国民優生法施行令
法令番号: 勅令第六百八十一號
公布年月日: 昭和16年6月7日
法令の形式: 勅令
朕國民優生法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年六月六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
厚生大臣 金光庸夫
勅令第六百八十一號
國民優生法施行令
第一條 國民優生法第二條ノ優生手術ハ生殖腺ヲ除去スルコトナクシテ精子ノ精管ヲ通過シ又ハ卵子ノ卵管ヲ通過スルコトヲ終身不能ナラシムルコトヲ目的トスル手術トシ其ノ術式ハ厚生大臣之ヲ定ム
第二條 中央優生審査會ハ厚生大臣、地方優生審査會ハ地方長官ノ監督ニ屬シ國民優生法ノ定ムル所ニ依リ其ノ權限ニ屬セシメタル事項ヲ調査審議ス
第三條 中央優生審査會ハ厚生省ニ之ヲ置ク
地方優生審査會ハ道府縣每ニ之ヲ置キ道府縣ノ名ヲ冠ス
第四條 中央優生審査會及地方優生審査會ハ會長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第五條 中央優生審査會ノ委員ハ二十人以內トシ地方優生審査會ノ委員ハ十人以內トス
特別ノ事項ヲ調査審議スル爲必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第六條 會長、委員及臨時委員ハ關係各廳高等官及學識經驗アル者ノ中ヨリ中央優生審査會ニ在リテハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ジ地方優生審査會ニ在リテハ厚生大臣之ヲ命ズ
第七條 會長ハ會務ヲ總理ス
會長事故アルトキハ中央優生審査會ニ在リテハ厚生大臣ノ指名スル委員、地方優生審査會ニ在リテハ地方長官ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第八條 中央優生審査會及地方優生審査會ニ幹事ヲ置ク
中央優生審査會ノ幹事ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ジ地方優生審査會ノ幹事ハ厚生大臣之ヲ命ズ
幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第九條 中央優生審査會及地方優生審査會ニ書記ヲ置ク
中央優生審査會ノ書記ハ厚生大臣、地方優生審査會ノ書記ハ地方長官之ヲ命ズ
書記ハ會長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第十條 中央優生審査會又ハ地方優生審査會ハ國民優生法第八條第二項又ハ第十條第二項ノ規定ニ依リ厚生大臣又ハ地方長官ヨリ其ノ意見ヲ徵セラレタルトキハ文書ヲ以テ答申スベシ
第十一條 優生手術ヲ受クルコトヲ得ル者國民優生法第十一條第二項ノ規定ニ依リ中央優生審査會又ハ地方優生審査會ニ出頭シタルトキハ之ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ旅費ヲ給スルコトヲ得
第十二條 國民優生法第八條ノ決定竝ニ同法第十條ノ却下、取消及決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲スベシ
第十三條 優生手術ニ關スル費用ハ國庫ノ負擔トス
厚生大臣優生手術ヲ行フベキモノト認ムル旨ノ決定ヲ爲シタル場合ニ於テハ厚生大臣、地方長官優生手術ヲ行フベキモノト認ムル旨ノ決定ヲ爲シタル場合ニ於テハ地方長官優生手術ヲ受クル者又ハ其ノ父母若ハ配偶者ニシテ其ノ申請ヲ爲スコトヲ得ルモノ若ハ其ノ申請ニ付同意ヲ得ルコトヲ要ストセラレタルモノガ優生手術ニ關スル費用ノ全部又ハ一部ヲ負擔スル資力ヲ有スト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ者ヲシテ其ノ費用ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得但シ國民優生法第六條ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條 前條ノ優生手術ニ關スル費用ハ左ノ各號ニ揭グル費用トス
一 優生手術ヲ受クル者ノ旅費及附添人ヲ必要トスル場合ハ其ノ附添人ノ旅費
二 生殖能力有無ノ檢査ニ要スル費用
三 手術費
四 入院料
前項ノ費用ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年七月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第十三條第二項但書ノ規定ハ國民優生法第六條施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕国民優生法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年六月六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
厚生大臣 金光庸夫
勅令第六百八十一号
国民優生法施行令
第一条 国民優生法第二条ノ優生手術ハ生殖腺ヲ除去スルコトナクシテ精子ノ精管ヲ通過シ又ハ卵子ノ卵管ヲ通過スルコトヲ終身不能ナラシムルコトヲ目的トスル手術トシ其ノ術式ハ厚生大臣之ヲ定ム
第二条 中央優生審査会ハ厚生大臣、地方優生審査会ハ地方長官ノ監督ニ属シ国民優生法ノ定ムル所ニ依リ其ノ権限ニ属セシメタル事項ヲ調査審議ス
第三条 中央優生審査会ハ厚生省ニ之ヲ置ク
地方優生審査会ハ道府県毎ニ之ヲ置キ道府県ノ名ヲ冠ス
第四条 中央優生審査会及地方優生審査会ハ会長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第五条 中央優生審査会ノ委員ハ二十人以内トシ地方優生審査会ノ委員ハ十人以内トス
特別ノ事項ヲ調査審議スル為必要アルトキハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
第六条 会長、委員及臨時委員ハ関係各庁高等官及学識経験アル者ノ中ヨリ中央優生審査会ニ在リテハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ジ地方優生審査会ニ在リテハ厚生大臣之ヲ命ズ
第七条 会長ハ会務ヲ総理ス
会長事故アルトキハ中央優生審査会ニ在リテハ厚生大臣ノ指名スル委員、地方優生審査会ニ在リテハ地方長官ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第八条 中央優生審査会及地方優生審査会ニ幹事ヲ置ク
中央優生審査会ノ幹事ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ジ地方優生審査会ノ幹事ハ厚生大臣之ヲ命ズ
幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第九条 中央優生審査会及地方優生審査会ニ書記ヲ置ク
中央優生審査会ノ書記ハ厚生大臣、地方優生審査会ノ書記ハ地方長官之ヲ命ズ
書記ハ会長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第十条 中央優生審査会又ハ地方優生審査会ハ国民優生法第八条第二項又ハ第十条第二項ノ規定ニ依リ厚生大臣又ハ地方長官ヨリ其ノ意見ヲ徴セラレタルトキハ文書ヲ以テ答申スベシ
第十一条 優生手術ヲ受クルコトヲ得ル者国民優生法第十一条第二項ノ規定ニ依リ中央優生審査会又ハ地方優生審査会ニ出頭シタルトキハ之ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ旅費ヲ給スルコトヲ得
第十二条 国民優生法第八条ノ決定並ニ同法第十条ノ却下、取消及決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為スベシ
第十三条 優生手術ニ関スル費用ハ国庫ノ負担トス
厚生大臣優生手術ヲ行フベキモノト認ムル旨ノ決定ヲ為シタル場合ニ於テハ厚生大臣、地方長官優生手術ヲ行フベキモノト認ムル旨ノ決定ヲ為シタル場合ニ於テハ地方長官優生手術ヲ受クル者又ハ其ノ父母若ハ配偶者ニシテ其ノ申請ヲ為スコトヲ得ルモノ若ハ其ノ申請ニ付同意ヲ得ルコトヲ要ストセラレタルモノガ優生手術ニ関スル費用ノ全部又ハ一部ヲ負担スル資力ヲ有スト認ムルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ者ヲシテ其ノ費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得但シ国民優生法第六条ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十四条 前条ノ優生手術ニ関スル費用ハ左ノ各号ニ掲グル費用トス
一 優生手術ヲ受クル者ノ旅費及附添人ヲ必要トスル場合ハ其ノ附添人ノ旅費
二 生殖能力有無ノ検査ニ要スル費用
三 手術費
四 入院料
前項ノ費用ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年七月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第十三条第二項但書ノ規定ハ国民優生法第六条施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス