(関税法の罰則等の特例に関する勅令)
法令番号: 勅令第二百七十七號
公布年月日: 昭和21年5月17日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二號ポツダム宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基く關稅法の罰則等の特例に關する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年五月十六日
內閣總理大臣 男爵 幣原喜重郞
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
勅令第二百七十七號
第一條 關稅定率法第十一條に揭げる物品の輸入を圖り、又はその輸入をした者は、關稅法第七十四條の規定にかかはらず、これを三年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金に處する。但し、犯罪に係る物品の原價が一萬圓を超えるときは、罰金は、その原價に相當する金額以下とする。
關稅法第三十一條の規定による免許がないのに、物品の輸出又は輸入をし、又はしようとした者の罰は、同法第七十六條の規定にかかはらず、前項と同樣とする。
第二條 前條の犯罪に係る物品の運搬、寄藏、收受、故買又は牙保をした者は、關稅法第七十五條ノ二の規定にかかはらず、これを二年以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
第三條 前二條の罪を犯した者には、情狀により、懲役及び罰金を併科することができる。
第四條 關稅法第十八條第一項の規定に違反したときは、同法第七十八條の規定にかかはらず、船長を三年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金に處する。
第五條 關稅法第二十八條の規定に違反した者は、同法第八十一條の規定にかかはらず、これを二千圓以下の罰金に處する。
第六條 前二條の規定に該當する者は、不注意に出たといふ理由では、處罰を免れることができない。
第七條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して、第一條又は第二條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對し各本條の罰金刑を科する。
第八條 この勅令を犯した者には、刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定を適用しない。但し、第一條乃至第四條の場合において懲役の刑に處するときは、これを適用する。
第九條 第一條の犯罪に係る物品又は同條の犯罪行爲に供した船舶で犯人の所有し又は占有してゐるものは、これを沒收する。
犯人以外の者が、犯罪の後前項の物を取得した場合に、その取得の當時善意であつたと認められないときは、その物を沒收する。
前二項の規定により沒收すべき物の全部又は一部を沒收することができないときは、第一條の犯罪に係る物品の場合はその原價に相當する金額を、同條の犯罪行爲に供した船舶の場合はその價額を、犯人から追徵する。
第十條 この勅令の違反事件については、關稅法第八十四條乃至第九十七條、第百條及び第百一條の規定を準用する。
前項で準用する關稅法の規定による犯則事件の調査により、犯則の心證を得た場合において、情狀が懲役の刑に處すべきものと思料するときは、同項で準用する同法第九十四條の通吿は必要でなくて、直ちに吿發をしなければならない。
第一項で準用する關稅法第九十四條の通吿があつたときは、公訴の時效は、中斷する。
第十一條 第一條、關稅法第十條、第十三條、第十四條、第十六條乃至第十八條、第二十一條乃至第三十一條、第三十二條第一項、第三十四條本文、第三十七條、第三十八條、第三十九條第一項、第三十九條ノ四乃至第四十一條、第四十五條、第五十六條及び第九十八條乃至第百一條竝びに關稅法戰時特例第一條、第二條、第四條及び第五條の規定の適用については、本州、北海道、四國、九州及び命令で定めるその附屬島嶼以外の地域は、その地域の歸屬すべき國が決定されるまでの間、これを外國とみなす。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く関税法の罰則等の特例に関する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年五月十六日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
大蔵大臣 子爵 渋沢敬三
勅令第二百七十七号
第一条 関税定率法第十一条に掲げる物品の輸入を図り、又はその輸入をした者は、関税法第七十四条の規定にかかはらず、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。但し、犯罪に係る物品の原価が一万円を超えるときは、罰金は、その原価に相当する金額以下とする。
関税法第三十一条の規定による免許がないのに、物品の輸出又は輸入をし、又はしようとした者の罰は、同法第七十六条の規定にかかはらず、前項と同様とする。
第二条 前条の犯罪に係る物品の運搬、寄蔵、収受、故買又は牙保をした者は、関税法第七十五条ノ二の規定にかかはらず、これを二年以下の懲役又は三千円以下の罰金に処する。
第三条 前二条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第四条 関税法第十八条第一項の規定に違反したときは、同法第七十八条の規定にかかはらず、船長を三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第五条 関税法第二十八条の規定に違反した者は、同法第八十一条の規定にかかはらず、これを二千円以下の罰金に処する。
第六条 前二条の規定に該当する者は、不注意に出たといふ理由では、処罰を免れることができない。
第七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第一条又は第二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
第八条 この勅令を犯した者には、刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及び第六十六条の規定を適用しない。但し、第一条乃至第四条の場合において懲役の刑に処するときは、これを適用する。
第九条 第一条の犯罪に係る物品又は同条の犯罪行為に供した船舶で犯人の所有し又は占有してゐるものは、これを没収する。
犯人以外の者が、犯罪の後前項の物を取得した場合に、その取得の当時善意であつたと認められないときは、その物を没収する。
前二項の規定により没収すべき物の全部又は一部を没収することができないときは、第一条の犯罪に係る物品の場合はその原価に相当する金額を、同条の犯罪行為に供した船舶の場合はその価額を、犯人から追徴する。
第十条 この勅令の違反事件については、関税法第八十四条乃至第九十七条、第百条及び第百一条の規定を準用する。
前項で準用する関税法の規定による犯則事件の調査により、犯則の心証を得た場合において、情状が懲役の刑に処すべきものと思料するときは、同項で準用する同法第九十四条の通告は必要でなくて、直ちに告発をしなければならない。
第一項で準用する関税法第九十四条の通告があつたときは、公訴の時効は、中断する。
第十一条 第一条、関税法第十条、第十三条、第十四条、第十六条乃至第十八条、第二十一条乃至第三十一条、第三十二条第一項、第三十四条本文、第三十七条、第三十八条、第三十九条第一項、第三十九条ノ四乃至第四十一条、第四十五条、第五十六条及び第九十八条乃至第百一条並びに関税法戦時特例第一条、第二条、第四条及び第五条の規定の適用については、本州、北海道、四国、九州及び命令で定めるその附属島嶼以外の地域は、その地域の帰属すべき国が決定されるまでの間、これを外国とみなす。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。