関東州実業組合令
法令番号: 勅令第四百九十七號
公布年月日: 昭和12年9月15日
法令の形式: 勅令
朕關東州實業組合令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月十四日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第四百九十七號
關東州實業組合令
第一章 總則
第一條 農業、工業、商業、水產業其ノ他物產ノ生產又ハ販賣ニ關スル營業ヲ爲ス者ハ其ノ營業ノ改良發達ヲ圖ル爲共同ノ施設ヲ爲ス目的ヲ以テ實業組合ヲ設立スルコトヲ得但シ特別ノ事情アルトキハ二種以上ノ營業者ヲ以テ之ヲ設立スルコトヲ得
前項ノ營業者ノ範圍ハ滿洲國駐箚特命全權大使之ヲ指定ス
第二條 實業組合ハ法人トス
第三條 實業組合ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第四條 實業組合ハ其ノ名稱中ニ實業組合ナル文字ヲ用フベシ
實業組合ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ實業組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第五條 實業組合ニハ所得稅ヲ課セズ
第六條 實業組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ取扱品ノ生產、仕入、加工、販賣、保管、運搬、組合員ノ營業ニ必要ナル物ノ供給其ノ他組合員ノ營業ニ關スル共同施設
二 組合員ノ營業ニ關スル統制
三 組合員ノ營業ニ關スル指導、硏究、調査其ノ他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル施設
前項第一號ノ事業ヲ行フ組合ハ組合員ニ對シ其ノ營業ニ必要ナル資金ノ貸付又ハ組合員ノ貯金ノ受入ヲ併セ行フコトヲ得
第一項ニ揭ゲタル組合ノ施設ハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非ザル者ヲシテ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第七條 實業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシメザルコトヲ得
前項ノ組合ハ前條第一項第一號ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第八條 前條ノ實業組合ト其ノ他ノ實業組合トハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第九條 第十五條、第二十二條、第二十三條、第二十五條乃至第二十九條、第三十一條、第三十二條、第五十三條乃至第五十六條、第五十八條乃至第六十一條、第七十條乃至第七十五條及第八十五條ノ規定ハ第七條ノ組合ニ之ヲ適用セズ
第十條 實業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第十一條 實業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款違反者ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第十二條 實業組合定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ營業ニ關スル統制ヲ行フ場合ニ於テハ總會ノ議決ヲ經テ之ニ關スル規程ヲ定メ大使ノ認可ヲ受クベシ其ノ規程ヲ變更セントスル場合亦同ジ
第十三條 營業上ノ弊害ヲ豫防シ又ハ矯正スル爲必要ト認ムルトキハ大使ハ實業組合ニ對シ必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ得
第十四條 營業上ノ弊害ヲ豫防シ又ハ矯正スル爲特ニ必要ト認ムルトキハ大使ハ實業組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五條 實業組合ニハ本令ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外商法及商法施行法中商人ニ關スル規定ヲ準用ス
第十六條 大使ハ本令ニ規定スル其ノ職權ノ一部ヲ命令ヲ以テ關東州廳長官ニ委任スルコトヲ得
第二章 設立
第十七條 實業組合ヲ設立セントスルトキハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半數ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ大使ノ認可ヲ受クベシ但シ組合員タル資格ヲ有スル者ノ營業ノ種類二以上アルトキハ各其ノ過半數ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ大使ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ招集スルコトヲ得
第十八條 創立總會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス但シ設立同意者ノ營業ノ種類二以上アルトキハ各其ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第十九條 設立同意者ハ創立總會ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコトヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ差出スベシ
第二十條 實業組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ第七號乃至第九號ニ揭ゲタル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ要セズ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ關スル規定
六 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七 出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
八 剩餘金ノ處分及損失分擔ニ關スル規定
九 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十 組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十一 事業及其ノ執行ニ關スル規定
十二 役員ニ關スル規定
十三 會議ニ關スル規定
十四 會計ニ關スル規定
十五 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第二十一條 實業組合ハ其ノ組合員ノ數ヲ限定スルコトヲ得ズ
第二十二條 出資一口ノ金額ハ均一ニ之ヲ定ムベシ
第二十三條 實業組合ガ設立ノ認可ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク組合員ヲシテ第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
第二十四條 前條ノ拂込アリタルトキハ十四日以內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ設立ノ日ヨリ十四日以內ニ之ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ第三號及第二十條第七號ニ揭ゲタル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
一 第二十條第一號乃至第三號、第七號及第十五號ニ揭ゲタル事項
二 事務所
三 出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ總額
四 第三十二條ノ組合ニ在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名稱、住所及保證金額
五 設立認可ノ年月日
六 理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ總額ニ付テハ每事業年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第三章 組合員ノ權利義務
第二十五條 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
組合員ノ有スベキ出資口數ハ五十口ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加スルコトヲ得
第二十六條 組合員ハ實業組合ニ拂込ムベキ出資額ニ付相殺ヲ以テ組合ニ對抗スルコトヲ得ズ
第二十七條 組合員ハ實業組合ノ承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ヲ讓渡スルコトヲ得ズ
組合員ニ非ザル者ニシテ持分ヲ讓受ケントスルトキハ加入ノ例ニ依ルベシ
第二十八條 組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ
第二十九條 持分ノ讓受人ハ其ノ持分ニ付讓渡人ノ權利義務ヲ承繼ス
第三十條 新ニ實業組合ニ加入シタル組合員ハ其ノ加入前ニ生ジタル組合ノ債務ニ付テモ亦責任ヲ負擔ス
第三十一條 組合員ノ責任ハ第十條ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第三十二條 實業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保證金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔スルモノト爲スコトヲ得
第三十三條 組合員ハ總組合員ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得テ會議ノ目的タル事項及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ理事ニ提出シテ總會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
理事ガ正當ノ理由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル後十四日以內ニ總會招集ノ手續ヲ爲サザルトキハ請求者ハ大使ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スルコトヲ得
第三十四條 組合員ニシテ總會ノ招集手續又ハ其ノ決議ノ方法ガ法令又ハ定款ニ違反スト認ムルトキハ決議ノ日ヨリ一月以內ニ其ノ決議ノ取消ヲ大使ニ請求スルコトヲ得
第三十五條 組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付議決權總數ノ十分ノ三ヲ超エザル範圍內ニ於テ出資口數ニ應ジ二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第四章 管理
第三十六條 實業組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員若ハ支配人ノ中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ理事及監事ハ創立總會ニ於テ設立同意者又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員若ハ支配人ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事及監事ハ前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第三十七條 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ一年トス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十八條 理事又ハ監事ハ何時ニテモ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十九條 理事及監事ノ選任及解任ハ總組合員ノ半數以上出席シ其ノ議決權ノ四分ノ三以上ヲ以テ之ヲ決ス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十條 理事ハ定款及總會ノ決議錄ヲ各事務所ニ備置キ且組合員名簿ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員及組合ノ債權者ハ前項ニ揭ゲタル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第四十一條 組合員名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ第一號ニ揭ゲタル事項ノミヲ記載スルヲ以テ足ル
一 各組合員ノ氏名又ハ名稱及住所
二 各組合員ノ出資口數
三 各組合員ノ拂込ミタル金額及其ノ拂込ノ年月日
四 出資各口ノ取得ノ年月日
五 第三十二條ノ組合ニ在リテハ各組合員ノ保證金額
第四十二條 理事ハ通常總會ノ期日前七日目迄ニ財產目錄、貸借對照表、事業報吿書及剩餘金處分案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所ニ備置クベシ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ剩餘金處分案ハ之ヲ省略スルコトヲ得
組合員及組合ノ債權者ハ前項ニ揭ゲタル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第四十三條 理事ハ前條第一項ニ揭ゲタル書類及監事ノ意見書ヲ通常總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第四十四條 實業組合ガ其ノ組合員ニ對シテ爲ス通知又ハ催吿ハ組合員名簿ニ記載シタル組合員ノ住所又ハ其ノ者ガ組合ニ通知シタル住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前項ノ通知又ハ催吿ハ通常其ノ到達スベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
第四十五條 理事ハ少クトモ每事業年度一囘通常總會ヲ開クコトヲ要ス
第四十六條 理事缺ケタルトキハ總會ノ招集ハ監事之ヲ行フ
第四十七條 監事ハ理事其ノ他實業組合ノ事務員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第四十八條 實業組合ガ理事ト契約ヲ爲ス場合ニ於テハ監事組合ヲ代表ス組合ト理事トノ訴訟ニ付テモ亦同ジ
第四十九條 總會ノ決議ハ本令又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席シタル組合員ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス
第五十條 組合員ハ代理人ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコトヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ差出スベシ
第五十一條 實業組合ハ大使ノ定ムル所ニ依リ定款ヲ以テ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
總會ニ關スル規定ハ前項ノ總代會ニ之ヲ準用ス但シ總代會ニ於テハ解散及合併ノ決議ヲ爲スコトヲ得ズ
第五十二條 定款ノ變更ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
第三十九條ノ規定ハ前項ノ議決ニ之ヲ準用ス
定款ノ變更ノ決議ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第五十三條 實業組合ガ出資一口ノ金額ノ減少ノ決議ヲ爲シタルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ十四日以內ニ財產目錄及貸借對照表ヲ作ルベシ
組合ハ前項ノ期間內ニ其ノ債權者ニ對シ異議アラバ一定ノ期間內ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ定款ノ定ムル方法ニ從ヒテ公吿シ且知レタル債權者ニ各別ニ之ヲ催吿スベシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ズ
第五十四條 債權者ガ前條第二項ノ期間內ニ出資ノ減少ニ對シテ異議ヲ述ベザリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス
債權者ガ異議ヲ述ベタルトキハ實業組合ハ之ニ辨濟ヲ爲シ又ハ相當ノ擔保ヲ供スルニ非ザレバ出資ヲ減少スルコトヲ得ズ
第五十五條 前二條ノ規定ハ第三十二條ノ組合ガ組合員ノ保證金額ヲ減少スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十六條 組合員ガ其ノ出資ノ拂込ヲ終ル迄ハ之ニ配當スベキ剩餘金ハ其ノ拂込ニ充ツベシ但シ取扱ヒタル物ノ數量、價額其ノ他事業ノ分量ニ對シテ配當スベキ剩餘金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
組合員ニ配當スベキ剩餘金又ハ持分ノ計算ニ付テハ計算ノ基礎ト爲ルベキ金額ニシテ計算上不便ナル端數金額ハ之ヲ切捨ツルコトヲ得
第五十七條 實業組合ノ事業年度ハ一年トス
第五十八條 實業組合ハ損失ヲ塡補シタル後ニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ズ
剩餘金配當ニ關スル制限ハ大使之ヲ定ム
第五十九條 實業組合ハ第七十條ノ場合ヲ除クノ外持分ヲ拂戾スコトヲ得ズ
第六十條 實業組合ハ定款ヲ以テ定メタル準備金ノ額ニ達スル迄每事業年度ノ剩餘金ノ四分ノ一以上ヲ積立ツベシ
第六十一條 實業組合ハ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第六十二條 經費ヲ組合員ニ分賦スル實業組合ニ在リテハ其ノ經費ノ收支豫算及分賦收入方法ハ總會ノ議決ヲ經ベシ但シ組合設立當時ノ收支豫算及分賦收入方法ハ創立總會ニ於テ之ヲ議決スベシ
第三十九條ノ規定ハ前項ノ議決ニ之ヲ準用ス
第六十三條 檢査ヲ行フ實業組合ニ在リテハ檢査員ヲ置クベシ
檢査員ノ選任及解任ハ大使ノ認可ヲ受クベシ
第六十四條 前條ノ組合ハ檢査員ノ服務ニ關スル規程ヲ定メ大使ノ認可ヲ受クベシ
第六十五條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條、第五十九條、第六十一條第一項、第六十二條、第六十四條及第六十六條ノ規定ハ實業組合ニ之ヲ準用ス
第五章 加入及脫退
第六十六條 組合員タル資格ヲ有スル者實業組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正當ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル條件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十七條 組合員ハ大使ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ豫吿ヲ爲シ實業組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脫退スルコトヲ得
組合ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十八條 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脫退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡
三 破產
四 禁治產
五 除名
第六十九條 除名ノ事由ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
除名ハ總會ノ決議ニ依ル但シ除名シタル組合員ニ其ノ旨ヲ通知スルニ非ザレバ之ヲ以テ其ノ組合員ニ對抗スルコトヲ得ズ
第三十九條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第七十條 脫退シタル組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ノ全部又ハ一部ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得
第七十一條 脫退シタル組合員ノ持分ハ其ノ脫退シタル事業年度ノ終ニ於ケル組合財產ニ依リテ之ヲ定ム但シ定款ノ定ムル所ニ依リ脫退當時ノ財產ニ依リテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七十二條 持分ノ拂戾ハ事業年度ノ終ヨリ三月以內ニ之ヲ爲スベシ但シ前條但書ノ場合ニ於テハ脫退ノ時ヨリ三月以內ニ之ヲ爲スベシ
持分拂戾ノ請求權ハ前項ノ期間經過ノ後二年間之ヲ行ハザルニ因リテ消滅ス
第七十三條 持分ノ計算ヲ爲スニ當リ組合財產ヲ以テ實業組合ノ債務ヲ完濟スルニ足ラザルトキハ脫退シタル組合員ハ其ノ負擔ニ歸スベキ損失額ヲ拂込ムベシ
第七十四條 脫退シタル組合員ガ實業組合ニ對スル債務ヲ完濟スル迄ハ組合ハ其ノ持分ノ拂戾ヲ停止スルコトヲ得
第七十五條 第三十二條ノ組合ニ在リテハ脫退シタル組合員ハ脫退前ノ組合債權者ニ對シ其ノ脫退ヲ登記シタル後二年間責任ヲ負擔ス
前項ノ規定ニ依ル期間ハ總組合員ノ同意アルトキハ定款ヲ以テ之ヲ延長スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間ハ第一項ノ規定ニ違反セザル限リ之ヲ短縮スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第五十三條及第五十四條ノ規定ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ持分ヲ讓渡シタル組合員ニ之ヲ準用ス
第六章 監督
第七十六條 實業組合ハ大使之ヲ監督ス
第七十七條 大使ハ何時ニテモ理事又ハ淸算人ヲシテ實業組合ノ事業、財產又ハ淸算事務ニ關スル報吿ヲ爲サシメ組合ノ事業、財產又ハ淸算事務ノ狀況ヲ檢査シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
大使ハ組合淸算ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ組合ニ對シ其ノ財產ノ供託ヲ命ズルコトヲ得
第七十八條 大使必要ト認ムルトキハ第六十三條ノ檢査員ノ選任又ハ解任ヲ爲スコトヲ得
第七十九條 大使必要ト認ムルトキハ實業組合ニ對シ經費ノ收支豫算、其ノ分賦收入方法又ハ定款ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第八十條 實業組合ノ事業若ハ組合財產ノ狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、定款若ハ大使ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ大使ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 總會ノ決議ノ取消
二 役員又ハ淸算人ノ解任
三 組合ノ事業ノ停止
四 組合ノ解散
第八十一條 理事ノ缺ケタル爲損害ヲ生ズル虞アルトキハ大使ハ假ニ理事ヲ選任スルコトヲ得
第七章 解散
第八十二條 實業組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破產
第三十九條ノ規定ハ組合ノ解散及合併ノ決議ニ之ヲ準用ス但シ合併ニ因リテ組織變更ト同一ノ結果ヲ生ズベキトキハ其ノ合併ニ付總組合員ノ同意アルコトヲ要ス
第八十三條 實業組合解散シタルトキハ合併及破產ノ場合ヲ除クノ外各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スベシ
第八十四條 合併ニ因リテ實業組合ヲ設立スル場合ニ於テハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關スル行爲ハ各組合ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三十九條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル選任ニ之ヲ準用ス
第八十五條 第五十三條及第五十四條ノ規定ハ合併ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十六條 總會ノ決議ニ因ル解散又ハ合併ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第八十七條 實業組合ガ合併ヲ爲シタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ合併後存續スル組合ニ付テハ變更ノ登記ヲ爲シ、合併ニ因リテ消滅シタル組合ニ付テハ解散ノ登記ヲ爲シ、合併ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ設立ノ登記ヲ爲スベシ
第八十八條 合併後存續スル實業組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル實業組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼ス
第八十九條 實業組合ハ總組合員ノ同意ヲ以テ其ノ組織ヲ變更スルコトヲ得
組合ガ組織變更ニ因リ組合員ノ責任ヲ減少スルトキハ第五十三條及第五十四條ニ定メタル手續ヲ爲スベシ
第九十條 民法第七十條ノ規定ハ實業組合ノ解散ニ之ヲ準用ス但シ裁判所トアルハ關東法院トス
第八章 淸算
第九十一條 淸算人ハ其ノ職務ノ範圍內ニ於テ理事ト同一ノ權利義務ヲ有ス
第九十二條 淸算人ハ就職後遲滯ナク組合財產ノ現況ヲ調査シ財產目錄及貸借對照表ヲ作リ之ヲ總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第九十三條 淸算人ハ實業組合ノ債務ヲ辨濟シ又ハ辨濟ニ必要ナル金額ヲ供託スルニ非ザレバ組合財產ヲ分配スルコトヲ得ズ
第九十四條 淸算事務終了シタルトキハ淸算人ハ遲滯ナク決算報吿書ヲ作リ之ヲ總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第九十五條 淸算人タル者ナキトキ又ハ淸算人ノ缺ケタル爲損害ヲ生ズル虞アルトキハ大使ハ淸算人ヲ選任スルコトヲ得
第九十六條 重要ナル事由アルトキハ大使ハ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第九十七條 淸算人ノ選任アリタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ氏名及住所ヲ登記スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記シタル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ
第九十八條 淸算結了シタルトキハ淸算人ハ遲滯ナク各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スベシ
淸算人ハ淸算ノ顚末ヲ大使ニ報吿スベシ
第九十九條 民法第七十三條、第七十四條及第七十八條乃至第八十一條竝ニ非訟事件手續法第百三十八條及第百三十八條ノ三ノ規定ハ實業組合ノ淸算ニ之ヲ準用ス
第九章 實業組合聯合會
第百條 實業組合聯合會ハ所屬ノ實業組合及實業組合聯合會ノ共同ノ目的ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ實業組合又ハ實業組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ハ法人トス
第百一條 實業組合聯合會ヲ設立セントスルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ所屬ノ各組合及聯合會ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ大使ノ認可ヲ受クベシ
第百二條 創立委員會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ創立委員總數ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第十九條ノ規定ハ創立委員ニ之ヲ準用ス
第百三條 實業組合聯合會ノ理事及監事ハ總會ニ於テ所屬ノ組合及聯合會ノ理事又ハ監事ノ中ヨリ之ヲ選任ス但シ聯合會設立當時ノ理事及監事ハ創立委員會ニ於テ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ所屬ノ組合及聯合會ノ理事又ハ監事ニ非ザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第百四條 實業組合又ハ實業組合聯合會ガ實業組合聯合會ニ加入シ又ハ脫退セントスルトキハ總會ノ決議ニ依ルベシ
第三十九條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第百五條 實業組合ニ關スル規定ハ第五十一條ノ規定ヲ除クノ外實業組合聯合會ニ之ヲ準用ス但シ第六條中組合員トアルハ所屬ノ組合、聯合會及組合員トス
第十章 登記
第百六條 本令ニ依リ登記スベキ事項ハ登記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第百七條 本令ニ依リ登記スベキ事項ハ其ノ事實ノ生ジタル後十四日以內ニ之ヲ登記スベシ
登記スベキ事項ニシテ大使ノ認可ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第百八條 實業組合ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ヲ管轄スル民政署ヲ以テ管轄登記所トス
第百九條 登記所ニ實業組合登記簿及實業組合聯合會登記簿ヲ備フ
第百十條 設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ左ノ書面ヲ添附スベシ但シ第七條ノ組合ニ在リテハ第三號及第四號ノ書面ヲ添附スルコトヲ要セズ
一 定款
二 創立總會、總會又ハ創立委員會ノ決議錄
三 出資ノ總口數ヲ證スル書面
四 出資ノ第一囘ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面
五 理事及監事ノ資格ヲ證スル書面
第百十一條 事務所ノ新設、移轉其ノ他登記事項ノ變更ノ登記ハ理事又ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ但シ合併、出資一口ノ金額若ハ保證金額ノ減少又ハ組合員ノ脫退ニ因ル變更ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ申請人ノ資格ヲ證スル書面及登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スベシ前ニ登記ノ申請ヲ爲シタル申請人ガ同一登記所ニ前項ノ申請ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要セズ
出資一口ノ金額又ハ保證金額ノ減少ノ登記申請書ニハ前項ニ規定スル書面ノ外本令ニ依リ催吿ヲ爲シタルコト及異議ヲ述ベタル債權者アル場合ニ於テハ之ニ對シ辨濟ヲ爲シ又ハ擔保ヲ供シタルコトヲ證スル書面ヲ添附スベシ
第百十二條 解散ノ登記ハ合併ニ因ル解散ノ場合ニ於テハ解散シタルトキノ理事及監事ノ全員、其ノ他ノ場合ニ於テハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ解散ノ事由ヲ證スル書面及理事ガ淸算人タラザル場合ニ於テハ申請人ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スベシ
前條第三項ノ規定ハ合併ニ因ル解散ノ登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
實業組合ガ大使ノ命令ニ因リテ解散シタルトキハ登記所ハ其ノ囑託ニ因リテ登記ヲ爲スベシ
第百十三條 本令ノ規定ニ依リ登記シタル事項ハ登記所遲滯ナク之ヲ公吿スベシ
第百十四條 民法第四十五條第二項第三項及第四十八條竝ニ非訟事件手續法第百四十一條乃至第百五十一條ノ六、第百五十四條乃至第百五十七條、第百六十五條、第百七十五條乃至第百七十八條ノ規定ハ實業組合ノ登記ニ之ヲ準用ス但シ民法中一週間トアルハ之ヲ十四日トシ非訟事件手續法中司法大臣トアルハ大使、地方裁判所長トアルハ高等法院長、區裁判所又ハ市町村役場トアルハ民政署、官報トアルハ關東局局報トス
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
朕関東州実業組合令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月十四日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第四百九十七号
関東州実業組合令
第一章 総則
第一条 農業、工業、商業、水産業其ノ他物産ノ生産又ハ販売ニ関スル営業ヲ為ス者ハ其ノ営業ノ改良発達ヲ図ル為共同ノ施設ヲ為ス目的ヲ以テ実業組合ヲ設立スルコトヲ得但シ特別ノ事情アルトキハ二種以上ノ営業者ヲ以テ之ヲ設立スルコトヲ得
前項ノ営業者ノ範囲ハ満洲国駐箚特命全権大使之ヲ指定ス
第二条 実業組合ハ法人トス
第三条 実業組合ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第四条 実業組合ハ其ノ名称中ニ実業組合ナル文字ヲ用フベシ
実業組合ニ非ザルモノハ其ノ名称中ニ実業組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第五条 実業組合ニハ所得税ヲ課セズ
第六条 実業組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ取扱品ノ生産、仕入、加工、販売、保管、運搬、組合員ノ営業ニ必要ナル物ノ供給其ノ他組合員ノ営業ニ関スル共同施設
二 組合員ノ営業ニ関スル統制
三 組合員ノ営業ニ関スル指導、研究、調査其ノ他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル施設
前項第一号ノ事業ヲ行フ組合ハ組合員ニ対シ其ノ営業ニ必要ナル資金ノ貸付又ハ組合員ノ貯金ノ受入ヲ併セ行フコトヲ得
第一項ニ掲ゲタル組合ノ施設ハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非ザル者ヲシテ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第七条 実業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシメザルコトヲ得
前項ノ組合ハ前条第一項第一号ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第八条 前条ノ実業組合ト其ノ他ノ実業組合トハ合併ヲ為スコトヲ得ズ
第九条 第十五条、第二十二条、第二十三条、第二十五条乃至第二十九条、第三十一条、第三十二条、第五十三条乃至第五十六条、第五十八条乃至第六十一条、第七十条乃至第七十五条及第八十五条ノ規定ハ第七条ノ組合ニ之ヲ適用セズ
第十条 実業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ経費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第十一条 実業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款違反者ニ対シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第十二条 実業組合定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ営業ニ関スル統制ヲ行フ場合ニ於テハ総会ノ議決ヲ経テ之ニ関スル規程ヲ定メ大使ノ認可ヲ受クベシ其ノ規程ヲ変更セントスル場合亦同ジ
第十三条 営業上ノ弊害ヲ予防シ又ハ矯正スル為必要ト認ムルトキハ大使ハ実業組合ニ対シ必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ得
第十四条 営業上ノ弊害ヲ予防シ又ハ矯正スル為特ニ必要ト認ムルトキハ大使ハ実業組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ其ノ組合ノ地区内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ其ノ組合ノ統制ニ従フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五条 実業組合ニハ本令ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外商法及商法施行法中商人ニ関スル規定ヲ準用ス
第十六条 大使ハ本令ニ規定スル其ノ職権ノ一部ヲ命令ヲ以テ関東州庁長官ニ委任スルコトヲ得
第二章 設立
第十七条 実業組合ヲ設立セントスルトキハ予メ地区ヲ定メ其ノ地区内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半数ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ大使ノ認可ヲ受クベシ但シ組合員タル資格ヲ有スル者ノ営業ノ種類二以上アルトキハ各其ノ過半数ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ大使ノ認可ヲ受ケ創立総会ヲ招集スルコトヲ得
第十八条 創立総会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス但シ設立同意者ノ営業ノ種類二以上アルトキハ各其ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第十九条 設立同意者ハ創立総会ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト為スコトヲ得
代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ差出スベシ
第二十条 実業組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ第七号乃至第九号ニ掲ゲタル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ要セズ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ関スル規定
六 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
七 出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
八 剰余金ノ処分及損失分担ニ関スル規定
九 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十 組合員ノ権利義務ニ関スル規定
十一 事業及其ノ執行ニ関スル規定
十二 役員ニ関スル規定
十三 会議ニ関スル規定
十四 会計ニ関スル規定
十五 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第二十一条 実業組合ハ其ノ組合員ノ数ヲ限定スルコトヲ得ズ
第二十二条 出資一口ノ金額ハ均一ニ之ヲ定ムベシ
第二十三条 実業組合ガ設立ノ認可ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク組合員ヲシテ第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
第二十四条 前条ノ払込アリタルトキハ十四日以内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スベシ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ設立ノ日ヨリ十四日以内ニ之ヲ為スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ第三号及第二十条第七号ニ掲ゲタル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
一 第二十条第一号乃至第三号、第七号及第十五号ニ掲ゲタル事項
二 事務所
三 出資ノ総口数及払込ミタル出資ノ総額
四 第三十二条ノ組合ニ在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名称、住所及保証金額
五 設立認可ノ年月日
六 理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ掲ゲタル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ其ノ登記ヲ為スベシ但シ出資ノ総口数及払込ミタル出資ノ総額ニ付テハ毎事業年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後一月以内ニ登記ヲ為スコトヲ得
第三章 組合員ノ権利義務
第二十五条 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
組合員ノ有スベキ出資口数ハ五十口ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ増加スルコトヲ得
第二十六条 組合員ハ実業組合ニ払込ムベキ出資額ニ付相殺ヲ以テ組合ニ対抗スルコトヲ得ズ
第二十七条 組合員ハ実業組合ノ承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ヲ譲渡スルコトヲ得ズ
組合員ニ非ザル者ニシテ持分ヲ譲受ケントスルトキハ加入ノ例ニ依ルベシ
第二十八条 組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ
第二十九条 持分ノ譲受人ハ其ノ持分ニ付譲渡人ノ権利義務ヲ承継ス
第三十条 新ニ実業組合ニ加入シタル組合員ハ其ノ加入前ニ生ジタル組合ノ債務ニ付テモ亦責任ヲ負担ス
第三十一条 組合員ノ責任ハ第十条ノ規定ニ依ル費用負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第三十二条 実業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保証金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負担スルモノト為スコトヲ得
第三十三条 組合員ハ総組合員ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得テ会議ノ目的タル事項及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ理事ニ提出シテ総会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
理事ガ正当ノ理由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル後十四日以内ニ総会招集ノ手続ヲ為サザルトキハ請求者ハ大使ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スルコトヲ得
第三十四条 組合員ニシテ総会ノ招集手続又ハ其ノ決議ノ方法ガ法令又ハ定款ニ違反スト認ムルトキハ決議ノ日ヨリ一月以内ニ其ノ決議ノ取消ヲ大使ニ請求スルコトヲ得
第三十五条 組合員ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付議決権総数ノ十分ノ三ヲ超エザル範囲内ニ於テ出資口数ニ応ジ二個以上ノ議決権ヲ有セシムルコトヲ得
第四章 管理
第三十六条 実業組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ総会ニ於テ組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員若ハ支配人ノ中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立当時ノ理事及監事ハ創立総会ニ於テ設立同意者又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員若ハ支配人ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事及監事ハ前項ニ該当セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第三十七条 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ一年トス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十八条 理事又ハ監事ハ何時ニテモ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十九条 理事及監事ノ選任及解任ハ総組合員ノ半数以上出席シ其ノ議決権ノ四分ノ三以上ヲ以テ之ヲ決ス但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十条 理事ハ定款及総会ノ決議録ヲ各事務所ニ備置キ且組合員名簿ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員及組合ノ債権者ハ前項ニ掲ゲタル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第四十一条 組合員名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ第一号ニ掲ゲタル事項ノミヲ記載スルヲ以テ足ル
一 各組合員ノ氏名又ハ名称及住所
二 各組合員ノ出資口数
三 各組合員ノ払込ミタル金額及其ノ払込ノ年月日
四 出資各口ノ取得ノ年月日
五 第三十二条ノ組合ニ在リテハ各組合員ノ保証金額
第四十二条 理事ハ通常総会ノ期日前七日目迄ニ財産目録、貸借対照表、事業報告書及剰余金処分案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所ニ備置クベシ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ剰余金処分案ハ之ヲ省略スルコトヲ得
組合員及組合ノ債権者ハ前項ニ掲ゲタル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第四十三条 理事ハ前条第一項ニ掲ゲタル書類及監事ノ意見書ヲ通常総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第四十四条 実業組合ガ其ノ組合員ニ対シテ為ス通知又ハ催告ハ組合員名簿ニ記載シタル組合員ノ住所又ハ其ノ者ガ組合ニ通知シタル住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前項ノ通知又ハ催告ハ通常其ノ到達スベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
第四十五条 理事ハ少クトモ毎事業年度一回通常総会ヲ開クコトヲ要ス
第四十六条 理事欠ケタルトキハ総会ノ招集ハ監事之ヲ行フ
第四十七条 監事ハ理事其ノ他実業組合ノ事務員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第四十八条 実業組合ガ理事ト契約ヲ為ス場合ニ於テハ監事組合ヲ代表ス組合ト理事トノ訴訟ニ付テモ亦同ジ
第四十九条 総会ノ決議ハ本令又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席シタル組合員ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
第五十条 組合員ハ代理人ヲ以テ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト為スコトヲ得
代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ組合ニ差出スベシ
第五十一条 実業組合ハ大使ノ定ムル所ニ依リ定款ヲ以テ総会ニ代ルベキ総代会ヲ設クルコトヲ得
総会ニ関スル規定ハ前項ノ総代会ニ之ヲ準用ス但シ総代会ニ於テハ解散及合併ノ決議ヲ為スコトヲ得ズ
第五十二条 定款ノ変更ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
第三十九条ノ規定ハ前項ノ議決ニ之ヲ準用ス
定款ノ変更ノ決議ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第五十三条 実業組合ガ出資一口ノ金額ノ減少ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ十四日以内ニ財産目録及貸借対照表ヲ作ルベシ
組合ハ前項ノ期間内ニ其ノ債権者ニ対シ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ定款ノ定ムル方法ニ従ヒテ公告シ且知レタル債権者ニ各別ニ之ヲ催告スベシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ズ
第五十四条 債権者ガ前条第二項ノ期間内ニ出資ノ減少ニ対シテ異議ヲ述ベザリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス
債権者ガ異議ヲ述ベタルトキハ実業組合ハ之ニ弁済ヲ為シ又ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非ザレバ出資ヲ減少スルコトヲ得ズ
第五十五条 前二条ノ規定ハ第三十二条ノ組合ガ組合員ノ保証金額ヲ減少スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十六条 組合員ガ其ノ出資ノ払込ヲ終ル迄ハ之ニ配当スベキ剰余金ハ其ノ払込ニ充ツベシ但シ取扱ヒタル物ノ数量、価額其ノ他事業ノ分量ニ対シテ配当スベキ剰余金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
組合員ニ配当スベキ剰余金又ハ持分ノ計算ニ付テハ計算ノ基礎ト為ルベキ金額ニシテ計算上不便ナル端数金額ハ之ヲ切捨ツルコトヲ得
第五十七条 実業組合ノ事業年度ハ一年トス
第五十八条 実業組合ハ損失ヲ填補シタル後ニ非ザレバ剰余金ノ処分ヲ為スコトヲ得ズ
剰余金配当ニ関スル制限ハ大使之ヲ定ム
第五十九条 実業組合ハ第七十条ノ場合ヲ除クノ外持分ヲ払戻スコトヲ得ズ
第六十条 実業組合ハ定款ヲ以テ定メタル準備金ノ額ニ達スル迄毎事業年度ノ剰余金ノ四分ノ一以上ヲ積立ツベシ
第六十一条 実業組合ハ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第六十二条 経費ヲ組合員ニ分賦スル実業組合ニ在リテハ其ノ経費ノ収支予算及分賦収入方法ハ総会ノ議決ヲ経ベシ但シ組合設立当時ノ収支予算及分賦収入方法ハ創立総会ニ於テ之ヲ議決スベシ
第三十九条ノ規定ハ前項ノ議決ニ之ヲ準用ス
第六十三条 検査ヲ行フ実業組合ニ在リテハ検査員ヲ置クベシ
検査員ノ選任及解任ハ大使ノ認可ヲ受クベシ
第六十四条 前条ノ組合ハ検査員ノ服務ニ関スル規程ヲ定メ大使ノ認可ヲ受クベシ
第六十五条 民法第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条、第五十九条、第六十一条第一項、第六十二条、第六十四条及第六十六条ノ規定ハ実業組合ニ之ヲ準用ス
第五章 加入及脱退
第六十六条 組合員タル資格ヲ有スル者実業組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正当ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル条件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十七条 組合員ハ大使ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ予告ヲ為シ実業組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脱退スルコトヲ得
組合ハ正当ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十八条 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脱退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡
三 破産
四 禁治産
五 除名
第六十九条 除名ノ事由ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
除名ハ総会ノ決議ニ依ル但シ除名シタル組合員ニ其ノ旨ヲ通知スルニ非ザレバ之ヲ以テ其ノ組合員ニ対抗スルコトヲ得ズ
第三十九条ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第七十条 脱退シタル組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ノ全部又ハ一部ノ払戻ヲ請求スルコトヲ得
第七十一条 脱退シタル組合員ノ持分ハ其ノ脱退シタル事業年度ノ終ニ於ケル組合財産ニ依リテ之ヲ定ム但シ定款ノ定ムル所ニ依リ脱退当時ノ財産ニ依リテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七十二条 持分ノ払戻ハ事業年度ノ終ヨリ三月以内ニ之ヲ為スベシ但シ前条但書ノ場合ニ於テハ脱退ノ時ヨリ三月以内ニ之ヲ為スベシ
持分払戻ノ請求権ハ前項ノ期間経過ノ後二年間之ヲ行ハザルニ因リテ消滅ス
第七十三条 持分ノ計算ヲ為スニ当リ組合財産ヲ以テ実業組合ノ債務ヲ完済スルニ足ラザルトキハ脱退シタル組合員ハ其ノ負担ニ帰スベキ損失額ヲ払込ムベシ
第七十四条 脱退シタル組合員ガ実業組合ニ対スル債務ヲ完済スル迄ハ組合ハ其ノ持分ノ払戻ヲ停止スルコトヲ得
第七十五条 第三十二条ノ組合ニ在リテハ脱退シタル組合員ハ脱退前ノ組合債権者ニ対シ其ノ脱退ヲ登記シタル後二年間責任ヲ負担ス
前項ノ規定ニ依ル期間ハ総組合員ノ同意アルトキハ定款ヲ以テ之ヲ延長スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間ハ第一項ノ規定ニ違反セザル限リ之ヲ短縮スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第五十三条及第五十四条ノ規定ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ持分ヲ譲渡シタル組合員ニ之ヲ準用ス
第六章 監督
第七十六条 実業組合ハ大使之ヲ監督ス
第七十七条 大使ハ何時ニテモ理事又ハ清算人ヲシテ実業組合ノ事業、財産又ハ清算事務ニ関スル報告ヲ為サシメ組合ノ事業、財産又ハ清算事務ノ状況ヲ検査シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
大使ハ組合清算ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ組合ニ対シ其ノ財産ノ供託ヲ命ズルコトヲ得
第七十八条 大使必要ト認ムルトキハ第六十三条ノ検査員ノ選任又ハ解任ヲ為スコトヲ得
第七十九条 大使必要ト認ムルトキハ実業組合ニ対シ経費ノ収支予算、其ノ分賦収入方法又ハ定款ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第八十条 実業組合ノ事業若ハ組合財産ノ状況ニ依リ其ノ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行為ガ法令、定款若ハ大使ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ大使ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 総会ノ決議ノ取消
二 役員又ハ清算人ノ解任
三 組合ノ事業ノ停止
四 組合ノ解散
第八十一条 理事ノ欠ケタル為損害ヲ生ズル虞アルトキハ大使ハ仮ニ理事ヲ選任スルコトヲ得
第七章 解散
第八十二条 実業組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破産
第三十九条ノ規定ハ組合ノ解散及合併ノ決議ニ之ヲ準用ス但シ合併ニ因リテ組織変更ト同一ノ結果ヲ生ズベキトキハ其ノ合併ニ付総組合員ノ同意アルコトヲ要ス
第八十三条 実業組合解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スベシ
第八十四条 合併ニ因リテ実業組合ヲ設立スル場合ニ於テハ定款ノ作成其ノ他設立ニ関スル行為ハ各組合ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第三十九条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル選任ニ之ヲ準用ス
第八十五条 第五十三条及第五十四条ノ規定ハ合併ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十六条 総会ノ決議ニ因ル解散又ハ合併ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第八十七条 実業組合ガ合併ヲ為シタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ合併後存続スル組合ニ付テハ変更ノ登記ヲ為シ、合併ニ因リテ消滅シタル組合ニ付テハ解散ノ登記ヲ為シ、合併ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ設立ノ登記ヲ為スベシ
第八十八条 合併後存続スル実業組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル実業組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ権利義務ヲ承継ス
第八十九条 実業組合ハ総組合員ノ同意ヲ以テ其ノ組織ヲ変更スルコトヲ得
組合ガ組織変更ニ因リ組合員ノ責任ヲ減少スルトキハ第五十三条及第五十四条ニ定メタル手続ヲ為スベシ
第九十条 民法第七十条ノ規定ハ実業組合ノ解散ニ之ヲ準用ス但シ裁判所トアルハ関東法院トス
第八章 清算
第九十一条 清算人ハ其ノ職務ノ範囲内ニ於テ理事ト同一ノ権利義務ヲ有ス
第九十二条 清算人ハ就職後遅滞ナク組合財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ之ヲ総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第九十三条 清算人ハ実業組合ノ債務ヲ弁済シ又ハ弁済ニ必要ナル金額ヲ供託スルニ非ザレバ組合財産ヲ分配スルコトヲ得ズ
第九十四条 清算事務終了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告書ヲ作リ之ヲ総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第九十五条 清算人タル者ナキトキ又ハ清算人ノ欠ケタル為損害ヲ生ズル虞アルトキハ大使ハ清算人ヲ選任スルコトヲ得
第九十六条 重要ナル事由アルトキハ大使ハ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第九十七条 清算人ノ選任アリタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ氏名及住所ヲ登記スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記シタル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ其ノ登記ヲ為スベシ
第九十八条 清算結了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スベシ
清算人ハ清算ノ顛末ヲ大使ニ報告スベシ
第九十九条 民法第七十三条、第七十四条及第七十八条乃至第八十一条並ニ非訟事件手続法第百三十八条及第百三十八条ノ三ノ規定ハ実業組合ノ清算ニ之ヲ準用ス
第九章 実業組合連合会
第百条 実業組合連合会ハ所属ノ実業組合及実業組合連合会ノ共同ノ目的ヲ達スル為之ヲ設立スルコトヲ得
連合会ハ実業組合又ハ実業組合連合会ヲ以テ之ヲ組織ス
連合会ハ法人トス
第百一条 実業組合連合会ヲ設立セントスルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ所属ノ各組合及連合会ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ創立委員会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ大使ノ認可ヲ受クベシ
第百二条 創立委員会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ創立委員総数ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
第十九条ノ規定ハ創立委員ニ之ヲ準用ス
第百三条 実業組合連合会ノ理事及監事ハ総会ニ於テ所属ノ組合及連合会ノ理事又ハ監事ノ中ヨリ之ヲ選任ス但シ連合会設立当時ノ理事及監事ハ創立委員会ニ於テ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ所属ノ組合及連合会ノ理事又ハ監事ニ非ザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ大使ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第百四条 実業組合又ハ実業組合連合会ガ実業組合連合会ニ加入シ又ハ脱退セントスルトキハ総会ノ決議ニ依ルベシ
第三十九条ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第百五条 実業組合ニ関スル規定ハ第五十一条ノ規定ヲ除クノ外実業組合連合会ニ之ヲ準用ス但シ第六条中組合員トアルハ所属ノ組合、連合会及組合員トス
第十章 登記
第百六条 本令ニ依リ登記スベキ事項ハ登記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第百七条 本令ニ依リ登記スベキ事項ハ其ノ事実ノ生ジタル後十四日以内ニ之ヲ登記スベシ
登記スベキ事項ニシテ大使ノ認可ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第百八条 実業組合ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ヲ管轄スル民政署ヲ以テ管轄登記所トス
第百九条 登記所ニ実業組合登記簿及実業組合連合会登記簿ヲ備フ
第百十条 設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為スベシ
申請書ニハ左ノ書面ヲ添附スベシ但シ第七条ノ組合ニ在リテハ第三号及第四号ノ書面ヲ添附スルコトヲ要セズ
一 定款
二 創立総会、総会又ハ創立委員会ノ決議録
三 出資ノ総口数ヲ証スル書面
四 出資ノ第一回ノ払込アリタルコトヲ証スル書面
五 理事及監事ノ資格ヲ証スル書面
第百十一条 事務所ノ新設、移転其ノ他登記事項ノ変更ノ登記ハ理事又ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為スベシ但シ合併、出資一口ノ金額若ハ保証金額ノ減少又ハ組合員ノ脱退ニ因ル変更ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リ之ヲ為スベシ
申請書ニハ申請人ノ資格ヲ証スル書面及登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附スベシ前ニ登記ノ申請ヲ為シタル申請人ガ同一登記所ニ前項ノ申請ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要セズ
出資一口ノ金額又ハ保証金額ノ減少ノ登記申請書ニハ前項ニ規定スル書面ノ外本令ニ依リ催告ヲ為シタルコト及異議ヲ述ベタル債権者アル場合ニ於テハ之ニ対シ弁済ヲ為シ又ハ担保ヲ供シタルコトヲ証スル書面ヲ添附スベシ
第百十二条 解散ノ登記ハ合併ニ因ル解散ノ場合ニ於テハ解散シタルトキノ理事及監事ノ全員、其ノ他ノ場合ニ於テハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為スベシ
申請書ニハ解散ノ事由ヲ証スル書面及理事ガ清算人タラザル場合ニ於テハ申請人ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スベシ
前条第三項ノ規定ハ合併ニ因ル解散ノ登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
実業組合ガ大使ノ命令ニ因リテ解散シタルトキハ登記所ハ其ノ嘱託ニ因リテ登記ヲ為スベシ
第百十三条 本令ノ規定ニ依リ登記シタル事項ハ登記所遅滞ナク之ヲ公告スベシ
第百十四条 民法第四十五条第二項第三項及第四十八条並ニ非訟事件手続法第百四十一条乃至第百五十一条ノ六、第百五十四条乃至第百五十七条、第百六十五条、第百七十五条乃至第百七十八条ノ規定ハ実業組合ノ登記ニ之ヲ準用ス但シ民法中一週間トアルハ之ヲ十四日トシ非訟事件手続法中司法大臣トアルハ大使、地方裁判所長トアルハ高等法院長、区裁判所又ハ市町村役場トアルハ民政署、官報トアルハ関東局局報トス
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム