日本発送電株式会社法
法令番号: 法律第七十七號
公布年月日: 昭和13年4月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル日本發送電株式會社法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年四月五日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
遞信大臣 永井柳太郞
大藏大臣 賀屋興宣
法律第七十七號
日本發送電株式會社法
第一章 總則
第一條 日本發送電株式會社ハ電力設備及其ノ附屬設備ヲ爲シ政府ノ管理ニ屬スル發電及送電ヲ行フコトヲ目的トスル株式會社トス
日本發送電株式會社ハ主務大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ニ定ムルモノノ外附帶業務ヲ營ムコトヲ得
第二條 日本發送電株式會社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第三條 日本發送電株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第二章 出資
第四條 政府ハ電力管理法第二條ノ規定ニ依ル勅令ノ定ムル電力設備及其ノ附屬設備ヲ本章ノ規定ニ依リ日本發送電株式會社ニ對シ出資セシムルコトヲ得
第五條 政府ハ前條ノ電力設備及其ノ附屬設備ヲ日本發送電株式會社ニ出資セシメントスルトキハ出資セシムベキ設備及出資ノ期日ヲ公吿スベシ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ日本發送電株式會社及當該設備ノ所有者ニ其ノ旨ヲ通知スベシ
第六條 前條第二項ノ通知ノ後出資ノ目的タル設備ノ所有者當該設備ノ現狀ヲ變更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七條 第五條第二項ノ通知ノ後ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ當該設備ヲ讓渡シ又ハ當該設備ヲ新ニ所有權以外ノ權利ノ目的ト爲スコトヲ得ズ
第八條 政府ハ日本發送電株式會社ニ對シ國有ノ電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資スルコトヲ得
第九條 出資ノ目的タル設備ノ價格ハ左ノ各號ノ金額ノ和ノ二分ノ一ニ相當スル金額ニ依リ之ヲ算定ス
一 當該設備ノ建設費ヨリ減價銷却金額ヲ控除シタル金額
二 當該設備所有者ノ過去十年間ニ於ケル建設費ニ對スル益金ノ平均割合ヲ出資設備ノ建設費ニ乘ジタル金額ヲ一定ノ利率ヲ以テ還元シタル金額
前項ノ建設費、減價銷却金額及益金ハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經テ主務大臣之ヲ決定ス
第一項第二號ノ一定ノ利率ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第十條 電力評價審査委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 日本發送電株式會社ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ニ對シ第九條ノ規定ニ依リ決定シタル價格ニ相當スル株式金額ノ全額拂込濟株式ヲ割當ツベシ但シ當該株式一株ノ金額ニ滿タザル部分ニ對シテハ金錢ヲ以テ支拂フベシ
出資ノ目的タル設備ニ變更アリテ其ノ變更部分ニ付株式割當ノ日迄ニ價格決定セザルトキハ當該部分ニ對シテハ金錢ヲ以テ決濟スルコトヲ得株式割當後變更ヲ生ジタル部分ニ付亦同ジ
第十二條 出資ノ目的タル設備ハ日本發送電株式會社ノ設立又ハ增資ノ登記ノ時ニ於テ日本發送電株式會社ニ出資セラレタルモノト看做ス
第十三條 第九條ノ規定ニ依ル出資價格ニ付不服アル出資者ハ同條第二項ノ規定ニ依ル決定ノ通知アリタル日ヨリ一月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九條ノ規定ニ依ル出資價格ガ通常裁判所ノ認定シタル價格ニ達セザルトキハ其ノ差額ハ日本發送電株式會社ノ設立又ハ增資ノ登記ノ日以後ニ於テ金錢ヲ以テ之ヲ支拂フベシ
第十四條 電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資シタルニ因リ殘存電氣事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リタルトキハ出資者ハ日本發送電株式會社ニ對シ當該事業設備ノ買收ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル事業繼續ノ能否、買收價格、買收範圍其ノ他買收ノ條件ハ當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
價格ニ關スル當事者ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二項ノ裁定中事業繼續ノ能否又ハ買收價格ニ付不服アル者ハ裁定ノ通知アリタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
主務大臣第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ裁定又ハ認可ヲ爲サントスルトキハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第十五條 電力設備及其ノ附屬設備ヲ出資シタル者ハ日本發送電株式會社ニ對シ出資ノ日ヨリ三年間ヲ限リ其ノ出資ニ對シ與ヘラレタル株式ヲ其ノ額面金額ヲ以テ買入ルルコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ日本發送電株式會社ハ一時其ノ株式ヲ取得スルコトヲ得
第一項ノ買入代價ニ付テハ出資者ノ同意アル場合又ハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ日本發送電株式會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ支拂保證アル社債券ヲ以テ時價ニ依リ之ヲ交付スルコトヲ得其ノ社債券ノ發行ニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ社債ニ付テハ政府ハ元利ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第十六條 第四條ノ規定ニ基キ日本發送電株式會社ニ出資セラレタル電力設備及其ノ附屬設備ニ付當該設備ノ所有者ガ有シタル河川、湖又ハ沼ノ使用ニ關スル權利義務竝ニ道路其ノ他土地ノ占用又ハ使用ニ關スル權利義務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本發送電株式會社之ヲ承繼ス
第十七條 第十二條及前條ノ場合ニ於ケル登記ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 役員
第十八條 日本發送電株式會社ニ總裁副總裁各一人、理事五人以上及監事三人以上ヲ置ク
第十九條 總裁ハ日本發送電株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ日本發送電株式會社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
監事ハ日本發送電株式會社ノ業務ヲ監査ス
第二十條 總裁及副總裁ハ勅裁ヲ經テ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第二十一條 總裁、副總裁及日本發送電株式會社ノ業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十二條 電氣事業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本發送電株式會社ノ役員ト爲リ又ハ其ノ給與ヲ受クル事務ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四章 業務
第二十三條 日本發送電株式會社ノ爲ス電力ノ受給其ノ他ノ業務ノ運營ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 日本發送電株式會社ハ電力管理法第三條ノ建設又ハ變更ノ計畫ニ從ヒ主務大臣ノ命ズル所ニ依リ電力設備及其ノ附屬設備ノ建設又ハ變更ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ命令ヲ爲ス場合ニ於テ必要アルトキハ發電ノ爲ニスル河川、湖若ハ沼ノ使用ニ關スル許可又ハ電力設備ノ施設ニ關スル許可若ハ認可ハ當該許可又ハ認可ヲ爲シタル行政官廳ニ於テ之ガ取消ヲ爲シ若ハ其ノ條件ヲ變更シ又ハ當該旣設工作物ノ變更若ハ除却ヲ命ズルモノトス
第二十五條 日本發送電株式會社ハ前條ノ行政官廳ノ處分ヲ受ケタル者ニ對シ相當ノ補償ヲ爲スベシ
許可又ハ認可ヲ受ケ未ダ工事ニ着手セザルモノニ付テハ前項ノ補償ハ調査又ハ測量其ノ他工事準備ノ爲支出シタル通常ノ費用ノ限度ニ於テ之ヲ爲スベシ
第二十六條 日本發送電株式會社ノ爲シタル電力設備及其ノ附屬設備ノ建設又ハ變更ニ因リ著シク利益ヲ受クル電力設備ノ所有者ハ利益ヲ受クル限度ニ於テ當該建設又ハ變更ニ關スル工事ノ費用ノ一部ヲ負擔スベシ
第二十七條 第十四條第二項及第四項ノ規定ハ第二十五條ノ補償又ハ前條ノ負擔ニ付之ヲ準用ス
第二十八條 日本發送電株式會社ハ其ノ送電設備ニ接續スル發電設備ニ依リ發生シタル電力ノ買入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第五章 特權
第二十九條 日本發送電株式會社ハ株金全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第三十條 日本發送電株式會社ハ商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一條 日本發送電株式會社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 設立及第四條又ハ第八條ニ規定スル出資ニ因ル資本ノ增加 拂込株金額又ハ增資拂込株金額ノ千分ノ一
二 第四條、第八條又ハ第十四條ニ規定スル出資又ハ買收ニ基ク不動產ニ關スル權利ノ取得 不動產ノ價格ノ千分ノ三
北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ日本發送電株式會社ニ對シ前項ニ規定スル不動產ニ關スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十二條 日本發送電株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキ(利益金額ナキトキ及缺損ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ初營業年度及爾後十年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
日本發送電株式會社ハ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額(前項ノ規定ニ依ル償還金額ヲ含マズ)ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ノ二分ノ一以上ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
前項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第六章 監督及義務
第三十三條 政府ハ日本發送電株式會社ノ業務ヲ監督ス
第三十四條 定款ノ變更、利益金ノ處分、社債ノ募集、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第三十五條 日本發送電株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ電力設備若ハ其ノ附屬設備ヲ讓渡シ又ハ當該設備ヲ所有權以外ノ權利ノ目的ト爲スコトヲ得ズ第二章ノ規定ニ依ル場合ヲ除キ電力設備又ハ其ノ附屬設備ノ取得ニ付亦同ジ
第三十六條 主務大臣ハ日本發送電株式會社監理官ヲ置キ日本發送電株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第三十七條 日本發送電株式會社監理官ハ何時ニテモ日本發送電株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本發送電株式會社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本發送電株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本發送電株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十八條 主務大臣ハ日本發送電株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第三十九條 日本發送電株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ總裁又ハ總裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副總裁又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副總裁又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ許可又ハ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ基キテ爲ス命令ニ違反シタルトキ
第四十條 日本發送電株式會社ノ總裁、副總裁又ハ理事第二十一條ノ規定ニ違反シ他ノ職務又ハ商業ニ從事シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十一條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第四十二條 出資ノ目的タル設備ノ所有者第六條ノ規定ニ違反シ主務大臣ノ認可ヲ受ケズシテ電力設備又ハ其ノ附屬設備ノ現狀ヲ變更シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
出資ノ目的タル設備ノ所有者ハ其ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シテ前項ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第一項ノ罰則ハ當該所有者法人ナルトキハ取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第四十三條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十四條 政府ハ設立委員ヲ命ジ日本發送電株式會社ノ設立及開業準備ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第四十五條 第五條第二項及第十一條ノ規定中日本發送電株式會社トアルハ會社設立ノ場合ニ於テハ設立委員トス
第四十六條 第十三條ニ規定スル訴ハ日本發送電株式會社ノ成立前ニ於テハ設立委員ヲ相手方トシテ之ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ訴ハ日本發送電株式會社ガ成立シタルトキハ中斷ス此ノ場合ニ於テハ會社ハ訴訟手續ヲ受繼グコトヲ要ス
第四十七條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式總數ヨリ金錢以外ノ財產ヲ目的トスル出資ニ對シテ割當ツベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第四十八條 株式申込證ニハ定款認可ノ年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第二號、第四號及第五號ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第四十九條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
設立委員ハ前項ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
第五十條 前條ノ拂込アリタル後設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第五十一條 創立總會ノ決議ハ出席シタル株式引受人ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス
第五十二條 創立總會ニ於テハ第二十條ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十三條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本發送電株式會社總裁ニ引渡スベシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル日本発送電株式会社法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年四月五日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
逓信大臣 永井柳太郎
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第七十七号
日本発送電株式会社法
第一章 総則
第一条 日本発送電株式会社ハ電力設備及其ノ附属設備ヲ為シ政府ノ管理ニ属スル発電及送電ヲ行フコトヲ目的トスル株式会社トス
日本発送電株式会社ハ主務大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ニ定ムルモノノ外附帯業務ヲ営ムコトヲ得
第二条 日本発送電株式会社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第三条 日本発送電株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人若ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第二章 出資
第四条 政府ハ電力管理法第二条ノ規定ニ依ル勅令ノ定ムル電力設備及其ノ附属設備ヲ本章ノ規定ニ依リ日本発送電株式会社ニ対シ出資セシムルコトヲ得
第五条 政府ハ前条ノ電力設備及其ノ附属設備ヲ日本発送電株式会社ニ出資セシメントスルトキハ出資セシムベキ設備及出資ノ期日ヲ公告スベシ
前項ノ場合ニ於テハ政府ハ日本発送電株式会社及当該設備ノ所有者ニ其ノ旨ヲ通知スベシ
第六条 前条第二項ノ通知ノ後出資ノ目的タル設備ノ所有者当該設備ノ現状ヲ変更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七条 第五条第二項ノ通知ノ後ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ当該設備ヲ譲渡シ又ハ当該設備ヲ新ニ所有権以外ノ権利ノ目的ト為スコトヲ得ズ
第八条 政府ハ日本発送電株式会社ニ対シ国有ノ電力設備及其ノ附属設備ヲ出資スルコトヲ得
第九条 出資ノ目的タル設備ノ価格ハ左ノ各号ノ金額ノ和ノ二分ノ一ニ相当スル金額ニ依リ之ヲ算定ス
一 当該設備ノ建設費ヨリ減価銷却金額ヲ控除シタル金額
二 当該設備所有者ノ過去十年間ニ於ケル建設費ニ対スル益金ノ平均割合ヲ出資設備ノ建設費ニ乗ジタル金額ヲ一定ノ利率ヲ以テ還元シタル金額
前項ノ建設費、減価銷却金額及益金ハ電力評価審査委員会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定ス
第一項第二号ノ一定ノ利率ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第十条 電力評価審査委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 日本発送電株式会社ハ出資ノ目的タル設備ノ所有者ニ対シ第九条ノ規定ニ依リ決定シタル価格ニ相当スル株式金額ノ全額払込済株式ヲ割当ツベシ但シ当該株式一株ノ金額ニ満タザル部分ニ対シテハ金銭ヲ以テ支払フベシ
出資ノ目的タル設備ニ変更アリテ其ノ変更部分ニ付株式割当ノ日迄ニ価格決定セザルトキハ当該部分ニ対シテハ金銭ヲ以テ決済スルコトヲ得株式割当後変更ヲ生ジタル部分ニ付亦同ジ
第十二条 出資ノ目的タル設備ハ日本発送電株式会社ノ設立又ハ増資ノ登記ノ時ニ於テ日本発送電株式会社ニ出資セラレタルモノト看做ス
第十三条 第九条ノ規定ニ依ル出資価格ニ付不服アル出資者ハ同条第二項ノ規定ニ依ル決定ノ通知アリタル日ヨリ一月内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九条ノ規定ニ依ル出資価格ガ通常裁判所ノ認定シタル価格ニ達セザルトキハ其ノ差額ハ日本発送電株式会社ノ設立又ハ増資ノ登記ノ日以後ニ於テ金銭ヲ以テ之ヲ支払フベシ
第十四条 電力設備及其ノ附属設備ヲ出資シタルニ因リ残存電気事業ヲ継続スルコト能ハザルニ至リタルトキハ出資者ハ日本発送電株式会社ニ対シ当該事業設備ノ買収ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル事業継続ノ能否、買収価格、買収範囲其ノ他買収ノ条件ハ当事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
価格ニ関スル当事者ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二項ノ裁定中事業継続ノ能否又ハ買収価格ニ付不服アル者ハ裁定ノ通知アリタル日ヨリ三月内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
主務大臣第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ裁定又ハ認可ヲ為サントスルトキハ電力評価審査委員会ノ議ヲ経ベシ
第十五条 電力設備及其ノ附属設備ヲ出資シタル者ハ日本発送電株式会社ニ対シ出資ノ日ヨリ三年間ヲ限リ其ノ出資ニ対シ与ヘラレタル株式ヲ其ノ額面金額ヲ以テ買入ルルコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ日本発送電株式会社ハ一時其ノ株式ヲ取得スルコトヲ得
第一項ノ買入代価ニ付テハ出資者ノ同意アル場合又ハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ日本発送電株式会社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ支払保証アル社債券ヲ以テ時価ニ依リ之ヲ交付スルコトヲ得其ノ社債券ノ発行ニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
前項ノ社債ニ付テハ政府ハ元利ノ支払ヲ保証スルコトヲ得
第十六条 第四条ノ規定ニ基キ日本発送電株式会社ニ出資セラレタル電力設備及其ノ附属設備ニ付当該設備ノ所有者ガ有シタル河川、湖又ハ沼ノ使用ニ関スル権利義務並ニ道路其ノ他土地ノ占用又ハ使用ニ関スル権利義務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本発送電株式会社之ヲ承継ス
第十七条 第十二条及前条ノ場合ニ於ケル登記ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 役員
第十八条 日本発送電株式会社ニ総裁副総裁各一人、理事五人以上及監事三人以上ヲ置ク
第十九条 総裁ハ日本発送電株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副総裁ハ総裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副総裁及理事ハ総裁ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ日本発送電株式会社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ参与ス
監事ハ日本発送電株式会社ノ業務ヲ監査ス
第二十条 総裁及副総裁ハ勅裁ヲ経テ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主総会ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選挙シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
監事ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第二十一条 総裁、副総裁及日本発送電株式会社ノ業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十二条 電気事業ヲ監督スル官庁ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本発送電株式会社ノ役員ト為リ又ハ其ノ給与ヲ受クル事務ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四章 業務
第二十三条 日本発送電株式会社ノ為ス電力ノ受給其ノ他ノ業務ノ運営ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四条 日本発送電株式会社ハ電力管理法第三条ノ建設又ハ変更ノ計画ニ従ヒ主務大臣ノ命ズル所ニ依リ電力設備及其ノ附属設備ノ建設又ハ変更ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ命令ヲ為ス場合ニ於テ必要アルトキハ発電ノ為ニスル河川、湖若ハ沼ノ使用ニ関スル許可又ハ電力設備ノ施設ニ関スル許可若ハ認可ハ当該許可又ハ認可ヲ為シタル行政官庁ニ於テ之ガ取消ヲ為シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ又ハ当該既設工作物ノ変更若ハ除却ヲ命ズルモノトス
第二十五条 日本発送電株式会社ハ前条ノ行政官庁ノ処分ヲ受ケタル者ニ対シ相当ノ補償ヲ為スベシ
許可又ハ認可ヲ受ケ未ダ工事ニ着手セザルモノニ付テハ前項ノ補償ハ調査又ハ測量其ノ他工事準備ノ為支出シタル通常ノ費用ノ限度ニ於テ之ヲ為スベシ
第二十六条 日本発送電株式会社ノ為シタル電力設備及其ノ附属設備ノ建設又ハ変更ニ因リ著シク利益ヲ受クル電力設備ノ所有者ハ利益ヲ受クル限度ニ於テ当該建設又ハ変更ニ関スル工事ノ費用ノ一部ヲ負担スベシ
第二十七条 第十四条第二項及第四項ノ規定ハ第二十五条ノ補償又ハ前条ノ負担ニ付之ヲ準用ス
第二十八条 日本発送電株式会社ハ其ノ送電設備ニ接続スル発電設備ニ依リ発生シタル電力ノ買入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第五章 特権
第二十九条 日本発送電株式会社ハ株金全額払込前ト雖モ其ノ資本ヲ増加スルコトヲ得
第三十条 日本発送電株式会社ハ商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一条 日本発送電株式会社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登録税ノ額ハ左ノ額トス但シ登録税法ニ依リ算出シタル登録税ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 設立及第四条又ハ第八条ニ規定スル出資ニ因ル資本ノ増加 払込株金額又ハ増資払込株金額ノ千分ノ一
二 第四条、第八条又ハ第十四条ニ規定スル出資又ハ買収ニ基ク不動産ニ関スル権利ノ取得 不動産ノ価格ノ千分ノ三
北海道、府県及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ日本発送電株式会社ニ対シ前項ニ規定スル不動産ニ関スル権利ノ取得ニ関シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十二条 日本発送電株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキ(利益金額ナキトキ及欠損ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ初営業年度及爾後十年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ
毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
日本発送電株式会社ハ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額(前項ノ規定ニ依ル償還金額ヲ含マズ)ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ノ二分ノ一以上ヲ配当準備ノ為別ニ積立ツベシ
前項ノ規定ニ依ル積立金ハ後営業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配当シ得ベキ利益金ト看做ス
第六章 監督及義務
第三十三条 政府ハ日本発送電株式会社ノ業務ヲ監督ス
第三十四条 定款ノ変更、利益金ノ処分、社債ノ募集、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第三十五条 日本発送電株式会社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ電力設備若ハ其ノ附属設備ヲ譲渡シ又ハ当該設備ヲ所有権以外ノ権利ノ目的ト為スコトヲ得ズ第二章ノ規定ニ依ル場合ヲ除キ電力設備又ハ其ノ附属設備ノ取得ニ付亦同ジ
第三十六条 主務大臣ハ日本発送電株式会社監理官ヲ置キ日本発送電株式会社ノ業務ヲ監視セシム
第三十七条 日本発送電株式会社監理官ハ何時ニテモ日本発送電株式会社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ検査スルコトヲ得
日本発送電株式会社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本発送電株式会社ニ命ジ業務ニ関スル諸般ノ計算及状況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本発送電株式会社監理官ハ株主総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十八条 主務大臣ハ日本発送電株式会社ノ決議又ハ役員ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第三十九条 日本発送電株式会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ総裁又ハ総裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副総裁ヲ五千円以下ノ過料ニ処ス副総裁又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副総裁又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ許可又ハ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ基キテ為ス命令ニ違反シタルトキ
第四十条 日本発送電株式会社ノ総裁、副総裁又ハ理事第二十一条ノ規定ニ違反シ他ノ職務又ハ商業ニ従事シタルトキハ千円以下ノ過料ニ処ス
第四十一条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第四十二条 出資ノ目的タル設備ノ所有者第六条ノ規定ニ違反シ主務大臣ノ認可ヲ受ケズシテ電力設備又ハ其ノ附属設備ノ現状ヲ変更シタルトキハ千円以下ノ罰金ニ処ス
出資ノ目的タル設備ノ所有者ハ其ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シテ前項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第一項ノ罰則ハ当該所有者法人ナルトキハ取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第四十三条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十四条 政府ハ設立委員ヲ命ジ日本発送電株式会社ノ設立及開業準備ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第四十五条 第五条第二項及第十一条ノ規定中日本発送電株式会社トアルハ会社設立ノ場合ニ於テハ設立委員トス
第四十六条 第十三条ニ規定スル訴ハ日本発送電株式会社ノ成立前ニ於テハ設立委員ヲ相手方トシテ之ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ訴ハ日本発送電株式会社ガ成立シタルトキハ中断ス此ノ場合ニ於テハ会社ハ訴訟手続ヲ受継グコトヲ要ス
第四十七条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式総数ヨリ金銭以外ノ財産ヲ目的トスル出資ニ対シテ割当ツベキ株式ヲ控除シタル残余ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第四十八条 株式申込証ニハ定款認可ノ年月日並ニ商法第百二十六条第二項第二号、第四号及第五号ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第四十九条 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
設立委員ハ前項ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
第五十条 前条ノ払込アリタル後設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
第五十一条 創立総会ノ決議ハ出席シタル株式引受人ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
第五十二条 創立総会ニ於テハ第二十条ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選挙及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十三条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本発送電株式会社総裁ニ引渡スベシ