東北振興電力株式会社法
法令番号: 法律第十六號
公布年月日: 昭和11年5月27日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル東北振興電力株式會社法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月二十六日
內閣總理大臣 廣田弘毅
大藏大臣 馬場鍈一
內務大臣 潮惠之輔
農林大臣 島田俊雄
遞信大臣 賴母木桂吉
商工大臣 小川鄕太郞
法律第十六號
東北振興電力株式會社法
第一條 東北振興電力株式會社ハ東北地方ノ振興ヲ圖ル爲同地方ニ於ケル電氣事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
東北振興電力株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ニ附帶スル業務ヲ營ミ又ハ東北地方ニ於ケル他ノ電氣事業ニ投資スルコトヲ得
第二條 東北振興電力株式會社ノ資本ハ三千萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三條 東北振興電力株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四條 東北振興電力株式會社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第五條 東北振興電力株式會社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第六條 社長ハ東北振興電力株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ監査ス
第七條 社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第八條 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 政府ハ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ監督ス
第十條 東北振興電力株式會社社債ヲ募集セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十一條 定款ノ變更、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十二條 東北振興電力株式會社ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ利益金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ズ
第十三條 東北振興電力株式會社事業計畫ヲ設定シ又ハ變更セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十四條 政府ハ東北振興電力株式會社ノ業務ニ關シ監督上又ハ東北地方振興上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十五條 政府ハ東北振興電力株式會社監理官ヲ置キ東北振興電力株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第十六條 東北振興電力株式會社監理官ハ何時ニテモ東北振興電力株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スルコトヲ得
東北振興電力株式會社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ東北振興電力株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
東北振興電力株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第十七條 政府ハ東北振興電力株式會社ノ決議又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ヲ解任スルコトヲ得
第十八條 東北振興電力株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ第三營業年度迄ニ在リテハ年百分ノ四、第四營業年度以降ニ在リテハ年百分ノ六ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ第十營業年度迄之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ每營業年度ニ於テハ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合、各營業年度ヲ通ジテハ五百五十萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
第十營業年度迄每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ年百分ノ六ヲ超エ百分ノ九迄ノ金額ニ付テハ其ノ二分ノ一、年百分ノ九ヲ超ユル金額ニ付テハ其ノ全額ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第十九條 東北振興電力株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十四條ノ規定ニ基キテ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
第二十條 東北振興電力株式會社ノ社長、副社長及理事第八條ノ規定ニ違反シタルトキハ二十圓以上二百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十一條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第二十二條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三條 政府ハ設立委員ヲ命ジ東北振興電力株式會社ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第二十四條 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受ケタル後株主ヲ募集スベシ
第二十五條 株式申込證ニハ定款認可ノ年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第二號、第四號及第五號ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第二十六條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第二十七條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第二十八條 創立總會ニ於テハ第七條ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ選任ヲ行フベシ
第二十九條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ東北振興電力株式會社社長ニ引渡スベシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル東北振興電力株式会社法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月二十六日
内閣総理大臣 広田弘毅
大蔵大臣 馬場鍈一
内務大臣 潮恵之輔
農林大臣 島田俊雄
逓信大臣 頼母木桂吉
商工大臣 小川郷太郎
法律第十六号
東北振興電力株式会社法
第一条 東北振興電力株式会社ハ東北地方ノ振興ヲ図ル為同地方ニ於ケル電気事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス
東北振興電力株式会社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ニ附帯スル業務ヲ営ミ又ハ東北地方ニ於ケル他ノ電気事業ニ投資スルコトヲ得
第二条 東北振興電力株式会社ノ資本ハ三千万円トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第三条 東北振興電力株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人又ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四条 東北振興電力株式会社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第五条 東北振興電力株式会社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第六条 社長ハ東北振興電力株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ東北振興電力株式会社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ東北振興電力株式会社ノ業務ヲ監査ス
第七条 社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主中ヨリ株主総会ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選挙シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
監事ハ株主中ヨリ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第八条 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 政府ハ東北振興電力株式会社ノ業務ヲ監督ス
第十条 東北振興電力株式会社社債ヲ募集セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十一条 定款ノ変更、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十二条 東北振興電力株式会社ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ利益金ノ処分ヲ為スコトヲ得ズ
第十三条 東北振興電力株式会社事業計画ヲ設定シ又ハ変更セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十四条 政府ハ東北振興電力株式会社ノ業務ニ関シ監督上又ハ東北地方振興上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十五条 政府ハ東北振興電力株式会社監理官ヲ置キ東北振興電力株式会社ノ業務ヲ監視セシム
第十六条 東北振興電力株式会社監理官ハ何時ニテモ東北振興電力株式会社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ検査スルコトヲ得
東北振興電力株式会社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ東北振興電力株式会社ニ命ジ業務ニ関スル諸般ノ計算及状況ヲ報告セシムルコトヲ得
東北振興電力株式会社監理官ハ株主総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第十七条 政府ハ東北振興電力株式会社ノ決議又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ヲ解任スルコトヲ得
第十八条 東北振興電力株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ第三営業年度迄ニ在リテハ年百分ノ四、第四営業年度以降ニ在リテハ年百分ノ六ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ第十営業年度迄之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ毎営業年度ニ於テハ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合、各営業年度ヲ通ジテハ五百五十万円ヲ超ユルコトヲ得ズ
毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
第十営業年度迄毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ年百分ノ六ヲ超エ百分ノ九迄ノ金額ニ付テハ其ノ二分ノ一、年百分ノ九ヲ超ユル金額ニ付テハ其ノ全額ヲ配当準備ノ為別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尚残余アリタルトキハ之ヲ前項ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過シタル当該営業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後営業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配当シ得ベキ利益金ト看做ス
第十九条 東北振興電力株式会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ百円以上二千円以下ノ過料ニ処ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
一 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十四条ノ規定ニ基キテ為シタル命令ニ違反シタルトキ
第二十条 東北振興電力株式会社ノ社長、副社長及理事第八条ノ規定ニ違反シタルトキハ二十円以上二百円以下ノ過料ニ処ス
第二十一条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第二十二条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三条 政府ハ設立委員ヲ命ジ東北振興電力株式会社ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第二十四条 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受ケタル後株主ヲ募集スベシ
第二十五条 株式申込証ニハ定款認可ノ年月日並ニ商法第百二十六条第二項第二号、第四号及第五号ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第二十六条 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ政府ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
第二十七条 設立委員ハ前条ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク各株ニ付第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
前項ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
第二十八条 創立総会ニ於テハ第七条ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選挙及監事ノ選任ヲ行フベシ
第二十九条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ東北振興電力株式会社社長ニ引渡スベシ