第四條 政府ハ電力管理法第二條ノ規定ニ依ル勅令ノ定ムル電力設備及其ノ附屬設備ヲ本章ノ規定ニ依リ日本發送電株式會社ニ對シ出資セシムルコトヲ得
第五條 政府ハ前條ノ電力設備及其ノ附屬設備ヲ日本發送電株式會社ニ出資セシメントスルトキハ出資セシムベキ設備及出資ノ期日ヲ公吿スベシ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ日本發送電株式會社及當該設備ノ所有者ニ其ノ旨ヲ通知スベシ
第六條 前條第二項ノ通知ノ後出資ノ目的タル設備ノ所有者當該設備ノ現狀ヲ變更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七條 第五條第二項ノ通知ノ後ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ當該設備ヲ讓渡シ又ハ當該設備ヲ新ニ所有權以外ノ權利ノ目的ト爲スコトヲ得ズ
第八條 政府ハ日本發送電株式會社ニ對シ國有ノ電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資スルコトヲ得
第九條 出資ノ目的タル設備ノ價格ハ左ノ各號ノ金額ノ和ノ二分ノ一ニ相當スル金額ニ依リ之ヲ算定ス
一 當該設備ノ建設費ヨリ減價銷却金額ヲ控除シタル金額
二 當該設備所有者ノ過去十年間ニ於ケル建設費ニ對スル益金ノ平均割合ヲ出資設備ノ建設費ニ乘ジタル金額ヲ一定ノ利率ヲ以テ還元シタル金額
前項ノ建設費、減價銷却金額及益金ハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經テ主務大臣之ヲ決定ス
第十條 電力評價審査委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 日本發送電株式會社ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ニ對シ第九條ノ規定ニ依リ決定シタル價格ニ相當スル株式金額ノ全額拂込濟株式ヲ割當ツベシ但シ當該株式一株ノ金額ニ滿タザル部分ニ對シテハ金錢ヲ以テ支拂フベシ
出資ノ目的タル設備ニ變更アリテ其ノ變更部分ニ付株式割當ノ日迄ニ價格決定セザルトキハ當該部分ニ對シテハ金錢ヲ以テ決濟スルコトヲ得株式割當後變更ヲ生ジタル部分ニ付亦同ジ
第十二條 出資ノ目的タル設備ハ日本發送電株式會社ノ設立又ハ增資ノ登記ノ時ニ於テ日本發送電株式會社ニ出資セラレタルモノト看做ス
第十三條 第九條ノ規定ニ依ル出資價格ニ付不服アル出資者ハ同條第二項ノ規定ニ依ル決定ノ通知アリタル日ヨリ一月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九條ノ規定ニ依ル出資價格ガ通常裁判所ノ認定シタル價格ニ達セザルトキハ其ノ差額ハ日本發送電株式會社ノ設立又ハ增資ノ登記ノ日以後ニ於テ金錢ヲ以テ之ヲ支拂フベシ
第十四條 電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資シタルニ因リ殘存電氣事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リタルトキハ出資者ハ日本發送電株式會社ニ對シ當該事業設備ノ買收ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル事業繼續ノ能否、買收價格、買收範圍其ノ他買收ノ條件ハ當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
價格ニ關スル當事者ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二項ノ裁定中事業繼續ノ能否又ハ買收價格ニ付不服アル者ハ裁定ノ通知アリタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
主務大臣第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ裁定又ハ認可ヲ爲サントスルトキハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第十五條 電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資シタル者ハ日本發送電株式會社ニ對シ出資ノ日ヨリ三年間ヲ限リ其ノ出資ニ對シ與ヘラレタル株式ヲ其ノ額面金額ヲ以テ買入ルルコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ日本發送電株式會社ハ一時其ノ株式ヲ取得スルコトヲ得
第一項ノ買入代價ニ付テハ出資者ノ同意アル場合又ハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ日本發送電株式會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ支拂保證アル社債券ヲ以テ時價ニ依リ之ヲ交付スルコトヲ得其ノ社債券ノ發行ニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ社債ニ付テハ政府ハ元利ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第十六條 第四條ノ規定ニ基キ日本發送電株式會社ニ出資セラレタル電力設備及其ノ附屬設備ニ付當該設備ノ所有者ガ有シタル河川、湖又ハ沼ノ使用ニ關スル權利義務竝ニ道路其ノ他土地ノ占用又ハ使用ニ關スル權利義務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本發送電株式會社之ヲ承繼ス
第十七條 第十二條及前條ノ場合ニ於ケル登記ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム