工場事業場管理令
法令番号: 勅令第五百二十八號
公布年月日: 昭和12年9月25日
法令の形式: 勅令
朕工場事業場管理令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十四日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
外務大臣 廣田弘毅
內務大臣 馬場鍈一
海軍大臣 米內光政
司法大臣 鹽野季彥
陸軍大臣 杉山元
遞信大臣 永井柳太郞
文部大臣 安井英二
大藏大臣 賀屋興宣
農林大臣 伯爵 有馬賴寧
商工大臣 吉野信次
鐵道大臣 中島知久平
拓務大臣 大谷尊由
勅令第五百二十八號
工場事業場管理令
第一條 軍需工業動員法第二條ノ規定ニ依ル工場及事業場竝ニ其ノ附屬設備(以下工場事業場ト稱ス)ノ管理ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 主務大臣工場事業場ヲ管理セントスルトキハ內閣總理大臣ニ協議スベシ
第三條 管理ハ主務大臣ノ發スル管理令書送達ノ時ヨリ開始ス但シ管理令書ヲ以テ別段ノ定ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
管理令書ノ送達ハ管理スベキ工場事業場ノ事業主ニ對シ之ヲ爲ス但シ已ムヲ得ザル場合ニ於テハ工場事業場ノ長其ノ他之ニ準ズル者ニ對シ之ヲ爲スコトヲ得
第四條 管理令書ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 工場事業場ノ名稱及所在ノ場所
二 管理ノ範圍
三 第十三條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ職權ノ一部ヲ行フ官衙ノ長アルトキハ其ノ長及其ノ職權ノ範圍
四 監理官ノ官職氏名
五 其ノ他必要ト認ムル事項
第五條 第二條及第三條ノ規定ハ管理ノ範圍ヲ變更シ又ハ管理ヲ廢止スル場合ニ之ヲ準用ス
第三條第二項ノ規定ハ前條第三號乃至第五號ノ事項ニ變更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第六條 主務大臣ハ其ノ管理ニ係ル工場事業場ニ於ケル軍需品又ハ軍需品ノ生產若ハ修理ニ要スル原料、燃料、電力若ハ動力ノ生產、修理又ハ發生ニ關シ當該工場事業場ノ業務ニ付事業主ヲ指揮監督ス
第七條 主務大臣ハ其ノ管理ニ係ル工場事業場ニ付監理官ヲ置キ當該工場事業場ノ業務ノ監督ニ從事セシム
第八條 管理ニ係ル工場事業場ノ事業主當該工場事業場ノ經營ヲ廢止シ又ハ休止セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第九條 管理ニ係ル工場事業場ノ事業主ハ本令又ハ本令ニ依ル命令ノ適用ニ付事業主ニ代ルベキ事業管理人ヲ選任スルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業主ニ對シ事業管理人ノ選任ヲ命ズルコトヲ得
事業主左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ事業管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
一 法人ナルトキ
二 營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者又ハ禁治產者ナルトキ
三 本令施行地ニ居住セザルトキ
事業管理人ノ選任及解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二項及第三項ノ場合ニ於テ事業主事業管理人ヲ選任セズ又ハ選任スルコト能ハザルトキハ主務大臣ハ工場事業場ノ經營ニ付權限ヲ有スル者ノ中ヨリ事業管理人ヲ選任スルコトヲ得
第十條 事業管理人ガ本令又ハ本令ニ依ル命令ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十一條 工場事業場ノ管理ニ因リ生ジタル損害ノ補償ヲ請求セントスル者ハ管理廢止ノ後命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ請求スベシ但シ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ每事業年度ノ終リタル後又ハ損害ノ生ジタル都度之ヲ請求スルコトヲ得
第十二條 管理ニ係ル工場事業場ノ經營ヲ承繼スル者ハ本令又ハ本令ニ依ル命令ニ基ク前者ノ權利義務ヲ承繼ス
第十三條 主務大臣ハ本令ニ依ル管理ニ係ル工場事業場ニ對スル職權ノ一部ヲ所轄官衙ノ長ヲシテ行ハシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該官衙ノ長ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規定ニ依ル職權ヲ其ノ所屬官衙ノ長ヲシテ行ハシムルコトヲ得
第十四條 本令中主務大臣トアルハ軍機保護上其ノ他軍事上特ニ必要アル工場事業場ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
前項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南滿洲鐵道附屬地又ハ樺太ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使又ハ樺太廳長官トス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕工場事業場管理令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十四日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
外務大臣 広田弘毅
内務大臣 馬場鍈一
海軍大臣 米内光政
司法大臣 塩野季彦
陸軍大臣 杉山元
逓信大臣 永井柳太郎
文部大臣 安井英二
大蔵大臣 賀屋興宣
農林大臣 伯爵 有馬頼寧
商工大臣 吉野信次
鉄道大臣 中島知久平
拓務大臣 大谷尊由
勅令第五百二十八号
工場事業場管理令
第一条 軍需工業動員法第二条ノ規定ニ依ル工場及事業場並ニ其ノ附属設備(以下工場事業場ト称ス)ノ管理ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 主務大臣工場事業場ヲ管理セントスルトキハ内閣総理大臣ニ協議スベシ
第三条 管理ハ主務大臣ノ発スル管理令書送達ノ時ヨリ開始ス但シ管理令書ヲ以テ別段ノ定ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
管理令書ノ送達ハ管理スベキ工場事業場ノ事業主ニ対シ之ヲ為ス但シ已ムヲ得ザル場合ニ於テハ工場事業場ノ長其ノ他之ニ準ズル者ニ対シ之ヲ為スコトヲ得
第四条 管理令書ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 工場事業場ノ名称及所在ノ場所
二 管理ノ範囲
三 第十三条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ職権ノ一部ヲ行フ官衙ノ長アルトキハ其ノ長及其ノ職権ノ範囲
四 監理官ノ官職氏名
五 其ノ他必要ト認ムル事項
第五条 第二条及第三条ノ規定ハ管理ノ範囲ヲ変更シ又ハ管理ヲ廃止スル場合ニ之ヲ準用ス
第三条第二項ノ規定ハ前条第三号乃至第五号ノ事項ニ変更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第六条 主務大臣ハ其ノ管理ニ係ル工場事業場ニ於ケル軍需品又ハ軍需品ノ生産若ハ修理ニ要スル原料、燃料、電力若ハ動力ノ生産、修理又ハ発生ニ関シ当該工場事業場ノ業務ニ付事業主ヲ指揮監督ス
第七条 主務大臣ハ其ノ管理ニ係ル工場事業場ニ付監理官ヲ置キ当該工場事業場ノ業務ノ監督ニ従事セシム
第八条 管理ニ係ル工場事業場ノ事業主当該工場事業場ノ経営ヲ廃止シ又ハ休止セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第九条 管理ニ係ル工場事業場ノ事業主ハ本令又ハ本令ニ依ル命令ノ適用ニ付事業主ニ代ルベキ事業管理人ヲ選任スルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ事業管理人ノ選任ヲ命ズルコトヲ得
事業主左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ事業管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
一 法人ナルトキ
二 営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者又ハ禁治産者ナルトキ
三 本令施行地ニ居住セザルトキ
事業管理人ノ選任及解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二項及第三項ノ場合ニ於テ事業主事業管理人ヲ選任セズ又ハ選任スルコト能ハザルトキハ主務大臣ハ工場事業場ノ経営ニ付権限ヲ有スル者ノ中ヨリ事業管理人ヲ選任スルコトヲ得
第十条 事業管理人ガ本令又ハ本令ニ依ル命令ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十一条 工場事業場ノ管理ニ因リ生ジタル損害ノ補償ヲ請求セントスル者ハ管理廃止ノ後命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ請求スベシ但シ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ノ終リタル後又ハ損害ノ生ジタル都度之ヲ請求スルコトヲ得
第十二条 管理ニ係ル工場事業場ノ経営ヲ承継スル者ハ本令又ハ本令ニ依ル命令ニ基ク前者ノ権利義務ヲ承継ス
第十三条 主務大臣ハ本令ニ依ル管理ニ係ル工場事業場ニ対スル職権ノ一部ヲ所轄官衙ノ長ヲシテ行ハシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該官衙ノ長ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規定ニ依ル職権ヲ其ノ所属官衙ノ長ヲシテ行ハシムルコトヲ得
第十四条 本令中主務大臣トアルハ軍機保護上其ノ他軍事上特ニ必要アル工場事業場ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
前項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南満洲鉄道附属地又ハ樺太ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使又ハ樺太庁長官トス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス