(防空法施行令及官庁防空令中改正防空委員会令廃止ノ件)
法令番号: 勅令第千百三十五號
公布年月日: 昭和16年12月17日
法令の形式: 勅令
朕防空法施行令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十六日
內閣總理大臣兼內務大臣 陸軍大臣 東條英機
海軍大臣 嶋田繁太郞
遞信大臣 寺島健
商工大臣 岸信介
鐵道大臣 八田嘉明
勅令第千百三十五號
防空法施行令中左ノ通改正ス
第一條第二項中「道府縣防空委員會ノ意見ヲ徵シ之ヲ設定シ」及同條第四項中「市町村防空委員會ノ意見ヲ徵シ之ヲ設定シ」ヲ削リ同條ヲ第一條ノ二トス
第一條 主務大臣ハ全國又ハ數道府縣ノ區域ニ亙リ計畫スベキ事項其ノ他重要ト認ムル事項ニ關シ防空計畫ヲ設定スベシ
陸軍大臣及海軍大臣ハ陸海軍ノ行フ防衞ニ則應セシムル爲防空計畫ノ設定上基準ト爲ルベキ事項ヲ定メ之ヲ主務大臣ニ提示スベシ
內務大臣ハ防空計畫ノ設定上必要ナル事項ヲ他ノ主務大臣ニ提示スベシ
第二條中「無線電信、無線電話」ヲ「水道」ニ改メ「瓦斯、」ノ下ニ「石油、電氣通信、」ヲ加フ
第三條第一項中「防空法第五條」ノ下ニ「第一項」ヲ加フ
同項第一號中「軌道、」ノ下ニ「電氣通信施設、」ヲ、「診療所」ノ下ニ「、船舶」ヲ加フ
同項第二號中「下水道、」ノ下ニ「電氣工作物、」ヲ、「鑛山」ノ下ニ「、電氣通信施設、學校、診療所」ヲ、「消防」ノ下ニ「又ハ防火」ヲ加ヘ同號ヲ第三號トス
同項第三號中「劇場、」ノ下ニ「學校、」ヲ、「百貨店、」ノ下ニ「高層建築物、」ヲ加ヘ同號ヲ第四號トス
同項第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
二 水道、下水道、電氣工作物、瓦斯工作物、石油タンク、工場、鑛山、鐵道、軌道、電氣通信施設、道路、橋梁、港灣、堰堤、堤防、水門、倉庫、學校、診療所、高層建築物、飛行場ノ類ニ付テハ僞裝、防彈又ハ應急復舊ニ關シ必要ナルモノ
同條第二項中「防空法第五條」ノ下ニ「第二項」ヲ、同項第一號中「高層建築物」ノ下ニ「、船舶、電氣通信施設」ヲ、「監視」ノ下ニ「又ハ通信」ヲ、同項第三號中「學校、」ノ下ニ「寺院、」ヲ、「診療所、」ノ下ニ「浴場、」ヲ、「百貨店、」ノ下ニ「高層建築物、」ヲ、「其ノ他ノ建築物、」ノ下ニ「公園、」ヲ加フ
第三條ノ二 防空法第五條ノ七ノ物件ハ左ニ揭グルモノトス
一 爆發性、發火性又ハ引火性ノ物品
二 有毒性ノ物品
三 食糧、燃料其ノ他重要ナル總動員物資
四 前各號ニ揭グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル物
第四條第一項第一號中「藥劑師」ノ下ニ「、產婆、保健婦」ヲ加ヘ同項第二號ヲ左ノ如ク改ム
二 前號ニ揭グルモノノ外內務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官ノ定ムル者
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ從業者ニシテ同法第六條第三項ノ規定ニ依リ防空ノ實施ニ從事スベキモノ其ノ他正當ノ事由アル者ハ同法第六條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ防空ノ實施ニ從事セシムルコトヲ得ズ
第四條ノ二 防空法第六條第一項若ハ第二項(同法第十條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令又ハ同法第六條ノ二ノ規定ニ依ル指定若ハ命令ハ此等ノ處分ヲ受クベキ者ノ居住及就業ノ場所、職業、技能又ハ敎育訓練ノ程度、身體ノ狀態、家庭ノ狀況等ヲ斟酌シテ之ヲ爲スベシ
第四條ノ三 地方長官ハ特殊技能ヲ有スル者又ハ特別ノ敎育訓練ヲ受ケタル者ニシテ當該道府縣ノ區域內ニ居住スルモノニ對シ防空法第六條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ地方長官、市町村長又ハ同法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ爲ス防空ノ實施ニ從事スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ハ防空法第十條ノ規定ニ依リ防空ノ訓練ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第四條ノ四 防空法第六條第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ同法第六條ノ二ノ規定ニ依ル指定ハ從事令書又ハ指定書ノ交付ヲ以テ之ヲ行フ
前項ノ從事令書又ハ指定書ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條第一項中「內務大臣」ノ下ニ「(航海中ノ船舶ニ付テハ遞信大臣)」ヲ、同條第三項中「內務大臣」ノ下ニ「又ハ遞信大臣」ヲ加ヘ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ命令ハ關係アル地方長官ニ對シテハ內務大臣、航海中ノ船舶ニ對シテハ遞信大臣、關係アル市町村長及防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ニ對シテハ內務大臣ノ通知ニ依リ地方長官之ヲ發ス
第六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
前條ノ規定ニ依リ防空ノ實施ノ開始命令アリタルトキハ監視及之ニ伴フ通信ハ直ニ之ヲ實施シ防空上必要ナル其ノ他ノ事項ハ直ニ之ヲ準備シ適宜之ヲ實施スベシ
第七條ノ二 內務大臣ハ防空上必要アルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ防空法第八條ノ三ノ規定ニ基キ空襲ニ因ル危害ヲ避クル目的ヲ以テスル退去ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 國民學校(之ニ準ズベキ學校ヲ含ム)初等科兒童又ハ年齡七年未滿ノ者
二 姙婦、產婦又ハ褥婦
三 年齡六十五年ヲ超ユル者、傷病者又ハ不具癈疾者ニシテ防空ノ實施ニ從事スルコト能ハザルモノ
四 前各號ニ揭グル者ノ保護ニ缺クベカラザル者
前項第四號ニ揭グル者ノ範圍ハ內務大臣之ヲ定ム
第八條第一項中「關係者ハ」ノ下ニ「同法第五條ノ二若ハ第五條ノ四乃至第五條ノ六ニ揭グル建築物(工事中ノモノヲ含ム)、」ヲ加ヘ「又ハ第三條ニ揭グル特殊施設」ヲ「、第三條ニ揭グル特殊施設又ハ第三條ノ二ニ揭グル物件」ニ改ム
第九條ヲ削リ第十條ヲ第九條トス
第十條 防空法第十四條ノ規定ニ依ル實費辨償ニ關シ必要ナル事項ハ地方長官ノ辨償ニ係ルモノニ在リテハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定メ市町村長又ハ同法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ辨償ニ係ルモノニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ當該防空計畫ノ設定者之ヲ定ムベシ
第十一條 防空法第五條ノ二又ハ第五條ノ三ノ規定ニ依ル木造建築物ノ防火改修工事ノ施行ニ要スル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該建築物ノ所有者ノ負擔トス
特定ノ街廓內ニ在ル木造建築物ニシテ所有者ヲ異ニスルモノヲ一群トシテ防火改修工事ヲ施行スル楊合ニ於ケル當該工事ノ費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該工事ニ因リテ利益ヲ受ケタル建築物ノ所有者ノ負擔トシ其ノ負擔ノ割合及方法ハ防空法第五條ノ二ノ規定ニ依ル工事ニ在リテハ當該所有者間ノ協議ニ依リ同法第五條ノ三ノ規定ニ依ル工事ニ在リテハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ地方長官之ヲ裁定ス
第二項ノ協議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十三條 主務大臣ハ地方長官又ハ防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ニ對シ、地方長官ハ同法第二條ノ規定ニ依リ指定セラレタル市町村長ニ對シ防空計畫ノ設定上必要ナル事項ヲ指示スベシ
前項ノ指示アリタルトキハ之ニ準據シテ防空計畫ヲ設定スベシ
第十四條第一項中「監視網構成ノ槪要ニ付及」ヲ「監視網構成ノ槪要ニ付防空計畫ノ設定上必要ナル事項ヲ地方長官ニ、」ニ、「防空計畫ノ設定者」ヲ「地方長官、防空法第二條ノ規定ニ依リ指定セラレタル市町村長又ハ同法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者」ニ改ム
第十四條ノ二 防空計畫ヲ設定スル場合ニ於テハ內務大臣以外ノ主務大臣ハ內務大臣ニ、陸海軍ノ行フ防衞ニ則應セシムル爲必要アル事項ニ關シテハ主務大臣ニ在リテハ陸軍大臣及海軍大臣ニ、地方長官ニ在リテハ陸海軍司令官ニ協議スベシ
第十五條中「內務大臣ハ陸軍大臣及海軍大臣ニ、地方長官」ヲ「行政官廳」ニ改ム
第十六條中「內務大臣」ヲ「主務大臣」ニ、「地方長官」ヲ「行政官廳」ニ改メ第五號ヲ第六號トシ第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
五 建築物(工事中ノモノヲ含ム)ノ除却又ハ改築ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ關スル防空法第五條ノ四又ハ第五條ノ六ノ規定ニ依ル命令
第十六條ノ二 防空ノ實施ニ際シ內務大臣ハ防空ノ實施ニ付必要ナル事項ヲ他ノ主務大臣ニ、陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ防空ノ實施ニ付陸海軍ノ行フ防衞ニ則應セシムル爲必要ナル事項ヲ主務大臣ニ請求スルコトヲ得
緊急ノ必要ニ因リ內務大臣又ハ陸軍大臣若ハ海軍大臣ニ對シ前項ノ措置ヲ稟請スル暇ナキトキハ地方長官ハ防空ノ實施ニ付必要ナル事項ヲ他ノ地方官廳ニ、陸海軍司令官ハ防空ノ實施ニ付陸海軍ノ行フ防衞ニ則應セシムル爲必要ナル事項ヲ地方官廳ニ請求スルコトヲ得
第十六條ノ三 第十六條ノ四及第十六條ノ五ニ規定スルモノヲ除クノ外防空法及本令ニ規定スル主務大臣ノ職務ハ內務大臣之ヲ行フ
第十六條ノ四 防空法第二條及第五條竝ニ本令第一條、第十三條、第十四條ノ二、第十六條第四號及第十六條ノ二ニ規定スル主務大臣ノ職務ニ關シテハ左ノ各號ニ揭グル事項ニ付テハ當該各號ノ定ムル所ニ依ル
一 鑛山又ハ石油タンクノ防空ノ實施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ關スル事項ニ付テハ商工大臣
二 航海中ノ船舶ニ於テ行フ防空ノ實施ニ關スル事項ニ付テハ遞信大臣
三 船舶、航路標識、航空機、航空標識、電氣工作物又ハ電氣通信施設ノ防空ノ實施ニ關シテハ之ニ必要ナル設備又ハ資材ニ關スル事項ニ付テハ遞信大臣、應急復舊ノ實施ニ付テハ內務大臣及遞信大臣
四 鐵道ノ防空ノ實施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ關スル事項ニ付テハ鐵道大臣、軌道ノ防空ノ實施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ關スル事項及鐵道又ハ軌道ノ應急復舊ノ實施ニ付テハ內務大臣及鐵道大臣
第十六條ノ五 防空法第三條第一項及本令第十六條第三號前段ニ規定スル主務大臣ノ職務ニ關シテハ左ノ各號ニ揭グル事項ニ付テハ當該各號ノ定ムル所ニ依ル
一 鑛山又ハ石油ニ關スル事業若ハ施設ニ付テハ內務大臣及商工大臣
二 電氣、電氣通信、海運又ハ航空ニ關スル事業又ハ施設ニ付テハ內務大臣及遞信大臣
三 鐵道又ハ軌道ニ付テハ內務大臣及鐵道大臣
第十六條ノ六 防空法第三條第二項竝ニ本令第十五條及第十六條第三號後段ニ規定スル行政官廳ノ職務ハ地方長官之ヲ行フ但シ第十六條ノ四第一號ニ揭グル事項(石油タンクニ關スルモノヲ除ク)ニ付テハ鑛山監督局長、同條第二號ニ揭グル事項ニ付テハ遞信局長、同條第三號ニ揭グル事項ニ付テハ遞信局長(應急復舊ノ實施ニ付テハ地方長官及遞信局長)、同條第四號ニ揭グル事項ニ付テハ鐵道局長(軌道ノ防空ノ設備若ハ資材ニ關スル事項又ハ鐵道若ハ軌道ノ應急復舊ノ實施ニ付テハ地方長官及鐵道局長)之ヲ行フ
防空法第十一條ニ規定スル行政官廳ノ職務ハ內務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、商工大臣、遞信大臣、鐵道大臣、地方長官、鑛山監督局長、遞信局長又ハ鐵道局長之ヲ行フ
第十六條ノ七 防空法第五條ノ二、第五條ノ三、第五條ノ六、第五條ノ七、第八條ノ二及本令第十一條中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ警視總監トス
別記樣式表面ノ部中「主務省、廳府縣」ヲ「行政官廳」ニ改メ同樣式裏面ノ部ヲ左ノ如ク改ム
防空法摘要
第十一條 防空ニ關スル調査ノ爲必要アルトキハ行政官廳又ハ市町村長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ關係者ニ對シ資料ノ提出ヲ命ジ又ハ官吏若ハ吏員ヲシテ關係アル場所ニ立入リ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得但シ私人ノ邸宅竝ニ業務上ノ祕密ニ屬スル事項及設備ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ立入ル場合ニ於テハ其ノ旨豫メ其ノ場所ノ管理者ニ通知スベシ
當該官吏又ハ吏員第一項ノ規定ニ依リ關係アル場所ニ立入ル場合ハ其ノ證票ヲ携帶スベシ
第十九條ノ三 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第八條ノ五第一項ノ規定ニ違反シタル者
二 第十一條第一項ノ規定ニ依ル資料ノ提出ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ資料ヲ提出シ又ハ當該官吏若ハ吏員ノ立入檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
防空法施行令摘要
第八條 防空法第十一條第一項ノ關係者ハ同法第五條ノ二若ハ第五條ノ四乃至第五條ノ六ニ揭グル建築物(工事中ノモノヲ含ム)、第二條ニ揭グル事業若ハ施設、第三條ニ揭グル特殊施設又ハ第三條ノ二ニ揭グル物件ノ管理者又ハ所有者トシ關係アル場所ハ此等ノ者ノ管理又ハ所有スル土地及建物其ノ他ノ工作物トス
防空法第十一條第三項ノ證票ハ別記樣式ニ依ル
第十六條ノ六第二項
防空法第十一條ニ規定スル行政官廳ノ職務ハ內務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、商工大臣、遞信大臣、鐵道大臣、地方長官、鑛山監督局長、遞信局長又ハ鐵道局長之ヲ行フ
附 則
本令ハ昭和十六年法律第九十一號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
防空委員會令ハ之ヲ廢止ス
官廳防空令第五條中「第十條第三項」ヲ「第十條第二項」ニ改ム
朕防空法施行令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十六日
内閣総理大臣兼内務大臣 陸軍大臣 東条英機
海軍大臣 嶋田繁太郎
逓信大臣 寺島健
商工大臣 岸信介
鉄道大臣 八田嘉明
勅令第千百三十五号
防空法施行令中左ノ通改正ス
第一条第二項中「道府県防空委員会ノ意見ヲ徴シ之ヲ設定シ」及同条第四項中「市町村防空委員会ノ意見ヲ徴シ之ヲ設定シ」ヲ削リ同条ヲ第一条ノ二トス
第一条 主務大臣ハ全国又ハ数道府県ノ区域ニ亘リ計画スベキ事項其ノ他重要ト認ムル事項ニ関シ防空計画ヲ設定スベシ
陸軍大臣及海軍大臣ハ陸海軍ノ行フ防衛ニ則応セシムル為防空計画ノ設定上基準ト為ルベキ事項ヲ定メ之ヲ主務大臣ニ提示スベシ
内務大臣ハ防空計画ノ設定上必要ナル事項ヲ他ノ主務大臣ニ提示スベシ
第二条中「無線電信、無線電話」ヲ「水道」ニ改メ「瓦斯、」ノ下ニ「石油、電気通信、」ヲ加フ
第三条第一項中「防空法第五条」ノ下ニ「第一項」ヲ加フ
同項第一号中「軌道、」ノ下ニ「電気通信施設、」ヲ、「診療所」ノ下ニ「、船舶」ヲ加フ
同項第二号中「下水道、」ノ下ニ「電気工作物、」ヲ、「鉱山」ノ下ニ「、電気通信施設、学校、診療所」ヲ、「消防」ノ下ニ「又ハ防火」ヲ加ヘ同号ヲ第三号トス
同項第三号中「劇場、」ノ下ニ「学校、」ヲ、「百貨店、」ノ下ニ「高層建築物、」ヲ加ヘ同号ヲ第四号トス
同項第一号ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
二 水道、下水道、電気工作物、瓦斯工作物、石油タンク、工場、鉱山、鉄道、軌道、電気通信施設、道路、橋梁、港湾、堰堤、堤防、水門、倉庫、学校、診療所、高層建築物、飛行場ノ類ニ付テハ偽装、防弾又ハ応急復旧ニ関シ必要ナルモノ
同条第二項中「防空法第五条」ノ下ニ「第二項」ヲ、同項第一号中「高層建築物」ノ下ニ「、船舶、電気通信施設」ヲ、「監視」ノ下ニ「又ハ通信」ヲ、同項第三号中「学校、」ノ下ニ「寺院、」ヲ、「診療所、」ノ下ニ「浴場、」ヲ、「百貨店、」ノ下ニ「高層建築物、」ヲ、「其ノ他ノ建築物、」ノ下ニ「公園、」ヲ加フ
第三条ノ二 防空法第五条ノ七ノ物件ハ左ニ掲グルモノトス
一 爆発性、発火性又ハ引火性ノ物品
二 有毒性ノ物品
三 食糧、燃料其ノ他重要ナル総動員物資
四 前各号ニ掲グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル物
第四条第一項第一号中「薬剤師」ノ下ニ「、産婆、保健婦」ヲ加ヘ同項第二号ヲ左ノ如ク改ム
二 前号ニ掲グルモノノ外内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官ノ定ムル者
同条第二項ヲ左ノ如ク改ム
防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ従業者ニシテ同法第六条第三項ノ規定ニ依リ防空ノ実施ニ従事スベキモノ其ノ他正当ノ事由アル者ハ同法第六条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ防空ノ実施ニ従事セシムルコトヲ得ズ
第四条ノ二 防空法第六条第一項若ハ第二項(同法第十条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令又ハ同法第六条ノ二ノ規定ニ依ル指定若ハ命令ハ此等ノ処分ヲ受クベキ者ノ居住及就業ノ場所、職業、技能又ハ教育訓練ノ程度、身体ノ状態、家庭ノ状況等ヲ斟酌シテ之ヲ為スベシ
第四条ノ三 地方長官ハ特殊技能ヲ有スル者又ハ特別ノ教育訓練ヲ受ケタル者ニシテ当該道府県ノ区域内ニ居住スルモノニ対シ防空法第六条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ地方長官、市町村長又ハ同法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ為ス防空ノ実施ニ従事スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ハ防空法第十条ノ規定ニ依リ防空ノ訓練ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第四条ノ四 防空法第六条第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ同法第六条ノ二ノ規定ニ依ル指定ハ従事令書又ハ指定書ノ交付ヲ以テ之ヲ行フ
前項ノ従事令書又ハ指定書ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条第一項中「内務大臣」ノ下ニ「(航海中ノ船舶ニ付テハ逓信大臣)」ヲ、同条第三項中「内務大臣」ノ下ニ「又ハ逓信大臣」ヲ加ヘ同条第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ命令ハ関係アル地方長官ニ対シテハ内務大臣、航海中ノ船舶ニ対シテハ逓信大臣、関係アル市町村長及防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ニ対シテハ内務大臣ノ通知ニ依リ地方長官之ヲ発ス
第六条第一項ヲ左ノ如ク改ム
前条ノ規定ニ依リ防空ノ実施ノ開始命令アリタルトキハ監視及之ニ伴フ通信ハ直ニ之ヲ実施シ防空上必要ナル其ノ他ノ事項ハ直ニ之ヲ準備シ適宜之ヲ実施スベシ
第七条ノ二 内務大臣ハ防空上必要アルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ防空法第八条ノ三ノ規定ニ基キ空襲ニ因ル危害ヲ避クル目的ヲ以テスル退去ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 国民学校(之ニ準ズベキ学校ヲ含ム)初等科児童又ハ年齢七年未満ノ者
二 姙婦、産婦又ハ褥婦
三 年齢六十五年ヲ超ユル者、傷病者又ハ不具廃疾者ニシテ防空ノ実施ニ従事スルコト能ハザルモノ
四 前各号ニ掲グル者ノ保護ニ欠クベカラザル者
前項第四号ニ掲グル者ノ範囲ハ内務大臣之ヲ定ム
第八条第一項中「関係者ハ」ノ下ニ「同法第五条ノ二若ハ第五条ノ四乃至第五条ノ六ニ掲グル建築物(工事中ノモノヲ含ム)、」ヲ加ヘ「又ハ第三条ニ掲グル特殊施設」ヲ「、第三条ニ掲グル特殊施設又ハ第三条ノ二ニ掲グル物件」ニ改ム
第九条ヲ削リ第十条ヲ第九条トス
第十条 防空法第十四条ノ規定ニ依ル実費弁償ニ関シ必要ナル事項ハ地方長官ノ弁償ニ係ルモノニ在リテハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定メ市町村長又ハ同法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ弁償ニ係ルモノニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ当該防空計画ノ設定者之ヲ定ムベシ
第十一条 防空法第五条ノ二又ハ第五条ノ三ノ規定ニ依ル木造建築物ノ防火改修工事ノ施行ニ要スル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該建築物ノ所有者ノ負担トス
特定ノ街廓内ニ在ル木造建築物ニシテ所有者ヲ異ニスルモノヲ一群トシテ防火改修工事ヲ施行スル楊合ニ於ケル当該工事ノ費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該工事ニ因リテ利益ヲ受ケタル建築物ノ所有者ノ負担トシ其ノ負担ノ割合及方法ハ防空法第五条ノ二ノ規定ニ依ル工事ニ在リテハ当該所有者間ノ協議ニ依リ同法第五条ノ三ノ規定ニ依ル工事ニ在リテハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ地方長官之ヲ裁定ス
第二項ノ協議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十三条 主務大臣ハ地方長官又ハ防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ニ対シ、地方長官ハ同法第二条ノ規定ニ依リ指定セラレタル市町村長ニ対シ防空計画ノ設定上必要ナル事項ヲ指示スベシ
前項ノ指示アリタルトキハ之ニ準拠シテ防空計画ヲ設定スベシ
第十四条第一項中「監視網構成ノ概要ニ付及」ヲ「監視網構成ノ概要ニ付防空計画ノ設定上必要ナル事項ヲ地方長官ニ、」ニ、「防空計画ノ設定者」ヲ「地方長官、防空法第二条ノ規定ニ依リ指定セラレタル市町村長又ハ同法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者」ニ改ム
第十四条ノ二 防空計画ヲ設定スル場合ニ於テハ内務大臣以外ノ主務大臣ハ内務大臣ニ、陸海軍ノ行フ防衛ニ則応セシムル為必要アル事項ニ関シテハ主務大臣ニ在リテハ陸軍大臣及海軍大臣ニ、地方長官ニ在リテハ陸海軍司令官ニ協議スベシ
第十五条中「内務大臣ハ陸軍大臣及海軍大臣ニ、地方長官」ヲ「行政官庁」ニ改ム
第十六条中「内務大臣」ヲ「主務大臣」ニ、「地方長官」ヲ「行政官庁」ニ改メ第五号ヲ第六号トシ第四号ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
五 建築物(工事中ノモノヲ含ム)ノ除却又ハ改築ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ関スル防空法第五条ノ四又ハ第五条ノ六ノ規定ニ依ル命令
第十六条ノ二 防空ノ実施ニ際シ内務大臣ハ防空ノ実施ニ付必要ナル事項ヲ他ノ主務大臣ニ、陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ防空ノ実施ニ付陸海軍ノ行フ防衛ニ則応セシムル為必要ナル事項ヲ主務大臣ニ請求スルコトヲ得
緊急ノ必要ニ因リ内務大臣又ハ陸軍大臣若ハ海軍大臣ニ対シ前項ノ措置ヲ稟請スル暇ナキトキハ地方長官ハ防空ノ実施ニ付必要ナル事項ヲ他ノ地方官庁ニ、陸海軍司令官ハ防空ノ実施ニ付陸海軍ノ行フ防衛ニ則応セシムル為必要ナル事項ヲ地方官庁ニ請求スルコトヲ得
第十六条ノ三 第十六条ノ四及第十六条ノ五ニ規定スルモノヲ除クノ外防空法及本令ニ規定スル主務大臣ノ職務ハ内務大臣之ヲ行フ
第十六条ノ四 防空法第二条及第五条並ニ本令第一条、第十三条、第十四条ノ二、第十六条第四号及第十六条ノ二ニ規定スル主務大臣ノ職務ニ関シテハ左ノ各号ニ掲グル事項ニ付テハ当該各号ノ定ムル所ニ依ル
一 鉱山又ハ石油タンクノ防空ノ実施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ関スル事項ニ付テハ商工大臣
二 航海中ノ船舶ニ於テ行フ防空ノ実施ニ関スル事項ニ付テハ逓信大臣
三 船舶、航路標識、航空機、航空標識、電気工作物又ハ電気通信施設ノ防空ノ実施ニ関シテハ之ニ必要ナル設備又ハ資材ニ関スル事項ニ付テハ逓信大臣、応急復旧ノ実施ニ付テハ内務大臣及逓信大臣
四 鉄道ノ防空ノ実施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ関スル事項ニ付テハ鉄道大臣、軌道ノ防空ノ実施ニ必要ナル設備又ハ資材ニ関スル事項及鉄道又ハ軌道ノ応急復旧ノ実施ニ付テハ内務大臣及鉄道大臣
第十六条ノ五 防空法第三条第一項及本令第十六条第三号前段ニ規定スル主務大臣ノ職務ニ関シテハ左ノ各号ニ掲グル事項ニ付テハ当該各号ノ定ムル所ニ依ル
一 鉱山又ハ石油ニ関スル事業若ハ施設ニ付テハ内務大臣及商工大臣
二 電気、電気通信、海運又ハ航空ニ関スル事業又ハ施設ニ付テハ内務大臣及逓信大臣
三 鉄道又ハ軌道ニ付テハ内務大臣及鉄道大臣
第十六条ノ六 防空法第三条第二項並ニ本令第十五条及第十六条第三号後段ニ規定スル行政官庁ノ職務ハ地方長官之ヲ行フ但シ第十六条ノ四第一号ニ掲グル事項(石油タンクニ関スルモノヲ除ク)ニ付テハ鉱山監督局長、同条第二号ニ掲グル事項ニ付テハ逓信局長、同条第三号ニ掲グル事項ニ付テハ逓信局長(応急復旧ノ実施ニ付テハ地方長官及逓信局長)、同条第四号ニ掲グル事項ニ付テハ鉄道局長(軌道ノ防空ノ設備若ハ資材ニ関スル事項又ハ鉄道若ハ軌道ノ応急復旧ノ実施ニ付テハ地方長官及鉄道局長)之ヲ行フ
防空法第十一条ニ規定スル行政官庁ノ職務ハ内務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、商工大臣、逓信大臣、鉄道大臣、地方長官、鉱山監督局長、逓信局長又ハ鉄道局長之ヲ行フ
第十六条ノ七 防空法第五条ノ二、第五条ノ三、第五条ノ六、第五条ノ七、第八条ノ二及本令第十一条中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ警視総監トス
別記様式表面ノ部中「主務省、庁府県」ヲ「行政官庁」ニ改メ同様式裏面ノ部ヲ左ノ如ク改ム
防空法摘要
第十一条 防空ニ関スル調査ノ為必要アルトキハ行政官庁又ハ市町村長ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ関係者ニ対シ資料ノ提出ヲ命ジ又ハ官吏若ハ吏員ヲシテ関係アル場所ニ立入リ検査ヲ為サシムルコトヲ得但シ私人ノ邸宅並ニ業務上ノ秘密ニ属スル事項及設備ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ立入ル場合ニ於テハ其ノ旨予メ其ノ場所ノ管理者ニ通知スベシ
当該官吏又ハ吏員第一項ノ規定ニ依リ関係アル場所ニ立入ル場合ハ其ノ証票ヲ携帯スベシ
第十九条ノ三 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第八条ノ五第一項ノ規定ニ違反シタル者
二 第十一条第一項ノ規定ニ依ル資料ノ提出ヲ為サズ若ハ虚偽ノ資料ヲ提出シ又ハ当該官吏若ハ吏員ノ立入検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
防空法施行令摘要
第八条 防空法第十一条第一項ノ関係者ハ同法第五条ノ二若ハ第五条ノ四乃至第五条ノ六ニ掲グル建築物(工事中ノモノヲ含ム)、第二条ニ掲グル事業若ハ施設、第三条ニ掲グル特殊施設又ハ第三条ノ二ニ掲グル物件ノ管理者又ハ所有者トシ関係アル場所ハ此等ノ者ノ管理又ハ所有スル土地及建物其ノ他ノ工作物トス
防空法第十一条第三項ノ証票ハ別記様式ニ依ル
第十六条ノ六第二項
防空法第十一条ニ規定スル行政官庁ノ職務ハ内務大臣、陸軍大臣、海軍大臣、商工大臣、逓信大臣、鉄道大臣、地方長官、鉱山監督局長、逓信局長又ハ鉄道局長之ヲ行フ
附 則
本令ハ昭和十六年法律第九十一号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
防空委員会令ハ之ヲ廃止ス
官庁防空令第五条中「第十条第三項」ヲ「第十条第二項」ニ改ム