第一條 本法ニ於テ種苗トハ林業ノ用ニ供スル樹木ノ種子及苗ヲ謂フ
第二條 本法ヲ適用スル種苗ノ樹種ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ優良ナル種苗ノ採取ニ適スル樹木又ハ其ノ集團ヲ母樹又ハ母樹林トシテ指定スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル母樹又ハ母樹林ハ行政官廳ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ伐採スルコトヲ得ズ
第四條 行政官廳前條第一項ノ規定ニ依リ母樹又ハ母樹林ノ指定ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ其ノ樹木又ハ樹木ノ集團ノ所有者ニ通知シ且命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ公示スベシ
第五條 行政官廳ハ母樹又ハ母樹林ノ所有者ニ對シ母樹又ハ母樹林ノ保護又ハ管理ニ關シ必要ナル處置ヲ命ジ又ハ有害ナル行爲ヲ制限シ若ハ禁止スルコトヲ得
第六條 行政官廳ハ母樹又ハ母樹林ノ所有者ニ對シ母樹又ハ母樹林ニ關シ必要ナル事項ノ報吿ヲ命ズルコトヲ得
第七條 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ母樹又ハ母樹林ノ所有者ニ對シ伐採ヲ停止セラレタルニ因ル直接ノ損失ヲ補償ス
前項ノ規定ニ依ル補償金額ニ付不服アル者ハ其ノ補償金額ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八條 行政官廳母樹又ハ母樹林トシテ存置スルノ必要ナシト認ムルトキハ母樹又ハ母樹林ノ指定ヲ解除スルコトヲ得
第九條 行政官廳ハ配付ノ目的ヲ以テスル種苗ノ採取ニ關シ命令ノ定ムル所ニ依リ採取時期ヲ指定シ又ハ採取ニ適セザル樹木若ハ其ノ集團ヨリノ採取ヲ禁止スルコトヲ得
第十條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ種苗ノ種類ニ應ジ之ニ適スル配付區域ヲ指定シ又ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ種苗ノ輸出若ハ輸入ヲ制限シ若ハ禁止スルコトヲ得
第十一條 種苗ノ販賣ヲ業トスル者ハ其ノ業務ニ關シ命令ノ定ムル事項ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
第十二條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ種苗ノ販賣ヲ業トスル者ヲシテ其ノ販賣スル種苗ニ保證票ヲ添附セシムルコトヲ得
第十三條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ種苗ノ販賣ヲ業トスル者ニ對シ種苗ノ配給ノ狀況ニ關スル事項ノ報吿ヲ命ジ又ハ之ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ニ付必要ナル調査ヲ爲スコトヲ得
第十四條 母樹又ハ母樹林ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リテ爲シタル手續其ノ他ノ行爲ハ母樹又ハ母樹林ノ所有者ノ承繼人ニ對シテモ其ノ效力ヲ有ス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第三條第二項ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ母樹又ハ母樹林ヲ伐採シタル者
二 第五條ノ規定ニ依ル命令又ハ制限若ハ禁止ニ違反シタル者
三 第六條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
四 配付ノ目的ヲ以テ第九條ノ規定ニ依ル指定又ハ禁止ニ違反シ種苗ヲ採取シタル者
五 第十條ノ規定ニ依ル指定ニ違反シ種苗ノ配付ヲ爲シ又ハ同條ノ規定ニ依ル制限若ハ禁止ニ違反シ種苗ノ輸出若ハ輸入ヲ爲シ若ハ爲サントシタル者
六 第十二條ノ規定ニ違反シ保證票ヲ添附セズシテ種苗ヲ販賣シ又ハ虛僞ノ保證票ヲ添附シテ種苗ヲ販賣シタル者
第十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十三條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 第十三條ノ規定ニ依ル調査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第十七條 種苗ノ販賣ヲ業トスル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第十五條第二號、第三號、第五號若ハ第六號又ハ前條第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十八條 第十五條第二號、第三號、第五號及第六號竝ニ第十六條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十九條 第十一條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス