関東州家屋税令
法令番号: 勅令第七百二號
公布年月日: 昭和13年10月26日
法令の形式: 勅令
朕關東州家屋稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年十月二十五日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第七百二號
關東州家屋稅令
第一條 關東州ニ在ル家屋ニハ本令ニ依リ家屋稅ヲ課ス
第二條 本令ニ於テ家屋トハ住家、店舖、工場、倉庫其ノ他ノ建物ヲ謂フ
第三條 左ニ揭グル家屋ニハ家屋稅ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 國又ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ指定スル公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル家屋
二 神社、廟宇又ハ寺院、敎會其ノ他ノ布敎所トシテノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ敎會其ノ他ノ布敎所トシテノ用ニ供スルモノヲ除ク
三 大使ノ定ムル所ニ依リ古蹟トシテ指定セラレタル家屋
四 鐵道、軌道若ハ埠頭ノ經營者又ハ航空輸送業者ガ專ラ其ノ事業ノ用ニ供スル家屋ニシテ大使ノ定ムルモノ
五 大使ノ指定スル私立ノ幼稚園、學校其ノ他ノ敎育施設ニ於テ直接ニ保育又ハ敎育ノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ保育又ハ敎育ノ用ニ供スルモノヲ除ク
六 一時ノ使用ニ供スル家屋
第四條 家屋ニハ一個每ニ家屋番號ヲ附シ其ノ床面積及賃貸價格ヲ定ム但シ家屋稅ヲ課セザル家屋ニ付テハ賃貸價格ヲ附セズ
前項ノ場合ニ於テ附屬家屋アルトキハ之ヲ合シタルモノヲ以テ一個ノ家屋ト看做ス
第五條 稅務署及民政署ニ家屋臺帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登錄ス
一 家屋ノ所在
二 家屋番號
三 種類、構造及床面積
四 賃貸價格
五 所有者ノ住所及氏名又ハ名稱
六 質權ノ目的タル家屋ニ付テハ其ノ質權者ノ住所及氏名又ハ名稱
第六條 家屋稅ノ課稅標準ハ家屋臺帳ニ登錄シタル賃貸價格トス
賃貸價格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第七條 家屋稅ノ稅率ハ百分ノ二トス
第八條 家屋ノ所有權若ハ質權ニ得喪アリタルトキ又ハ家屋ニ異動アリタルトキハ家屋所有者又ハ質權者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ三十日內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スベシ
第九條 家屋ヲ建築シタルトキ又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ設定ス
第十條 家屋ヲ增築シタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス家屋ノ毀損アリタル場合ニ於テ家屋所有者又ハ質權者其ノ旨ヲ申吿スルトキ亦同ジ
第十一條 家屋ノ建築又ハ異動ニ因リ賃貸價格ヲ設定シ又ハ修正スル場合ニ於テハ類似ノ家屋ノ賃貸價格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ應ジ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ床面積及賃貸價格ハ家屋所有者又ハ質權者ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十二條 賃貸價格ハ五年每ニ一般ニ之ヲ改訂ス第一囘ノ改訂ハ昭和十九年ニ於テ之ヲ行フ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ改訂スベキ年ノ前年四月一日現在ノ家屋(家屋稅ヲ課セザル家屋ヲ除ク)ニ付賃貸價格ヲ調査シ家屋賃貸價格調査委員會ニ諮問シ其ノ改訂賃貸價格ヲ定ム
賃貸價格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ前年四月二日以後賃貸價格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築セラレ又ハ異動アリタル家屋ノ改訂賃貸價格ハ前項ノ規定ニ拘ラズ類似ノ家屋ノ改訂賃貸價格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ應ジ政府ニ於テ之ヲ定ム
前二項ニ定ムルモノヲ除クノ外第一項ノ改訂ニ關シ必要ナル事項ハ其ノ都度大使之ヲ定ム
第十三條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂スル每ニ各稅務署及民政署所轄內ニ賃貸價格調査委員會ヲ置ク
賃貸價格調査委員會ハ會長及調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
會長ハ稅務署長又ハ民政署長ヲ以テ之ニ充ツ
調査委員ノ定數ハ大使之ヲ定ム
第十四條 調査委員ハ賃貸價格調査委員會ヲ置クベキ區域內ニ居住シ其ノ區域內ニ在ル家屋ニ付家屋稅ノ納稅義務アル者ノ中ヨリ關東州廳長官之ヲ命ズ
第十五條 調査委員ハ賃貸價格調査委員會ノ會議ノ終了ニ因リ退任ス
第十六條 調査委員左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ職ヲ失フ
一 賃貸價格調査委員會ノ屬スル區域內ニ居住セザルニ至リタルトキ
二 賃貸價格調査委員會ノ屬スル區域內ニ在ル家屋ニ付家屋稅ノ納稅義務ナキニ至リタルトキ
調査委員職務ヲ怠リ又ハ體面ヲ汚損スル行爲アリタルトキハ關東州廳長官ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十七條 調査委員ニハ大使ノ定ムル所ニ依リ旅費及手當ヲ支給ス
第十八條 賃貸價格調査委員會ノ議事ニ關スル事項ハ大使之ヲ定ム
第十九條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ三月三十一日迄ニ賃貸價格調査委員會成立セザルトキ又ハ諮問事項ヲ議了セザルトキハ政府ニ於テ改訂賃貸價格ヲ定ム
第二十條 第十二條第二項第三項又ハ前條ノ規定ニ依リ改訂賃貸價格ヲ定メタルトキハ政府ハ改訂賃貸價格簿ヲ作成シ之ヲ二十日間關係者ノ縱覽ニ供スベシ縱覽ノ場所及期間ハ豫メ之ヲ公示スベシ
第二十一條 自己ノ所有シ又ハ質權ヲ有スル家屋ノ改訂賃貸價格ニ付異議アル者ハ前條ノ縱覽期間滿了ノ日ヨリ二十日內ニ不服ノ事由ヲ具シ所轄稅務署長又ハ民政署長ヲ經由シテ關東州廳長官ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第二十二條 前條第一項ノ申立アリタルトキハ關東州廳長官ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第二十三條 家屋稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期 其ノ年七月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十二月一日ヨリ二十八日限
第二十四條 家屋稅ハ納期開始ノ時ニ於テ家屋臺帳ニ所有者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス但シ質權ノ目的タル家屋ニ付テハ家屋臺帳ニ質權者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス
第二十五條 家屋稅ハ各納稅義務者ニ付同一市會內ニ於ケル家屋ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徵收ス但シ賃貸價格ノ合計金額ガ十圓ニ滿タザルトキハ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十六條 賃貸價格ノ設定又ハ修正ヲ爲シタル家屋ニハ其ノ設定又ハ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ設定賃貸價格又ハ修正賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ課ス
第二十七條 家屋稅ヲ課スル家屋ガ家屋稅ヲ課セザル家屋ト爲リタルトキハ申吿アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十八條 家屋ガ滅失シタルトキ其ノ他家屋トシテノ效用ヲ失ヒタルトキハ家屋所有者又ハ質權者ノ申請ニ依リ申請アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋稅ヲ徵收セズ
第二十九條 賃貸價格ヲ一般ニ改訂シタルトキハ改訂シタル年ノ分ヨリ其ノ改訂賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス但シ改訂シタル年ノ一月一日以後賃貸價格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築シタル家屋、增築シタル家屋ノ增築ニ係ル部分又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルモノニ付テハ改訂シタル年ノ翌年分ヨリ其ノ改訂賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス
第三十條 稅務官吏ハ家屋ノ檢査ヲ爲シ又ハ家屋ノ所有者、質權者其ノ他ノ利害關係人ニ對シ必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十一條 本令ハ國有ノ家屋ニハ之ヲ適用セズ
第三十二條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外家屋稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第三十三條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十四條 本令ハ有料借家ニ非ザル家屋ニ付テハ昭和十三年分家屋稅ヨリ、有料借家ニ付テハ昭和十四年分家屋稅ヨリ之ヲ適用ス
前項ノ昭和十三年分家屋稅ハ第七條ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ十二分ノ三ヲ以テ其ノ稅額トシ第二十三條ノ規定ニ拘ラズ昭和十四年三月一日ヨリ三十一日限リ之ヲ徵收ス
第三十五條 有料借家ニ非ザル家屋ニシテ昭和十三年中ニ於テ建築シタルモノ、增築シタルモノノ增築ニ係ル部分又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルモノニ付テハ昭和十四年分ヨリ家屋稅ヲ徵收ス
第三十六條 本令施行ノ際ニ於ケル賃貸價格ハ關東州家屋調査令ニ依リ調査シタル賃貸價格ヲ家屋賃貸價格調査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ定ム但シ同令第一條第二項本文ニ揭グル家屋ノ賃貸價格ニ付テハ賃貸價格調査委員會ニ諮問スルコトヲ要セズ
第十三條、第十五條、第十六條第一項第一號第二項、第十七條及第十八條ノ規定ハ前項ノ賃貸價格調査委員會ニ付之ヲ準用ス
賃貸價格調査委員ハ賃貸價格調査委員會ヲ置クベキ區域內ニ居住スル者ノ中ヨリ關東州廳長官之ヲ命ズ
第三十七條 前條ノ賃貸價格調査委員會昭和十四年一月三十一日迄ニ成立セザルトキ又ハ諮問事項ヲ議了セザルトキハ政府ニ於テ本令施行ノ際ニ於ケル賃貸價格ヲ定ム
第三十八條 第二十條乃至第二十二條ノ規定ハ本令施行ノ際ニ於ケル賃貸價格ニ付之ヲ準用ス
第三十九條 左ニ揭グル家屋ニハ當分ノ內家屋稅ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 漁業組合、實業組合、金融組合又ハ金融組合聯合會ノ用ニ供スル家屋
二 社會事業又ハ公益事業ノ用ニ供スル家屋ニシテ大使ノ指定スルモノ
朕関東州家屋税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年十月二十五日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第七百二号
関東州家屋税令
第一条 関東州ニ在ル家屋ニハ本令ニ依リ家屋税ヲ課ス
第二条 本令ニ於テ家屋トハ住家、店舗、工場、倉庫其ノ他ノ建物ヲ謂フ
第三条 左ニ掲グル家屋ニハ家屋税ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 国又ハ満洲国駐箚特命全権大使ノ指定スル公共団体ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル家屋
二 神社、廟宇又ハ寺院、教会其ノ他ノ布教所トシテノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ教会其ノ他ノ布教所トシテノ用ニ供スルモノヲ除ク
三 大使ノ定ムル所ニ依リ古蹟トシテ指定セラレタル家屋
四 鉄道、軌道若ハ埠頭ノ経営者又ハ航空輸送業者ガ専ラ其ノ事業ノ用ニ供スル家屋ニシテ大使ノ定ムルモノ
五 大使ノ指定スル私立ノ幼稚園、学校其ノ他ノ教育施設ニ於テ直接ニ保育又ハ教育ノ用ニ供スル家屋但シ住家ニシテ保育又ハ教育ノ用ニ供スルモノヲ除ク
六 一時ノ使用ニ供スル家屋
第四条 家屋ニハ一個毎ニ家屋番号ヲ附シ其ノ床面積及賃貸価格ヲ定ム但シ家屋税ヲ課セザル家屋ニ付テハ賃貸価格ヲ附セズ
前項ノ場合ニ於テ附属家屋アルトキハ之ヲ合シタルモノヲ以テ一個ノ家屋ト看做ス
第五条 税務署及民政署ニ家屋台帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登録ス
一 家屋ノ所在
二 家屋番号
三 種類、構造及床面積
四 賃貸価格
五 所有者ノ住所及氏名又ハ名称
六 質権ノ目的タル家屋ニ付テハ其ノ質権者ノ住所及氏名又ハ名称
第六条 家屋税ノ課税標準ハ家屋台帳ニ登録シタル賃貸価格トス
賃貸価格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル経費ヲ負担スル条件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ収得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第七条 家屋税ノ税率ハ百分ノ二トス
第八条 家屋ノ所有権若ハ質権ニ得喪アリタルトキ又ハ家屋ニ異動アリタルトキハ家屋所有者又ハ質権者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ三十日内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スベシ
第九条 家屋ヲ建築シタルトキ又ハ家屋税ヲ課セザル家屋ガ家屋税ヲ課スル家屋ト為リタルトキハ直ニ其ノ賃貸価格ヲ設定ス
第十条 家屋ヲ増築シタルトキハ直ニ其ノ賃貸価格ヲ修正ス家屋ノ毀損アリタル場合ニ於テ家屋所有者又ハ質権者其ノ旨ヲ申告スルトキ亦同ジ
第十一条 家屋ノ建築又ハ異動ニ因リ賃貸価格ヲ設定シ又ハ修正スル場合ニ於テハ類似ノ家屋ノ賃貸価格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ応ジ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ床面積及賃貸価格ハ家屋所有者又ハ質権者ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十二条 賃貸価格ハ五年毎ニ一般ニ之ヲ改訂ス第一回ノ改訂ハ昭和十九年ニ於テ之ヲ行フ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ改訂スベキ年ノ前年四月一日現在ノ家屋(家屋税ヲ課セザル家屋ヲ除ク)ニ付賃貸価格ヲ調査シ家屋賃貸価格調査委員会ニ諮問シ其ノ改訂賃貸価格ヲ定ム
賃貸価格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ前年四月二日以後賃貸価格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築セラレ又ハ異動アリタル家屋ノ改訂賃貸価格ハ前項ノ規定ニ拘ラズ類似ノ家屋ノ改訂賃貸価格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ応ジ政府ニ於テ之ヲ定ム
前二項ニ定ムルモノヲ除クノ外第一項ノ改訂ニ関シ必要ナル事項ハ其ノ都度大使之ヲ定ム
第十三条 賃貸価格ヲ一般ニ改訂スル毎ニ各税務署及民政署所轄内ニ賃貸価格調査委員会ヲ置ク
賃貸価格調査委員会ハ会長及調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
会長ハ税務署長又ハ民政署長ヲ以テ之ニ充ツ
調査委員ノ定数ハ大使之ヲ定ム
第十四条 調査委員ハ賃貸価格調査委員会ヲ置クベキ区域内ニ居住シ其ノ区域内ニ在ル家屋ニ付家屋税ノ納税義務アル者ノ中ヨリ関東州庁長官之ヲ命ズ
第十五条 調査委員ハ賃貸価格調査委員会ノ会議ノ終了ニ因リ退任ス
第十六条 調査委員左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ職ヲ失フ
一 賃貸価格調査委員会ノ属スル区域内ニ居住セザルニ至リタルトキ
二 賃貸価格調査委員会ノ属スル区域内ニ在ル家屋ニ付家屋税ノ納税義務ナキニ至リタルトキ
調査委員職務ヲ怠リ又ハ体面ヲ汚損スル行為アリタルトキハ関東州庁長官ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十七条 調査委員ニハ大使ノ定ムル所ニ依リ旅費及手当ヲ支給ス
第十八条 賃貸価格調査委員会ノ議事ニ関スル事項ハ大使之ヲ定ム
第十九条 賃貸価格ヲ一般ニ改訂スベキ年ノ三月三十一日迄ニ賃貸価格調査委員会成立セザルトキ又ハ諮問事項ヲ議了セザルトキハ政府ニ於テ改訂賃貸価格ヲ定ム
第二十条 第十二条第二項第三項又ハ前条ノ規定ニ依リ改訂賃貸価格ヲ定メタルトキハ政府ハ改訂賃貸価格簿ヲ作成シ之ヲ二十日間関係者ノ縦覧ニ供スベシ縦覧ノ場所及期間ハ予メ之ヲ公示スベシ
第二十一条 自己ノ所有シ又ハ質権ヲ有スル家屋ノ改訂賃貸価格ニ付異議アル者ハ前条ノ縦覧期間満了ノ日ヨリ二十日内ニ不服ノ事由ヲ具シ所轄税務署長又ハ民政署長ヲ経由シテ関東州庁長官ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第二十二条 前条第一項ノ申立アリタルトキハ関東州庁長官ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第二十三条 家屋税ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徴収ス
第一期 其ノ年七月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十二月一日ヨリ二十八日限
第二十四条 家屋税ハ納期開始ノ時ニ於テ家屋台帳ニ所有者トシテ登録セラレタル者ヨリ之ヲ徴収ス但シ質権ノ目的タル家屋ニ付テハ家屋台帳ニ質権者トシテ登録セラレタル者ヨリ之ヲ徴収ス
第二十五条 家屋税ハ各納税義務者ニ付同一市会内ニ於ケル家屋ノ賃貸価格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徴収ス但シ賃貸価格ノ合計金額ガ十円ニ満タザルトキハ家屋税ヲ徴収セズ
第二十六条 賃貸価格ノ設定又ハ修正ヲ為シタル家屋ニハ其ノ設定又ハ修正ヲ為シタル年ノ翌年分ヨリ設定賃貸価格又ハ修正賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ課ス
第二十七条 家屋税ヲ課スル家屋ガ家屋税ヲ課セザル家屋ト為リタルトキハ申告アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋税ヲ徴収セズ
第二十八条 家屋ガ滅失シタルトキ其ノ他家屋トシテノ効用ヲ失ヒタルトキハ家屋所有者又ハ質権者ノ申請ニ依リ申請アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋税ヲ徴収セズ
第二十九条 賃貸価格ヲ一般ニ改訂シタルトキハ改訂シタル年ノ分ヨリ其ノ改訂賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ徴収ス但シ改訂シタル年ノ一月一日以後賃貸価格ヲ改訂スル迄ノ間ニ於テ建築シタル家屋、増築シタル家屋ノ増築ニ係ル部分又ハ家屋税ヲ課セザル家屋ガ家屋税ヲ課スル家屋ト為リタルモノニ付テハ改訂シタル年ノ翌年分ヨリ其ノ改訂賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ徴収ス
第三十条 税務官吏ハ家屋ノ検査ヲ為シ又ハ家屋ノ所有者、質権者其ノ他ノ利害関係人ニ対シ必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十一条 本令ハ国有ノ家屋ニハ之ヲ適用セズ
第三十二条 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外家屋税ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第三十三条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十四条 本令ハ有料借家ニ非ザル家屋ニ付テハ昭和十三年分家屋税ヨリ、有料借家ニ付テハ昭和十四年分家屋税ヨリ之ヲ適用ス
前項ノ昭和十三年分家屋税ハ第七条ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ十二分ノ三ヲ以テ其ノ税額トシ第二十三条ノ規定ニ拘ラズ昭和十四年三月一日ヨリ三十一日限リ之ヲ徴収ス
第三十五条 有料借家ニ非ザル家屋ニシテ昭和十三年中ニ於テ建築シタルモノ、増築シタルモノノ増築ニ係ル部分又ハ家屋税ヲ課セザル家屋ガ家屋税ヲ課スル家屋ト為リタルモノニ付テハ昭和十四年分ヨリ家屋税ヲ徴収ス
第三十六条 本令施行ノ際ニ於ケル賃貸価格ハ関東州家屋調査令ニ依リ調査シタル賃貸価格ヲ家屋賃貸価格調査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ定ム但シ同令第一条第二項本文ニ掲グル家屋ノ賃貸価格ニ付テハ賃貸価格調査委員会ニ諮問スルコトヲ要セズ
第十三条、第十五条、第十六条第一項第一号第二項、第十七条及第十八条ノ規定ハ前項ノ賃貸価格調査委員会ニ付之ヲ準用ス
賃貸価格調査委員ハ賃貸価格調査委員会ヲ置クベキ区域内ニ居住スル者ノ中ヨリ関東州庁長官之ヲ命ズ
第三十七条 前条ノ賃貸価格調査委員会昭和十四年一月三十一日迄ニ成立セザルトキ又ハ諮問事項ヲ議了セザルトキハ政府ニ於テ本令施行ノ際ニ於ケル賃貸価格ヲ定ム
第三十八条 第二十条乃至第二十二条ノ規定ハ本令施行ノ際ニ於ケル賃貸価格ニ付之ヲ準用ス
第三十九条 左ニ掲グル家屋ニハ当分ノ内家屋税ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 漁業組合、実業組合、金融組合又ハ金融組合連合会ノ用ニ供スル家屋
二 社会事業又ハ公益事業ノ用ニ供スル家屋ニシテ大使ノ指定スルモノ