海軍召集令
法令番号: 勅令第二百二十九號
公布年月日: 大正15年6月28日
法令の形式: 勅令
朕海軍召集令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年六月二十六日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
海軍大臣 財部彪
勅令第二百二十九號
海軍召集令
第一章 總則
第一條 海軍在鄕軍人ノ召集及簡閱點呼ニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 召集ヲ分チテ充員召集、演習召集及補缺召集トス
第三條 士官ノ召集ニ關スル事項ハ海軍大臣之ヲ掌リ其ノ召集ノ令達ハ海軍大臣直ニ之ヲ行フ
特務士官、准士官及下士官兵ノ召集及簡閱點呼ニ關スル事項ハ在籍鎭守府司令長官之ヲ掌ル
第四條 召集ニハ召集令狀ヲ用ヒ到著地及到著日時ヲ指定シ簡閱點呼ニハ點呼令狀ヲ用ヒ點呼場及到著日時ヲ指定ス但シ已ムコトヲ得サル場合ニ於テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ傳達ノ方法ヲ用フルコトヲ得
演習召集又ハ補缺召集中ノ者ニ對シ充員召集ノ令達ヲ爲ス方法ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五條 召集及簡閱點呼ノ事務ニ關シ鎭守府司令長官ノ定ムル規程ハ地方長官、憲兵隊長及其ノ所部ノ官吏、公吏之ヲ遵行スヘシ
前項ノ規程ニシテ公示ヲ要スルモノニ付テハ明治二十六年勅令第百九十九號中警視廳令、北海道廳令又ハ府縣令ニ關スル規定ヲ準用ス
第六條 鎭守府司令長官ハ定期又ハ臨時ニ地方行政廳ノ召集及簡閱點呼ノ事務ヲ檢閱シ又ハ部下兵科將校ヲシテ之ヲ檢閱セシムヘシ
地方長官、憲兵司令官及憲兵隊長ハ其ノ所部ノ召集及簡閱點呼ノ事務ヲ檢閱シ又ハ部下官吏ヲシテ之ヲ檢閱セシムヘシ
第七條 本令ニ於テ在鄕軍人トハ豫備役及後備役ノ士官、特務士官、准士官及下士官兵竝ニ歸休中ノ下士官兵ヲ謂ヒ應召員トハ召集ニ應スヘキ者ヲ謂フ
第八條 本令中地方長官ニ關スル規定ハ東京府ニ在リテハ警視總監ニモ之ヲ適用シ樺太ニ在リテハ樺太廳長官ニ之ヲ適用ス
第九條 本令中市又ハ市長ニ關スル規定ハ東京市、京都市、大阪市及名古屋市ニ在リテハ區又ハ區長ニ、町村又ハ町村長ニ關スル規定ハ町村又ハ町村長ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
第十條 本令中警察署長トアルハ第十八條及第三十五條ノ場合ヲ除クノ外北海道及樺太ニ在リテハ支廳長トス
第十一條 町村カ二以上ノ警察署ノ管轄區域ニ涉ルトキハ當該町村ニ於ケル召集事務ハ其ノ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル警察署長之ヲ行フ
警察署ノ管轄區域ヲ變更シタル場合ニ於テハ當該區域內ノ召集事務ハ鎭守府司令長官ノ指定スル警察署長ヲシテ一時之ヲ行ハシムルコトヲ得
第二章 充員召集
第一款 通則
第十二條 充員召集トハ戰時又ハ事變ニ際シ充員ヲ行フ爲在鄕軍人ヲ召集スルヲ謂フ
第十三條 地方長官ハ充員召集ノ準備又ハ實施ニ關シ鎭守府司令長官ヨリ要求ヲ受ケタルトキハ之ニ應シ又ハ自ラ召集ヲ容易ナラシムル措置ヲ爲スヘシ
第十四條 戒嚴ヲ宣告シ得ル權アル諸官時機切迫シ命ヲ請フノ暇ナキトキハ充員召集ニ關シ獨斷專行ヲ爲スコトヲ得
第二款 充員召集ノ準備
第十五條 海軍人事部長ハ鎭守府司令長官ノ達ニ基キ充員名簿及充員召集令狀ヲ作リ之ヲ警察署長又ハ市ニ在リテハ市長ニ送付スヘシ
第三款 充員召集ノ實施
第十六條 充員召集ハ充員令ニ依リ之ヲ實施ス
第十七條 鎭守府司令長官ハ充員令ヲ海軍人事部長及海兵團長ニ達シ且之ヲ關係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第十八條 地方長官充員令ノ通知ヲ受ケタルトキハ市長、警察署長(北海道及樺太ニ在リテハ支廳長及警察署長)及第九條ノ市ノ市長ニ達スヘシ
東京府ニ在リテハ市ノ區域ノミヲ管轄スル警察署長ヘノ前項ノ達ハ警視總監之ヲ爲スヘシ
第十九條 警察署長充員令ノ達ヲ受ケタルトキハ充員召集令狀ヲ町村長ニ送付スヘシ
市長充員令ノ達ヲ受ケタルトキハ充員召集令狀ヲ應召員ニ交付シ又ハ充員召集ノ傳達ヲ爲スヘシ町村長前項ノ令狀ノ送付ヲ受ケタルトキ亦同シ
第二十條 憲兵隊長充員令ノ通知ヲ受ケタルトキハ之ヲ關係アル憲兵分隊長ニ達スヘシ
第四款 充員召集ノ解除
第二十一條 充員召集ノ解除ハ解員令ニ依リ之ヲ實施ス但シ必要アルトキハ解員令ニ依ラス一部ノ召集解除ヲ行フコトヲ得
第二十二條 第十七條、第十八條及第二十條ノ規定ハ充員召集ノ解除ニ之ヲ準用ス
第二十三條 警察署長解員令及一部ノ召集解除ノ達ヲ受ケタルトキハ之ヲ關係アル町村長ニ達スヘシ
第三章 演習召集
第二十四條 演習召集トハ演習ヲ行フ爲在鄕軍人ヲ召集スルヲ謂フ
第二十五條 鎭守府司令長官ハ演習召集ノ期日、人員及日數ヲ定メ之ヲ關係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第二十六條 海軍人事部長ハ演習召集令狀ヲ作リ之ヲ警察署長又ハ市ニ在リテハ市長ニ送付シ警察署長令狀ノ送付ヲ受ケタルトキハ之ヲ町村長ニ送付スヘシ
市町村長前項ノ令狀ノ送付ヲ受ケタルトキハ之ヲ應召員ニ交付シ又ハ演習召集ノ傳達ヲ爲スヘシ
第二十七條 第二十條ノ規定ハ第二十五條ノ通知ニ之ヲ準用ス
第四章 補缺召集
第二十八條 補缺召集トハ平時ニ於テ兵員ノ補充ヲ要スルトキ歸休中ノ下士官兵ヲ召集スルヲ謂フ
第二十九條 補缺召集ハ海軍大臣ノ命ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ鎭守府司令長官之ヲ行フ
第三十條 第二十條、第二十五條及第二十六條ノ規定ハ補缺召集ニ之ヲ準用ス
第五章 簡閱點呼
第三十一條 簡閱點呼トハ在鄕軍人タル下士官兵ヲ參會セシメ之ヲ點檢査閱スルヲ謂フ
第三十二條 簡閱點呼ハ在鄕軍人本籍地所管鎭守府管區ニ於テ之ヲ行フ但シ他ノ管區ニ寄留スル者ノ簡閱點呼ハ寄留地所管鎭守府管區ニ於テ之ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ簡閱點呼ニ關スル事項ハ寄留地所管鎭守府司令長官之ヲ掌ル
第三十三條 鎭守府司令長官ハ簡閱點呼ノ時期、區域及人員ヲ定メ部下兵科將校ニ簡閱點呼執行官ヲ命スヘシ
第三十四條 海軍人事部長ハ點呼場及點呼日割ヲ定メ鎭守府司令長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ關係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第三十五條 地方長官前條ノ通知ヲ受ケタルトキハ北海道、樺太又ハ市ニ在リテハ當該區域ヲ管轄スル警察署長ニ之ヲ通知スヘシ
東京府ニ在リテハ前項ノ警察署長ヘノ通知ハ警視總監之ヲ爲スヘシ
第三十六條 第二十條及第二十六條ノ規定ハ簡閱點呼ニ之ヲ準用ス
第三十七條 市町村長ハ簡閱點呼ニ參列スヘシ
地方事務官及警察署長必要アルトキハ簡閱點呼ニ參列スルコトヲ得
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕海軍召集令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年六月二十六日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
海軍大臣 財部彪
勅令第二百二十九号
海軍召集令
第一章 総則
第一条 海軍在郷軍人ノ召集及簡閲点呼ニ関シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 召集ヲ分チテ充員召集、演習召集及補欠召集トス
第三条 士官ノ召集ニ関スル事項ハ海軍大臣之ヲ掌リ其ノ召集ノ令達ハ海軍大臣直ニ之ヲ行フ
特務士官、准士官及下士官兵ノ召集及簡閲点呼ニ関スル事項ハ在籍鎮守府司令長官之ヲ掌ル
第四条 召集ニハ召集令状ヲ用ヒ到著地及到著日時ヲ指定シ簡閲点呼ニハ点呼令状ヲ用ヒ点呼場及到著日時ヲ指定ス但シ已ムコトヲ得サル場合ニ於テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ伝達ノ方法ヲ用フルコトヲ得
演習召集又ハ補欠召集中ノ者ニ対シ充員召集ノ令達ヲ為ス方法ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五条 召集及簡閲点呼ノ事務ニ関シ鎮守府司令長官ノ定ムル規程ハ地方長官、憲兵隊長及其ノ所部ノ官吏、公吏之ヲ遵行スヘシ
前項ノ規程ニシテ公示ヲ要スルモノニ付テハ明治二十六年勅令第百九十九号中警視庁令、北海道庁令又ハ府県令ニ関スル規定ヲ準用ス
第六条 鎮守府司令長官ハ定期又ハ臨時ニ地方行政庁ノ召集及簡閲点呼ノ事務ヲ検閲シ又ハ部下兵科将校ヲシテ之ヲ検閲セシムヘシ
地方長官、憲兵司令官及憲兵隊長ハ其ノ所部ノ召集及簡閲点呼ノ事務ヲ検閲シ又ハ部下官吏ヲシテ之ヲ検閲セシムヘシ
第七条 本令ニ於テ在郷軍人トハ予備役及後備役ノ士官、特務士官、准士官及下士官兵並ニ帰休中ノ下士官兵ヲ謂ヒ応召員トハ召集ニ応スヘキ者ヲ謂フ
第八条 本令中地方長官ニ関スル規定ハ東京府ニ在リテハ警視総監ニモ之ヲ適用シ樺太ニ在リテハ樺太庁長官ニ之ヲ適用ス
第九条 本令中市又ハ市長ニ関スル規定ハ東京市、京都市、大阪市及名古屋市ニ在リテハ区又ハ区長ニ、町村又ハ町村長ニ関スル規定ハ町村又ハ町村長ニ準スヘキモノニ之ヲ適用ス
第十条 本令中警察署長トアルハ第十八条及第三十五条ノ場合ヲ除クノ外北海道及樺太ニ在リテハ支庁長トス
第十一条 町村カ二以上ノ警察署ノ管轄区域ニ渉ルトキハ当該町村ニ於ケル召集事務ハ其ノ町村役場ノ所在地ヲ管轄スル警察署長之ヲ行フ
警察署ノ管轄区域ヲ変更シタル場合ニ於テハ当該区域内ノ召集事務ハ鎮守府司令長官ノ指定スル警察署長ヲシテ一時之ヲ行ハシムルコトヲ得
第二章 充員召集
第一款 通則
第十二条 充員召集トハ戦時又ハ事変ニ際シ充員ヲ行フ為在郷軍人ヲ召集スルヲ謂フ
第十三条 地方長官ハ充員召集ノ準備又ハ実施ニ関シ鎮守府司令長官ヨリ要求ヲ受ケタルトキハ之ニ応シ又ハ自ラ召集ヲ容易ナラシムル措置ヲ為スヘシ
第十四条 戒厳ヲ宣告シ得ル権アル諸官時機切迫シ命ヲ請フノ暇ナキトキハ充員召集ニ関シ独断専行ヲ為スコトヲ得
第二款 充員召集ノ準備
第十五条 海軍人事部長ハ鎮守府司令長官ノ達ニ基キ充員名簿及充員召集令状ヲ作リ之ヲ警察署長又ハ市ニ在リテハ市長ニ送付スヘシ
第三款 充員召集ノ実施
第十六条 充員召集ハ充員令ニ依リ之ヲ実施ス
第十七条 鎮守府司令長官ハ充員令ヲ海軍人事部長及海兵団長ニ達シ且之ヲ関係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第十八条 地方長官充員令ノ通知ヲ受ケタルトキハ市長、警察署長(北海道及樺太ニ在リテハ支庁長及警察署長)及第九条ノ市ノ市長ニ達スヘシ
東京府ニ在リテハ市ノ区域ノミヲ管轄スル警察署長ヘノ前項ノ達ハ警視総監之ヲ為スヘシ
第十九条 警察署長充員令ノ達ヲ受ケタルトキハ充員召集令状ヲ町村長ニ送付スヘシ
市長充員令ノ達ヲ受ケタルトキハ充員召集令状ヲ応召員ニ交付シ又ハ充員召集ノ伝達ヲ為スヘシ町村長前項ノ令状ノ送付ヲ受ケタルトキ亦同シ
第二十条 憲兵隊長充員令ノ通知ヲ受ケタルトキハ之ヲ関係アル憲兵分隊長ニ達スヘシ
第四款 充員召集ノ解除
第二十一条 充員召集ノ解除ハ解員令ニ依リ之ヲ実施ス但シ必要アルトキハ解員令ニ依ラス一部ノ召集解除ヲ行フコトヲ得
第二十二条 第十七条、第十八条及第二十条ノ規定ハ充員召集ノ解除ニ之ヲ準用ス
第二十三条 警察署長解員令及一部ノ召集解除ノ達ヲ受ケタルトキハ之ヲ関係アル町村長ニ達スヘシ
第三章 演習召集
第二十四条 演習召集トハ演習ヲ行フ為在郷軍人ヲ召集スルヲ謂フ
第二十五条 鎮守府司令長官ハ演習召集ノ期日、人員及日数ヲ定メ之ヲ関係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第二十六条 海軍人事部長ハ演習召集令状ヲ作リ之ヲ警察署長又ハ市ニ在リテハ市長ニ送付シ警察署長令状ノ送付ヲ受ケタルトキハ之ヲ町村長ニ送付スヘシ
市町村長前項ノ令状ノ送付ヲ受ケタルトキハ之ヲ応召員ニ交付シ又ハ演習召集ノ伝達ヲ為スヘシ
第二十七条 第二十条ノ規定ハ第二十五条ノ通知ニ之ヲ準用ス
第四章 補欠召集
第二十八条 補欠召集トハ平時ニ於テ兵員ノ補充ヲ要スルトキ帰休中ノ下士官兵ヲ召集スルヲ謂フ
第二十九条 補欠召集ハ海軍大臣ノ命ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ鎮守府司令長官之ヲ行フ
第三十条 第二十条、第二十五条及第二十六条ノ規定ハ補欠召集ニ之ヲ準用ス
第五章 簡閲点呼
第三十一条 簡閲点呼トハ在郷軍人タル下士官兵ヲ参会セシメ之ヲ点検査閲スルヲ謂フ
第三十二条 簡閲点呼ハ在郷軍人本籍地所管鎮守府管区ニ於テ之ヲ行フ但シ他ノ管区ニ寄留スル者ノ簡閲点呼ハ寄留地所管鎮守府管区ニ於テ之ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ簡閲点呼ニ関スル事項ハ寄留地所管鎮守府司令長官之ヲ掌ル
第三十三条 鎮守府司令長官ハ簡閲点呼ノ時期、区域及人員ヲ定メ部下兵科将校ニ簡閲点呼執行官ヲ命スヘシ
第三十四条 海軍人事部長ハ点呼場及点呼日割ヲ定メ鎮守府司令長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ関係アル地方長官及憲兵隊長ニ通知スヘシ
第三十五条 地方長官前条ノ通知ヲ受ケタルトキハ北海道、樺太又ハ市ニ在リテハ当該区域ヲ管轄スル警察署長ニ之ヲ通知スヘシ
東京府ニ在リテハ前項ノ警察署長ヘノ通知ハ警視総監之ヲ為スヘシ
第三十六条 第二十条及第二十六条ノ規定ハ簡閲点呼ニ之ヲ準用ス
第三十七条 市町村長ハ簡閲点呼ニ参列スヘシ
地方事務官及警察署長必要アルトキハ簡閲点呼ニ参列スルコトヲ得
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス