第一條 日本肥料株式會社ハ肥料ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
第二條 日本肥料株式會社ノ資本ハ五千萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三條 日本肥料株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
勅令ノ定ムル法人ニシテ特ニ政府ノ許可ヲ受ケタルモノハ前項ノ規定ニ拘ラズ日本肥料株式會社ノ株主ト爲ルコトヲ得
第四條 政府ハ二千五百萬圓ヲ限リ日本肥料株式會社ニ出資スベシ
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ得
第五條 日本肥料株式會社ニ非ザルモノハ日本肥料株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第六條 日本肥料株式會社ニ役員トシテ理事長副理事長各一人、理事五人以上及監事三人以上ヲ置ク
副理事長ハ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代埋シ理事長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本肥料株式會社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
第七條 理事長及副理事長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ選擧シタル候補者中ヨリ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
肥料業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本肥料株式會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八條 理事長、副理事長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 日本肥料株式會社ハ左ノ事業ヲ營ムモノトス
三 肥料ノ製造、肥料製造事業ニ對スル投資其ノ他肥料ノ供給確保上必要ナル事業
四 其ノ他肥料ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業
前項ノ肥料ハ硫酸アンモニア、石灰窒素、過燐酸石灰、カリ塩及命令ヲ以テ定ムル其ノ他ノ肥料トス
第一項第三號又ハ第四號ニ揭グル事業ヲ營マントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十條 日本肥料株式會社ハ前條ノ肥料以外ノ肥料ノ配給統制事業ヲ行フ株式會社ニ對シ政府ノ認可ヲ受ケ投資スルコトヲ得
第十一條 政府第九條ノ肥料ノ供給確保上必要アリト認ムルトキハ日本肥料株式會社ニ對シ肥料ノ製造業者ト協議ノ上其ノ製造工場ノ經營ノ管理ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十二條 日本肥料株式會社ハ拂込ミタル株金額ノ五倍ヲ限リ肥料債券ヲ發行スルコトヲ得
肥料債券ヲ發行スル場合ニ於テハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第十三條 肥料債券ヲ發行セントスル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十四條 政府ハ肥料債券ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ得
第十五條 肥料債券ハ無記名式トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ因リ記名式ト爲スコトヲ得
第十六條 肥料債券ノ所有者ハ日本肥料株式會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
第十七條 日本肥料株式會社ハ每營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立ツベシ
第十八條 日本肥料株式會社ハ拂込ミタル株金額ニ對シ勅令ヲ以テ定ムル割合ヲ超エテ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ得ズ
第十九條 日本肥料株式會社ハ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
日本肥料株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ總株式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ一ト三トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第二十一條 日本肥料株式會社借入金ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第二十二條 日本肥料株式會社ノ定款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十三條 日本肥料株式會社ハ每營業年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十四條 日本肥料株式會社ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外政府ノ認可ヲ受ケタル價格ニ依ルニ非ザレバ第九條ノ肥料ノ買入、販賣、輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十五條 政府必要アリト認ムルトキハ日本肥料株式會社ニ對シ第九條ノ肥料ノ配給統制上又ハ供給確保上必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
政府ハ日本肥料株式會社ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 政府ハ日本肥料株式會社監理官ヲ置キ日本肥料株式會社ノ業務ヲ監視セシム
日本肥料株式會社監理官ハ何時ニテモ日本肥料株式會社ノ帳簿書類、金庫其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本肥料株式會社監理官必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本肥料株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本肥料株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第二十七條 政府日本肥料株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十八條 重要肥料業統制法第十條第一項ノ規定ハ日本肥料株式會社ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十九條 日本肥料株式會社ハ第九條ノ肥料ノ價格ノ調整ヲ圖ル爲命令ノ定ムル所ニ依リ價格平衡資金ヲ設定スベシ
前項ノ規定ニ依リ價格平衡資金ニ繰入レタル金額ハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第三十條 第九條ノ肥料ニシテ主務大臣ノ指定スルモノノ製造業者及其ノ肥料ノ取扱ヲ爲ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ取扱ニ係ル肥料ヲ日本肥料株式會社ニ賣渡スベシ
前項ノ肥料ノ取扱ヲ爲ス者ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
政府ハ第一項ニ揭グル者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 第二十五條第一項ノ規定ニ依ル命令又ハ第二十四條若ハ前條第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 第三十條第三項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十條第三項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者亦前項ニ同ジ
第三十三條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第三十一條又ハ前條第一項ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十四條 第三十一條及第三十二條第一項ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十五條 日本肥料株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ理事長又ハ理事長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副理事長ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副理事長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副理事長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第九條第一項ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ營ミタルトキ
三 第十二條第一項ノ規定ニ違反シ肥料債券ヲ發行シタルトキ
四 第二十五條第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
日本肥料株式會社ノ理事長、副理事長又ハ理事第八條ノ規定ニ違反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十六條 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス