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本データベースについて
(森林法中改正法律)
法令番号: 法律第十五號
公布年月日: 昭和14年3月18日
法令の形式: 法律
被改正法
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消滅:
(沖縄県ニ森林法施行ノ件)
改正:
森林法
国立国会図書館『官報』
国立公文書館『御署名原本』
日本法令索引
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル森林法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月十七日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
內務大臣 侯爵 木戶幸一
拓務大臣 八田嘉明
農林大臣 櫻內幸雄
法律第十五號
森林法中左ノ通改正ス
第三條中「地租條例」ヲ「地租法」ニ改ム
第九條
命令ヲ以テ定ムル公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ハ其ノ所有スル森林又ハ造林ノ用ニ供スル土地ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ施業案ヲ編成シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ認可ヲ受ケタル施業案ヲ變更セントスルトキ亦同シ
地方長官必要アリト認ムルトキハ前項ノ施業案ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ施業案ヲ編成スルコトヲ要スル者又ハ前項ノ規定ニ依リ施業案ノ變更ヲ命セラレタル者之ヲ編成セス又ハ變更セサルトキハ地方長官ハ其ノ者ニ代リテ之ヲ編成シ又ハ變更スルコトヲ得
第十條
地方長官森林生產ノ保續ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ニ對シ其ノ森林ニ付區域又ハ箇所及期間ヲ定メ伐採方法又ハ造林其ノ他伐採ニ伴フ必要ナル事項ヲ指定スルコトヲ得
前項ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル施業案ノ編成アリタル森林及第六十九條ノ三ノ規定ニ依ル森林組合ノ施業案ノ編成アリタル森林ニ付テハ之ヲ適用セス
第十一條
公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者第九條ノ規定ニ依ル施業案ニ定メタル伐採、造林其ノ他ノ施業要件ニ準據セス又ハ前條ノ規定ニ依ル指定ニ從ハサルトキハ行政官廳ハ伐採ノ停止ヲ命シ又ハ其ノ者ニ代リテ自ラ伐採、造林其ノ他施業上必要ナル行爲ヲ爲シ若ハ公共團體ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ伐採停止ニ關スル規定ハ森林所有者カ其ノ生活ヲ維持スル爲已ムヲ得サルニ出テタル伐採ニ付テハ之ヲ適用セス
第十一條ノ二
第九條第三項ノ規定ニ依リ施業案ヲ編成シ若ハ變更スルニ要シタル費用又ハ前條ノ規定ニ依リ伐採、造林其ノ他施業上必要ナル行爲ヲ爲シ又ハ爲サシムルニ要シタル費用ハ行政官廳ニ於テ行政執行法第六條ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
第十一條ノ三
地方長官國土保安其ノ他公益上特ニ必要アリト認ムルトキハ公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有スル森林ニ付施業技術者ノ雇入ヲ命スルコトヲ得
第十三條ノ次ニ左ノ二條ヲ加フ
第十三條ノ二
行政官廳必要アリト認ムルトキハ森林產物ノ生產若ハ取引又ハ森林產物ヲ原料トスル物品ノ製造ヲ爲ス者ニ對シ森林產物ノ需給ノ狀況ニ關スル事項ノ報吿ヲ命シ又ハ之ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ニ付必要ナル調査ヲ爲スコトヲ得
第十三條ノ三
二以上ノ府縣ニ亙ル事項ニ關シテハ本章ニ規定シタル地方長官ノ職權ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第十八條及第二十三條中「市町村役場」ノ下ニ「(町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ之ニ準スヘキ場所)」ヲ加フ
第三十四條中「第十一條」ノ下ニ「及第十一條ノ二」ヲ加フ
第四十條、第四十九條、第五十條、第五十八條及第六十一條中「御料局」ヲ「帝室林野局」ニ改ム
「第五章 森林組合」ヲ「第五章 森林組合及森林組合聯合會」ニ改ム
第六十二條
森林組合ハ組合員ノ所有スル森林ニ付自ラ施業ヲ爲シ又ハ組合員ノ施業ヲ調整シ以テ森林生產ノ保續ヲ圖ルヲ以テ目的トス
組合ハ前項ノ目的ヲ達スル爲定款ノ定ムル所ニ依リ左ノ各號ノ一ノ事業ヲ行フ
一
組合員ノ所有スル森林ニ付施業案ヲ編成シ之ニ基キ施業ヲ爲スコト
二
組合員ノ爲ニ施業案ヲ編成シ之ニ基キ組合員ノ爲ス施業ヲ調整シ及地區內森林ノ施業ニ必要ナル共同施設ヲ爲スコト
第六十四條
一定ノ地區內ニ於ケル森林ヲ所有スル者ハ定款ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ得テ森林組合ヲ設立スルコトヲ得
組合ノ地區ハ市町村又ハ之ニ準スヘキモノノ區域ニ依ル但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第六十五條
森林組合ハ其ノ名稱中ニ森林組合ナル文字ヲ用フヘシ
森林組合ニ非サルモノハ其ノ名稱中ニ森林組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第六十六條ノ二
地方長官森林生產ノ保續ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ地區ヲ指定シ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ森林組合ノ設立ヲ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命セラレタル者ハ前條ノ條件ニ從ヒ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第六十九條ノ二
森林組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第七十條第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシムル森林組合ニ付テハ前項ノ規定ニ依ル經費分賦ハ第六十二條第二項ニ規定スル事業ニ關シ命令ヲ以テ定ムル經費ニ限ル
第六十九條ノ三
森林組合ハ組合員ノ所有スル森林ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ施業案ヲ編成シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ認可ヲ受ケタル施業案ヲ變更セントスルトキ亦同シ
第九條第二項及第三項ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第六十九條ノ四
第十一條及第十一條ノ二ノ規定ハ第六十二條第二項第一號ノ事業ヲ行フ森林組合及同項第二號ノ事業ヲ行フ森林組合ノ組合員ニ之ヲ準用ス
第六十九條ノ五
第十一條ノ三ノ規定ハ森林組合ニ之ヲ準用ス
第六十九條ノ六
第六十二條第二項第一號ノ事業ヲ行フ森林組合ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外組合員ノ所有スル森林ニ付組合ノ施業ノ範圍ニ於テ使用及收益ヲ爲スノ權利ヲ有ス
前項ノ規定ニ依ル組合ノ收益ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ所有スル森林ノ評價額其ノ他命令ヲ以テ定ムル標準ニ依リ之ヲ組合員ニ分配スヘシ
第七十條
森林組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシムル組合ハ第六十二條第二項ニ規定スル事業ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一
組合又ハ組合員ノ生產シタル森林產物ノ運搬、加工、保管及販賣ニ關スル施設ヲ爲スコト
二
組合員ノ森林ノ維持又ハ施業ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ爲スコト
三
地區內ニ居住スル森林所有者ヲ創設スル爲地區內ノ森林ヲ取得スルコト
四
第六十二條第二項第二號ノ事業ヲ行フ組合ニ在リテハ組合員ノ委託ニ依リ其ノ森林ノ施業ヲ爲スコト
第七十條ノ二
前條第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシムル森林組合ノ組合員ハ出資一口以上ヲ有スヘシ
出資一口ノ金額ノ最高限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十條ノ三
第七十條第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サシムル森林組合ニ在リテハ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサル場合ニ於テ組合員ノ全員ハ其ノ出資額及第六十九條ノ二ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外定款ノ定ムル一定ノ金額(追補金額)ヲ限度トシテ組合ニ對シ責任ヲ負擔ス
前項ノ組合ハ拂込未濟出資額及追補金額ニ付組合員ノ所有スル地區內ノ森林ノ上ニ先取特權ヲ有ス
前項ノ先取特權ハ其ノ優先權ノ順位ニ付テハ之ヲ不動產賣買ノ先取特權ト看做シ其ノ效力ニ付テハ民法中不動產賣買ノ先取特權ニ關スル規定ヲ準用ス
第七十三條ヲ削リ第七十四條ヲ第七十三條トス
第七十四條
森林組合聯合會ハ所屬ノ森林組合及森林組合聯合會ノ共同ノ目的ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ森林組合又ハ森林組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ヲ設立セントスルトキハ定款ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第七十四條ノ二
森林組合聯合會ハ其ノ名稱中ニ森林組合聯合會ナル文字ヲ用フヘシ
森林組合聯合會ニ非サルモノハ其ノ名稱中ニ森林組合聯合會ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第七十四條ノ三
森林組合聯合會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ所屬組合又ハ聯合會ニ出資ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ聯合會ノ所屬組合又ハ聯合會ノ責任ハ第七十四條ノ五ニ於テ準用シタル第六十九條ノ二第一項ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第七十四條ノ四
森林組合聯合會ハ主務大臣之ヲ監督ス
前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職權ノ一部ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第七十四條ノ五
第六十三條、第六十八條、第六十九條、第六十九條ノ二第一項、第七十條ノ二、第七十一條第二項及第七十二條ノ規定ハ森林組合聯合會ニ之ヲ準用ス
第七十五條中「森林組合」ノ下ニ「及森林組合聯合會」ヲ、「其ノ他組合」ノ下ニ「及聯合會」ヲ加フ
第七十五條ノ次ニ左ノ三條ヲ加フ
第七十五條ノ二
森林組合又ハ森林組合聯合會ニ於テ本章ノ規定(第六十九條ノ四ニ於テ準用シタル第十一條及第六十九條ノ五ニ於テ準用シタル第十一條ノ三ノ規定ヲ除ク)又ハ之ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ其ノ役員ヲ百圓以下ノ過料ニ處ス
第七十五條ノ三
第六十五條第二項及第七十四條ノ二第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ過料ニ處ス
第七十五條ノ四
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス
第八十三條中「重禁錮」ヲ「懲役」ニ、「贓額以上贓額二倍」ヲ「千圓」ニ改ム
第八十四條中「二月以上三年以下ノ重禁錮及贓額以上贓額二倍以下ノ罰金ニ處ス」ヲ「五年以下ノ懲役若ハ五千圓以下ノ罰金ニ處シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス」ニ改ム
第八十七條
森林窃盜ノ贓物ヲ收受シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
森林窃盜ノ贓物ノ運搬、寄藏、故買又ハ牙保ヲ爲シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五千圓以下ノ罰金ニ處シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス
第八十八條
他人ノ森林ニ放火シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
自己ノ森林ニ放火シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス因テ他人ノ森林ニ延燒シタルトキハ七年以下ノ懲役ニ處ス
第八十九條
火ヲ失シテ他人ノ森林ヲ燒燬シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
火ヲ失シテ自己ノ森林ヲ燒燬シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者亦前項ニ同シ
第九十條中「前條第二項ノ罪ヲ犯サントシテ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ照シテ處斷ス」ヲ「第八十八條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」ニ改ム
第九十一條中「三十圓」ヲ「百圓」ニ改メ同條但書ヲ削ル
第九十二條中「二十圓」ヲ「百圓」ニ改ム
第九十三條第一項中「二百圓」ヲ「三百圓」ニ、同條第二項中「重禁錮及二百圓」ヲ「懲役又ハ三百圓」ニ改ム
第九十四條中「五十圓」ヲ「百圓」ニ改ム
第九十四條ノ二
第十一條第一項(第六十九條ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル伐採停止ノ命令ニ違反シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第九十五條中「二十圓」ヲ「五十圓」ニ改ム
第九十五條ノ二
左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一
第十三條ノ二ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サス又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二
第十三條ノ二ノ規定ニ依ル調査ヲ拒ミタル者
第九十六條中「百圓」ヲ「二百圓」ニ改ム
第九十七條中「二百圓」ヲ「三百圓」ニ改ム
第九十八條中「三十圓」ヲ「五十圓」ニ改ム
第九十九條ヲ削ル
第百條ヲ第九十九條トシ同條中「二十圓」ヲ「五十圓」ニ改ム
第百一條ヲ第百條トシ同條中「二十圓」ヲ「百圓」ニ改ム
第百二條ヲ第百一條トシ同條中「五十圓」ヲ「百圓」ニ、「二百圓」ヲ「三百圓」ニ改ム
第百三條ヲ第百二條トス
第百三條
法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第九十四條ノ二又ハ第九十五條ノ二第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第百三條ノ二
第九十四條ノ二又ハ第九十五條ノ二第一號ノ罰則ハ其ノ者カ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第百六條
北海道ニ於テ本法ヲ適用スルニ付必要ナル事項ニ關シテハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第百七條第二項中「第十一條」ノ下ニ「及第十一條ノ二」ヲ加フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
公有林又ハ社寺有林ニ付本法施行前地方長官ノ認可ヲ受ケタル施業案又ハ施業要領ハ本法ニ依リ認可ヲ受ケタル施業案ト看做ス
從前ノ規定ニ依リ設立セラレタル森林組合ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法施行ノ日ヨリ五年ヲ限リ仍從前ノ例ニ依ル
前項ノ組合ハ前項ノ期間內ニ命令ノ定ムル所ニ依リ監督官廳ノ認可ヲ得テ改正規定ニ依ル組合ト爲ルコトヲ得
第三項ノ組合ニシテ同項ノ期間內ニ改正規定ニ依ル組合ト爲ラサルモノハ其ノ期間滿了ノ日ニ於テ解散ス
本法施行前從前ノ罰則ヲ適用スヘカリシ行爲ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル森林法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月十七日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
内務大臣 侯爵 木戸幸一
拓務大臣 八田嘉明
農林大臣 桜内幸雄
法律第十五号
森林法中左ノ通改正ス
第三条中「地租条例」ヲ「地租法」ニ改ム
第九条
命令ヲ以テ定ムル公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ハ其ノ所有スル森林又ハ造林ノ用ニ供スル土地ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ施業案ヲ編成シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ認可ヲ受ケタル施業案ヲ変更セントスルトキ亦同シ
地方長官必要アリト認ムルトキハ前項ノ施業案ノ変更ヲ命スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ施業案ヲ編成スルコトヲ要スル者又ハ前項ノ規定ニ依リ施業案ノ変更ヲ命セラレタル者之ヲ編成セス又ハ変更セサルトキハ地方長官ハ其ノ者ニ代リテ之ヲ編成シ又ハ変更スルコトヲ得
第十条
地方長官森林生産ノ保続ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ニ対シ其ノ森林ニ付区域又ハ箇所及期間ヲ定メ伐採方法又ハ造林其ノ他伐採ニ伴フ必要ナル事項ヲ指定スルコトヲ得
前項ノ規定ハ前条ノ規定ニ依ル施業案ノ編成アリタル森林及第六十九条ノ三ノ規定ニ依ル森林組合ノ施業案ノ編成アリタル森林ニ付テハ之ヲ適用セス
第十一条
公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者第九条ノ規定ニ依ル施業案ニ定メタル伐採、造林其ノ他ノ施業要件ニ準拠セス又ハ前条ノ規定ニ依ル指定ニ従ハサルトキハ行政官庁ハ伐採ノ停止ヲ命シ又ハ其ノ者ニ代リテ自ラ伐採、造林其ノ他施業上必要ナル行為ヲ為シ若ハ公共団体ヲシテ之ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ伐採停止ニ関スル規定ハ森林所有者カ其ノ生活ヲ維持スル為已ムヲ得サルニ出テタル伐採ニ付テハ之ヲ適用セス
第十一条ノ二
第九条第三項ノ規定ニ依リ施業案ヲ編成シ若ハ変更スルニ要シタル費用又ハ前条ノ規定ニ依リ伐採、造林其ノ他施業上必要ナル行為ヲ為シ又ハ為サシムルニ要シタル費用ハ行政官庁ニ於テ行政執行法第六条ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得
第十一条ノ三
地方長官国土保安其ノ他公益上特ニ必要アリト認ムルトキハ公有林、社寺有林又ハ私有林ノ所有者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有スル森林ニ付施業技術者ノ雇入ヲ命スルコトヲ得
第十三条ノ次ニ左ノ二条ヲ加フ
第十三条ノ二
行政官庁必要アリト認ムルトキハ森林産物ノ生産若ハ取引又ハ森林産物ヲ原料トスル物品ノ製造ヲ為ス者ニ対シ森林産物ノ需給ノ状況ニ関スル事項ノ報告ヲ命シ又ハ之ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ニ付必要ナル調査ヲ為スコトヲ得
第十三条ノ三
二以上ノ府県ニ亘ル事項ニ関シテハ本章ニ規定シタル地方長官ノ職権ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第十八条及第二十三条中「市町村役場」ノ下ニ「(町村制ヲ施行セサル地ニ於テハ之ニ準スヘキ場所)」ヲ加フ
第三十四条中「第十一条」ノ下ニ「及第十一条ノ二」ヲ加フ
第四十条、第四十九条、第五十条、第五十八条及第六十一条中「御料局」ヲ「帝室林野局」ニ改ム
「第五章 森林組合」ヲ「第五章 森林組合及森林組合連合会」ニ改ム
第六十二条
森林組合ハ組合員ノ所有スル森林ニ付自ラ施業ヲ為シ又ハ組合員ノ施業ヲ調整シ以テ森林生産ノ保続ヲ図ルヲ以テ目的トス
組合ハ前項ノ目的ヲ達スル為定款ノ定ムル所ニ依リ左ノ各号ノ一ノ事業ヲ行フ
一
組合員ノ所有スル森林ニ付施業案ヲ編成シ之ニ基キ施業ヲ為スコト
二
組合員ノ為ニ施業案ヲ編成シ之ニ基キ組合員ノ為ス施業ヲ調整シ及地区内森林ノ施業ニ必要ナル共同施設ヲ為スコト
第六十四条
一定ノ地区内ニ於ケル森林ヲ所有スル者ハ定款ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ得テ森林組合ヲ設立スルコトヲ得
組合ノ地区ハ市町村又ハ之ニ準スヘキモノノ区域ニ依ル但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第六十五条
森林組合ハ其ノ名称中ニ森林組合ナル文字ヲ用フヘシ
森林組合ニ非サルモノハ其ノ名称中ニ森林組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第六十六条ノ二
地方長官森林生産ノ保続ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ地区ヲ指定シ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ森林組合ノ設立ヲ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命セラレタル者ハ前条ノ条件ニ従ヒ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第六十九条ノ二
森林組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ経費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第七十条第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシムル森林組合ニ付テハ前項ノ規定ニ依ル経費分賦ハ第六十二条第二項ニ規定スル事業ニ関シ命令ヲ以テ定ムル経費ニ限ル
第六十九条ノ三
森林組合ハ組合員ノ所有スル森林ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ施業案ヲ編成シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ認可ヲ受ケタル施業案ヲ変更セントスルトキ亦同シ
第九条第二項及第三項ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第六十九条ノ四
第十一条及第十一条ノ二ノ規定ハ第六十二条第二項第一号ノ事業ヲ行フ森林組合及同項第二号ノ事業ヲ行フ森林組合ノ組合員ニ之ヲ準用ス
第六十九条ノ五
第十一条ノ三ノ規定ハ森林組合ニ之ヲ準用ス
第六十九条ノ六
第六十二条第二項第一号ノ事業ヲ行フ森林組合ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外組合員ノ所有スル森林ニ付組合ノ施業ノ範囲ニ於テ使用及収益ヲ為スノ権利ヲ有ス
前項ノ規定ニ依ル組合ノ収益ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ所有スル森林ノ評価額其ノ他命令ヲ以テ定ムル標準ニ依リ之ヲ組合員ニ分配スヘシ
第七十条
森林組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシムル組合ハ第六十二条第二項ニ規定スル事業ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一
組合又ハ組合員ノ生産シタル森林産物ノ運搬、加工、保管及販売ニ関スル施設ヲ為スコト
二
組合員ノ森林ノ維持又ハ施業ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ為スコト
三
地区内ニ居住スル森林所有者ヲ創設スル為地区内ノ森林ヲ取得スルコト
四
第六十二条第二項第二号ノ事業ヲ行フ組合ニ在リテハ組合員ノ委託ニ依リ其ノ森林ノ施業ヲ為スコト
第七十条ノ二
前条第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシムル森林組合ノ組合員ハ出資一口以上ヲ有スヘシ
出資一口ノ金額ノ最高限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十条ノ三
第七十条第一項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ為サシムル森林組合ニ在リテハ組合財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハサル場合ニ於テ組合員ノ全員ハ其ノ出資額及第六十九条ノ二ノ規定ニ依ル費用負担ノ外定款ノ定ムル一定ノ金額(追補金額)ヲ限度トシテ組合ニ対シ責任ヲ負担ス
前項ノ組合ハ払込未済出資額及追補金額ニ付組合員ノ所有スル地区内ノ森林ノ上ニ先取特権ヲ有ス
前項ノ先取特権ハ其ノ優先権ノ順位ニ付テハ之ヲ不動産売買ノ先取特権ト看做シ其ノ効力ニ付テハ民法中不動産売買ノ先取特権ニ関スル規定ヲ準用ス
第七十三条ヲ削リ第七十四条ヲ第七十三条トス
第七十四条
森林組合連合会ハ所属ノ森林組合及森林組合連合会ノ共同ノ目的ヲ達スル為之ヲ設立スルコトヲ得
連合会ハ森林組合又ハ森林組合連合会ヲ以テ之ヲ組織ス
連合会ヲ設立セントスルトキハ定款ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第七十四条ノ二
森林組合連合会ハ其ノ名称中ニ森林組合連合会ナル文字ヲ用フヘシ
森林組合連合会ニ非サルモノハ其ノ名称中ニ森林組合連合会ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第七十四条ノ三
森林組合連合会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ所属組合又ハ連合会ニ出資ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ連合会ノ所属組合又ハ連合会ノ責任ハ第七十四条ノ五ニ於テ準用シタル第六十九条ノ二第一項ノ規定ニ依ル費用負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第七十四条ノ四
森林組合連合会ハ主務大臣之ヲ監督ス
前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職権ノ一部ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第七十四条ノ五
第六十三条、第六十八条、第六十九条、第六十九条ノ二第一項、第七十条ノ二、第七十一条第二項及第七十二条ノ規定ハ森林組合連合会ニ之ヲ準用ス
第七十五条中「森林組合」ノ下ニ「及森林組合連合会」ヲ、「其ノ他組合」ノ下ニ「及連合会」ヲ加フ
第七十五条ノ次ニ左ノ三条ヲ加フ
第七十五条ノ二
森林組合又ハ森林組合連合会ニ於テ本章ノ規定(第六十九条ノ四ニ於テ準用シタル第十一条及第六十九条ノ五ニ於テ準用シタル第十一条ノ三ノ規定ヲ除ク)又ハ之ニ基キテ発スル命令ニ違反シタルトキハ其ノ役員ヲ百円以下ノ過料ニ処ス
第七十五条ノ三
第六十五条第二項及第七十四条ノ二第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ百円以下ノ過料ニ処ス
第七十五条ノ四
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ之ヲ準用ス
第八十三条中「重禁錮」ヲ「懲役」ニ、「贓額以上贓額二倍」ヲ「千円」ニ改ム
第八十四条中「二月以上三年以下ノ重禁錮及贓額以上贓額二倍以下ノ罰金ニ処ス」ヲ「五年以下ノ懲役若ハ五千円以下ノ罰金ニ処シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス」ニ改ム
第八十七条
森林窃盗ノ贓物ヲ収受シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
森林窃盗ノ贓物ノ運搬、寄蔵、故買又ハ牙保ヲ為シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五千円以下ノ罰金ニ処シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス
第八十八条
他人ノ森林ニ放火シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ処ス
自己ノ森林ニ放火シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス因テ他人ノ森林ニ延焼シタルトキハ七年以下ノ懲役ニ処ス
第八十九条
火ヲ失シテ他人ノ森林ヲ焼燬シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
火ヲ失シテ自己ノ森林ヲ焼燬シ因テ公共ノ危険ヲ生セシメタル者亦前項ニ同シ
第九十条中「前条第二項ノ罪ヲ犯サントシテ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ照シテ処断ス」ヲ「第八十八条ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」ニ改ム
第九十一条中「三十円」ヲ「百円」ニ改メ同条但書ヲ削ル
第九十二条中「二十円」ヲ「百円」ニ改ム
第九十三条第一項中「二百円」ヲ「三百円」ニ、同条第二項中「重禁錮及二百円」ヲ「懲役又ハ三百円」ニ改ム
第九十四条中「五十円」ヲ「百円」ニ改ム
第九十四条ノ二
第十一条第一項(第六十九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル伐採停止ノ命令ニ違反シタル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第九十五条中「二十円」ヲ「五十円」ニ改ム
第九十五条ノ二
左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一
第十三条ノ二ノ規定ニ依ル報告ヲ為サス又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者
二
第十三条ノ二ノ規定ニ依ル調査ヲ拒ミタル者
第九十六条中「百円」ヲ「二百円」ニ改ム
第九十七条中「二百円」ヲ「三百円」ニ改ム
第九十八条中「三十円」ヲ「五十円」ニ改ム
第九十九条ヲ削ル
第百条ヲ第九十九条トシ同条中「二十円」ヲ「五十円」ニ改ム
第百一条ヲ第百条トシ同条中「二十円」ヲ「百円」ニ改ム
第百二条ヲ第百一条トシ同条中「五十円」ヲ「百円」ニ、「二百円」ヲ「三百円」ニ改ム
第百三条ヲ第百二条トス
第百三条
法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者カ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第九十四条ノ二又ハ第九十五条ノ二第一号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第百三条ノ二
第九十四条ノ二又ハ第九十五条ノ二第一号ノ罰則ハ其ノ者カ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第百六条
北海道ニ於テ本法ヲ適用スルニ付必要ナル事項ニ関シテハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第百七条第二項中「第十一条」ノ下ニ「及第十一条ノ二」ヲ加フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
公有林又ハ社寺有林ニ付本法施行前地方長官ノ認可ヲ受ケタル施業案又ハ施業要領ハ本法ニ依リ認可ヲ受ケタル施業案ト看做ス
従前ノ規定ニ依リ設立セラレタル森林組合ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法施行ノ日ヨリ五年ヲ限リ仍従前ノ例ニ依ル
前項ノ組合ハ前項ノ期間内ニ命令ノ定ムル所ニ依リ監督官庁ノ認可ヲ得テ改正規定ニ依ル組合ト為ルコトヲ得
第三項ノ組合ニシテ同項ノ期間内ニ改正規定ニ依ル組合ト為ラサルモノハ其ノ期間満了ノ日ニ於テ解散ス
本法施行前従前ノ罰則ヲ適用スヘカリシ行為ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
本文
詳細・沿革