(郵便年金法中改正法律)
法令番号: 法律第四十七號
公布年月日: 昭和14年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル郵便年金法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 廣瀨久忠
法律第四十七號
郵便年金法中左ノ通改正ス
第二條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ年金契約ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ年金支拂ノ事由發生ノ日ヨリ一定ノ期間內ニ年金受取人死亡スルモ仍其ノ殘存期間年金受取人ノ遺族ニ繼續シテ年金ヲ支拂フヘキコトヲ約スルコトヲ得
第六條 年金受取人又ハ第二條第二項ノ規定ニ依リ繼續シテ年金ノ支拂ヲ受クヘキ者(以下單ニ年金繼續受取人ト稱ス)カ第三者ナルトキハ其ノ第三者ハ當然年金契約ノ利益ヲ享受ス
第七條 年金ヲ受取ルヘキ權利ハ之ヲ讓渡スコトヲ得ス
第八條 年金ヲ受取ルヘキ權利ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス但シ年額二百五十圓ヲ超ユル金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第九條 年金契約者ハ第三者ヲシテ年金契約者トシテノ權利義務ヲ承繼セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ年金契約者カ年金受取人ニ非サルトキハ年金受取人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ承繼ハ政府ニ通知スルニ非サレハ之ヲ以テ政府ニ對抗スルコトヲ得ス
第十條 年金契約者ハ年金支拂ノ事由發生スル迄ハ年金契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得但シ年金契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ解除ハ將來ニ向テノミ其ノ效力ヲ生ス
第十一條 年金契約者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ年金契約ノ變更ヲ請求スルコトヲ得
第十二條 年金契約者掛金ヲ拂込マスシテ命令ノ定ムル猶豫期間ヲ經過シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ年金契約ヲ旣ニ拂込ミタル掛金ニ依ル掛金拂濟年金契約ニ變更スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ掛金拂濟年金契約ニ變更セラレサル年金契約ハ解除セラレタルモノト看做ス
第十條第二項ノ規定ハ前項ノ解除ニ之ヲ準用ス
第十三條 隨時ニ掛金ノ拂込ヲ爲スヘキ年金契約ニ於テ年金支拂ノ事由發生スル迄ニ年金契約者ノ拂込ミタル掛金ニ依ル年金ノ額カ命令ノ定ムル額ニ達セサルトキハ其ノ年金契約ハ解除セラレタルモノト看做ス
第十條第二項ノ規定ハ前項ノ解除ニ之ヲ準用ス
第十四條 年金受取人ノ死亡又ハ年金契約ノ解除若ハ變更ノ場合ニ於テハ年金契約者又ハ年金契約申込ノ際年金契約者ノ指定シタル第三者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ拂込掛金ニ基キ算定シタル返還金(以下單ニ返還金ト稱ス)ノ支拂ヲ請求スルコトヲ得
年金契約者カ年金受取人以外ノ第三者ヲ返還金受取人ニ指定スルニハ年金受取人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第十五條 年金受取人以外ノ者ヲ以テ返還金受取人ト爲シタルトキハ年金契約者ハ返還金支拂ノ事由發生スル迄ハ年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト爲スコトヲ得
年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト爲シタルトキハ年金契約者ハ之ヲ變更スルコトヲ得ス
第一項ノ返還金受取人ノ變更ハ政府ニ通知スルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第十六條 年金受取人以外ノ第三者タル返還金受取人カ返還金支拂ノ事由發生前ニ死亡シタルトキハ年金受取人ヲ以テ返還金受取人トス
第十七條 年金受取人カ戰爭又ハ戰爭ニ準スヘキ事變ニ際シ戰鬪又ハ戰鬪ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍疾病ノ爲勅令ノ定ムル期間內ニ死亡シタルトキハ第十四條ノ規定ニ依リ返還金ノ支拂ヲ爲スト否トニ拘ラス政府ハ年金受取人ノ遺族ニ勅令ノ定ムル特別返還金ヲ支拂フ
前項ノ戰爭ニ準スヘキ事變、戰鬪ニ準スヘキ公務竝ニ遺族ノ範圍及順位ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 第六條ノ規定ハ第十四條ノ返還金受取人及前條ノ特別返還金受取人ニ、第七條ノ規定ハ返還金又ハ特別返還金ヲ受取ルヘキ權利ニ之ヲ準用ス
第十九條 第十四條ノ規定ニ依リ返還金ノ支拂ヲ請求スルコトヲ得ル年金契約及第二條第二項ノ年金契約ニ於テハ年金契約者、年金受取人又ハ年金繼續受取人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ金額ノ範圍內ニ於テ貸付ヲ請求スルコトヲ得
一 第二條第二項ノ年金契約以外ノ年金契約ニ在リテハ第十四條ノ規定ニ依ル返還金額
二 第二條第二項ノ年金契約ニシテ年金支拂ノ事由發生前ノモノニ在リテハ第十四條ノ規定ニ依ル返還金額
三 第二條第二項ノ年金契約ニシテ年金支拂ノ事由發生後ノモノニ在リテハ第二條第二項ノ一定ノ期間ノ內未タ經過セサル部分ニ對シ支拂ハルヘキ年金ノ總額
前項ノ貸付ヲ受ケタル者貸付金ノ辨濟ヲ爲サスシテ命令ノ定ムル期間ヲ經過シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ貸付金ノ辨濟ニ代ヘ年金及返還金ノ減額ヲ爲スコトヲ得
第二十條ヲ第二十五條トシ以下第二十二條迄順次五條宛繰下グ
第二十條 年金契約ノ全部又ハ一部カ無效ナル場合ニ於テ年金契約者カ善意ニシテ且重大ナル過失ナキトキハ年金契約者ハ拂込掛金ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
第二十一條 年金又ハ返還金ヲ支拂フヘキ場合ニ於テ其ノ年金契約又ハ之ニ基キテ爲シタル貸付ニ付政府カ辨濟ヲ受クヘキ金額アルトキハ支拂金額ヨリ之ヲ控除ス
第二十二條 當該官署カ年金、返還金、特別返還金又ハ年金契約者ニ返還スヘキ掛金ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ支拂ヒタルトキハ其ノ支拂ハ之ヲ有效トス
第二十三條 年金、返還金及特別返還金支拂ノ義務竝ニ掛金返還ノ義務ハ二年、掛金拂込ノ義務ハ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第二十四條 年金契約者、年金受取人、年金繼續受取人、返還金受取人又ハ特別返還金受取人カ郵便年金ニ關スル事項ニ付政府ニ對シテ民事訴訟ヲ提起スルニハ簡易生命保險審査會ノ審査ヲ經ルコトヲ要ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
特別返還金ニ關スル規定ハ年金受取人ガ昭和十二年七月七日以後ニ死亡シタル場合ニ之ヲ適用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル郵便年金法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 広瀬久忠
法律第四十七号
郵便年金法中左ノ通改正ス
第二条第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ年金契約ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ年金支払ノ事由発生ノ日ヨリ一定ノ期間内ニ年金受取人死亡スルモ仍其ノ残存期間年金受取人ノ遺族ニ継続シテ年金ヲ支払フヘキコトヲ約スルコトヲ得
第六条 年金受取人又ハ第二条第二項ノ規定ニ依リ継続シテ年金ノ支払ヲ受クヘキ者(以下単ニ年金継続受取人ト称ス)カ第三者ナルトキハ其ノ第三者ハ当然年金契約ノ利益ヲ享受ス
第七条 年金ヲ受取ルヘキ権利ハ之ヲ譲渡スコトヲ得ス
第八条 年金ヲ受取ルヘキ権利ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス但シ年額二百五十円ヲ超ユル金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第九条 年金契約者ハ第三者ヲシテ年金契約者トシテノ権利義務ヲ承継セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ年金契約者カ年金受取人ニ非サルトキハ年金受取人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ承継ハ政府ニ通知スルニ非サレハ之ヲ以テ政府ニ対抗スルコトヲ得ス
第十条 年金契約者ハ年金支払ノ事由発生スル迄ハ年金契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但シ年金契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ解除ハ将来ニ向テノミ其ノ効力ヲ生ス
第十一条 年金契約者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ年金契約ノ変更ヲ請求スルコトヲ得
第十二条 年金契約者掛金ヲ払込マスシテ命令ノ定ムル猶予期間ヲ経過シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ年金契約ヲ既ニ払込ミタル掛金ニ依ル掛金払済年金契約ニ変更スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ掛金払済年金契約ニ変更セラレサル年金契約ハ解除セラレタルモノト看做ス
第十条第二項ノ規定ハ前項ノ解除ニ之ヲ準用ス
第十三条 随時ニ掛金ノ払込ヲ為スヘキ年金契約ニ於テ年金支払ノ事由発生スル迄ニ年金契約者ノ払込ミタル掛金ニ依ル年金ノ額カ命令ノ定ムル額ニ達セサルトキハ其ノ年金契約ハ解除セラレタルモノト看做ス
第十条第二項ノ規定ハ前項ノ解除ニ之ヲ準用ス
第十四条 年金受取人ノ死亡又ハ年金契約ノ解除若ハ変更ノ場合ニ於テハ年金契約者又ハ年金契約申込ノ際年金契約者ノ指定シタル第三者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ払込掛金ニ基キ算定シタル返還金(以下単ニ返還金ト称ス)ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
年金契約者カ年金受取人以外ノ第三者ヲ返還金受取人ニ指定スルニハ年金受取人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第十五条 年金受取人以外ノ者ヲ以テ返還金受取人ト為シタルトキハ年金契約者ハ返還金支払ノ事由発生スル迄ハ年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト為スコトヲ得
年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト為シタルトキハ年金契約者ハ之ヲ変更スルコトヲ得ス
第一項ノ返還金受取人ノ変更ハ政府ニ通知スルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第十六条 年金受取人以外ノ第三者タル返還金受取人カ返還金支払ノ事由発生前ニ死亡シタルトキハ年金受取人ヲ以テ返還金受取人トス
第十七条 年金受取人カ戦争又ハ戦争ニ準スヘキ事変ニ際シ戦闘又ハ戦闘ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍疾病ノ為勅令ノ定ムル期間内ニ死亡シタルトキハ第十四条ノ規定ニ依リ返還金ノ支払ヲ為スト否トニ拘ラス政府ハ年金受取人ノ遺族ニ勅令ノ定ムル特別返還金ヲ支払フ
前項ノ戦争ニ準スヘキ事変、戦闘ニ準スヘキ公務並ニ遺族ノ範囲及順位ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 第六条ノ規定ハ第十四条ノ返還金受取人及前条ノ特別返還金受取人ニ、第七条ノ規定ハ返還金又ハ特別返還金ヲ受取ルヘキ権利ニ之ヲ準用ス
第十九条 第十四条ノ規定ニ依リ返還金ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ル年金契約及第二条第二項ノ年金契約ニ於テハ年金契約者、年金受取人又ハ年金継続受取人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ金額ノ範囲内ニ於テ貸付ヲ請求スルコトヲ得
一 第二条第二項ノ年金契約以外ノ年金契約ニ在リテハ第十四条ノ規定ニ依ル返還金額
二 第二条第二項ノ年金契約ニシテ年金支払ノ事由発生前ノモノニ在リテハ第十四条ノ規定ニ依ル返還金額
三 第二条第二項ノ年金契約ニシテ年金支払ノ事由発生後ノモノニ在リテハ第二条第二項ノ一定ノ期間ノ内未タ経過セサル部分ニ対シ支払ハルヘキ年金ノ総額
前項ノ貸付ヲ受ケタル者貸付金ノ弁済ヲ為サスシテ命令ノ定ムル期間ヲ経過シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ貸付金ノ弁済ニ代ヘ年金及返還金ノ減額ヲ為スコトヲ得
第二十条ヲ第二十五条トシ以下第二十二条迄順次五条宛繰下グ
第二十条 年金契約ノ全部又ハ一部カ無効ナル場合ニ於テ年金契約者カ善意ニシテ且重大ナル過失ナキトキハ年金契約者ハ払込掛金ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
第二十一条 年金又ハ返還金ヲ支払フヘキ場合ニ於テ其ノ年金契約又ハ之ニ基キテ為シタル貸付ニ付政府カ弁済ヲ受クヘキ金額アルトキハ支払金額ヨリ之ヲ控除ス
第二十二条 当該官署カ年金、返還金、特別返還金又ハ年金契約者ニ返還スヘキ掛金ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ支払ヒタルトキハ其ノ支払ハ之ヲ有効トス
第二十三条 年金、返還金及特別返還金支払ノ義務並ニ掛金返還ノ義務ハ二年、掛金払込ノ義務ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第二十四条 年金契約者、年金受取人、年金継続受取人、返還金受取人又ハ特別返還金受取人カ郵便年金ニ関スル事項ニ付政府ニ対シテ民事訴訟ヲ提起スルニハ簡易生命保険審査会ノ審査ヲ経ルコトヲ要ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
特別返還金ニ関スル規定ハ年金受取人ガ昭和十二年七月七日以後ニ死亡シタル場合ニ之ヲ適用ス