第一條 關東州ニ在ル家屋ニハ本令ニ依リ家屋稅ヲ課ス
第二條 本令ニ於テ家屋トハ住家、店舖、工場、倉庫其ノ他ノ建物ヲ謂フ
第三條 左ニ揭グル家屋ニハ家屋稅ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 國又ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ指定スル公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル家屋
二 神社、廟宇又ハ寺院、敎會其ノ他ノ布敎所トシテノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ敎會其ノ他ノ布敎所トシテノ用ニ供スルモノヲ除ク
三 大使ノ定ムル所ニ依リ古蹟トシテ指定セラレタル家屋
四 鐵道、軌道若ハ埠頭ノ經營者又ハ航空輸送業者ガ專ラ其ノ事業ノ用ニ供スル家屋ニシテ大使ノ定ムルモノ
五 大使ノ指定スル私立ノ幼稚園、學校其ノ他ノ敎育施設ニ於テ直接ニ保育又ハ敎育ノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ保育又ハ敎育ノ用ニ供スルモノヲ除ク
第四條 家屋ニハ一個每ニ家屋番號ヲ附シ其ノ床面積及賃貸價格ヲ定ム但シ家屋稅ヲ課セザル家屋ニ付テハ賃貸價格ヲ附セズ
前項ノ場合ニ於テ附屬家屋アルトキハ之ヲ合シタルモノヲ以テ一個ノ家屋ト看做ス
第五條 稅務署及民政署ニ家屋臺帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登錄ス
六 質權ノ目的タル家屋ニ付テハ其ノ質權者ノ住所及氏名又ハ名稱
第六條 家屋稅ノ課稅標準ハ家屋臺帳ニ登錄シタル賃貸價格トス
賃貸價格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第八條 家屋ノ所有權若ハ質權ニ得喪アリタルトキ又ハ家屋ニ異動アリタルトキハ家屋所有者又ハ質權者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ三十日內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スベシ
第九條 家屋ヲ建築シタルトキ又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ設定ス
第十條 家屋ヲ增築シタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス家屋ノ毀損アリタル場合ニ於テ家屋所有者又ハ質權者其ノ旨ヲ申吿スルトキ亦同ジ
第十一條 家屋ノ建築又ハ異動ニ因リ賃貸價格ヲ設定シ又ハ修正スル場合ニ於テハ類似ノ家屋ノ賃貸價格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ應ジ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ床面積及賃貸價格ハ家屋所有者又ハ質權者ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十二條 賃貸價格ハ五年每ニ一般ニ之ヲ改訂ス第一囘ノ改訂ハ昭和十九年ニ於テ之ヲ行フ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ改訂スベキ年ノ前年四月一日現在ノ家屋(家屋稅ヲ課セザル家屋ヲ除ク)ニ付賃貸價格ヲ調査シ家屋賃貸價格調査委員會ニ諮問シ其ノ改訂賃貸價格ヲ定ム
賃貸價格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ前年四月二日以後賃貸價格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築セラレ又ハ異動アリタル家屋ノ改訂賃貸價格ハ前項ノ規定ニ拘ラズ類似ノ家屋ノ改訂賃貸價格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ應ジ政府ニ於テ之ヲ定ム
前二項ニ定ムルモノヲ除クノ外第一項ノ改訂ニ關シ必要ナル事項ハ其ノ都度大使之ヲ定ム
第十三條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂スル每ニ各稅務署及民政署所轄內ニ賃貸價格調査委員會ヲ置ク
賃貸價格調査委員會ハ會長及調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第十四條 調査委員ハ賃貸價格調査委員會ヲ置クベキ區域內ニ居住シ其ノ區域內ニ在ル家屋ニ付家屋稅ノ納稅義務アル者ノ中ヨリ關東州廳長官之ヲ命ズ
第十五條 調査委員ハ賃貸價格調査委員會ノ會議ノ終了ニ因リ退任ス
第十六條 調査委員左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ職ヲ失フ
一 賃貸價格調査委員會ノ屬スル區域內ニ居住セザルニ至リタルトキ
二 賃貸價格調査委員會ノ屬スル區域內ニ在ル家屋ニ付家屋稅ノ納稅義務ナキニ至リタルトキ
調査委員職務ヲ怠リ又ハ體面ヲ汚損スル行爲アリタルトキハ關東州廳長官ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十七條 調査委員ニハ大使ノ定ムル所ニ依リ旅費及手當ヲ支給ス
第十八條 賃貸價格調査委員會ノ議事ニ關スル事項ハ大使之ヲ定ム
第十九條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ三月三十一日迄ニ賃貸價格調査委員會成立セザルトキ又ハ諮問事項ヲ議了セザルトキハ政府ニ於テ改訂賃貸價格ヲ定ム
第二十條 第十二條第二項第三項又ハ前條ノ規定ニ依リ改訂賃貸價格ヲ定メタルトキハ政府ハ改訂賃貸價格簿ヲ作成シ之ヲ二十日間關係者ノ縱覽ニ供スベシ縱覽ノ場所及期間ハ豫メ之ヲ公示スベシ
第二十一條 自己ノ所有シ又ハ質權ヲ有スル家屋ノ改訂賃貸價格ニ付異議アル者ハ前條ノ縱覽期間滿了ノ日ヨリ二十日內ニ不服ノ事由ヲ具シ所轄稅務署長又ハ民政署長ヲ經由シテ關東州廳長官ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第二十二條 前條第一項ノ申立アリタルトキハ關東州廳長官ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第二十三條 家屋稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第二十四條 家屋稅ハ納期開始ノ時ニ於テ家屋臺帳ニ所有者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス但シ質權ノ目的タル家屋ニ付テハ家屋臺帳ニ質權者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス
第二十五條 家屋稅ハ各納稅義務者ニ付同一市會內ニ於ケル家屋ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徵收ス但シ賃貸價格ノ合計金額ガ十圓ニ滿タザルトキハ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十六條 賃貸價格ノ設定又ハ修正ヲ爲シタル家屋ニハ其ノ設定又ハ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ設定賃貸價格又ハ修正賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ課ス
第二十七條 家屋稅ヲ課スル家屋ガ家屋稅ヲ課セザル家屋ト爲リタルトキハ申吿アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十八條 家屋ガ滅失シタルトキ其ノ他家屋トシテノ效用ヲ失ヒタルトキハ家屋所有者又ハ質權者ノ申請ニ依リ申請アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十九條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂シタルトキハ改訂シタル年ノ分ヨリ其ノ改訂賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス但シ改訂シタル年ノ一月一日以後賃貸價格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築シタル家屋、增築シタル家屋ノ增築ニ係ル部分又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルモノニ付テハ改訂シタル年ノ翌年分ヨリ其ノ改訂賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス
第三十條 稅務官吏ハ家屋ノ檢査ヲ爲シ又ハ家屋ノ所有者、質權者其ノ他ノ利害關係人ニ對シ必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十二條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外家屋稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得