第四十七條 被保險者ガ其ノ疾病又ハ負傷ニ關シ療養ヲ受ケタルトキハ療養費ヲ支給ス
前項ノ療養費ヲ支給スベキ療養ノ範圍竝ニ療養費ノ額及支給方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
保險者ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險者ノ疾病又ハ負傷ニ關シ療養費ノ支給ニ代ヘテ療養ノ給付ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ者ヨリ費用ノ一部ヲ徵收スルコトヲ得
第四十八條 療養費ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シ其ノ療養ヲ始メタル日ヨリ起算シ六月ヲ經過シタル後ノ療養ニ付テハ之ヲ支給セズ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ超エ尙六月以內ノ療養ニ付繼續シテ療養費ヲ支給スルコトヲ得但シ其ノ療養ヲ始メタル日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保險者タリシ者ニ限ル
第四十九條 被保險者ガ療養ノ爲引續キ勞務ニ服スルコト能ハザルトキハ勞務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日ヨリ起算シ三月ヲ經過シタル日ヨリ其ノ後ニ於ケル勞務ニ服スルコト能ハザル期間傷病手當金トシテ一日ニ付報酬日額ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヲ支給ス但シ日給ヲ受クル被保險者ニ付テハ勞務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日ヨリ起算シ十日ヲ經過シタル日ヨリ之ヲ支給ス
前項ノ傷病手當金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ減額スルコトヲ得
保險者ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病手當金ノ支給ノ待期ヲ短縮シ又ハ廢スルコトヲ得
第五十條 傷病手當金ノ支給期間ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シテハ三月ヲ以テ限度トス但シ日給ヲ受クル被保險者ニ付テハ六月ヲ以テ限度トス
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザルトキト雖モ療養費ノ支給ヲ爲シ得ル期間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支給セズ
第五十一條 被保險者ガ死亡シタルトキハ被保險者ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニシテ埋葬ヲ行フモノニ對シ埋葬料トシテ報酬月額ノ一月分ニ相當スル金額ヲ支給ス但シ其ノ金額ガ三十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ三十圓トス
被保險者ガ死亡シタル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クベキ者ナキトキハ埋葬ヲ行ヒタル者ニ對シ前項ノ金額ノ範圍內ニ於テ其ノ埋葬ニ要シタル費用ニ相當スル金額ヲ支給ス
第五十二條 被保險者ガ分娩シタルトキハ分娩費トシテ二十圓ヲ、出產手當金トシテ分娩ノ前後勅令ヲ以テ定ムル期間一日ニ付報酬日額ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヲ支給ス
第五十三條 保險者ハ被保險者ヲ產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲スコトヲ得
產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲シタル被保險者ニ對シテ支給スベキ分娩費及出產手當金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ減額スルコトヲ得
第五十四條 分娩ニ關スル保險給付ニ付テハ勅令ヲ以テ分娩前一定ノ期間被保險者タリシ者ニ非ザレバ之ヲ爲サザルコトヲ定ムルコトヲ得
第五十五條 出產手當金ノ支給ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ期間傷病手當金ハ之ヲ支給セズ
第五十六條 被保險者ノ資格ヲ喪失シタル際疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ保險給付ヲ受クル被保險者ハ被保險者トシテ保險給付ヲ受クルコトヲ得ベカリシ期間繼續シテ同一保險者ヨリ其ノ給付ヲ受クルコトヲ得但シ被保險者ノ資格喪失ノ日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保險者タリシ場合ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ザルモノト爲スコトヲ得
第五十七條 前條ノ規定ニ依リ保險給付ヲ受クル者ガ死亡シタルトキ、前條ノ規定ニ依リ保險給付ヲ受ケタル者ガ其ノ給付ヲ受ケザルニ至リタル日後三月以內ニ死亡シタルトキ又ハ其ノ他ノ被保險者タリシ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル日後三月以內ニ死亡シタルトキハ被保險者タリシ者ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニシテ埋葬ヲ行フモノハ最後ノ保險者ヨリ埋葬料ノ支給ヲ受クルコトヲ得
第五十一條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クル者ナキ場合及前項ノ埋葬料ノ金額ニ之ヲ準用ス
第五十八條 被保險者タリシ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル日後勅令ヲ以テ定ムル期間內ニ分娩シタルトキハ分娩ニ關シ被保險者トシテ受クルコトヲ得ベカリシ保險給付ヲ最後ノ保險者ヨリ受クルコトヲ得
第五十九條 前三條ノ規定ニ拘ラズ被保險者タリシ者ガ健康保險又ハ船員保險ノ被保險者ト爲リタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サズ
第六十條 保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本章ニ規定スル保險給付ニ併セテ其ノ他ノ保險給付ヲ爲スコトヲ得
第六十一條 疾病ニ罹リ、負傷シ又ハ分娩シタル場合ニ於テ繼續シテ報酬ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ベキ者ニ對シテハ之ヲ受クルコトヲ得ベキ期間勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病手當金又ハ出產手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セズ
第六十二條 前條ニ揭グル者ガ其ノ受クルコトヲ得ベカリシ報酬ノ全部又ハ一部ヲ受クルコト能ハザリシトキハ保險者ハ之ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病手當金又ハ出產手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給ス
前項ノ規定ニ依リ保險者ノ支給シタル金額ハ事業主ヨリ之ヲ徵收ス
第六十三條 被保險者又ハ被保險者タリシ者ガ自己ノ故意ノ犯罪行爲ニ因リ又ハ故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ保險給付ヲ爲サズ
第六十四條 被保險者ガ鬪爭、泥醉若ハ著シキ不行跡ニ因リ又ハ故意ニ危害豫防ニ關スル業務上ノ監督者ノ指揮ニ從ハザルニ因リ事故ヲ生ゼシメタルトキハ傷病手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第六十五條 被保險者又ハ被保險者タリシ者ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ其ノ期間ニ係ル保險給付ハ之ヲ爲サズ
三 矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ入院セシメラレタルトキ
四 監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又ハ留置セラレタルトキ
他ノ法令ニ依リ國又ハ公共團體ノ負擔ニ於テ診療所ニ收容セラレタル者ニ對シテハ療養費ヲ支給セズ
第四十九條第二項及第五十三條第二項ノ規定ハ前項ニ揭グル者ニ之ヲ準用ス
保險者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ガ第一項各號ノ一ニ該當スル場合ト雖モ第一條第二項ノ保險給付ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第六十六條 保險者ハ正當ノ理由ナクシテ療養ニ關スル指揮ニ從ハザル者ニ對シ之ニ支給スベキ傷病手當金ノ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第六十七條 保險者ハ詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ依リ保險給付ヲ受ケ又ハ受ケントシタル者ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ期間ヲ定メ保險給付ノ全部又ハ一部ヲ爲サザルコトヲ得
第六十八條 保險者ハ必要アリト認ムルトキハ保險給付ヲ受クル者ノ診斷ヲ行フコトヲ得
保險者ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ診斷ヲ受ケザル者ニ對シ保險給付ノ全部又ハ一部ヲ爲サザルコトヲ得
第六十九條 保險者ハ事故ガ第三者ノ行爲ニ因リテ生ジタル場合ニ於テ保險給付ヲ爲シタルトキハ其ノ給付ノ價額ノ限度ニ於テ被保險者又ハ被保險者タリシ者ガ第三者ニ對シテ有スル損害賠償請求ノ權利ヲ取得ス
第七十條 保險者ハ被保險者ノ健康ヲ保持增進スル爲左ノ施設ヲ爲スコトヲ得
第七十一條 保險者ハ事業ニ支障ナキ場合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシテ保險者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
保險者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第七十二條 第六十三條、第六十五條第一項及第二項、第六十八條竝ニ第六十九條ノ規定ハ世帶員ニ之ヲ準用ス
第五十六條ノ規定ハ第一條第二項ノ保險給付ニ之ヲ準用ス