第一條 本法ニ於テ海軍業ト稱スルハ一般ノ需用ニ應ジ船舶ニ依リテ人又ハ物ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二條 本法ハ帝國臣民又ハ帝國法人ガ遠洋區域、近海區域又ハ勅令ヲ以テ定ムル沿海區域ニ於テ營ム海運業ニ之ヲ適用ス
第三條 政府ハ海運業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ不當ナル競業ノ防止ニ關シ勸吿ヲ爲スコトヲ得
前項ノ勸吿ソノ效ヲ奏セザル場合ニ於テ政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ航路ノ經營ニ關スル協定ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ航路ノ經營ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ航路ノ經營ノ禁止又ハ制限ハ實情ニ依リ已ムコトヲ得ズト認ムル場合ヲ除クノ外前項ノ規定ニ依リ命ゼラレタル協定成ラザル場合ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第四條 政府ハ運賃其ノ他ノ航路ノ經營條件ガ公益ニ反スト認ムルトキハ海運業者ニ對シ其ノ經營條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五條 海運業者ハ命令ノ定ムル事項ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
第六條 行政官廳ハ第三條及第四條ノ規定ニ依ル措置ヲ爲ス爲必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ檢査ヲ爲シ又ハ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 帝國臣民又ハ帝國法人ニ非ザル者ノ營ム海運業ニシテ其ノ資本ノ全部又ハ一部ガ帝國臣民又ハ帝國法人ニ屬スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ヲ準用ス
第八條 第三條第二項又ハ第四條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外航路統制委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
航路統制委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 第三條第二項ノ規定ニ依ル航路ノ經營ノ禁止若ハ制限ニ關スル命令又ハ第四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條 第六條ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同條ノ規定ニ依リ命ゼラレタル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 海運業者ハ支配人其ノ他ノ代理人又ハ船長其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二條 本法又ハ本法ニ基ク命令ニ依リ海運業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス