防空従事者扶助令
法令番号: 勅令第千百三十七號
公布年月日: 昭和16年12月17日
法令の形式: 勅令
朕防空從事者扶助令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十六日
內閣總理大臣兼內務大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第千百三十七號
防空從事者扶助令
第一條 防空法第十二條ノ規定ニ依ル扶助金ノ支給ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 扶助金ハ左ニ揭グル防空從事者(恩給法ニ依ル公務員又ハ之ニ準ズベキ者ニシテ職務上防空ノ實施ニ從事スルモノヲ除ク)ニ付之ヲ給ス
一 防空監視隊員
二 警防團員
三 防空法第六條第一項又ハ第二項ノ規定ニ基ク地方長官ノ命令ニ依リ防空ノ實施ニ從事スル者
四 防空法第九條第一項ノ規定ニ依リ防空ノ實施ニ從事スル者
五 前二號ニ揭グル者ヲ除クノ外地方長官又ハ市町村長ノ爲ス防空ノ實施ニ從事スル者ニシテ內務大臣ノ指定スルモノ
六 防空法第八條ノ五ノ規定ニ依リ應急防火ヲ爲シ又ハ之ニ協力スル者
七 防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ從業者ニシテ其ノ防空計畫ニ基キ防空ノ實施ニ從事スルモノ
第三條 扶助金ノ支給者ハ左ノ各號ノ定ムル所ニ依ル
一 前條第一號又ハ第二號ニ揭グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ當該防空監視隊又ハ警防團ヲ設置シタル地方長官
二 前條第三號ニ揭グル者ニシテ地方長官又ハ市町村長ノ爲ス防空ノ實施ニ從事スルモノニ付給スル扶助金ニ在リテハ從事令書ヲ發シタル地方長官、防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ爲ス防空ノ實施ニ從事スルモノニ付給スル扶助金ニ在リテハ當該防空計畫ノ設定者
三 前條第四號又ハ第五號ニ揭グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ其ノ者ガ防空ノ實施ニ從事スル地ヲ管轄スル地方長官
四 前條第六號ニ揭グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ其ノ者ノ從事スル應急防火ニ係ル建築物ノ所在市町村ノ市町村長
五 前條第七號ニ揭グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ當該防空計畫ノ設定者
第四條 扶助金ハ療養費、障害扶助金、打切扶助金、遺族扶助金及葬祭費ノ五種トシ左ノ區別ニ從ヒ之ヲ給ス
一 療養費ハ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ療養ヲ要スル者ニシテ官公費ノ治療ヲ受ケザルモノニ之ヲ給ス
二 障害扶助金ハ傷痍又ハ疾病ノ治癒シタル時ニ於テ仍身體ニ障害ヲ存スル者ニ之ヲ給ス
三 打切扶助金ハ療養ノ期間一年ヲ經過スルモ傷痍又ハ疾病ノ治癒セザル者ニ之ヲ給ス
四 遺族扶助金ハ死亡シタル者ノ遺族ニ之ヲ給ス
五 葬祭費ハ葬祭ヲ行フ遺族ニ之ヲ給ス葬祭ヲ行フ遺族ナキ場合ニ於テハ葬祭ヲ行フ者ニ之ヲ給スルコトヲ得
打切扶助金ヲ給スベキトキハ以後本令ニ依ル他ノ扶助金ハ之ヲ給セズ
防空從事者重大ナル過失ニ因リ傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ障害扶助金又ハ遺族扶助金ハ之ヲ給セザルコトヲ得
第五條 扶助金ノ額ハ左ノ各號ノ定ムル所ニ依ル
一 地方長官ノ給スルモノニ在リテハ別表第一欄ニ揭グル金額
二 防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ給スルモノニ在リテハ當該支給者ガ別表第一欄ニ揭グル金額ノ範圍內ニ於テ地方長官ノ認可ヲ受ケ定ムル金額
三 市町村長ノ給スルモノニ在リテハ別表第二欄ニ揭グル金額ノ範圍內ニ於テ當該市町村長ガ地方長官ノ認可ヲ受ケ定ムル金額
障害扶助金又ハ打切扶助金ハ前項ノ規定ニ依ル金額ノ範圍內ニ於テ傷痍疾病ノ程度、身體障害ノ輕重等ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ給スベシ
第六條 防空從事者障害扶助金ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ者ガ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル日ヨリ起算シ三年以內ニ當該傷痍疾病ノ再發ニ因リ身體障害ノ程度ヲ加重シタルトキハ障害扶助金ノ額ハ新ニ之ヲ定メ旣ニ給シタル障害扶助金ノ金額ヲ控除シテ之ヲ給ス
第七條 本令ニ於テ遺族トハ本人ノ配偶者、子、孫、父、母、祖父、祖母及兄弟姉妹ニシテ本人死亡ノ當時ヨリ引續キ之ト同一戶籍內ニ在ル者ヲ謂フ本人ノ死亡後二年以內ニ昭和十五年法律第四號(委託又ハ郵便ニ依ル戶籍屆出ニ關スル法律)ノ適用ヲ受ケ本人死亡ノ當時ヨリ引續キ之ト同一戶籍內ニ在ルコトト爲ルニ至リタル者ニ付亦同ジ
本人死亡後分家シタル遺族又ハ分家シタル遺族ニ伴ヒ其ノ家ニ入リタル遺族ハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ引續キ本人ト同一戶籍內ニ在ルモノト看做ス
屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ハ第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ同一戶籍內ニ在ル配偶者ト看做ス
本人死亡當時胎兒タル子又ハ孫出生シタルトキハ第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ本人死亡ノ當時之ト同一戶籍內ニ在リタルモノト看做ス
第八條 遺族扶助金ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前條第一項ニ揭グル順序ニ依ル
前項ノ規定ニ依ル同順位ノ子又ハ孫數人アルトキハ本人ヲ被相續人トシタル家督相續ノ順位ニ準ジ之ヲ定ム
父母及祖父母ニ付テハ養方ヲ先ニシ實方ヲ後ニス
兄弟姉妹ニ遺族扶助金ヲ給スルハ其ノ者ガ未成年又ハ不具癈疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナク且之ヲ扶養スル者ナキ場合ニ限リ前條第一項後段ニ規定スル者ニ遺族扶助金ヲ給スルハ旣ニ之ヲ受ケタル者ナキ場合ニ限ル
第九條 遺族扶助金ヲ給スベキ順位ニ在ル遺族左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ遺族扶助金ハ其ノ次順位ニ在ル遺族ニ之ヲ給ス
一 死亡シタルトキ
二 所在不明ナルトキ
三 分家ノ場合ヲ除クノ外同一戶籍內ニ在ラザルニ至リタルトキ
第十條 扶助金ヲ受クベキ者ガ扶助金ヲ受クベキ事由ノ生ジタル日ヨリ起算シ二年以內ニ請求ヲ爲サザルトキハ當該扶助金ハ之ヲ給セズ
第十一條 扶助金ヲ受クベキ者民法ニ依リ同一ノ原因ニ付損害賠償ヲ受ケタルトキハ其ノ金額ハ扶助金ノ額ヨリ之ヲ控除ス
第十二條 扶助金ヲ受クベキ者同一ノ原因ニ付他ノ法令ニ依ル扶助、給付又ハ給與ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ扶助、給付又ハ給與ガ本令ノ扶助金ト同種ノモノナルトキハ本令ノ扶助金ハ之ヲ給セズ但シ其ノ額ガ本令ノ扶助金ノ額ヨリ少額ナルトキハ其ノ差額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ他ノ法令ニ依ル扶助、給付又ハ給與ニシテ本令ノ扶助金ト同種ノモノハ內務大臣之ヲ指定ス
附 則
本令ハ昭和十六年法律第九十一號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
【表】
朕防空従事者扶助令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十六日
内閣総理大臣兼内務大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第千百三十七号
防空従事者扶助令
第一条 防空法第十二条ノ規定ニ依ル扶助金ノ支給ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 扶助金ハ左ニ掲グル防空従事者(恩給法ニ依ル公務員又ハ之ニ準ズベキ者ニシテ職務上防空ノ実施ニ従事スルモノヲ除ク)ニ付之ヲ給ス
一 防空監視隊員
二 警防団員
三 防空法第六条第一項又ハ第二項ノ規定ニ基ク地方長官ノ命令ニ依リ防空ノ実施ニ従事スル者
四 防空法第九条第一項ノ規定ニ依リ防空ノ実施ニ従事スル者
五 前二号ニ掲グル者ヲ除クノ外地方長官又ハ市町村長ノ為ス防空ノ実施ニ従事スル者ニシテ内務大臣ノ指定スルモノ
六 防空法第八条ノ五ノ規定ニ依リ応急防火ヲ為シ又ハ之ニ協力スル者
七 防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ従業者ニシテ其ノ防空計画ニ基キ防空ノ実施ニ従事スルモノ
第三条 扶助金ノ支給者ハ左ノ各号ノ定ムル所ニ依ル
一 前条第一号又ハ第二号ニ掲グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ当該防空監視隊又ハ警防団ヲ設置シタル地方長官
二 前条第三号ニ掲グル者ニシテ地方長官又ハ市町村長ノ為ス防空ノ実施ニ従事スルモノニ付給スル扶助金ニ在リテハ従事令書ヲ発シタル地方長官、防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ為ス防空ノ実施ニ従事スルモノニ付給スル扶助金ニ在リテハ当該防空計画ノ設定者
三 前条第四号又ハ第五号ニ掲グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ其ノ者ガ防空ノ実施ニ従事スル地ヲ管轄スル地方長官
四 前条第六号ニ掲グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ其ノ者ノ従事スル応急防火ニ係ル建築物ノ所在市町村ノ市町村長
五 前条第七号ニ掲グル者ニ付給スル扶助金ニ在リテハ当該防空計画ノ設定者
第四条 扶助金ハ療養費、障害扶助金、打切扶助金、遺族扶助金及葬祭費ノ五種トシ左ノ区別ニ従ヒ之ヲ給ス
一 療養費ハ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ療養ヲ要スル者ニシテ官公費ノ治療ヲ受ケザルモノニ之ヲ給ス
二 障害扶助金ハ傷痍又ハ疾病ノ治癒シタル時ニ於テ仍身体ニ障害ヲ存スル者ニ之ヲ給ス
三 打切扶助金ハ療養ノ期間一年ヲ経過スルモ傷痍又ハ疾病ノ治癒セザル者ニ之ヲ給ス
四 遺族扶助金ハ死亡シタル者ノ遺族ニ之ヲ給ス
五 葬祭費ハ葬祭ヲ行フ遺族ニ之ヲ給ス葬祭ヲ行フ遺族ナキ場合ニ於テハ葬祭ヲ行フ者ニ之ヲ給スルコトヲ得
打切扶助金ヲ給スベキトキハ以後本令ニ依ル他ノ扶助金ハ之ヲ給セズ
防空従事者重大ナル過失ニ因リ傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ障害扶助金又ハ遺族扶助金ハ之ヲ給セザルコトヲ得
第五条 扶助金ノ額ハ左ノ各号ノ定ムル所ニ依ル
一 地方長官ノ給スルモノニ在リテハ別表第一欄ニ掲グル金額
二 防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ給スルモノニ在リテハ当該支給者ガ別表第一欄ニ掲グル金額ノ範囲内ニ於テ地方長官ノ認可ヲ受ケ定ムル金額
三 市町村長ノ給スルモノニ在リテハ別表第二欄ニ掲グル金額ノ範囲内ニ於テ当該市町村長ガ地方長官ノ認可ヲ受ケ定ムル金額
障害扶助金又ハ打切扶助金ハ前項ノ規定ニ依ル金額ノ範囲内ニ於テ傷痍疾病ノ程度、身体障害ノ軽重等ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ給スベシ
第六条 防空従事者障害扶助金ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ者ガ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル日ヨリ起算シ三年以内ニ当該傷痍疾病ノ再発ニ因リ身体障害ノ程度ヲ加重シタルトキハ障害扶助金ノ額ハ新ニ之ヲ定メ既ニ給シタル障害扶助金ノ金額ヲ控除シテ之ヲ給ス
第七条 本令ニ於テ遺族トハ本人ノ配偶者、子、孫、父、母、祖父、祖母及兄弟姉妹ニシテ本人死亡ノ当時ヨリ引続キ之ト同一戸籍内ニ在ル者ヲ謂フ本人ノ死亡後二年以内ニ昭和十五年法律第四号(委託又ハ郵便ニ依ル戸籍届出ニ関スル法律)ノ適用ヲ受ケ本人死亡ノ当時ヨリ引続キ之ト同一戸籍内ニ在ルコトト為ルニ至リタル者ニ付亦同ジ
本人死亡後分家シタル遺族又ハ分家シタル遺族ニ伴ヒ其ノ家ニ入リタル遺族ハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ引続キ本人ト同一戸籍内ニ在ルモノト看做ス
届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ハ第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ同一戸籍内ニ在ル配偶者ト看做ス
本人死亡当時胎児タル子又ハ孫出生シタルトキハ第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ本人死亡ノ当時之ト同一戸籍内ニ在リタルモノト看做ス
第八条 遺族扶助金ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前条第一項ニ掲グル順序ニ依ル
前項ノ規定ニ依ル同順位ノ子又ハ孫数人アルトキハ本人ヲ被相続人トシタル家督相続ノ順位ニ準ジ之ヲ定ム
父母及祖父母ニ付テハ養方ヲ先ニシ実方ヲ後ニス
兄弟姉妹ニ遺族扶助金ヲ給スルハ其ノ者ガ未成年又ハ不具廃疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナク且之ヲ扶養スル者ナキ場合ニ限リ前条第一項後段ニ規定スル者ニ遺族扶助金ヲ給スルハ既ニ之ヲ受ケタル者ナキ場合ニ限ル
第九条 遺族扶助金ヲ給スベキ順位ニ在ル遺族左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ遺族扶助金ハ其ノ次順位ニ在ル遺族ニ之ヲ給ス
一 死亡シタルトキ
二 所在不明ナルトキ
三 分家ノ場合ヲ除クノ外同一戸籍内ニ在ラザルニ至リタルトキ
第十条 扶助金ヲ受クベキ者ガ扶助金ヲ受クベキ事由ノ生ジタル日ヨリ起算シ二年以内ニ請求ヲ為サザルトキハ当該扶助金ハ之ヲ給セズ
第十一条 扶助金ヲ受クベキ者民法ニ依リ同一ノ原因ニ付損害賠償ヲ受ケタルトキハ其ノ金額ハ扶助金ノ額ヨリ之ヲ控除ス
第十二条 扶助金ヲ受クベキ者同一ノ原因ニ付他ノ法令ニ依ル扶助、給付又ハ給与ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ扶助、給付又ハ給与ガ本令ノ扶助金ト同種ノモノナルトキハ本令ノ扶助金ハ之ヲ給セズ但シ其ノ額ガ本令ノ扶助金ノ額ヨリ少額ナルトキハ其ノ差額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ他ノ法令ニ依ル扶助、給付又ハ給与ニシテ本令ノ扶助金ト同種ノモノハ内務大臣之ヲ指定ス
附 則
本令ハ昭和十六年法律第九十一号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
【表】