第二條 本令ニ於テ淸涼飮料ト稱スルハ炭酸瓦斯ヲ含有スル飮料ヲ謂フ但シ全重量ノ萬分ノ五以下ノ炭酸瓦斯ヲ含有スルモノ及全容量ノ百分ノ一以上ノ純酒精ヲ含有スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前項ニ於テ純酒精ト稱スルハ攝氏十五度ノ時ニ於テ〇・七九四七ノ比重ヲ有スル酒精ヲ謂フ
第四條 淸涼飮料ヲ製造セントスル者ハ製造場一箇所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
淸涼飮料ノ製造ノ免許ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル所ニ依リ相續人ニ於テ之ヲ承繼スルコトヲ得
第五條 淸涼飮料稅ハ第一種及第二種ノ淸涼飮料ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル石數ニ應ジ、第三種ノ淸涼飮料ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル淸涼飮料ニ使用セラレタル炭酸瓦斯ノ量ニ應ジ淸涼飮料製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル淸涼飮料ニ付テハ引取ラレタル石數又ハ使用セラレタル炭酸瓦斯ノ量ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
保稅地域トハ政府ニ於テ課稅物件ヲ藏置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第六條 淸涼飮料ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ之ヲ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノト看做ス
一 製造場內又ハ保稅地域內ニ於テ飮用セラレタルトキ
二 製造場內又ハ保稅地域內ニ現存スルモノ公賣セラレタルトキ
三 製造免許又ハ保稅地域特許ノ取消ノ場合ニ於テ製造場內又ハ保稅地域內ニ現存スルトキ
第七條 淸涼飮料製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル淸涼飮料ニ付第三條ノ區分每ニ其ノ石數又ハ炭酸瓦斯使用量ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ前條第二號又ハ第三號ノ場合ニ於テハ直ニ之ヲ提出スベシ
淸涼飮料ヲ保稅地域ヨリ引取ル者ハ引取ノ際其ノ淸涼飮料ニ付前項ニ準ズル申吿書ヲ政府ニ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第八條 淸涼飮料稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第五條第一項但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
第六條第二號又ハ第三號ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ直ニ其ノ淸涼飮料稅ヲ納付スベシ
第九條 第五條第一項但書ノ場合ニ於テ引取人大使ノ定ムル所ニ依リ淸涼飮料稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ三月以內淸涼飮料稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ擔保ヲ提供シタル者期間內ニ稅金ヲ納付セザルトキハ擔保ヲ以テ之ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔保ハ之ヲ公賣ニ付シ其ノ費用及稅金ニ充テ不足アルトキハ之ヲ追徵シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第十條 淸涼飮料ハ大使ノ定ムル所ニ依リ淸涼飮料稅ヲ納付セズシテ保稅地域ヨリ他ノ保稅地域ニ運送スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該淸涼飮料ガ政府ノ指定シタル期間內ニ運送先ニ到著セザルトキハ保稅地域ヨリ搬出シタルトキ引取リタルモノト看做シ運送申吿者ヨリ淸涼飮料稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條 淸涼飮料ハ淸涼飮料稅納付前之ヲ消費シ又ハ政府ノ承認ヲ受ケズシテ之ヲ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ルコトヲ得ズ但シ第九條第一項ノ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 關東州外ニ輸出スル淸涼飮料ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ淸涼飮料稅ヲ免除ス
前項ノ淸涼飮料ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ淸涼飮科稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 前條第一項ノ淸涼飮料ハ之ヲ關東州內ニ於テ消費シ又ハ消費スル目的ヲ以テ讓渡スルコトヲ得ズ但シ已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ承認ヲ受ケタル淸涼飮料ニ付テハ直ニ其ノ淸涼飮料稅ヲ徵收ス
第十四條 政府ハ淸涼飮料稅ニ付必要アリト認ムルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ納稅ノ保證トシテ淸涼飮料製造者ニ對シ擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
第十五條 淸涼飮料ノ製造者又ハ販賣者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ關スル事項ヲ記載スベシ
淸涼飮料ノ製造者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第十六條 稅務官吏ハ淸涼飮料ノ製造者若ハ販賣者ニ對シ質問ヲ爲シ、其ノ所持スル淸涼飮料、其ノ製造出入ニ關スル一切ノ帳簿書類及淸涼飮料ノ製造若ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、原料其ノ他ノ物件ヲ檢査シ又ハ監督上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十七條 稅務官吏ハ運搬中ニ在ル淸涼飮料ヲ檢査シ其ノ出所及到著先ヲ質問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要アリト認ムルトキハ稅務官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ、貨物又ハ船車ニ封印シ其ノ他相當ノ措置ヲ爲スコトヲ得
第十八條 製造免許ヲ受ケズシテ淸涼飮料ヲ製造シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ所持ニ係ル淸涼飮料竝ニ其ノ容器、器具及機械ハ之ヲ沒收ス
第十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ淸涼飮料稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者ハ其ノ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第二十條 第七條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十一條又ハ第十三條第一項ノ規定ニ違反シタル者
二 第十五條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ヲ備ヘズ若ハ隱匿シ又ハ帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リタル者
三 第十五條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
四 第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル稅務官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
前項第一號ノ場合ニ於テハ直ニ其ノ淸涼飮料稅ヲ徵收ス
第二十二條 第十四條第一項ノ規定ニ依ル擔保ヲ提供セザル者、第十九條若ハ第二十條ノ規定ニ依リテ處罰セラレタル者又ハ三年以上引續キ淸涼飮料ヲ製造セザル者ニ對シテハ政府ハ淸涼飮料製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三條 大正十一年勅令第二百號第一條ノ規定ハ第二十條又ハ第二十一條ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十四條 大正十一年勅令第二百號第二條ノ規定ハ淸涼飮料ノ販賣者ニ付之ヲ準用ス
第二十五條 第十五條乃至第十七條、第二十一條第一項第二號乃至第四號及前二條ノ規定ハ販賣ノ目的ヲ以テ炭酸瓦斯ヲ製造スル者又ハ炭酸瓦斯ヲ販賣スル者ニ付之ヲ準用ス
第二十六條 自己又ハ其ノ家族ノ用ニ供スル淸涼飮料ノミヲ製造スル者ニハ本令ヲ適用セズ