社を代表すべき者を定めることができる。
第四条 清算人は、運輸大臣の選任した者を除く外、何時でも株主総会の決議を以て、これを解任することができる。但し、この場合における株主総会の決議は、運輸大臣の認可がなければその効力を生じない。
運輸大臣は、重要な事由があるときは、清算人を解任することができる。
第五条 東亜海運株式会社は、その所有する不動産及び船舶その他の重要な動産(無記名債権を除く。)について売却その他権利の移転を生ずべき行為をしようとするときは、運輸大臣の定めるところによりその許可を受けなければならない。
第六条 運輸大臣は、清算人及び会社経理応急措置法第六条の規定による特別管理人に対し、清算及び財産処分の方法に関し必要な事項を命ずることができる。
第七条 運輸大臣は、必要があると認めるときは、東亜海運株式会社に対しその帳簿並びに営業及び清算に関する書類の提出を命じ、若しくは報告を徴し、又は当該官吏にその帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
運輸大臣は、前項の規定によつて当該官吏に検査をさせるときは、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第八条 運輸大臣は、商法第四百二十九条の規定による東亜海運株式会社の帳簿及び書類の保存者に対し、同条に規定する期間内何時でも、その保存に係る帳簿及び書類の提出を命ずることができる。
第九条 東亜海運株式会社の清算については、商法第四百十八条、第四百十九条第二項、第四百二十三条第二項、第四百二十九条並びに第四百三十条において準用する同法第百二十五条第四項、第二百三十七条第二項及び第二百五十八条第二項中「裁判所」とあるのは、これを「運輸大臣」と読み替えるものとする。
第十条 東亜海運株式会社の清算については、商法第四百二十六条及び非訟事件手続法第百三十六条ノ二の規定は、これを適用しない。
第十一条 東亜海運株式会社は、運輸大臣の定める日までに、清算を結了しなければならない。
第十二条 この勅令に規定するものの外、東亜海運株式会社の清算に関し必要な事項は、別にこれを定める。
第十三条 左の場合においては、東亜海運株式会社の清算人、代理人、使用人その他の従業者又は第六条の規定する特別管理人は、これを三年以下の懲役若しくは禁錮又は五千円以下の罰金に処する。
一 第五条第一項の規定に違反したとき。
二 第六条の規定による命令に違反したとき。
第十四条 左の場合においては、東亜海運株式会社の清算人、代理人、使用人その他の従業者又は第八条に規定する保存者は、これを一年以下の懲役又は千円以下の罰金に処する。
一 第七条又は第八条の規定による帳簿及び書類を提出しないとき。
二 第七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 第七条の規定による当該官吏の検査を拒み、妨げ又は忌避したとき。
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第十三条又は前条第一号若しくは第二号の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
東亜海運株式会社法及び東亜海運株式会社法施行令は、これを廃止する。
東亜海運株式会社の社債の所有者の優先弁済を受ける権利及びこの勅令施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧法は、この勅令施行後でも、なおその効力を有する。