第一條 勤勞常時要員トシテノ女子(學徒勤勞令ノ適用ヲ受クベキ者ヲ除ク)ノ隊組織(以下女子挺身隊ト稱ス)ニ依ル勤勞協力ニ關スル命令ニシテ國家總動員法第五條ノ規定ニ基クモノ竝ニ當該命令ニ依ル勤勞協力ヲ爲スベキ者及女子挺身隊ニ依ル從業ヲ爲ス者ノ雇入、使用、就職、從業又ハ給與其ノ他ノ從業條件ニ關スル命令ニシテ同法第六條ノ規定ニ基クモノニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 國家總動員法第五條ノ規定ニ依ル命令ニ依リ女子ガ女子挺身隊ニ依リ爲ス勤勞協力(以下挺身勤勞ト稱ス)ハ國、地方公共團體又ハ厚生大臣若ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視總監以下同ジ)ノ指定スル者ノ行フ命令ヲ以テ定ムル總動員業務ニ付之ヲ爲サシムルモノトス
第三條 挺身勤勞ヲ爲スベキ者(以下隊員ト稱ス)ハ國民職業能力申吿令ニ依ル國民登錄者タル女子トス
前項該當者以外ノ女子ハ志願ヲ爲シタル場合ニ限リ隊員ト爲スコトヲ得ルモノトス
第四條 引續キ挺身勤勞ヲ爲サシムル期間ハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外槪ネ一年トス
隊員ヲシテ引續キ一年ヲ超エ挺身勤勞ヲ爲サシムル場合ニ於テハ隊員ノ同意アルコトヲ要ス
第五條 挺身勤勞ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第六條 地方長官前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ女子挺身隊ヲ出動セシムル必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ市町村長(市町村長ニ準ズベキモノヲ含ミ東京都ノ區ノ存スル區域竝ニ京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市及神戶市ニ在リテハ區長トス以下同ジ)其ノ他ノ團體ノ長又ハ學校長ニ對シ隊員ト爲ルベキ者ヲ選拔スベキコトヲ命ズルモノトス
第七條 前條ノ命令ヲ受ケタル者ハ本人ノ年齡、身體ノ狀態、家庭ノ狀況等ヲ斟酌シ隊員ト爲ルベキ者ヲ選拔シ之ヲ地方長官ニ報吿スベシ
第八條 地方長官ハ前條ノ規定ニ依ル報吿アリタル者ノ中ヨリ隊員ヲ決定シ本人ニ其ノ旨ヲ挺身勤勞令書ニ依リ通知シ挺身勤勞ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルモノトス
第九條 前條ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル者ハ同條ノ規定ニ依ル指示ニ從ヒ挺身勤勞ヲ爲スベシ
第十條 挺身勤勞ヲ爲ス場合ノ女子挺身隊ノ組織及運營竝ニ其ノ隊員ノ規律ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ニ於テハ挺身勤勞ノ全部又ハ一部ノ停止ニ關シ必要ナル措置ヲ爲スコトヲ得
第十二條 挺身勤勞ニ要スル經費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外其ノ挺身勤勞ヲ受クル者之ヲ負擔スルモノトス
第十三條 厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤勞管理及給與ニ關スル事項ニ付テハ軍需大臣)又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ挺身勤勞ヲ受クル事業主ニ對シ隊員ノ使用又ハ給與其ノ他ノ從業條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
隊員ガ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於ケル本人又ハ其ノ遺族ノ扶助ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ隊員ト爲サザルモノトス但シ隊員ニシテ第一號又ハ第二號ニ該當スルニ至リタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
二 陸軍大臣若ハ海軍大臣ノ所管ニ屬スル官衙(部隊及學校ヲ含ム)又ハ厚生大臣ノ指定スル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ軍事上必要ナル總動員業務ニ從事スル者
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ志願ニ依ル場合ヲ除クノ外隊員ト爲サザルモノトス
第十六條 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ挺身勤勞ニ關シ市町村長其ノ他ノ團體ノ長若ハ學校長又ハ隊員若ハ挺身勤勞ヲ受クル事業主ヲ監督ス
第十七條 地方長官必要アリト認ムル場合ニ於テハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ挺身勤勞ヲ爲サザル者ニ對シ第五條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ニ係ル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ就職スルコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ工場、事業場其ノ他ノ場所ノ事業主ハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ同項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ヨリ就職申出ヲ受ケタルトキハ之ヲ雇入ルルコトヲ要ス
厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤勞管理及給與ニ關スル事項ニ付テハ軍需大臣)又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ前項ノ事業主ニ對シ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ノ使用、從業又ハ給與其ノ他ノ從業條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十三條第二項ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ其ノ遺族ノ扶助ニ之ヲ準用ス
第十八條 第十三條ノ規定ハ地方長官又ハ國民勤勞動員署長ノ爲ス指導又ハ勸奬ニ基キ女子ガ女子挺身隊ニ依リ第二條ノ規定ニ依ル總動員業務ニ付工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ從業スル場合ニ之ヲ準用ス
第十九條 地方長官必要アリト認ムルトキハ本令ニ依ル其ノ事務ノ一部ヲ國民勤勞動員署長ヲシテ分掌セシムルコトヲ得
第二十條 第十三條(第十七條第四項及第十八條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十六條竝ニ第十七條第二項及第三項ノ規定ハ事業主タル國及都道府縣ニハ之ヲ適用セズ
第二十一條 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長トシ市町村長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹(京城府ニ在リテハ區長)又ハ邑面長、臺灣ニ在リテハ市長又ハ郡守(澎湖廳ニ在リテハ廳長)トシ國民勤勞動員署長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹、郡守又ハ島司、臺灣ニ在リテハ市長又ハ郡守(澎湖廳ニ在リテハ廳長)トシ都道府縣トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州又ハ廳トス
第二十二條 挺身勤勞ニハ國民勤勞報國協力令ハ之ヲ適用セズ
第二十三條 本令ニ規定スルモノノ外挺身勤勞ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム