第一條 東北振興電力株式會社ハ東北地方ノ振興ヲ圖ル爲同地方ニ於ケル電氣事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
東北振興電力株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ニ附帶スル業務ヲ營ミ又ハ東北地方ニ於ケル他ノ電氣事業ニ投資スルコトヲ得
第二條 東北振興電力株式會社ノ資本ハ三千萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三條 東北振興電力株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四條 東北振興電力株式會社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第五條 東北振興電力株式會社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第六條 社長ハ東北振興電力株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ分掌ス
第七條 社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第八條 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十條 東北振興電力株式會社社債ヲ募集セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十一條 定款ノ變更、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十二條 東北振興電力株式會社ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ利益金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ズ
第十三條 東北振興電力株式會社事業計畫ヲ設定シ又ハ變更セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十四條 政府ハ東北振興電力株式會社ノ業務ニ關シ監督上又ハ東北地方振興上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十五條 政府ハ東北振興電力株式會社監理官ヲ置キ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第十六條 東北振興電力株式會社監理官ハ何時ニテモ東北振興電力株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スルコトヲ得
東北振興電力株式會社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ東北振興電力株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
東北振興電力株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第十七條 政府ハ東北振興電力株式會社ノ決議又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ヲ解任スルコトヲ得
第十八條 東北振興電力株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ第三營業年度迄ニ在リテハ年百分ノ四、第四營業年度以降ニ在リテハ年百分ノ六ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ第十營業年度迄之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ每營業年度ニ於テハ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合、各營業年度ヲ通ジテハ五百五十萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
第十營業年度迄每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ年百分ノ六ヲ超エ百分ノ九迄ノ金額ニ付テハ其ノ二分ノ一、年百分ノ九ヲ超ユル金額ニ付テハ其ノ全額ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第十九條 東北振興電力株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十四條ノ規定ニ基キテ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
第二十條 東北振興電力株式會社ノ社長、副社長及理事第八條ノ規定ニ違反シタルトキハ二十圓以上二百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十一條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス