青少年雇入制限令
法令番号: 勅令第三十六號
公布年月日: 昭和15年2月1日
法令の形式: 勅令
朕靑少年雇入制限令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年一月三十一日
內閣總理大臣 米內光政
拓務大臣 小磯國昭
厚生大臣 吉田茂
勅令第三十六號
靑少年雇入制限令
第一條 靑少年ノ國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第六條ノ規定ニ基ク雇入制限ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ靑少年ト稱スルハ年齡十二年以上三十年未滿ノ男子又ハ年齡十二年以上二十年未滿ノ女子ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當セザルモノヲ謂フ
一 大學、大學豫科、高等師範學校、高等學校高等科、專門學校、實業專門學校、師範學校又ハ厚生大臣ノ指定スル學校(養成所ヲ含ム)ヲ卒業又ハ修了シタル者
二 學校卒業者使用制限令第一條ノ卒業者ニシテ前號ニ該當セザルモノ
三 厚生大臣ノ指定スル檢定若ハ試驗ニ合格シタル者又ハ厚生大臣ノ指定スル免許ヲ受ケタル者
四 其ノ他厚生大臣ノ指定スル者
第三條 男子タル靑少年(以下男子靑少年ト稱ス)ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ヲ除クノ外之ヲ雇入ルルコトヲ得ズ
一 男子靑少年ノ雇傭員數ガ命令ヲ以テ定ムル員數ニ滿タザル場合ニ於テ其ノ員數ニ滿ツル迄之ヲ雇入ルル場合
二 厚生大臣ノ指定スル事業ヲ營ム者其ノ事業ニ使用スベキ男子靑少年ノ雇入ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ認可ヲ受ケタル場合
三 男子靑少年ヲ雇傭シ得ベキ總員數ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所長ノ認可ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ員數ニ滿ツル迄之ヲ雇入ルル場合
四 入營(應召ノ場合ヲ含ム以下同ジ)ヲ命ゼラレタル靑少年ヲ解雇シタル場合又ハ雇傭スル靑少年ノ入營中雇傭期間ノ滿了シタル場合ニ於テ其ノ靑少年ガ退營(入營ノ際行フ身體檢査ノ結果歸鄕ヲ命ゼラレタル場合ヲ含ム)シタル日ヨリ三月以內ニ再ビ之ヲ雇入ルル場合
五 其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合
第四條 女子タル靑少年(以下女子靑少年ト稱ス)ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ヲ除クノ外厚生大臣ノ指定スル業務(以下指定業務ト稱ス)ニ使用スル爲之ヲ雇入ルルコトヲ得ズ
一 指定業務ニ使用スル女子靑少年ノ雇傭員數ガ命令ヲ以テ定ムル員數ニ滿タザル場合ニ於テ其ノ員數ニ滿ツル迄之ヲ雇入ルル場合
二 指定業務ニ使用スル女子靑少年ヲ雇傭シ得ベキ總員數ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所長ノ認可ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ員數ニ滿ツル迄之ヲ雇入ルル場合
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合
第五條 地方長官第三條第二號ノ認可ノ申請ニ付不正又ハ虛僞ノ事實アリト認ムルトキハ認可ヲ取消スコトヲ得
職業紹介所長第三條第三號又ハ前條第二號ノ認可ノ申請ニ付不正又ハ虛僞ノ事實アリト認ムルトキハ認可シタル員數ヲ減少シ又ハ認可ヲ取消スコトヲ得
第六條 厚生大臣又ハ地方長官ハ靑少年ノ雇入ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第七條 厚生大臣、地方長官又ハ職業紹介所長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ靑少年ノ雇入ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基ク報吿ヲ徵スルコトヲ得
第八條 地方長官又ハ職業紹介所長必要ト認ムルトキハ靑少年ノ雇入ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ當該官吏ヲシテ靑少年ヲ雇入レタル者又ハ雇入レントスル者ノ工場、事業場、事務所、店舖其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第九條 年齡十二年未滿ノ者ヲ雇入レ引續キ其ノ者ヲ雇傭スル場合ニ於テハ本令ノ適用ニ付テハ其ノ者ガ年齡十二年ニ達スル時ニ於テ新ニ雇入ルルモノト看做ス但シ此ノ場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ新ナル雇入ニ關シ本令又ハ本令ニ基キテ發スル命令ニ依ル認可ノ申請アリタルトキハ其ノ申請ニ對スル認可又ハ不認可ノ處分アル時ニ新ニ雇入ルルモノト看做ス
第十條 本令ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業(命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ニ使用スル爲又ハ船員トシテ使用スル爲靑少年ヲ雇入ルル場合ニハ之ヲ適用セズ
一 土地ノ耕作若ハ開墾又ハ植物ノ栽植、栽培、採取若ハ伐採ノ事業其ノ他ノ農業又ハ林業
二 動物ノ飼育又ハ水產動植物ノ採捕若ハ養殖ノ事業其ノ他ノ畜產業、養蠶業又ハ水產業
第十一條 本令ハ國、道府縣竝ニ市町村及之ニ準ズベキモノ其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノノ靑少年ノ雇入ニハ之ヲ適用セズ
第十二條 本令ハ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ於ケル女子靑少年ノ雇入ニハ之ヲ適用セズ
第十三條 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ職業紹介所長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹、郡守又ハ島司、臺灣ニ在リテハ市尹又ハ郡守(澎湖廳ニ在リテハ廳長)、樺太ニ在リテハ樺太廳支廳長、南洋群島ニ在リテハ南洋廳支廳長トシ道府縣トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州又ハ廳、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス
附 則
本令ハ昭和十五年三月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ第三條第二號ノ事業ヲ營ム者ハ本令施行後六十日間ヲ限リ同條同號ノ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第九條ノ規定ハ本令施行前年齡十二年未滿ノ者ヲ雇入レ引續キ其ノ者ヲ雇傭スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
朕青少年雇入制限令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年一月三十一日
内閣総理大臣 米内光政
拓務大臣 小磯国昭
厚生大臣 吉田茂
勅令第三十六号
青少年雇入制限令
第一条 青少年ノ国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第六条ノ規定ニ基ク雇入制限ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ於テ青少年ト称スルハ年齢十二年以上三十年未満ノ男子又ハ年齢十二年以上二十年未満ノ女子ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当セザルモノヲ謂フ
一 大学、大学予科、高等師範学校、高等学校高等科、専門学校、実業専門学校、師範学校又ハ厚生大臣ノ指定スル学校(養成所ヲ含ム)ヲ卒業又ハ修了シタル者
二 学校卒業者使用制限令第一条ノ卒業者ニシテ前号ニ該当セザルモノ
三 厚生大臣ノ指定スル検定若ハ試験ニ合格シタル者又ハ厚生大臣ノ指定スル免許ヲ受ケタル者
四 其ノ他厚生大臣ノ指定スル者
第三条 男子タル青少年(以下男子青少年ト称ス)ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除クノ外之ヲ雇入ルルコトヲ得ズ
一 男子青少年ノ雇傭員数ガ命令ヲ以テ定ムル員数ニ満タザル場合ニ於テ其ノ員数ニ満ツル迄之ヲ雇入ルル場合
二 厚生大臣ノ指定スル事業ヲ営ム者其ノ事業ニ使用スベキ男子青少年ノ雇入ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ認可ヲ受ケタル場合
三 男子青少年ヲ雇傭シ得ベキ総員数ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所長ノ認可ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ員数ニ満ツル迄之ヲ雇入ルル場合
四 入営(応召ノ場合ヲ含ム以下同ジ)ヲ命ゼラレタル青少年ヲ解雇シタル場合又ハ雇傭スル青少年ノ入営中雇傭期間ノ満了シタル場合ニ於テ其ノ青少年ガ退営(入営ノ際行フ身体検査ノ結果帰郷ヲ命ゼラレタル場合ヲ含ム)シタル日ヨリ三月以内ニ再ビ之ヲ雇入ルル場合
五 其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合
第四条 女子タル青少年(以下女子青少年ト称ス)ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除クノ外厚生大臣ノ指定スル業務(以下指定業務ト称ス)ニ使用スル為之ヲ雇入ルルコトヲ得ズ
一 指定業務ニ使用スル女子青少年ノ雇傭員数ガ命令ヲ以テ定ムル員数ニ満タザル場合ニ於テ其ノ員数ニ満ツル迄之ヲ雇入ルル場合
二 指定業務ニ使用スル女子青少年ヲ雇傭シ得ベキ総員数ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所長ノ認可ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ員数ニ満ツル迄之ヲ雇入ルル場合
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合
第五条 地方長官第三条第二号ノ認可ノ申請ニ付不正又ハ虚偽ノ事実アリト認ムルトキハ認可ヲ取消スコトヲ得
職業紹介所長第三条第三号又ハ前条第二号ノ認可ノ申請ニ付不正又ハ虚偽ノ事実アリト認ムルトキハ認可シタル員数ヲ減少シ又ハ認可ヲ取消スコトヲ得
第六条 厚生大臣又ハ地方長官ハ青少年ノ雇入ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第七条 厚生大臣、地方長官又ハ職業紹介所長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ青少年ノ雇入ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基ク報告ヲ徴スルコトヲ得
第八条 地方長官又ハ職業紹介所長必要ト認ムルトキハ青少年ノ雇入ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ当該官吏ヲシテ青少年ヲ雇入レタル者又ハ雇入レントスル者ノ工場、事業場、事務所、店舗其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況又ハ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第九条 年齢十二年未満ノ者ヲ雇入レ引続キ其ノ者ヲ雇傭スル場合ニ於テハ本令ノ適用ニ付テハ其ノ者ガ年齢十二年ニ達スル時ニ於テ新ニ雇入ルルモノト看做ス但シ此ノ場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ新ナル雇入ニ関シ本令又ハ本令ニ基キテ発スル命令ニ依ル認可ノ申請アリタルトキハ其ノ申請ニ対スル認可又ハ不認可ノ処分アル時ニ新ニ雇入ルルモノト看做ス
第十条 本令ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業(命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ニ使用スル為又ハ船員トシテ使用スル為青少年ヲ雇入ルル場合ニハ之ヲ適用セズ
一 土地ノ耕作若ハ開墾又ハ植物ノ栽植、栽培、採取若ハ伐採ノ事業其ノ他ノ農業又ハ林業
二 動物ノ飼育又ハ水産動植物ノ採捕若ハ養殖ノ事業其ノ他ノ畜産業、養蚕業又ハ水産業
第十一条 本令ハ国、道府県並ニ市町村及之ニ準ズベキモノ其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノノ青少年ノ雇入ニハ之ヲ適用セズ
第十二条 本令ハ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ於ケル女子青少年ノ雇入ニハ之ヲ適用セズ
第十三条 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ職業紹介所長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹、郡守又ハ島司、台湾ニ在リテハ市尹又ハ郡守(澎湖庁ニ在リテハ庁長)、樺太ニ在リテハ樺太庁支庁長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁支庁長トシ道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス
附 則
本令ハ昭和十五年三月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ第三条第二号ノ事業ヲ営ム者ハ本令施行後六十日間ヲ限リ同条同号ノ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第九条ノ規定ハ本令施行前年齢十二年未満ノ者ヲ雇入レ引続キ其ノ者ヲ雇傭スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ