外資金庫法
法令番号: 法律第二號
公布年月日: 昭和20年2月9日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル外資金庫法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年二月八日
內閣總理大臣 小磯國昭
大藏大臣 石渡莊太郞
內務大臣 大達茂雄
法律第二號
外資金庫法
第一章 總則
第一條 外資金庫ハ大東亞戰爭ニ際シ國家ノ政策ニ卽シ在外資金ノ調達運用ヲ爲スコトヲ目的トス
外資金庫ハ法人トス
第二條 外資金庫ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
外資金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ヲシテ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第三條 外資金庫ノ資本金ハ五千萬圓トス
第四條 政府ハ五千萬圓ヲ外資金庫ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證券ヲ交付シテ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第五條 出資ノ第一囘ノ拂込金額ハ出資金額ノ五分ノ一ヲ下ラザル額トシ第二囘以後ノ出資ノ拂込ノ時期及金額ハ外資金庫主務大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ム
第六條 外資金庫ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 資本金額及資產ニ關スル事項
五 役員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 經理ニ關スル事項
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第七條 外資金庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第八條 外資金庫ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
都道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ外資金庫ノ事業ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第九條 外資金庫ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 職員
第十條 外資金庫ニ役員トシテ理事長一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十一條 理事長ハ外資金庫ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ外資金庫ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シテ外資金庫ノ業務ヲ掌理シ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ外資金庫ノ業務ヲ監查ス
第十二條 理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
理事長、理事及監事ノ任期ハ二年トス
第十三條 外資金庫ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第二條第二項ノ場合ニ於テ當該業務ニ從事スル銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ノ職員ニ付亦前項ニ同ジ
第三章 業務
第十四條 外資金庫ハ左ノ業務ヲ行フ
一 主務大臣ノ定ムル貸付及預リ金
二 主務大臣ノ定ムル價格調整ニ關スル業務
三 前二號ノ業務ニ附帶スル業務
第十五條 外資金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前條ノ業務ノ外外資金庫ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第四章 經理
第十六條 外資金庫ハ勅令ヲ以テ定ムル時期迄ノ每期間ヲ以テ一事業年度トス
第十七條 外資金庫ハ設立ノ時及每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第十八條 外資金庫ハ命令ヲ以テ定ムル期間ノ初ニ於テ事業計畫及收支豫算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第十九條 外資金庫ハ剩餘金ヲ政府ニ納付スベシ
第二十條 政府ハ外資金庫ニ對シ其ノ業務ニ因リテ受ケタル損失ヲ補償ス
前項ノ損失ヲ決定スル基準其ノ他損失補償ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章 監督
第二十一條 外資金庫ハ主務大臣之ヲ監督ス
第二十二條 主務大臣ハ外資金庫ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ外資金庫ニ對シ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十三條 外資金庫ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第二十四條 主務大臣ハ外資金庫ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、當該官吏ヲシテ檢查ヲ爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 外資金庫ノ役員ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令若ハ處分ニ違反シ若ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ又ハ外資金庫ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第六章 罰則
第二十六條 當該官吏若ハ第十三條ニ規定スル職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者外資金庫ノ業務上ノ祕密ニシテ職務上知得タルモノヲ漏泄シ又ハ竊用シタルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
第二十七條 外資金庫ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ理事長又ハ理事長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス理事ノ掌理スル業務ニ係ルトキハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
附 則
第二十八條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十九條 政府ハ設立委員ヲ命ジ外資金庫ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第三十條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資ノ第一囘ノ拂込ヲ政府ニ禀請スベシ
第三十一條 出資ノ第一囘ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ外資金庫理事長ニ引渡スベシ
理事長前項ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
外資金庫ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第三十二條 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外外資金庫ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「南方開發金庫、」ノ下ニ「外資金庫、」ヲ、「南方開發金庫法、」ノ下ニ「外資金庫法、」ヲ、同條第十八號中「南方開發金庫、」ノ下ニ「外資金庫、」ヲ加フ
第三十四條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ二ノ三 外資金庫ノ業務ニ關スル證書帳簿
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル外資金庫法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年二月八日
内閣総理大臣 小磯国昭
大蔵大臣 石渡荘太郎
内務大臣 大達茂雄
法律第二号
外資金庫法
第一章 総則
第一条 外資金庫ハ大東亜戦争ニ際シ国家ノ政策ニ即シ在外資金ノ調達運用ヲ為スコトヲ目的トス
外資金庫ハ法人トス
第二条 外資金庫ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
外資金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ヲシテ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第三条 外資金庫ノ資本金ハ五千万円トス
第四条 政府ハ五千万円ヲ外資金庫ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ国債証券ヲ交付シテ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第五条 出資ノ第一回ノ払込金額ハ出資金額ノ五分ノ一ヲ下ラザル額トシ第二回以後ノ出資ノ払込ノ時期及金額ハ外資金庫主務大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ム
第六条 外資金庫ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 資本金額及資産ニ関スル事項
五 役員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 経理ニ関スル事項
定款ノ変更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第七条 外資金庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スベシ
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第八条 外資金庫ニハ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
都道府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ外資金庫ノ事業ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第九条 外資金庫ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 職員
第十条 外資金庫ニ役員トシテ理事長一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十一条 理事長ハ外資金庫ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ外資金庫ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シテ外資金庫ノ業務ヲ掌理シ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ外資金庫ノ業務ヲ監査ス
第十二条 理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
理事長、理事及監事ノ任期ハ二年トス
第十三条 外資金庫ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
第二条第二項ノ場合ニ於テ当該業務ニ従事スル銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ノ職員ニ付亦前項ニ同ジ
第三章 業務
第十四条 外資金庫ハ左ノ業務ヲ行フ
一 主務大臣ノ定ムル貸付及預リ金
二 主務大臣ノ定ムル価格調整ニ関スル業務
三 前二号ノ業務ニ附帯スル業務
第十五条 外資金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前条ノ業務ノ外外資金庫ノ目的達成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第四章 経理
第十六条 外資金庫ハ勅令ヲ以テ定ムル時期迄ノ毎期間ヲ以テ一事業年度トス
第十七条 外資金庫ハ設立ノ時及毎事業年度ノ初ニ於テ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第十八条 外資金庫ハ命令ヲ以テ定ムル期間ノ初ニ於テ事業計画及収支予算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第十九条 外資金庫ハ剰余金ヲ政府ニ納付スベシ
第二十条 政府ハ外資金庫ニ対シ其ノ業務ニ因リテ受ケタル損失ヲ補償ス
前項ノ損失ヲ決定スル基準其ノ他損失補償ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章 監督
第二十一条 外資金庫ハ主務大臣之ヲ監督ス
第二十二条 主務大臣ハ外資金庫ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ外資金庫ニ対シ必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十三条 外資金庫ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第二十四条 主務大臣ハ外資金庫ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、当該官吏ヲシテ検査ヲ為サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十五条 外資金庫ノ役員ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令若ハ処分ニ違反シ若ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキ又ハ外資金庫ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第六章 罰則
第二十六条 当該官吏若ハ第十三条ニ規定スル職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者外資金庫ノ業務上ノ秘密ニシテ職務上知得タルモノヲ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ五年以下ノ懲役ニ処ス
第二十七条 外資金庫ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ理事長又ハ理事長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事ヲ千円以下ノ過料ニ処ス理事ノ掌理スル業務ニ係ルトキハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
附 則
第二十八条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十九条 政府ハ設立委員ヲ命ジ外資金庫ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
第三十条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク出資ノ第一回ノ払込ヲ政府ニ禀請スベシ
第三十一条 出資ノ第一回ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ外資金庫理事長ニ引渡スベシ
理事長前項ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スベシ
外資金庫ハ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第三十二条 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外外資金庫ノ設立ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「南方開発金庫、」ノ下ニ「外資金庫、」ヲ、「南方開発金庫法、」ノ下ニ「外資金庫法、」ヲ、同条第十八号中「南方開発金庫、」ノ下ニ「外資金庫、」ヲ加フ
第三十四条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第六号ノ二ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
六ノ二ノ三 外資金庫ノ業務ニ関スル証書帳簿