第一條 戰時災害(戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪行爲又ハ之ニ關聯アル事件ニ因ル災害ヲ謂フ以下同ジ)ニ因リ喪失シタル無記名國債證券ニ對シテハ本法ニ依リ新證券ノ交付其ノ他ノ措置ヲ爲スコトヲ得
第二條 戰時災害ノ當時前條ノ證券ヲ所有シ又ハ占有シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ戰時喪失國債證券審査會ニ其ノ所有シ又ハ占有シタル證券ノ喪失ニ付査定ヲ求ムルコトヲ得
第三條 證券喪失ノ査定アリタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ新證券ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ新證券ノ交付ヲ爲スベキ場合ニ於テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ新證券ノ交付ニ代ヘ元利金ノ支拂、國債ノ登錄又ハ預金ノ設定ヲ爲スコトヲ得
第四條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リテ新證券ノ交付、元利金ノ支拂、國債ノ登錄又ハ預金ノ設定ヲ受クル者ヲシテ此等ノ措置ニ因リ生ズルコトアルベキ損失ヲ補塡スル爲確實ナル擔保ヲ提供セシメ又ハ保證人ヲ立テシムルコトヲ得
第五條 新證券ノ交付、元利金ノ支拂、國債ノ登錄又ハ預金ノ設定ニ因リ政府ニ損失ヲ生ジタルトキハ新證券ノ交付、元利金ノ支拂、國債ノ登錄又ハ預金ノ設定ヲ受ケタル者ハ其ノ損失ヲ負擔ス
前項ノ損失ノ負擔ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 喪失シタル證券ニ付存シタル權利ハ命令ノ定ムル所ニ依リ新證券、元利金、登錄國債又ハ預金ニ付亦之ヲ行フコトヲ得
第七條 戰時喪失國債證券審査會ハ審査ノ爲必要アリト認ムルトキハ利害關係人若ハ參考人ニ對シ出頭ヲ求メ、質問ヲ爲シ若ハ第一條ノ證券ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ノ提出ヲ求メ又ハ當該帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第八條 利害關係人又ハ參考人戰時喪失國債證券審査會ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル書面若ハ帳簿書類ヲ提出シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ其ノ行爲ヲ爲シタル理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ニ之ヲ適用ス
第九條 戰時喪失國債證券審査會ノ組織、權限及審査ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 第一條ノ證券ニシテ戰時災害ノ當時政府ノ所有シ又ハ保管シタルモノニ付テハ第二條乃至第五條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ新證券ノ交付、元利金ノ支拂又ハ國債ノ登錄ヲ爲スコトヲ得
第十一條 本法ハ戰時災害以外ノ戰時中ノ災害ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノニ因リ喪失シタル無記名國債證券ニ之ヲ準用ス