通信事業特別会計規則
法令番号: 勅令第七十五號
公布年月日: 昭和9年3月31日
法令の形式: 勅令
朕通信事業特別會計規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年三月三十日
內閣總理大臣 子爵 齋藤實
大藏大臣 高橋是淸
遞信大臣 南弘
勅令第七十五號
通信事業特別會計規則
第一章 豫算決算
第一條 本會計ニ於ケル歲入歲出豫算ハ之ヲ資本、用品及業務ノ三勘定ニ分チ各勘定中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スベシ
第二條 所管大臣ハ每年度歲入歲出ノ豫定計算書ヲ調製シ前年度九月三十日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スベシ
前項ノ豫定計算書ニハ當該年度豫定收支計算表竝ニ前々年度收支計算表、同資本勘定及用品勘定貸借對照表、同財產目錄、同固定財產價格增減表及前々年度以前旣往五箇年間資本增減表ヲ添附スベシ
第三條 會計規則第十九條、第二十條及第二十四條ノ規定ハ通信事業特別會計法第九條ノ豫備費ノ支出ニ付之ヲ準用ス
第四條 所管大臣ハ每年度歲入歲出ノ決定計算書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スベシ
第二章 收入支出
第五條 本會計ニ於テハ本會計ニ屬スル前年度ヨリノ現金ノ持越高及當該年度ノ收入濟歲入額ノ現在額ヲ支拂元受高トシ歲出ヲ支出スルハ此ノ支拂元受高ヲ超過スルコトヲ得ズ
第六條 每年度內ニ收入ヲ爲スベキ權利ヲ得テ當該年度出納ノ完結迄ニ收入濟ト爲ラザルモノハ收入未濟トシテ遞次翌年度ニ繰越シ現ニ收入ヲ爲シタル年度ノ歲入ニ組入ルベシ
第七條 每年度內ニ支拂ヲ爲スベキ義務ヲ生ジ當該年度出納ノ完結迄ニ支出濟ト爲ラザルモノハ支出未濟トシテ遞次翌年度ニ繰越スベシ但シ支出濟額ト合シテ豫算定額ヲ超過スルコトヲ得ズ
第三章 資本及財產
第八條 本會計ノ資本ヲ分チテ固有資本及借入資本ノ二種トス
本會計ノ負擔ニ屬スル公債又ハ借入金ニ相當スル金額ヲ借入資本トシ其ノ他ノモノヲ固有資本トス
第九條 資本勘定ニ於テ決算上生ジタル過剩ハ之ヲ固有資本ニ組入ルベシ
資本勘定ニ於テ決算上生ジタル不足ハ之ヲ固有資本ヨリ減額スベシ
第十條 本會計ニ於テハ土地、建物、工作物、船舶、電信電話線路、電信電話機械、無線電信電話設備及雜設備ヲ以テ固定財產トス
第四章 計算
第十一條 左ニ揭グルモノヲ以テ固定財產ノ價格トス
一 資本勘定ニ於テ事業設備ノ爲支出シタル金額
二 讓渡又ハ寄附ヲ受ケタル財產ノ見積價格
第十二條 固定財產ニシテ讓渡、滅失、撤去又ハ廢棄シタルモノノ價格ノ計算ハ所管大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十三條 用品ハ購入費又ハ製作費ヲ以テ其ノ價格トス
前項ノ規定ニ依リ價格ヲ定ムルコト能ハザル場合ニ於テハ見積價格ヲ以テ其ノ價格ト爲スコトヲ得
第十四條 用品毀損、變質其ノ他ノ原因ニ依リ減損シタルトキハ其ノ割合ニ應ジ其ノ價格ヲ改定スベシ
用品不用ニ歸シタルトキハ其ノ價格ヲ削除シテ之ヲ不用物品ニ組入ルベシ
第十五條 用品勘定ヨリ他勘定ヘノ用品ノ引渡價格ハ第十三條又ハ前條第一項ノ規定ニ依リ定マリタル價格ニ對シ所管大臣ノ定ムル所ニ依リ取扱諸費及減損步合ヲ豫定シ之ヲ割掛ケタルモノトス
第十六條 資本勘定ノ收入及支出ニ屬スルモノ左ノ如シ
收入ニ屬スルモノ
一 歲入收入濟(他勘定ヨリノ過剩繰入金ヲ除ク)
二 借入資本減少
三 固定財產受入
四 用品勘定計算
五 他勘定ヨリノ過剩繰入
六 未決濟計算
七 雜益
支出ニ屬スルモノ
一 歲出支出濟
二 借入資本增加
三 固定財產減少
四 用品勘定計算
五 用品勘定ヨリノ不足繰入
六 未決濟計算
七 雜損
第十七條 用品勘定ノ收入及支出ニ屬スルモノ左ノ如シ
收入ニ屬スルモノ
一 歲入收入濟
二 用品受入
三 資本勘定計算
四 未決濟計算
五 雜益
支出ニ屬スルモノ
一 歲出支出濟
二 用品拂出
三 資本勘定計算
四 未決濟計算
五 雜損
第十八條 業務勘定ノ收入及支出ニ屬スルモノ左ノ如シ
收入ニ屬スルモノ
一 歲入收入濟
二 未決濟計算
三 雜益
支出ニ屬スルモノ
一 歲出支出濟
二 未決濟計算
三 雜損
第十九條 第二條第二項ノ規定ニ依リ豫定計算書ニ添附スベキ書類ノ樣式ハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 帳簿
第二十條 遞信省ハ勘定每ニ日記簿、原簿及補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ關スル一切ノ計算ヲ登記スベシ
第二十一條 遞信省ハ勘定每ニ歲入簿ヲ備ヘ歲入ノ豫算額、調定濟額、收入濟額、不納缺損額及收入未濟額ヲ登記スベシ
第二十二條 支出官ハ支出簿ノ外支拂元受高差引簿ヲ備ヘ支拂元受高、支出濟額及殘額ヲ登記スベシ
第二十三條 遞信省ハ勘定每ニ歲出簿ヲ備ヘ歲出ノ豫算額、豫算決定後增加額、支出濟額、翌年度繰越額及殘額ヲ登記スベシ
遞信省ハ支拂元受高差引簿ヲ備ヘ支拂元受高、支出濟額及殘額ヲ登記スベシ但シ支出官一人ナル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
第六章 雜則
第二十四條 本令ニ規定セザルモノニ付テハ會計規則ノ定ムル所ニ依ル
附 則
第二十五條 本令ハ昭和九年度ヨリ之ヲ施行ス
第二十六條 通信事業特別會計法第一條ノ規定ニ依リ本會計ノ資本ト爲ス從來ノ通信事業所屬ノ土地、建物、船舶、電信電話線路、機械其ノ他ノ設備及貯藏物品ノ價格ハ第十一條又ハ第十三條ノ規定ヲ準用シ之ヲ定ム
第二十七條 一般會計ノ歲出豫算ニ於ケル從來ノ通信事業所屬經費ニシテ昭和八年度ヨリ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本會計ニ移シ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰越ヲ爲シタル場合ニ於テハ一般會計ハ其ノ繰越額ニ相當スル金額ヲ本會計ニ繰入ルベシ
第二十八條 一般會計ノ歲出豫算ニ於ケル左ニ揭グル繼續費ハ昭和九年度以降本會計ノ所屬トス
彌富桑名間電信電話線路移築費
名古屋驛構內郵便物運搬設備費
電話交換擴張費
民設無線電信電話連絡施設費
第二十九條 從來ノ通信事業ニ從事シタル公務員ニ關スル恩給負擔ニ關シテハ當該公務員ガ昭和八年度以前通信事業ニ從事シタル期間ニ付該期間中本特別會計ヨリ俸給ヲ支辨シタルモノト看做ス
朕通信事業特別会計規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年三月三十日
内閣総理大臣 子爵 斎藤実
大蔵大臣 高橋是清
逓信大臣 南弘
勅令第七十五号
通信事業特別会計規則
第一章 予算決算
第一条 本会計ニ於ケル歳入歳出予算ハ之ヲ資本、用品及業務ノ三勘定ニ分チ各勘定中ニ於テ之ヲ款項ニ区分スベシ
第二条 所管大臣ハ毎年度歳入歳出ノ予定計算書ヲ調製シ前年度九月三十日迄ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スベシ
前項ノ予定計算書ニハ当該年度予定収支計算表並ニ前々年度収支計算表、同資本勘定及用品勘定貸借対照表、同財産目録、同固定財産価格増減表及前々年度以前既往五箇年間資本増減表ヲ添附スベシ
第三条 会計規則第十九条、第二十条及第二十四条ノ規定ハ通信事業特別会計法第九条ノ予備費ノ支出ニ付之ヲ準用ス
第四条 所管大臣ハ毎年度歳入歳出ノ決定計算書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スベシ
第二章 収入支出
第五条 本会計ニ於テハ本会計ニ属スル前年度ヨリノ現金ノ持越高及当該年度ノ収入済歳入額ノ現在額ヲ支払元受高トシ歳出ヲ支出スルハ此ノ支払元受高ヲ超過スルコトヲ得ズ
第六条 毎年度内ニ収入ヲ為スベキ権利ヲ得テ当該年度出納ノ完結迄ニ収入済ト為ラザルモノハ収入未済トシテ逓次翌年度ニ繰越シ現ニ収入ヲ為シタル年度ノ歳入ニ組入ルベシ
第七条 毎年度内ニ支払ヲ為スベキ義務ヲ生ジ当該年度出納ノ完結迄ニ支出済ト為ラザルモノハ支出未済トシテ逓次翌年度ニ繰越スベシ但シ支出済額ト合シテ予算定額ヲ超過スルコトヲ得ズ
第三章 資本及財産
第八条 本会計ノ資本ヲ分チテ固有資本及借入資本ノ二種トス
本会計ノ負担ニ属スル公債又ハ借入金ニ相当スル金額ヲ借入資本トシ其ノ他ノモノヲ固有資本トス
第九条 資本勘定ニ於テ決算上生ジタル過剰ハ之ヲ固有資本ニ組入ルベシ
資本勘定ニ於テ決算上生ジタル不足ハ之ヲ固有資本ヨリ減額スベシ
第十条 本会計ニ於テハ土地、建物、工作物、船舶、電信電話線路、電信電話機械、無線電信電話設備及雑設備ヲ以テ固定財産トス
第四章 計算
第十一条 左ニ掲グルモノヲ以テ固定財産ノ価格トス
一 資本勘定ニ於テ事業設備ノ為支出シタル金額
二 譲渡又ハ寄附ヲ受ケタル財産ノ見積価格
第十二条 固定財産ニシテ譲渡、滅失、撤去又ハ廃棄シタルモノノ価格ノ計算ハ所管大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十三条 用品ハ購入費又ハ製作費ヲ以テ其ノ価格トス
前項ノ規定ニ依リ価格ヲ定ムルコト能ハザル場合ニ於テハ見積価格ヲ以テ其ノ価格ト為スコトヲ得
第十四条 用品毀損、変質其ノ他ノ原因ニ依リ減損シタルトキハ其ノ割合ニ応ジ其ノ価格ヲ改定スベシ
用品不用ニ帰シタルトキハ其ノ価格ヲ削除シテ之ヲ不用物品ニ組入ルベシ
第十五条 用品勘定ヨリ他勘定ヘノ用品ノ引渡価格ハ第十三条又ハ前条第一項ノ規定ニ依リ定マリタル価格ニ対シ所管大臣ノ定ムル所ニ依リ取扱諸費及減損歩合ヲ予定シ之ヲ割掛ケタルモノトス
第十六条 資本勘定ノ収入及支出ニ属スルモノ左ノ如シ
収入ニ属スルモノ
一 歳入収入済(他勘定ヨリノ過剰繰入金ヲ除ク)
二 借入資本減少
三 固定財産受入
四 用品勘定計算
五 他勘定ヨリノ過剰繰入
六 未決済計算
七 雑益
支出ニ属スルモノ
一 歳出支出済
二 借入資本増加
三 固定財産減少
四 用品勘定計算
五 用品勘定ヨリノ不足繰入
六 未決済計算
七 雑損
第十七条 用品勘定ノ収入及支出ニ属スルモノ左ノ如シ
収入ニ属スルモノ
一 歳入収入済
二 用品受入
三 資本勘定計算
四 未決済計算
五 雑益
支出ニ属スルモノ
一 歳出支出済
二 用品払出
三 資本勘定計算
四 未決済計算
五 雑損
第十八条 業務勘定ノ収入及支出ニ属スルモノ左ノ如シ
収入ニ属スルモノ
一 歳入収入済
二 未決済計算
三 雑益
支出ニ属スルモノ
一 歳出支出済
二 未決済計算
三 雑損
第十九条 第二条第二項ノ規定ニ依リ予定計算書ニ添附スベキ書類ノ様式ハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 帳簿
第二十条 逓信省ハ勘定毎ニ日記簿、原簿及補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ関スル一切ノ計算ヲ登記スベシ
第二十一条 逓信省ハ勘定毎ニ歳入簿ヲ備ヘ歳入ノ予算額、調定済額、収入済額、不納欠損額及収入未済額ヲ登記スベシ
第二十二条 支出官ハ支出簿ノ外支払元受高差引簿ヲ備ヘ支払元受高、支出済額及残額ヲ登記スベシ
第二十三条 逓信省ハ勘定毎ニ歳出簿ヲ備ヘ歳出ノ予算額、予算決定後増加額、支出済額、翌年度繰越額及残額ヲ登記スベシ
逓信省ハ支払元受高差引簿ヲ備ヘ支払元受高、支出済額及残額ヲ登記スベシ但シ支出官一人ナル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
第六章 雑則
第二十四条 本令ニ規定セザルモノニ付テハ会計規則ノ定ムル所ニ依ル
附 則
第二十五条 本令ハ昭和九年度ヨリ之ヲ施行ス
第二十六条 通信事業特別会計法第一条ノ規定ニ依リ本会計ノ資本ト為ス従来ノ通信事業所属ノ土地、建物、船舶、電信電話線路、機械其ノ他ノ設備及貯蔵物品ノ価格ハ第十一条又ハ第十三条ノ規定ヲ準用シ之ヲ定ム
第二十七条 一般会計ノ歳出予算ニ於ケル従来ノ通信事業所属経費ニシテ昭和八年度ヨリ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本会計ニ移シ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰越ヲ為シタル場合ニ於テハ一般会計ハ其ノ繰越額ニ相当スル金額ヲ本会計ニ繰入ルベシ
第二十八条 一般会計ノ歳出予算ニ於ケル左ニ掲グル継続費ハ昭和九年度以降本会計ノ所属トス
弥富桑名間電信電話線路移築費
名古屋駅構内郵便物運搬設備費
電話交換拡張費
民設無線電信電話連絡施設費
第二十九条 従来ノ通信事業ニ従事シタル公務員ニ関スル恩給負担ニ関シテハ当該公務員ガ昭和八年度以前通信事業ニ従事シタル期間ニ付該期間中本特別会計ヨリ俸給ヲ支弁シタルモノト看做ス