(土地収用法中改正法律)
法令番号: 法律第39号
公布年月日: 昭和2年4月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

明治33年制定の土地収用法が時代の趨勢に合わなくなったため改正を行う。改正の要点は、収用・使用可能な事業の追加、公共用地の収用制度の整備、収用地の定着物件や関連権利の収用制度の確立である。また、損失補償を受けられる範囲を拡大し、建物権利者を関係人として権利を尊重する。事務の簡素化のため事業認定権を内務大臣に移管し、手続きの正確性と迅速性を向上させる。さらに法規違反への対応を見直し、北海道・沖縄に収用審査会を設置する。

参照した発言:
第52回帝国議会 貴族院 本会議 第13号

審議経過

第52回帝国議会

貴族院
本会議 - 第13号
(昭和2年2月15日)
土地収用法中改正法律案特別委員会 - 第1号
(昭和2年2月17日)
土地収用法中改正法律案特別委員会 - 第2号
(昭和2年2月19日)
土地収用法中改正法律案特別委員会 - 第3号
(昭和2年2月21日)
本会議 - 第15号
(昭和2年2月25日)
衆議院
本会議 - 第25号
(昭和2年3月12日)
土地収用法中改正法律案委員会 - 第2号
(昭和2年3月17日)
土地収用法中改正法律案委員会 - 第3号
(昭和2年3月18日)
土地収用法中改正法律案委員会 - 第4号
(昭和2年3月22日)
本会議 - 第30号
(昭和2年3月23日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル土地收用法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年三月三十一日
內閣總理大臣　若槻禮次郞
內務大臣　濱口雄幸
法律第三十九號
土地收用法中左ノ通改正ス
第二條第二號及第三號ヲ左ノ如ク改メ第五號中「府縣郡」ヲ「道府縣」ニ改ム
二　皇室陵墓ノ營建又ハ神社若ハ官公署ノ建設ニ關スル事業
三　社會事業又ハ敎育若ハ學藝ニ關スル事業
第二條ノ二　現ニ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ用ニ供スル土地ハ特別ノ必要アル場合ニ非ザレバ之ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ズ
第五條第二項及第三項中「土地」ノ下ニ「又ハ其ノ土地ニ在ル建物」ヲ加フ
第七條ノ二　本法ハ第二條ニ規定スル事業ノ用ニ供スベキ土地ニ定著スル物件又ハ之ニ關スル權利ヲ其ノ事業ノ用ニ供スル爲ニ收用又ハ使用スル場合ニ之ヲ準用ス
第十條第三項ヲ左ノ如ク改ム
日出前日沒後ハ起業者ハ占有者ノ承諾アルニ非ザレバ邸內ニ立入ルコトヲ得ズ
第十二條中「內閣」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第十三條　起業者ガ前條ノ認定ヲ受ケントスルトキハ事業計畫書及圖面ヲ添ヘ地方長官ヲ經由シテ內務大臣ニ申請スベシ但シ起業者ガ宮內省又ハ國ナルトキハ宮內大臣又ハ主務大臣ハ事業計畫書及圖面ヲ添ヘ內務大臣ニ請求スベシ
第十四條中「內閣」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第十五條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ同條中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「前項」ヲ「前二項」ニ改ム
前項ノ事業ガ宮內省、國又ハ道府縣ノ起業ニ係ルトキハ宮內大臣、主務大臣又ハ道廳長官府縣知事ハ事業ノ種類、使用スベキ土地ノ區域及使用ノ期間ヲ市町村長ニ通知スベシ
第十六條中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ改ム
第十七條中「認定ヲ爲シタルトキ」ノ下ニ「又ハ第十五條第二項ノ通知ヲ受ケタルトキ」ヲ加ヘ「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「第三項」ヲ「第四項」ニ改ム
第十八條及第十九條中「內閣」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第十九條ノ二　前條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後ハ土地所有者及關係人ハ事業ニ支障ヲ及ボス虞ナキ場合ヲ除クノ外行政廳ノ許可ヲ得ルニ非ザレバ收用又ハ使用スベキ土地ノ形質ヲ變更シ又ハ第七條ノ二ノ物件ヲ損壞若ハ收去スルコトヲ得ズ
第二十條中「前條」ヲ「第十九條」ニ改ム
第二十一條　第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者ハ土地所有者及關係人ト共ニ土地物件ニ關スル調書ヲ作ルベシ
前項ノ場合ニ於テ土地所有者又ハ關係人ガ調書ヲ作ルコトヲ拒ミタルトキ其ノ他之ト共ニ調書ヲ作ルコト能ハザルトキハ起業者ハ市町村長ノ立會ヲ以テ之ヲ作ルベシ市町村長ガ起業者ナルトキ又ハ起業者ニ對シ第四十條第二項ニ揭ゲタル關係ヲ有スルトキハ起業者ノ申請ニ依リ地方長官立會人ヲ指定スベシ
起業者、土地所有者及關係人ハ本條ノ規定ニ依リ作リタル調書ノ記載事項ニ對シテ異議ヲ述ブルコトヲ得ズ
第二十三條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
三　第二十一條ノ規定ニ依ル土地物件ニ關スル調書又ハ其ノ寫
第二十四條　地方長官前條ノ書類ヲ受ケタルトキハ之ヲ市町村長ニ送付スベシ但シ同條第一項第三號ノ書類ハ此ノ限ニ在ラズ
市町村長前項ノ書類ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク公告ヲ爲シ公告ノ日ヨリ一週間之ヲ公衆ノ縱覽ニ供スベシ
第三十二條中「內閣」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第三十三條中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「第三項」ヲ「第二項若ハ第四項」ニ改ム
第三十八條中「府縣」ヲ「道府縣」ニ改ム
第四十條中「市參事會員、町村長、」ヲ「市町村長、」ニ、「府縣」ヲ「道府縣」ニ改ム
第四十三條中「收用又ハ使用スヘキ土地以外ノ土地所有者」ヲ「前項ニ揭グル者以外ノ者」ニ改ム
第六十六條中「內閣」ヲ「內務大臣」ニ改ム
第七十五條　第九條又ハ第十一條ノ場合ニ於テ行政廳ノ許可ヲ得ズシテ土地ニ立入リ又ハ障害物ヲ除却シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第七十六條　第十九條ノ地方長官ノ公告又ハ通知アリタルコトヲ知リタル者第十九條ノ二ノ規定ニ違反シタルトキハ二百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第七十七條　鑑定人トシテ收用審查會ニ呼出サレタル者虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス
第七十八條中「四十圓以下ノ罰金」ヲ「百圓以下ノ過料」ニ改ム
第七十九條　鑑定人又ハ第四十三條第二項若ハ第五十九條ノ規定ニ依リ呼出ヲ受ケタル者故ナク出頭セザルトキハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
第八十條　非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス
第八十六條　第十五條乃至第十七條及第三十三條ノ規定ニ依リ町村長ノ爲スベキ職務ハ北海道ニ於テハ支廳長之ヲ行フ
本法ニ依リ町村長ノ爲スベキ職務ハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ町村長ニ準ズベキ者之ヲ行フ
附　則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正十五年法律第七十八號ハ之ヲ廢止ス
本法施行前收用審查會ノ裁決ヲ求メタル收用又ハ使用ニ付テハ第四十三條ノ規定ヲ除クノ外仍從前ノ例ニ依ル但シ第三十五條第二項ノ規定ニ依リ却下ノ裁決アリタルモノニ付テハ其ノ裁決ニ對シ訴願訴訟ヲ爲ス場合ヲ除クノ外此ノ限ニ在ラズ
本法施行前從前ノ第七十八條又ハ第八十條ノ規定ニ該當スル行爲ヲ爲シタル者ニシテ本法施行ノ際未ダ其ノ裁判ヲ受ケザル者ハ本法ニ依リ處罰ス但シ過料ノ額ハ同條ノ罰金ノ額ヲ超ユルコトヲ得ズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル土地収用法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年三月三十一日
内閣総理大臣　若槻礼次郎
内務大臣　浜口雄幸
法律第三十九号
土地収用法中左ノ通改正ス
第二条第二号及第三号ヲ左ノ如ク改メ第五号中「府県郡」ヲ「道府県」ニ改ム
二　皇室陵墓ノ営建又ハ神社若ハ官公署ノ建設ニ関スル事業
三　社会事業又ハ教育若ハ学芸ニ関スル事業
第二条ノ二　現ニ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ用ニ供スル土地ハ特別ノ必要アル場合ニ非ザレバ之ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ズ
第五条第二項及第三項中「土地」ノ下ニ「又ハ其ノ土地ニ在ル建物」ヲ加フ
第七条ノ二　本法ハ第二条ニ規定スル事業ノ用ニ供スベキ土地ニ定著スル物件又ハ之ニ関スル権利ヲ其ノ事業ノ用ニ供スル為ニ収用又ハ使用スル場合ニ之ヲ準用ス
第十条第三項ヲ左ノ如ク改ム
日出前日没後ハ起業者ハ占有者ノ承諾アルニ非ザレバ邸内ニ立入ルコトヲ得ズ
第十二条中「内閣」ヲ「内務大臣」ニ改ム
第十三条　起業者ガ前条ノ認定ヲ受ケントスルトキハ事業計画書及図面ヲ添ヘ地方長官ヲ経由シテ内務大臣ニ申請スベシ但シ起業者ガ宮内省又ハ国ナルトキハ宮内大臣又ハ主務大臣ハ事業計画書及図面ヲ添ヘ内務大臣ニ請求スベシ
第十四条中「内閣」ヲ「内務大臣」ニ改ム
第十五条第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ同条中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「前項」ヲ「前二項」ニ改ム
前項ノ事業ガ宮内省、国又ハ道府県ノ起業ニ係ルトキハ宮内大臣、主務大臣又ハ道庁長官府県知事ハ事業ノ種類、使用スベキ土地ノ区域及使用ノ期間ヲ市町村長ニ通知スベシ
第十六条中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ改ム
第十七条中「認定ヲ為シタルトキ」ノ下ニ「又ハ第十五条第二項ノ通知ヲ受ケタルトキ」ヲ加ヘ「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「第三項」ヲ「第四項」ニ改ム
第十八条及第十九条中「内閣」ヲ「内務大臣」ニ改ム
第十九条ノ二　前条ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後ハ土地所有者及関係人ハ事業ニ支障ヲ及ボス虞ナキ場合ヲ除クノ外行政庁ノ許可ヲ得ルニ非ザレバ収用又ハ使用スベキ土地ノ形質ヲ変更シ又ハ第七条ノ二ノ物件ヲ損壊若ハ収去スルコトヲ得ズ
第二十条中「前条」ヲ「第十九条」ニ改ム
第二十一条　第十九条ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後起業者ハ土地所有者及関係人ト共ニ土地物件ニ関スル調書ヲ作ルベシ
前項ノ場合ニ於テ土地所有者又ハ関係人ガ調書ヲ作ルコトヲ拒ミタルトキ其ノ他之ト共ニ調書ヲ作ルコト能ハザルトキハ起業者ハ市町村長ノ立会ヲ以テ之ヲ作ルベシ市町村長ガ起業者ナルトキ又ハ起業者ニ対シ第四十条第二項ニ掲ゲタル関係ヲ有スルトキハ起業者ノ申請ニ依リ地方長官立会人ヲ指定スベシ
起業者、土地所有者及関係人ハ本条ノ規定ニ依リ作リタル調書ノ記載事項ニ対シテ異議ヲ述ブルコトヲ得ズ
第二十三条第一項ニ左ノ一号ヲ加フ
三　第二十一条ノ規定ニ依ル土地物件ニ関スル調書又ハ其ノ写
第二十四条　地方長官前条ノ書類ヲ受ケタルトキハ之ヲ市町村長ニ送付スベシ但シ同条第一項第三号ノ書類ハ此ノ限ニ在ラズ
市町村長前項ノ書類ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク公告ヲ為シ公告ノ日ヨリ一週間之ヲ公衆ノ縦覧ニ供スベシ
第三十二条中「内閣」ヲ「内務大臣」ニ改ム
第三十三条中「郡市長」ヲ「市町村長」ニ、「第三項」ヲ「第二項若ハ第四項」ニ改ム
第三十八条中「府県」ヲ「道府県」ニ改ム
第四十条中「市参事会員、町村長、」ヲ「市町村長、」ニ、「府県」ヲ「道府県」ニ改ム
第四十三条中「収用又ハ使用スヘキ土地以外ノ土地所有者」ヲ「前項ニ掲グル者以外ノ者」ニ改ム
第六十六条中「内閣」ヲ「内務大臣」ニ改ム
第七十五条　第九条又ハ第十一条ノ場合ニ於テ行政庁ノ許可ヲ得ズシテ土地ニ立入リ又ハ障害物ヲ除却シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第七十六条　第十九条ノ地方長官ノ公告又ハ通知アリタルコトヲ知リタル者第十九条ノ二ノ規定ニ違反シタルトキハ二百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第七十七条　鑑定人トシテ収用審査会ニ呼出サレタル者虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ処ス
第七十八条中「四十円以下ノ罰金」ヲ「百円以下ノ過料」ニ改ム
第七十九条　鑑定人又ハ第四十三条第二項若ハ第五十九条ノ規定ニ依リ呼出ヲ受ケタル者故ナク出頭セザルトキハ五十円以下ノ過料ニ処ス
第八十条　非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ之ヲ準用ス
第八十六条　第十五条乃至第十七条及第三十三条ノ規定ニ依リ町村長ノ為スベキ職務ハ北海道ニ於テハ支庁長之ヲ行フ
本法ニ依リ町村長ノ為スベキ職務ハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ町村長ニ準ズベキ者之ヲ行フ
附　則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正十五年法律第七十八号ハ之ヲ廃止ス
本法施行前収用審査会ノ裁決ヲ求メタル収用又ハ使用ニ付テハ第四十三条ノ規定ヲ除クノ外仍従前ノ例ニ依ル但シ第三十五条第二項ノ規定ニ依リ却下ノ裁決アリタルモノニ付テハ其ノ裁決ニ対シ訴願訴訟ヲ為ス場合ヲ除クノ外此ノ限ニ在ラズ
本法施行前従前ノ第七十八条又ハ第八十条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ニシテ本法施行ノ際未ダ其ノ裁判ヲ受ケザル者ハ本法ニ依リ処罰ス但シ過料ノ額ハ同条ノ罰金ノ額ヲ超ユルコトヲ得ズ