(台湾ニ施行スル法律ノ特例ニ関スル件中改正ノ件)
法令番号: 勅令第五百十四號
公布年月日: 大正12年12月27日
法令の形式: 勅令
朕大正十一年勅令第四百七號臺灣ニ施行スル法律ノ特例ニ關スル件中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年十二月二十六日
內閣總理大臣 伯爵 山本權兵衞
勅令第五百十四號
大正十一年勅令第四百七號中左ノ通改正ス
第一條中「民事」ヲ「民事又ハ刑事」ニ改ム
第二條中「地方法院長」ノ下ニ、「檢事總長又ハ檢事長トアルハ高等法院檢察官長、控訴院ノ檢事トアルハ高等法院檢察官、地方裁判所又ハ區裁判所ノ檢事トアルハ地方法院檢察官又ハ地方法院支部檢察官」ヲ加フ
第四條ノ二 別ニ定ムルモノヲ除クノ外從前ノ律令中臺灣特殊ノ事情ニ因リ規定セラレタル事項ニ關シテハ第一條第一項ノ法律トノ關係ニ於テハ當分ノ內當該律令ノ規定ニ依ル
第四條ノ三 第一條第一項ノ法律中裁判所書記ノ除斥、忌避及囘避ニ關スル規定ハ法院通譯ニ之ヲ準ス
「第二章 民法ニ關スル規定」ヲ
第二章
民事ニ關スル特例
第一節
民法ニ關スル規定
ニ、「第三章」ヲ「第二節」ニ、「第四章」ヲ「第三節」ニ、「第五章」ヲ「第四節」ニ、「第六章」ヲ「第五節」ニ改ム
第三章 刑事ニ關スル特例
第二十八條 檢察官ハ刑事訴訟法第百二十三條ニ規定スル場合ノ外被疑者ニ付同法第八十七條ニ規定スル事由アリタル場合ニ於テ急速ヲ要シ判官ノ勾引狀ヲ求ムルコト能ハサルトキハ直ニ勾引狀ヲ發シ又ハ之ヲ他ノ檢察官若ハ司法警察官ニ命令シ若ハ囑託スルコトヲ得
刑事訴訟法第百二十三條及前項ニ規定スル場合ニ於テハ司法警察官モ亦勾引狀ヲ發シ又ハ之ヲ他ノ司法警察官ニ命令シ若ハ囑託スルコトヲ得
刑事訴訟法第九十七條、第九十八條及第百條乃至第百九條ノ規定ハ前二項ノ勾引ニ付之ヲ準用ス
第二十九條 司法警察官刑事訴訟法第百二十七條ノ規定ニ依リ訊問シタル場合ニ於テ留置ノ必要アリト思料スルトキハ遲クトモ七日內ニ同條ニ定メタル送致ノ手續ヲ爲スヘシ
司法警察官他ノ司法警察官ノ命令又ハ囑託ニ因リ被疑者ニ對シ勾引狀ヲ發シタル場合ニ於テハ刑事訴訟法第百二十七條ノ規定ニ依ラス速ニ之ヲ命令シ又ハ囑託シタル司法警察官ニ引致シ又ハ送致スヘシ
第三十條 檢察官刑事訴訟法第百二十九條第一項ノ規定ニ依リ勾留狀ヲ發シタル場合又ハ他ノ檢察官ヨリ勾留セラレタル被疑者ヲ受取リタル場合ニ於テ勾留ノ日又ハ被疑者ヲ受取リタル日ヨリ十日內ニ公訴ヲ提起セス又ハ書類及證據物ト共ニ之ヲ管轄法院ノ檢察官若ハ相當官署ニ送致スル手續ヲ爲ササルトキハ勾留ヲ取消スヘシ
第三十一條 刑事訴訟法第百十一條及第百十二條第一項ノ規定ハ檢察官ノ爲ス勾留ニ付之ヲ準用ス
第三十二條 檢察官ハ被疑者ニ付刑事訴訟法第八十七條ニ規定スル事由アリタル場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ押收、搜索、檢證、證人訊問竝鑑定、通譯及翻譯ノ處分ヲ爲シ又ハ之ヲ他ノ檢察官若ハ司法警察官ニ命令シ若ハ囑託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ司法警察官モ亦押收、搜索、檢證、證人訊問竝鑑定、通譯及翻譯ノ處分ヲ爲シ又ハ之ヲ他ノ司法警察官ニ命令シ若ハ囑託スルコトヲ得
刑事訴訟法第二百十四條、第二百十七條、第二百二十八條及第二百三十六條ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依リ檢察官又ハ司法警察官ノ爲ス證人訊問竝鑑定、通譯及翻譯ノ處分ニ付之ヲ準用ス
第三十三條 法院又ハ豫審判官ハ必要ト認ムルトキハ命令狀ヲ發シ司法警察官ヲシテ檢證又ハ鑑定ノ處分ヲ爲サシムルコトヲ得
刑事訴訟法第百五十條第二項第三項及第二百二十八條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ司法警察官ノ爲ス鑑定ノ處分ニ付之ヲ準用ス
第三十四條 刑事訴訟法第二百五十條及第二百五十一條中勅令トアルハ臺灣總督府令トス
第三十五條 刑事訴訟法第二百六十四條ノ規定ハ當分ノ內本島人ノ爲ス吿訴ニ付之ヲ適用セス
第三十六條 刑事訴訟法中市町村吏員ヲシテ立會ハシムヘキ場合ニ於テハ市街庄若ハ區ノ官公吏又ハ相當ノ者ヲシテ立會ハシムヘシ
第三十七條 刑事訴訟法第三百三十八條第三項ノ規定ハ之ヲ適用セス但シ檢察官又ハ辯護人ハ必要トスル事項ニ付公判ニ於テ被吿人、證人、鑑定人、通事又ハ翻譯人ヲ訊問スヘキコトヲ裁判長ニ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ裁判長適當ト認ムルトキハ檢察官又ハ辯護人ヲシテ直接ニ其ノ訊問ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十八條 刑事訴訟法ノ施行ニ關シテハ刑事訴訟法第六百十六條及第六百十八條乃至第六百三十一條ノ規定ヲ準用ス
第三十九條 大正十一年十二月三十一日以前ニ要シタル刑事訴訟費用ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
附 則
本令ハ大正十三年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
大正十一年勅令第五百二十四號附則第二項ヲ削ル
朕大正十一年勅令第四百七号台湾ニ施行スル法律ノ特例ニ関スル件中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年十二月二十六日
内閣総理大臣 伯爵 山本権兵衛
勅令第五百十四号
大正十一年勅令第四百七号中左ノ通改正ス
第一条中「民事」ヲ「民事又ハ刑事」ニ改ム
第二条中「地方法院長」ノ下ニ、「検事総長又ハ検事長トアルハ高等法院検察官長、控訴院ノ検事トアルハ高等法院検察官、地方裁判所又ハ区裁判所ノ検事トアルハ地方法院検察官又ハ地方法院支部検察官」ヲ加フ
第四条ノ二 別ニ定ムルモノヲ除クノ外従前ノ律令中台湾特殊ノ事情ニ因リ規定セラレタル事項ニ関シテハ第一条第一項ノ法律トノ関係ニ於テハ当分ノ内当該律令ノ規定ニ依ル
第四条ノ三 第一条第一項ノ法律中裁判所書記ノ除斥、忌避及回避ニ関スル規定ハ法院通訳ニ之ヲ準ス
「第二章 民法ニ関スル規定」ヲ
第二章
民事ニ関スル特例
第一節
民法ニ関スル規定
ニ、「第三章」ヲ「第二節」ニ、「第四章」ヲ「第三節」ニ、「第五章」ヲ「第四節」ニ、「第六章」ヲ「第五節」ニ改ム
第三章 刑事ニ関スル特例
第二十八条 検察官ハ刑事訴訟法第百二十三条ニ規定スル場合ノ外被疑者ニ付同法第八十七条ニ規定スル事由アリタル場合ニ於テ急速ヲ要シ判官ノ勾引状ヲ求ムルコト能ハサルトキハ直ニ勾引状ヲ発シ又ハ之ヲ他ノ検察官若ハ司法警察官ニ命令シ若ハ嘱託スルコトヲ得
刑事訴訟法第百二十三条及前項ニ規定スル場合ニ於テハ司法警察官モ亦勾引状ヲ発シ又ハ之ヲ他ノ司法警察官ニ命令シ若ハ嘱託スルコトヲ得
刑事訴訟法第九十七条、第九十八条及第百条乃至第百九条ノ規定ハ前二項ノ勾引ニ付之ヲ準用ス
第二十九条 司法警察官刑事訴訟法第百二十七条ノ規定ニ依リ訊問シタル場合ニ於テ留置ノ必要アリト思料スルトキハ遅クトモ七日内ニ同条ニ定メタル送致ノ手続ヲ為スヘシ
司法警察官他ノ司法警察官ノ命令又ハ嘱託ニ因リ被疑者ニ対シ勾引状ヲ発シタル場合ニ於テハ刑事訴訟法第百二十七条ノ規定ニ依ラス速ニ之ヲ命令シ又ハ嘱託シタル司法警察官ニ引致シ又ハ送致スヘシ
第三十条 検察官刑事訴訟法第百二十九条第一項ノ規定ニ依リ勾留状ヲ発シタル場合又ハ他ノ検察官ヨリ勾留セラレタル被疑者ヲ受取リタル場合ニ於テ勾留ノ日又ハ被疑者ヲ受取リタル日ヨリ十日内ニ公訴ヲ提起セス又ハ書類及証拠物ト共ニ之ヲ管轄法院ノ検察官若ハ相当官署ニ送致スル手続ヲ為ササルトキハ勾留ヲ取消スヘシ
第三十一条 刑事訴訟法第百十一条及第百十二条第一項ノ規定ハ検察官ノ為ス勾留ニ付之ヲ準用ス
第三十二条 検察官ハ被疑者ニ付刑事訴訟法第八十七条ニ規定スル事由アリタル場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ押収、捜索、検証、証人訊問並鑑定、通訳及翻訳ノ処分ヲ為シ又ハ之ヲ他ノ検察官若ハ司法警察官ニ命令シ若ハ嘱託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ司法警察官モ亦押収、捜索、検証、証人訊問並鑑定、通訳及翻訳ノ処分ヲ為シ又ハ之ヲ他ノ司法警察官ニ命令シ若ハ嘱託スルコトヲ得
刑事訴訟法第二百十四条、第二百十七条、第二百二十八条及第二百三十六条ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依リ検察官又ハ司法警察官ノ為ス証人訊問並鑑定、通訳及翻訳ノ処分ニ付之ヲ準用ス
第三十三条 法院又ハ予審判官ハ必要ト認ムルトキハ命令状ヲ発シ司法警察官ヲシテ検証又ハ鑑定ノ処分ヲ為サシムルコトヲ得
刑事訴訟法第百五十条第二項第三項及第二百二十八条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ司法警察官ノ為ス鑑定ノ処分ニ付之ヲ準用ス
第三十四条 刑事訴訟法第二百五十条及第二百五十一条中勅令トアルハ台湾総督府令トス
第三十五条 刑事訴訟法第二百六十四条ノ規定ハ当分ノ内本島人ノ為ス告訴ニ付之ヲ適用セス
第三十六条 刑事訴訟法中市町村吏員ヲシテ立会ハシムヘキ場合ニ於テハ市街庄若ハ区ノ官公吏又ハ相当ノ者ヲシテ立会ハシムヘシ
第三十七条 刑事訴訟法第三百三十八条第三項ノ規定ハ之ヲ適用セス但シ検察官又ハ弁護人ハ必要トスル事項ニ付公判ニ於テ被告人、証人、鑑定人、通事又ハ翻訳人ヲ訊問スヘキコトヲ裁判長ニ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ裁判長適当ト認ムルトキハ検察官又ハ弁護人ヲシテ直接ニ其ノ訊問ヲ為サシムルコトヲ得
第三十八条 刑事訴訟法ノ施行ニ関シテハ刑事訴訟法第六百十六条及第六百十八条乃至第六百三十一条ノ規定ヲ準用ス
第三十九条 大正十一年十二月三十一日以前ニ要シタル刑事訴訟費用ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
附 則
本令ハ大正十三年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
大正十一年勅令第五百二十四号附則第二項ヲ削ル