航路統制法
法令番号: 法律第三十五號
公布年月日: 昭和11年5月30日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル航路統制法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月二十九日
內閣總理大臣 廣田弘毅
遞信大臣 賴母木桂吉
法律第三十五號
航路統制法
第一條 本法ニ於テ海軍業ト稱スルハ一般ノ需用ニ應ジ船舶ニ依リテ人又ハ物ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二條 本法ハ帝國臣民又ハ帝國法人ガ遠洋區域、近海區域又ハ勅令ヲ以テ定ムル沿海區域ニ於テ營ム海運業ニ之ヲ適用ス
第三條 政府ハ海運業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ不當ナル競業ノ防止ニ關シ勸吿ヲ爲スコトヲ得
前項ノ勸吿ソノ效ヲ奏セザル場合ニ於テ政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ航路ノ經營ニ關スル協定ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ航路ノ經營ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ航路ノ經營ノ禁止又ハ制限ハ實情ニ依リ已ムコトヲ得ズト認ムル場合ヲ除クノ外前項ノ規定ニ依リ命ゼラレタル協定成ラザル場合ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第四條 政府ハ運賃其ノ他ノ航路ノ經營條件ガ公益ニ反スト認ムルトキハ海運業者ニ對シ其ノ經營條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五條 海運業者ハ命令ノ定ムル事項ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
第六條 行政官廳ハ第三條及第四條ノ規定ニ依ル措置ヲ爲ス爲必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ檢査ヲ爲シ又ハ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 帝國臣民又ハ帝國法人ニ非ザル者ノ營ム海運業ニシテ其ノ資本ノ全部又ハ一部ガ帝國臣民又ハ帝國法人ニ屬スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ヲ準用ス
第八條 第三條第二項又ハ第四條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外航路統制委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
航路統制委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 第三條第二項ノ規定ニ依ル航路ノ經營ノ禁止若ハ制限ニ關スル命令又ハ第四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條 第六條ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同條ノ規定ニ依リ命ゼラレタル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 海運業者ハ支配人其ノ他ノ代理人又ハ船長其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二條 本法又ハ本法ニ基ク命令ニ依リ海運業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル航路統制法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月二十九日
内閣総理大臣 広田弘毅
逓信大臣 頼母木桂吉
法律第三十五号
航路統制法
第一条 本法ニ於テ海軍業ト称スルハ一般ノ需用ニ応ジ船舶ニ依リテ人又ハ物ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二条 本法ハ帝国臣民又ハ帝国法人ガ遠洋区域、近海区域又ハ勅令ヲ以テ定ムル沿海区域ニ於テ営ム海運業ニ之ヲ適用ス
第三条 政府ハ海運業ノ健全ナル発達ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ対シ不当ナル競業ノ防止ニ関シ勧告ヲ為スコトヲ得
前項ノ勧告ソノ効ヲ奏セザル場合ニ於テ政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ対シ航路ノ経営ニ関スル協定ヲ為スベキコトヲ命ジ又ハ航路ノ経営ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ航路ノ経営ノ禁止又ハ制限ハ実情ニ依リ已ムコトヲ得ズト認ムル場合ヲ除クノ外前項ノ規定ニ依リ命ゼラレタル協定成ラザル場合ニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
第四条 政府ハ運賃其ノ他ノ航路ノ経営条件ガ公益ニ反スト認ムルトキハ海運業者ニ対シ其ノ経営条件ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第五条 海運業者ハ命令ノ定ムル事項ヲ行政官庁ニ届出ヅベシ
第六条 行政官庁ハ第三条及第四条ノ規定ニ依ル措置ヲ為ス為必要アリト認ムルトキハ海運業者ニ対シ其ノ業務及財産ノ状況ニ関シ検査ヲ為シ又ハ報告ヲ為サシムルコトヲ得
第七条 帝国臣民又ハ帝国法人ニ非ザル者ノ営ム海運業ニシテ其ノ資本ノ全部又ハ一部ガ帝国臣民又ハ帝国法人ニ属スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ヲ準用ス
第八条 第三条第二項又ハ第四条ノ規定ニ依ル命令ヲ為サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外航路統制委員会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
航路統制委員会ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 第三条第二項ノ規定ニ依ル航路ノ経営ノ禁止若ハ制限ニ関スル命令又ハ第四条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第十条 第六条ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同条ノ規定ニ依リ命ゼラレタル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条 海運業者ハ支配人其ノ他ノ代理人又ハ船長其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二条 本法又ハ本法ニ基ク命令ニ依リ海運業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三条 第五条ノ規定ニ違反シタル者ハ五百円以下ノ過料ニ処ス
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム