計理士法
法令番号: 法律第三十一號
公布年月日: 昭和2年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル計理士法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年三月三十日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
商工大臣 藤澤幾之輔
法律第三十一號
計理士法
第一條 計理士ハ計理士ノ稱號ヲ用ヒテ會計ニ關スル檢査、調査、鑑定、證明、計算、整理又ハ立案ヲ爲スコトヲ業トスルモノトス
第二條 左ノ條件ヲ具フル者ハ計理士タル資格ヲ有ス
一 帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ私法上ノ能力者タルコト
二 計理士試驗ニ合格シタルコト
計理士試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前條第一項第二號ノ規定ニ拘ラズ計理士タル資格ヲ有ス
一 會計學ヲ修メタル經濟學博士又ハ商學博士
二 帝國大學若ハ大學令ニ依ル大學ニ於テ會計學ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者又ハ專門學校令ニ依ル專門學校ニ於テ會計學ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
三 主務大臣ニ於テ前號ニ揭グル學校ト同等以上ト認ムル學校ニ於テ會計學ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
第四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ計理士タル資格ヲ有セズ
一 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但シ二年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者又ハ陸軍刑法若ハ海軍刑法ニ依リ一年未滿ノ禁錮ニ處セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
二 前號ニ該當スル者ヲ除クノ外第十一條又ハ第十二條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
三 破產者ニシテ復權ヲ得ザル者
四 計理士ノ業務ノ停止ノ期間中其ノ業務ヲ廢止シ未ダ其ノ期間ノ經過セザル者
五 計理士ノ業務ノ禁止ノ處分ヲ受ケタル者但シ其ノ處分ヲ受ケタル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シ主務大臣ニ於テ改悛ノ情顯著ナリト認メタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 計理士タラントスル者ハ計理士登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
計理士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 計理士ノ登錄ヲ受ケントスル者ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納付スベシ
第七條 計理士ハ其ノ業務ヲ公正ニ行フニ支障アリト認メラルル事項ニ付計理士ノ業務ヲ行フコトヲ得ズ
第八條 計理士ハ主務大臣ノ監督ニ屬ス
第九條 計理士本法ノ規定ニ違反シタルトキ又ハ品位ヲ失墜スベキ行爲若ハ業務上不正ノ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ計理士懲戒委員會ノ議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ得
計理士懲戒委員會ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 計理士ノ懲戒處分ハ左ノ四種トス
一 譴責
二 千圓以下ノ過料
三 一年以內計理士ノ業務ノ停止
四 計理士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セザルトキハ主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十一條 計理士又ハ計理士タリシ者故ナク其ノ業務上取扱ヒタル事項ニ付知得タル祕密ヲ漏泄シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ズ
第十二條 計理士タル資格ヲ有セズシテ計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十三條 計理士タル資格ヲ有スルモ其ノ登錄ヲ受ケズシテ計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ十圓以上二百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ハ二年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス
本法施行ノ際迄引續キ一年以上會計ニ關スル檢査、調査、鑑定、證明、計算、整理又ハ立案ノ業務ニ從事シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ六月以內ニ出願シタルトキニ限リ第二條第一項第二號ノ規定ニ拘ラズ計理士試驗委員ノ銓衡ヲ經テ計理士タルコトヲ得
帝國大學、大學令ニ依ル大學若ハ專門學校令ニ依ル專門學校又ハ主務大臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル學校ニ於テ經濟ニ關スル諸學科ヲ修メ定規ノ課業ヲ卒ヘタル者ニシテ引續キ三年以上會計ニ關スル檢査、調査、鑑定、證明、計算、整理又ハ立案ノ業務又ハ職務ニ從事シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ五年以內ニ出願シタルトキニ限リ第二條第一項第二號ノ規定ニ拘ラズ計理士試驗委員ノ銓衡ヲ經テ計理士タルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル計理士法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年三月三十日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
商工大臣 藤沢幾之輔
法律第三十一号
計理士法
第一条 計理士ハ計理士ノ称号ヲ用ヒテ会計ニ関スル検査、調査、鑑定、証明、計算、整理又ハ立案ヲ為スコトヲ業トスルモノトス
第二条 左ノ条件ヲ具フル者ハ計理士タル資格ヲ有ス
一 帝国臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ外国ノ国籍ヲ有スル者ニシテ私法上ノ能力者タルコト
二 計理士試験ニ合格シタルコト
計理士試験ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ前条第一項第二号ノ規定ニ拘ラズ計理士タル資格ヲ有ス
一 会計学ヲ修メタル経済学博士又ハ商学博士
二 帝国大学若ハ大学令ニ依ル大学ニ於テ会計学ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者又ハ専門学校令ニ依ル専門学校ニ於テ会計学ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
三 主務大臣ニ於テ前号ニ掲グル学校ト同等以上ト認ムル学校ニ於テ会計学ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
第四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ計理士タル資格ヲ有セズ
一 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者但シ二年未満ノ懲役若ハ禁錮ニ処セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ経過シタル者又ハ陸軍刑法若ハ海軍刑法ニ依リ一年未満ノ禁錮ニ処セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
二 前号ニ該当スル者ヲ除クノ外第十一条又ハ第十二条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ経過シタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
三 破産者ニシテ復権ヲ得ザル者
四 計理士ノ業務ノ停止ノ期間中其ノ業務ヲ廃止シ未ダ其ノ期間ノ経過セザル者
五 計理士ノ業務ノ禁止ノ処分ヲ受ケタル者但シ其ノ処分ヲ受ケタル日ヨリ起算シ三年ヲ経過シ主務大臣ニ於テ改悛ノ情顕著ナリト認メタル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 計理士タラントスル者ハ計理士登録簿ニ登録ヲ受クルコトヲ要ス
計理士ノ登録ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六条 計理士ノ登録ヲ受ケントスル者ハ登録料トシテ二十円ヲ納付スベシ
第七条 計理士ハ其ノ業務ヲ公正ニ行フニ支障アリト認メラルル事項ニ付計理士ノ業務ヲ行フコトヲ得ズ
第八条 計理士ハ主務大臣ノ監督ニ属ス
第九条 計理士本法ノ規定ニ違反シタルトキ又ハ品位ヲ失墜スベキ行為若ハ業務上不正ノ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ計理士懲戒委員会ノ議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ得
計理士懲戒委員会ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 計理士ノ懲戒処分ハ左ノ四種トス
一 譴責
二 千円以下ノ過料
三 一年以内計理士ノ業務ノ停止
四 計理士ノ業務ノ禁止
前項第二号ノ過料ヲ完納セザルトキハ主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手続法第二百八条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十一条 計理士又ハ計理士タリシ者故ナク其ノ業務上取扱ヒタル事項ニ付知得タル秘密ヲ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ズ
第十二条 計理士タル資格ヲ有セズシテ計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第十三条 計理士タル資格ヲ有スルモ其ノ登録ヲ受ケズシテ計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ十円以上二百円以下ノ過料ニ処ス
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ハ二年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ト看做ス
本法施行ノ際迄引続キ一年以上会計ニ関スル検査、調査、鑑定、証明、計算、整理又ハ立案ノ業務ニ従事シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ六月以内ニ出願シタルトキニ限リ第二条第一項第二号ノ規定ニ拘ラズ計理士試験委員ノ銓衡ヲ経テ計理士タルコトヲ得
帝国大学、大学令ニ依ル大学若ハ専門学校令ニ依ル専門学校又ハ主務大臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル学校ニ於テ経済ニ関スル諸学科ヲ修メ定規ノ課業ヲ卒ヘタル者ニシテ引続キ三年以上会計ニ関スル検査、調査、鑑定、証明、計算、整理又ハ立案ノ業務又ハ職務ニ従事シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ五年以内ニ出願シタルトキニ限リ第二条第一項第二号ノ規定ニ拘ラズ計理士試験委員ノ銓衡ヲ経テ計理士タルコトヲ得