企業許可令
法令番号: 勅令第千八十四號
公布年月日: 昭和16年12月11日
法令の形式: 勅令
朕企業許可令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十日
內閣總理大臣 東條英機
農林大臣兼拓務大臣 井野碩哉
厚生大臣 小泉親彥
遞信大臣 寺島健
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
鐵道大臣 八田嘉明
勅令第千八十四號
企業許可令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十六條ノ規定ニ基ク事業ニ屬スル設備ノ新設、擴張又ハ改良ノ制限及國家總動員法第十六條ノ三ノ規定ニ基ク事業ノ開始又ハ委託ニ關スル命令ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ハ國民經濟ノ總力發揮ニ資スル爲企業ノ整備統制ノ基礎ヲ確立スルコトヲ目的トス
第三條 閣令ヲ以テ指定スル事業(以下指定事業ト稱ス)ヲ開始セントスル者ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可又ハ重要產業團體令ニ依ル統制會ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ(以下指定統制會ト稱ス)ノ承認ヲ受クベシ
前項ノ許可又ハ承認ハ工場、事業場、店舖其ノ他ノ事業ヲ行フ場所(事業ヲ行フ場所一定セザル業態ノ事業ニ付テハ事業ヲ行フ區域ヲ含ム)每ニ之ヲ爲ス但シ主務大臣別段ノ定ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
行政官廳又ハ指定統制會必要アリト認ムルトキハ第一項ノ許可又ハ承認ニ條件ヲ附スルコトヲ得
第四條 指定事業ヲ行フ者其ノ事業ヲ他人ニ委託セントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可又ハ指定統制會ノ承認ヲ受クベシ
第五條 相續人ガ被相續人ノ行フ指定事業ヲ承繼シタルトキハ相續人ハ第三條ノ許可又ハ承認ヲ受ケタルモノト看做ス但シ主務大臣別段ノ定ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ場合ニ於テハ相續人ハ主務大臣ノ定ムル期間ヲ限リ第三條ノ規定ニ拘ラズ其ノ承繼シタル事業ヲ行フコトヲ得
前項ニ揭グル相續人前項ノ期間內ニ第三條ノ許可又ハ承認ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對スル處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
第一項ノ場合ニ於テハ相續人ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ行政官廳ニ報吿スベシ
第六條 指定事業ニ屬スル設備ニシテ主務大臣ノ指定スルモノノ新設、擴張又ハ改良ヲ爲サントスル者ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可又ハ指定統制會ノ承認ヲ受クベシ
第七條 指定事業ノ指定アリタル際現ニ其ノ事業ヲ行フ者又ハ其ノ相續人ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業ヲ行フ旨ヲ行政官廳ニ報吿スベシ
第八條 指定事業ヲ行フ者其ノ事業ノ全部若ハ一部ヲ廢止シタルトキ又ハ其ノ事業ヲ他人ニ委託シタル場合ニ於テ其ノ委託終了シタルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ行政官廳ニ報吿スベシ
第九條 本令ニ依リ許可又ハ承認ヲ要スベキ事項ニ付他ノ法令ニ依ル行政官廳ノ許可、認可其ノ他ノ處分アリタルトキハ本令ニ依ル許可又ハ承認アリタルモノト看做ス
前項ノ他ノ法令ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ指定事業ヲ行フ者ヨリ其ノ事業ニ關スル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ工場、事業場、店舖、倉庫、事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十一條 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トシ閣令トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ總督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ廳令トス
附 則
本令ハ昭和十六年十二月十三日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年十二月二十六日ヨリ之ヲ施行ス
朕企業許可令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十日
内閣総理大臣 東条英機
農林大臣兼拓務大臣 井野碩哉
厚生大臣 小泉親彦
逓信大臣 寺島健
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
鉄道大臣 八田嘉明
勅令第千八十四号
企業許可令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十六条ノ規定ニ基ク事業ニ属スル設備ノ新設、拡張又ハ改良ノ制限及国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ基ク事業ノ開始又ハ委託ニ関スル命令ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ハ国民経済ノ総力発揮ニ資スル為企業ノ整備統制ノ基礎ヲ確立スルコトヲ目的トス
第三条 閣令ヲ以テ指定スル事業(以下指定事業ト称ス)ヲ開始セントスル者ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ許可又ハ重要産業団体令ニ依ル統制会ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ(以下指定統制会ト称ス)ノ承認ヲ受クベシ
前項ノ許可又ハ承認ハ工場、事業場、店舗其ノ他ノ事業ヲ行フ場所(事業ヲ行フ場所一定セザル業態ノ事業ニ付テハ事業ヲ行フ区域ヲ含ム)毎ニ之ヲ為ス但シ主務大臣別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
行政官庁又ハ指定統制会必要アリト認ムルトキハ第一項ノ許可又ハ承認ニ条件ヲ附スルコトヲ得
第四条 指定事業ヲ行フ者其ノ事業ヲ他人ニ委託セントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ許可又ハ指定統制会ノ承認ヲ受クベシ
第五条 相続人ガ被相続人ノ行フ指定事業ヲ承継シタルトキハ相続人ハ第三条ノ許可又ハ承認ヲ受ケタルモノト看做ス但シ主務大臣別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ場合ニ於テハ相続人ハ主務大臣ノ定ムル期間ヲ限リ第三条ノ規定ニ拘ラズ其ノ承継シタル事業ヲ行フコトヲ得
前項ニ掲グル相続人前項ノ期間内ニ第三条ノ許可又ハ承認ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ対スル処分ノ日迄亦前項ニ同ジ
第一項ノ場合ニ於テハ相続人ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ行政官庁ニ報告スベシ
第六条 指定事業ニ属スル設備ニシテ主務大臣ノ指定スルモノノ新設、拡張又ハ改良ヲ為サントスル者ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ許可又ハ指定統制会ノ承認ヲ受クベシ
第七条 指定事業ノ指定アリタル際現ニ其ノ事業ヲ行フ者又ハ其ノ相続人ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業ヲ行フ旨ヲ行政官庁ニ報告スベシ
第八条 指定事業ヲ行フ者其ノ事業ノ全部若ハ一部ヲ廃止シタルトキ又ハ其ノ事業ヲ他人ニ委託シタル場合ニ於テ其ノ委託終了シタルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ行政官庁ニ報告スベシ
第九条 本令ニ依リ許可又ハ承認ヲ要スベキ事項ニ付他ノ法令ニ依ル行政官庁ノ許可、認可其ノ他ノ処分アリタルトキハ本令ニ依ル許可又ハ承認アリタルモノト看做ス
前項ノ他ノ法令ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ指定事業ヲ行フ者ヨリ其ノ事業ニ関スル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事業場、店舗、倉庫、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十一条 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トシ閣令トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ総督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ庁令トス
附 則
本令ハ昭和十六年十二月十三日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年十二月二十六日ヨリ之ヲ施行ス