労働組合法施行令
法令番号: 勅令第百八號
公布年月日: 昭和21年2月27日
法令の形式: 勅令
  • 改正: 昭和22年4月8日 勅令第118号
  • 改正: 昭和22年8月31日 政令第180号
  • 改正: 昭和23年11月11日 政令第333号
  • 改正: 昭和23年12月28日 政令第384号
  • 改正: 昭和24年5月31日 政令第144号
  • 廃止: 昭和24年6月29日 政令第231号
朕勞働組合法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年二月二十六日
內閣總理大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 岩田宙造
厚生大臣 芦田均
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
運輸大臣 村上義一
勅令第百八號
勞働組合法施行令
第一條 法第五條ノ行政官廳ハ當該組合ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官トス但シ同條第二項ノ場合ニ於テ規約ノ變更ガ事務所ノ所在地ニ係ル場合ニシテ新所在地ト舊所在地ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ新所在地ヲ管轄スル地方長官及舊所在地ヲ管轄スル地方長官トス
第二條 法第六條ノ規定ニ依ル決定ハ當該組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官地方勞働委員會ヲ決議ニ依リ之ヲ爲ス
第三條 地方長官法第六條ノ規定ニ依ル決定ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ當該組合ノ代表者ニ交付スベシ
第四條 地方長官ノ爲シタル法第六條ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ三週間以內ニ其ノ理由ヲ具シ文書ヲ以テ當該決定ヲ爲シタル地方長官ヲ經由シ厚生大臣ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第五條 厚生大臣ハ前條ノ申立アリタルトキハ中央勞働委員會ノ決議ニ依リ當該申立ノ却下又ハ當該申立ニ係ル決定ノ取消ヲ爲ス
第三條ノ規定ハ前項ノ却下又ハ取消アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第六條 法第六條ノ規定ニ依ル決定ハ第四條ノ申立ナキ場合ハ同條ノ期間ノ經過シタル時、同條ノ申立アリタル場合ハ前條第一項ノ却下アリタル時其ノ效力ヲ生ズ
第七條 前五條ノ規定ハ法第八條ノ規定ニ依ル變更ノ命令ニ之ヲ準用ス
第八條 勞働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官當該組合ヨリ勞働組合タル旨ノ證明書ノ交付ノ申請アリタルトキハ遲滯ナク之ヲ交付スベシ法人タル勞働組合ヲ設立セントスル者ヨリ勞働組合タリ得ベキ旨ノ證明書ノ交付ノ申請アリタルトキ亦同ジ
第九條 法第十五條第一項ノ場合ニ於ケル手續ニ關シテハ第十條乃至第十八條ニ定ムルモノノ外非訟事件手續法ノ定ムル所ニ依ル
第十條 法第十五條第一項ノ規定ニ依ル事件ハ勞働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ管轄トス
第十一條 法第十五條第一項ノ申立ハ勞働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方勞働委員會ノ決議ニ依リ其ノ會長之ヲ行フ
第十二條 法第十五條第一項ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ其ノ旨ヲ檢事ニ通知スベシ
第十三條 裁判所ハ遲滯ナク審問期日ヲ定メ勞働組合ノ代表者ヲ呼出スベシ
審問期日ハ檢事及地方勞働委員會ノ會長ニ之ヲ通知スベシ
第十四條 前條第一項ノ規定ニ依ル呼出ヲ受ケタル勞働組合ノ代表者ハ自身出頭スルコトヲ要ス但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ代理人ヲシテ出頭セシムルコトヲ得
辯護士ニ非ザル者前項ノ代理人ト爲ルニハ裁判所ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
裁判所ハ何時ニテモ前項ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十五條 審問ハ公開シタル法廷ニ於テ之ヲ爲ス但シ安寧秩序ヲ害スルノ虞アルトキハ裁判所ハ公開ヲ停ムルコトヲ得
第十六條 檢事及地方勞働委員會ノ委員ハ審問ニ立會ヒ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十七條 裁判ハ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ之ヲ爲ス
裁判所ハ期日ヲ定メテ前項ノ決定ヲ言渡スベシ
勞働組合ノ解散ノ處分ニ係ル第一項ノ理由ニハ違反行爲ガ當該勞働組合ノ組合員若ハ構成團體ノ多數ニ依ル決議ニ基キ爲サレタルモノ、規約ニ依リ權限ヲ有スル代表者其ノ他ノ役員ノ命令ニ基キ爲サレタルモノ又ハ此等ノ者ニ依リ組合ノ爲ニ爲サレタルモノナルコトノ事實及證據ヲ示スコトヲ要ス
第十八條 勞働組合ノ代表者、地方勞働委員會ノ會長又ハ檢事ハ前條ノ裁判ニ對シテ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
前項ノ卽時抗吿ハ執行停止ノ效力ヲ有ス
第十九條 法ニ規定スルモノノ外勞働組合ノ登記ニ關シテハ第二十條乃至第三十條ニ定ムル所ニ依ル
第二十條 法第十六條第一項ノ規定ニ依ル登記ニハ左ノ事項ヲ揭グルコトヲ要ス
一 名稱
二 主タル事務所
三 目的及事業
四 代表者ノ氏名及住所
五 解散事由ヲ定メタルトキハ其ノ事由
第二十一條 勞働組合ガ主タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ二週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ三週間以內ニ前條ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ主タル事務所ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉ノ登記ヲ爲スヲ以テ足ル
第二十二條 登記シタル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ二週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十三條 勞働組合ノ淸算結了シタルトキハ淸算結了ノ日ヨリ二週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十四條 勞働組合ノ登記ニ付テハ其ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ勞働組合登記簿ヲ備フ
第二十五條 法第十六條第一項ノ規定ニ依ル登記ハ代表者ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ規約、第八條ノ證明書及申請人ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十六條 勞働組合ノ主タル事務所ノ移轉其ノ他第二十條ニ揭グル事項ノ變更ノ登記ハ代表者若ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十七條 勞働組合ノ解散ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ事由ヲ證スル書面及代表者ガ淸算人ト爲ラザル場合ニ於テハ淸算人ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十八條 勞働組合ノ淸算結了ノ登記ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ淸算人ガ主務官廳ニ淸算ノ結了ノ屆出ヲ爲シタルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十九條 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遲滯ナク之ヲ公吿スルコトヲ要ス
第三十條 非訟事件手續法第百四十一條乃至第百五十條、第百五十一條乃至第百五十一條ノ四、第百五十一條ノ六及第百五十四條乃至第百五十七條ノ規定ハ勞働組合ノ登記ニ之ヲ準用ス
第三十一條 法人タル勞働組合ノ所得ニシテ收益ヲ目的トスル事業ヨリ生ジタルモノ以外ノモノニ付テハ法第十八條ノ規定ニ依リ所得稅及法人稅ヲ課セズ
法人タル勞働組合ハ法人稅法第十八條ノ申吿書ヲ提出スル場合ニ於テハ收益ヲ目的トスル事業ヨリ生ジタル所得ト其ノ他ノ所得トヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第三十二條 法第十九條第二項ノ行政官廳ハ當該勞働協約ノ當事者タル勞働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官及當該勞働協約ノ當事者双方ニ係ル工場事業場(其ノ所在地一定セザルモノヲ除ク)ノ所在地ヲ管轄スル地方長官トシ同項ノ規定ニ依ル屆出ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外當事者双方ノ連名ヲ以テ之ヲ爲スベキモノトス
第三十三條 法第二十三條又ハ第二十四條ノ規定ニ依リ他ノ同種ノ勞働者ニ關シ勞働協約ノ適用アルニ至リタルトキハ使用者ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ關係勞働者ニ周知セシムベシ
第三十四條 法第二十四條第一項ノ行政官廳ハ當該地域ヲ管轄スル地方長官トシ當該地域ガ二以上ノ都道府縣ニ亙ルトキハ厚生大臣トス
第三十五條 中央勞働委員會ハ厚生省ニ、地方勞働委員會ハ都道府縣每ニ之ヲ置キ地方勞働委員會ニハ當該都道府縣ノ名ヲ冠ス
第三十六條 勞働委員會ハ別ニ定ムルモノノ外中央勞働委員會ハ二以上ノ都道府縣ニ係ル事務、地方勞働委員會ハ當該都道府縣ニ係ル事務ヲ掌ル
厚生大臣必要アリト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ法第二十七條第一項第二號又ハ第三號ノ事務ハ中央勞働委員會又ハ厚生大臣ノ指定スル地方勞働委員會ヲシテ之ヲ掌ラシムルコトヲ得
第三十七條 中央勞働委員會ノ委員ハ二十一人以內トシ厚生大臣之ヲ委囑ス
地方勞働委員會ノ委員ハ十五人以內トシ地方長官之ヲ委囑ス
前二項ノ委員ノ外必要アルトキハ厚生大臣又ハ地方長官ハ臨時委員ヲ委囑スルコトヲ得
厚生大臣又ハ地方長官ハ勞働委員會ノ委員ヲ委囑セントスル日ヨリ六週間前ニ使用者團體ニ對シ使用者ヲ代表スル者ヲ、法第五條第一項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲シタル勞働組合ニ對シ勞働者ヲ代表スル者ヲ推薦スベキコトヲ請求シ請求シタル日ヨリ三週間ヲ經過シタル日ニ推薦アリタル者ノ氏名ヲ公表スルモノトス但シ勞働委員會ヲ設置セントスル場合ニ於テ使用者若ハ勞働者ノ意見ヲ代表スル適當ナル使用者團體又ハ勞働組合ナキトキ又ハ臨時委員ヲ委囑セントスル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
勞働委員會ノ委員ノ委囑ニ付使用者團體若ハ勞働組合ノ推薦若ハ使用者ヲ代表スル者及勞働者ヲ代表スル者ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキ又ハ前項ノ規定ニ依リ推薦アリタル者不適當ナルトキハ厚生大臣又ハ地方長官ハ職權ヲ以テ委員ヲ委囑スルコトヲ得
第三十八條 特別勞働委員會ノ名稱、位置、管轄區域、所管事務、委員ノ定數其ノ他特別勞働委員會ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
第三十九條 勞働委員會ノ委員ノ任期ハ一年トス
委員ガ法令ニ違反シ刑ニ處セラレタル場合、衆議院議員選擧法第六條ノ規定ニ依リ被選擧權ヲ有セザルニ至リタル場合、勞働委員會ニ出席スルコト能ハザルニ至リタル場合又ハ勞働委員會ノ決議ニ依ル議事其ノ他ニ關スル定ニ屢違反シタル場合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ當該勞働委員會ニ於テ他ノ出席委員全員ノ同意ヲ得テ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ但シ同條ノ規定ニ依リ被選擧權ヲ有セザルニ至リタル場合ニ付テハ委員ノ同意ハ之ヲ要セズ
委員ニ闕員ヲ生ジタル場合ニ於ケル補闕委員ハ前任者ノ殘任期間在任ス
第四十條 勞働委員會ニ會長ヲ置ク會長ハ第三者タル委員中ヨリ委員之ヲ選擧ス
會長ハ會務ヲ總理シ當該勞働委員會ヲ代表ス
會長事故アルトキハ第一項ノ規定ニ準ジ選擧セラレタル者會長ノ職務ヲ代理ス
第四十一條 勞働委員會ハ會長之ヲ招集シ其ノ議事ハ出席者ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
勞働委員會ハ使用者ヲ代表スル委員、勞働者ヲ代表スル委員及第三者タル委員各一人以上出席スルニ非ザレバ決議ヲ爲スコトヲ得ズ
勞働委員會ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ其ノ決議ニ依リ勞働委員會ノ招集又ハ議事ニ關シ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第四十二條 勞働委員會(特別勞働委員會ニ付テハ厚生大臣ノ指定スルモノニ限ル)ニ事務局ヲ置ク事務局ハ事務局長竝ニ幹事及書記若干人ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ職員ハ會長ノ同意ヲ得テ中央勞働委員會ニ在リテハ厚生大臣、地方勞働委員會ニ在リテハ地方長官之ヲ委囑ス
事務局長ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
幹事ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第四十三條 關係官吏ハ會長ノ許可ヲ受ケ會議ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第四十四條 法第二十六條第四項ノ命令ヲ以テ定ムル職員トハ第四十二條第一項ニ揭グル職員トス
第四十五條 法第三十二條ノ行政官廳ハ地方勞働委員會ノ爲ス建議ニ關シテハ地方長官、中央勞働委員會ノ爲ス建議ニ關シテハ厚生大臣トス
第四十六條 法第三十三條第二項ノ請求ハ當該違反行爲アリタル地ヲ管轄スル地方勞働委員會ノ決議ニ依リ其ノ會長書面ヲ以テ檢事ニ之ヲ行フ
第四十七條 本令ニ依ル地方長官ニ對スル屆出ハ當該所在地ヲ管轄スル勤勞署長ヲ經由シ之ヲ爲スベシ
第四十八條 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ地方長官以外ノ行政官廳ヲ指定シテ本令ニ依ル地方長官ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得但シ厚生大臣其ノ指揮監督ノ下ニ在ラザル行政官廳ヲ指定セムトスルトキハ豫メ所管大臣ト協議アルコトヲ要ス
船員法ノ適用アル船員ニ關シテハ第三十二條中當該勞働協約ノ當事者双方ニ係ル工場事業場(其ノ所在地ノ一定セザルモノヲ除ク)ノ所在地トアルハ當該勞働協約ノ當事者タル使用者又ハ其ノ團體ノ主タル事務所ノ所在地トス
前項ノ船員ニ關シテハ本令(前條ヲ除ク)中厚生大臣トアルハ運輸大臣、地方長官トアルハ海運局長、厚生省トアルハ運輸省、都道府縣トアルハ海運局ノ管轄區域トス
附 則
本令ハ勞働組合法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ存スル勞働協約ニ付テハ其ノ當事者ハ本令施行ノ日ヨリ一週間以內ニ第三十二條ノ規定ニ準ジ屆出ヲ爲スベシ
朕労働組合法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年二月二十六日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
厚生大臣 芦田均
大蔵大臣 子爵 渋沢敬三
運輸大臣 村上義一
勅令第百八号
労働組合法施行令
第一条 法第五条ノ行政官庁ハ当該組合ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官トス但シ同条第二項ノ場合ニ於テ規約ノ変更ガ事務所ノ所在地ニ係ル場合ニシテ新所在地ト旧所在地ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ新所在地ヲ管轄スル地方長官及旧所在地ヲ管轄スル地方長官トス
第二条 法第六条ノ規定ニ依ル決定ハ当該組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官地方労働委員会ヲ決議ニ依リ之ヲ為ス
第三条 地方長官法第六条ノ規定ニ依ル決定ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ当該組合ノ代表者ニ交付スベシ
第四条 地方長官ノ為シタル法第六条ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ三週間以内ニ其ノ理由ヲ具シ文書ヲ以テ当該決定ヲ為シタル地方長官ヲ経由シ厚生大臣ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
第五条 厚生大臣ハ前条ノ申立アリタルトキハ中央労働委員会ノ決議ニ依リ当該申立ノ却下又ハ当該申立ニ係ル決定ノ取消ヲ為ス
第三条ノ規定ハ前項ノ却下又ハ取消アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第六条 法第六条ノ規定ニ依ル決定ハ第四条ノ申立ナキ場合ハ同条ノ期間ノ経過シタル時、同条ノ申立アリタル場合ハ前条第一項ノ却下アリタル時其ノ効力ヲ生ズ
第七条 前五条ノ規定ハ法第八条ノ規定ニ依ル変更ノ命令ニ之ヲ準用ス
第八条 労働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官当該組合ヨリ労働組合タル旨ノ証明書ノ交付ノ申請アリタルトキハ遅滞ナク之ヲ交付スベシ法人タル労働組合ヲ設立セントスル者ヨリ労働組合タリ得ベキ旨ノ証明書ノ交付ノ申請アリタルトキ亦同ジ
第九条 法第十五条第一項ノ場合ニ於ケル手続ニ関シテハ第十条乃至第十八条ニ定ムルモノノ外非訟事件手続法ノ定ムル所ニ依ル
第十条 法第十五条第一項ノ規定ニ依ル事件ハ労働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ管轄トス
第十一条 法第十五条第一項ノ申立ハ労働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方労働委員会ノ決議ニ依リ其ノ会長之ヲ行フ
第十二条 法第十五条第一項ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ其ノ旨ヲ検事ニ通知スベシ
第十三条 裁判所ハ遅滞ナク審問期日ヲ定メ労働組合ノ代表者ヲ呼出スベシ
審問期日ハ検事及地方労働委員会ノ会長ニ之ヲ通知スベシ
第十四条 前条第一項ノ規定ニ依ル呼出ヲ受ケタル労働組合ノ代表者ハ自身出頭スルコトヲ要ス但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ代理人ヲシテ出頭セシムルコトヲ得
弁護士ニ非ザル者前項ノ代理人ト為ルニハ裁判所ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
裁判所ハ何時ニテモ前項ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十五条 審問ハ公開シタル法廷ニ於テ之ヲ為ス但シ安寧秩序ヲ害スルノ虞アルトキハ裁判所ハ公開ヲ停ムルコトヲ得
第十六条 検事及地方労働委員会ノ委員ハ審問ニ立会ヒ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十七条 裁判ハ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ之ヲ為ス
裁判所ハ期日ヲ定メテ前項ノ決定ヲ言渡スベシ
労働組合ノ解散ノ処分ニ係ル第一項ノ理由ニハ違反行為ガ当該労働組合ノ組合員若ハ構成団体ノ多数ニ依ル決議ニ基キ為サレタルモノ、規約ニ依リ権限ヲ有スル代表者其ノ他ノ役員ノ命令ニ基キ為サレタルモノ又ハ此等ノ者ニ依リ組合ノ為ニ為サレタルモノナルコトノ事実及証拠ヲ示スコトヲ要ス
第十八条 労働組合ノ代表者、地方労働委員会ノ会長又ハ検事ハ前条ノ裁判ニ対シテ即時抗告ヲ為スコトヲ得
前項ノ即時抗告ハ執行停止ノ効力ヲ有ス
第十九条 法ニ規定スルモノノ外労働組合ノ登記ニ関シテハ第二十条乃至第三十条ニ定ムル所ニ依ル
第二十条 法第十六条第一項ノ規定ニ依ル登記ニハ左ノ事項ヲ掲グルコトヲ要ス
一 名称
二 主タル事務所
三 目的及事業
四 代表者ノ氏名及住所
五 解散事由ヲ定メタルトキハ其ノ事由
第二十一条 労働組合ガ主タル事務所ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ二週間以内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ三週間以内ニ前条ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
同一ノ登記所ノ管轄区域内ニ於テ主タル事務所ヲ移転シタルトキハ其ノ移転ノ登記ヲ為スヲ以テ足ル
第二十二条 登記シタル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ二週間以内ニ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二十三条 労働組合ノ清算結了シタルトキハ清算結了ノ日ヨリ二週間以内ニ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二十四条 労働組合ノ登記ニ付テハ其ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ労働組合登記簿ヲ備フ
第二十五条 法第十六条第一項ノ規定ニ依ル登記ハ代表者ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ規約、第八条ノ証明書及申請人ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十六条 労働組合ノ主タル事務所ノ移転其ノ他第二十条ニ掲グル事項ノ変更ノ登記ハ代表者若ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十七条 労働組合ノ解散ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ事由ヲ証スル書面及代表者ガ清算人ト為ラザル場合ニ於テハ清算人ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十八条 労働組合ノ清算結了ノ登記ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ清算人ガ主務官庁ニ清算ノ結了ノ届出ヲ為シタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十九条 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遅滞ナク之ヲ公告スルコトヲ要ス
第三十条 非訟事件手続法第百四十一条乃至第百五十条、第百五十一条乃至第百五十一条ノ四、第百五十一条ノ六及第百五十四条乃至第百五十七条ノ規定ハ労働組合ノ登記ニ之ヲ準用ス
第三十一条 法人タル労働組合ノ所得ニシテ収益ヲ目的トスル事業ヨリ生ジタルモノ以外ノモノニ付テハ法第十八条ノ規定ニ依リ所得税及法人税ヲ課セズ
法人タル労働組合ハ法人税法第十八条ノ申告書ヲ提出スル場合ニ於テハ収益ヲ目的トスル事業ヨリ生ジタル所得ト其ノ他ノ所得トヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第三十二条 法第十九条第二項ノ行政官庁ハ当該労働協約ノ当事者タル労働組合ノ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官及当該労働協約ノ当事者双方ニ係ル工場事業場(其ノ所在地一定セザルモノヲ除ク)ノ所在地ヲ管轄スル地方長官トシ同項ノ規定ニ依ル届出ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外当事者双方ノ連名ヲ以テ之ヲ為スベキモノトス
第三十三条 法第二十三条又ハ第二十四条ノ規定ニ依リ他ノ同種ノ労働者ニ関シ労働協約ノ適用アルニ至リタルトキハ使用者ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ関係労働者ニ周知セシムベシ
第三十四条 法第二十四条第一項ノ行政官庁ハ当該地域ヲ管轄スル地方長官トシ当該地域ガ二以上ノ都道府県ニ亘ルトキハ厚生大臣トス
第三十五条 中央労働委員会ハ厚生省ニ、地方労働委員会ハ都道府県毎ニ之ヲ置キ地方労働委員会ニハ当該都道府県ノ名ヲ冠ス
第三十六条 労働委員会ハ別ニ定ムルモノノ外中央労働委員会ハ二以上ノ都道府県ニ係ル事務、地方労働委員会ハ当該都道府県ニ係ル事務ヲ掌ル
厚生大臣必要アリト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ法第二十七条第一項第二号又ハ第三号ノ事務ハ中央労働委員会又ハ厚生大臣ノ指定スル地方労働委員会ヲシテ之ヲ掌ラシムルコトヲ得
第三十七条 中央労働委員会ノ委員ハ二十一人以内トシ厚生大臣之ヲ委嘱ス
地方労働委員会ノ委員ハ十五人以内トシ地方長官之ヲ委嘱ス
前二項ノ委員ノ外必要アルトキハ厚生大臣又ハ地方長官ハ臨時委員ヲ委嘱スルコトヲ得
厚生大臣又ハ地方長官ハ労働委員会ノ委員ヲ委嘱セントスル日ヨリ六週間前ニ使用者団体ニ対シ使用者ヲ代表スル者ヲ、法第五条第一項ノ規定ニ依ル届出ヲ為シタル労働組合ニ対シ労働者ヲ代表スル者ヲ推薦スベキコトヲ請求シ請求シタル日ヨリ三週間ヲ経過シタル日ニ推薦アリタル者ノ氏名ヲ公表スルモノトス但シ労働委員会ヲ設置セントスル場合ニ於テ使用者若ハ労働者ノ意見ヲ代表スル適当ナル使用者団体又ハ労働組合ナキトキ又ハ臨時委員ヲ委嘱セントスル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
労働委員会ノ委員ノ委嘱ニ付使用者団体若ハ労働組合ノ推薦若ハ使用者ヲ代表スル者及労働者ヲ代表スル者ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキ又ハ前項ノ規定ニ依リ推薦アリタル者不適当ナルトキハ厚生大臣又ハ地方長官ハ職権ヲ以テ委員ヲ委嘱スルコトヲ得
第三十八条 特別労働委員会ノ名称、位置、管轄区域、所管事務、委員ノ定数其ノ他特別労働委員会ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
第三十九条 労働委員会ノ委員ノ任期ハ一年トス
委員ガ法令ニ違反シ刑ニ処セラレタル場合、衆議院議員選挙法第六条ノ規定ニ依リ被選挙権ヲ有セザルニ至リタル場合、労働委員会ニ出席スルコト能ハザルニ至リタル場合又ハ労働委員会ノ決議ニ依ル議事其ノ他ニ関スル定ニ屡違反シタル場合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ当該労働委員会ニ於テ他ノ出席委員全員ノ同意ヲ得テ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ但シ同条ノ規定ニ依リ被選挙権ヲ有セザルニ至リタル場合ニ付テハ委員ノ同意ハ之ヲ要セズ
委員ニ闕員ヲ生ジタル場合ニ於ケル補闕委員ハ前任者ノ残任期間在任ス
第四十条 労働委員会ニ会長ヲ置ク会長ハ第三者タル委員中ヨリ委員之ヲ選挙ス
会長ハ会務ヲ総理シ当該労働委員会ヲ代表ス
会長事故アルトキハ第一項ノ規定ニ準ジ選挙セラレタル者会長ノ職務ヲ代理ス
第四十一条 労働委員会ハ会長之ヲ招集シ其ノ議事ハ出席者ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
労働委員会ハ使用者ヲ代表スル委員、労働者ヲ代表スル委員及第三者タル委員各一人以上出席スルニ非ザレバ決議ヲ為スコトヲ得ズ
労働委員会ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ其ノ決議ニ依リ労働委員会ノ招集又ハ議事ニ関シ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第四十二条 労働委員会(特別労働委員会ニ付テハ厚生大臣ノ指定スルモノニ限ル)ニ事務局ヲ置ク事務局ハ事務局長並ニ幹事及書記若干人ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ職員ハ会長ノ同意ヲ得テ中央労働委員会ニ在リテハ厚生大臣、地方労働委員会ニ在リテハ地方長官之ヲ委嘱ス
事務局長ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
幹事ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第四十三条 関係官吏ハ会長ノ許可ヲ受ケ会議ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第四十四条 法第二十六条第四項ノ命令ヲ以テ定ムル職員トハ第四十二条第一項ニ掲グル職員トス
第四十五条 法第三十二条ノ行政官庁ハ地方労働委員会ノ為ス建議ニ関シテハ地方長官、中央労働委員会ノ為ス建議ニ関シテハ厚生大臣トス
第四十六条 法第三十三条第二項ノ請求ハ当該違反行為アリタル地ヲ管轄スル地方労働委員会ノ決議ニ依リ其ノ会長書面ヲ以テ検事ニ之ヲ行フ
第四十七条 本令ニ依ル地方長官ニ対スル届出ハ当該所在地ヲ管轄スル勤労署長ヲ経由シ之ヲ為スベシ
第四十八条 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ地方長官以外ノ行政官庁ヲ指定シテ本令ニ依ル地方長官ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得但シ厚生大臣其ノ指揮監督ノ下ニ在ラザル行政官庁ヲ指定セムトスルトキハ予メ所管大臣ト協議アルコトヲ要ス
船員法ノ適用アル船員ニ関シテハ第三十二条中当該労働協約ノ当事者双方ニ係ル工場事業場(其ノ所在地ノ一定セザルモノヲ除ク)ノ所在地トアルハ当該労働協約ノ当事者タル使用者又ハ其ノ団体ノ主タル事務所ノ所在地トス
前項ノ船員ニ関シテハ本令(前条ヲ除ク)中厚生大臣トアルハ運輸大臣、地方長官トアルハ海運局長、厚生省トアルハ運輸省、都道府県トアルハ海運局ノ管轄区域トス
附 則
本令ハ労働組合法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ存スル労働協約ニ付テハ其ノ当事者ハ本令施行ノ日ヨリ一週間以内ニ第三十二条ノ規定ニ準ジ届出ヲ為スベシ