第一條 兵在營期間(應召期間ヲ含ム以下之ニ同ジ)中故意又ハ自己ノ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ服務ニ關聯シ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲在營期間中又ハ在營期間ヨリ引續キ陸海軍ニ於テ官費治療中一種以上ノ兵役ヲ免ゼラレ又ハ死亡シタルトキハ本令ニ依リ別表ノ轉免役賜金ヲ給ス但シ一種以上ノ兵役ヲ免ゼラレ引續キ陸海軍ニ於テ官費治療ヲ受クル者ニ在リテハ之ヲ受ケザルニ至リタルトキ又ハ死亡シタルトキ本令ノ賜金ヲ給ス
第二條 本令ニ於テ兵トハ陸軍兵(憲兵上等兵及軍樂上等兵ヲ除ク)及海軍兵ヲ謂フ
第四條 本令ノ賜金ハ陸軍給與令第十七條ノ二ノ規定ニ依ル退營賜金又ハ海軍給與令第六十五條第一項第二號ノ規定ニ依ル傷病手當ヲ受クベキ者ニハ之ヲ給セズ但シ本令ノ賜金ノ額退營賜金ノ額又ハ傷病手當ノ額ヨリ多キトキハ其ノ差額ヲ給ス
第五條 兵死亡ノ後ニ於テ給スベキ本令ノ賜金ハ之ヲ其ノ遺族ニ給ス
本令ノ賜金ヲ受クベキ遺族ハ兵ノ妻、子、父、母、祖父、祖母、兄弟及姉妹ニシテ兵死亡當時ヨリ引續キ之ト同一戶籍內ニ在ルモノニ限ル但シ兵死亡後分家シタル遺族又ハ分家シタル遺族ニ伴ヒ其ノ家ニ入リタル遺族ハ引續キ兵ト同一戶籍內ニ在ルモノト看做ス
兵死亡當時胎兒タル子出生シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ兵死亡當時之ト同一戶籍內ニ在リタルモノト看做ス
第六條 本令ノ賜金ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前條第二項ニ揭グル順序ニ依リ同順序內ニ在リテハ男ハ女ニ、長ハ幼ニ先ツ但シ兵ノ家督相續人ハ同順序內ニ在リテハ最先トス
第七條 第五條ニ揭グル遺族ナキ場合ニ於テハ兵死亡ノ當時實家又ハ本家ニ在ル實父母、兵ノ家督相續人、兵死亡當時ニ於ケル戶主ノ順位ニ依リ同條ニ揭グル遺族ニ給スベキ金額ノ二分ノ一ヲ給スルコトヲ得
第八條 本令ノ賜金ヲ受クベキ順位ニ在ル遺族左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ本令ノ賜金ハ其ノ次順位ノ遺族ニ之ヲ給ス
三 分家ノ場合ヲ除クノ外同一戶籍內ニ在ラザルニ至リタルトキ
四 死刑又ハ無期若ハ六年以上ノ懲役若ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタルトキ
五 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ刑ノ執行ヲ終リ又ハ刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ナルトキ
本令ノ賜金ハ前項第二號又ハ第五號ノ場合ニ於テ其ノ次順位ノ遺族ナキトキハ其ノ所在分明ト爲リタルトキ又ハ刑ノ執行ヲ終リ若ハ刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタルトキ其ノ者ニ特ニ之ヲ給スルコトヲ得
第九條 本令ノ賜金ハ第一條ノ規定ニ依リ之ヲ受クベキ事由ノ生ジタル日(前條第二項ノ場合ニ在リテハ所在分明ト爲リタル日又ハ刑ノ執行ヲ終リ若ハ刑ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日)ヨリ二年以內ニ請求セザルトキハ之ヲ受クルノ資格ヲ失フ但シ恩給法ニ依リ增加恩給、傷病年金若ハ傷病賜金又ハ同法第七十五條第一項第二號若ハ第三號ノ扶助料ヲ請求シ却下セラレタル者ニ在リテハ却下ノ日ヨリ一年以內ニ請求セザルトキハ之ヲ受クルノ資格ヲ失フ
兵本令ノ賜金ヲ請求中死亡シタルトキハ陸軍大臣及海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ請求ハ本令ノ適用ニ付テハ之ヲ遺族ノ爲シタル請求ト看做ス
前項ノ規定ハ遺族本令ノ賜金ヲ請求中前條第一項各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキ其ノ次順位ノ遺族ノ爲スベキ請求ニ之ヲ準用ス
第十一條 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ賜金ノ給與ニ關シ必要ナル事項ハ陸軍大臣及海軍大臣之ヲ定ム