労働統計実地調査令
法令番号: 勅令第二百六十六號
公布年月日: 大正12年5月22日
法令の形式: 勅令
朕勞働統計實地調査令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年五月二十二日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
鐵道大臣 伯爵 大木遠吉
陸軍大臣 山梨半造
內務大臣 水野鍊太郞
農商務大臣 荒井賢太郞
大藏大臣 市來乙彥
遞信大臣 子爵 前田利定
海軍大臣 財部彪
勅令第二百六十六號
勞働統計實地調査令
第一條 勞働統計實地調査ハ三年每ニ一囘十月十日現在ニ依リ之ヲ行フ
第一囘勞働統計實地調査ハ大正十二年ニ之ヲ行フ
第二條 本令ニ於テ鑛山ト稱スルハ鑛業法又ハ砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業場及工場ヲ謂フ
本令ニ於テ勞働者ト稱スルハ賃銀ヲ得テ工場又ハ鑛山ノ作業ニ從事スル職工、鑛夫、人夫其ノ他ノ勞役者ヲ謂フ
第三條 勞働統計實地調査ハ第一條第一項ノ期日ニ於テ三十人以上ノ勞働者ヲ使用スル工場又ハ五十人以上ノ勞働者ヲ使用スル鑛山ノ事業主及勞働者ニ付之ヲ行フ但シ左記第一號ニ該當スル工場ニ在リテハ三百人以上、第二號ニ該當スル工場ニ在リテハ百人以上、第三號ニ該當スル工場ニ在リテハ十五人以上ノ勞働者ヲ使用スルモノニ付之ヲ行フ
一 綿絲紡績業又ハ麻絲紡績業ヲ營ムモノ
二 製絲業、絹絲紡績業、船舶車輛製造業、洋紙藁紙板紙類ノ製造業、燐寸製造業又ハセメント製造業ヲ營ムモノ
三 毛撚絲業、眞綿製造業、麻眞田製造業、絲組物紐洋燈心類ノ製造業、活字製造業、漆器業、火藥ダイナマイト類ノ製造業、雷管導火線製造業、製油及製蠟業、籠簾檜織傘骨柳行李類ノ製造業又ハ藺莚麥桿眞田及經木眞田製造業ヲ營ムモノ
第四條 第一條第一項ノ期日ニ休業セル工場又ハ鑛山ニシテ引續キ十月二十日迄休業シタルモノニ關シテハ調査ヲ行ハス
第五條 事業主ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 工場又ハ鑛山ノ名
二 工場又ハ鑛山ノ所在地
三 事業ノ種類
四 勞働者現在數
五 一日ノ所定勞働時間
六 一日ノ所定休憩時間
七 一箇月ノ所定休業日數
八 實物給與ノ種類及價額
勞働者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月
四 出生地
五 配偶者ノ有無
六 敎育ノ程度
七 職名
八 就業ノ年數
九 賃銀
十 實物給與ノ有無
第六條 勞働統計實地調査ハ各工場又ハ鑛山ニ就キ之ヲ行フ但シ調査ヲ行フ際工場又ハ鑛山ニ出勤セサル者ニ付テハ其ノ居所ニ就キ之ヲ行フコトヲ得
第七條 事業主ハ第五條第一項各號ノ事項ヲ、勞働者ハ同條第二項各號ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第八條 事業主自ラ工場又ハ鑛山ノ管理ヲ爲ササルトキハ事實上之ヲ管理スル者ヲ以テ事業主ト看做ス
第九條 府縣知事ハ內務大臣ノ命ヲ承ケ府縣內ノ工場ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十條 鑛務署長ハ內務大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ鑛山ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十一條 郡長ハ府縣知事ノ命ヲ承ケ郡內ノ工場ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十二條 市長ハ工場ニ關シテハ府縣知事、鑛山ニ關シテハ鑛務署長ノ指揮監督ヲ承ケ市內ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十三條 町村長ハ工場ニ關シテハ郡長、鑛山ニ關シテハ鑛務署長ノ指揮監督ヲ承ケ町村內ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十四條 勞働統計實地調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル爲必要アルトキハ府縣、鑛務署、郡又ハ市町村ニ勞働調査指導員ヲ置クコトヲ得
第十五條 勞働統計實地調査ノ事務ヲ執行セシムル爲市町村ニ勞働調査員及勞働副調査員ヲ置ク
第十六條 勞働調査指導員、勞働調査員及勞働副調査員ハ府縣知事又ハ鑛務署長ノ推薦ニ依リ內務大臣之ヲ命ス
勞働調査指導員、勞働調査員及勞働副調査員ハ名譽職トス
第十七條 勞働調査指導員ハ當該府縣知事、鑛務署長、郡長又ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ調査事務ノ執行ヲ指導ス
第十八條 勞働調査員及勞働副調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ事業票及勞働票ノ配付蒐集、調査事項ニ關スル質問記入其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第十九條 官營事業ニ關スル調査ニ付テハ主務大臣別ニ其ノ手續ヲ定ム
第二十條 本令中府縣、府縣知事ニ關スル規定ハ北海道ニ在リテハ北海道廳、北海道廳長官ニ、郡、郡長、町村、町村長ニ關スル規定ハ從前郡制ヲ施行セサリシ地及町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ之ニ相當スル地區、官吏、吏員ニ、市制第六條及第八十二條ノ市ニ在リテハ市、市長、區、區長ニ之ヲ準用ス
朕労働統計実地調査令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年五月二十二日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
鉄道大臣 伯爵 大木遠吉
陸軍大臣 山梨半造
内務大臣 水野錬太郎
農商務大臣 荒井賢太郎
大蔵大臣 市来乙彦
逓信大臣 子爵 前田利定
海軍大臣 財部彪
勅令第二百六十六号
労働統計実地調査令
第一条 労働統計実地調査ハ三年毎ニ一回十月十日現在ニ依リ之ヲ行フ
第一回労働統計実地調査ハ大正十二年ニ之ヲ行フ
第二条 本令ニ於テ鉱山ト称スルハ鉱業法又ハ砂鉱法ノ適用ヲ受クル事業場及工場ヲ謂フ
本令ニ於テ労働者ト称スルハ賃銀ヲ得テ工場又ハ鉱山ノ作業ニ従事スル職工、鉱夫、人夫其ノ他ノ労役者ヲ謂フ
第三条 労働統計実地調査ハ第一条第一項ノ期日ニ於テ三十人以上ノ労働者ヲ使用スル工場又ハ五十人以上ノ労働者ヲ使用スル鉱山ノ事業主及労働者ニ付之ヲ行フ但シ左記第一号ニ該当スル工場ニ在リテハ三百人以上、第二号ニ該当スル工場ニ在リテハ百人以上、第三号ニ該当スル工場ニ在リテハ十五人以上ノ労働者ヲ使用スルモノニ付之ヲ行フ
一 綿糸紡績業又ハ麻糸紡績業ヲ営ムモノ
二 製糸業、絹糸紡績業、船舶車輛製造業、洋紙藁紙板紙類ノ製造業、燐寸製造業又ハセメント製造業ヲ営ムモノ
三 毛撚糸業、真綿製造業、麻真田製造業、糸組物紐洋灯心類ノ製造業、活字製造業、漆器業、火薬ダイナマイト類ノ製造業、雷管導火線製造業、製油及製蠟業、籠簾檜織傘骨柳行李類ノ製造業又ハ藺莚麦桿真田及経木真田製造業ヲ営ムモノ
第四条 第一条第一項ノ期日ニ休業セル工場又ハ鉱山ニシテ引続キ十月二十日迄休業シタルモノニ関シテハ調査ヲ行ハス
第五条 事業主ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 工場又ハ鉱山ノ名
二 工場又ハ鉱山ノ所在地
三 事業ノ種類
四 労働者現在数
五 一日ノ所定労働時間
六 一日ノ所定休憩時間
七 一箇月ノ所定休業日数
八 実物給与ノ種類及価額
労働者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月
四 出生地
五 配偶者ノ有無
六 教育ノ程度
七 職名
八 就業ノ年数
九 賃銀
十 実物給与ノ有無
第六条 労働統計実地調査ハ各工場又ハ鉱山ニ就キ之ヲ行フ但シ調査ヲ行フ際工場又ハ鉱山ニ出勤セサル者ニ付テハ其ノ居所ニ就キ之ヲ行フコトヲ得
第七条 事業主ハ第五条第一項各号ノ事項ヲ、労働者ハ同条第二項各号ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第八条 事業主自ラ工場又ハ鉱山ノ管理ヲ為ササルトキハ事実上之ヲ管理スル者ヲ以テ事業主ト看做ス
第九条 府県知事ハ内務大臣ノ命ヲ承ケ府県内ノ工場ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十条 鉱務署長ハ内務大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ鉱山ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十一条 郡長ハ府県知事ノ命ヲ承ケ郡内ノ工場ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十二条 市長ハ工場ニ関シテハ府県知事、鉱山ニ関シテハ鉱務署長ノ指揮監督ヲ承ケ市内ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十三条 町村長ハ工場ニ関シテハ郡長、鉱山ニ関シテハ鉱務署長ノ指揮監督ヲ承ケ町村内ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十四条 労働統計実地調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル為必要アルトキハ府県、鉱務署、郡又ハ市町村ニ労働調査指導員ヲ置クコトヲ得
第十五条 労働統計実地調査ノ事務ヲ執行セシムル為市町村ニ労働調査員及労働副調査員ヲ置ク
第十六条 労働調査指導員、労働調査員及労働副調査員ハ府県知事又ハ鉱務署長ノ推薦ニ依リ内務大臣之ヲ命ス
労働調査指導員、労働調査員及労働副調査員ハ名誉職トス
第十七条 労働調査指導員ハ当該府県知事、鉱務署長、郡長又ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ調査事務ノ執行ヲ指導ス
第十八条 労働調査員及労働副調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ事業票及労働票ノ配付蒐集、調査事項ニ関スル質問記入其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第十九条 官営事業ニ関スル調査ニ付テハ主務大臣別ニ其ノ手続ヲ定ム
第二十条 本令中府県、府県知事ニ関スル規定ハ北海道ニ在リテハ北海道庁、北海道庁長官ニ、郡、郡長、町村、町村長ニ関スル規定ハ従前郡制ヲ施行セサリシ地及町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ之ニ相当スル地区、官吏、吏員ニ、市制第六条及第八十二条ノ市ニ在リテハ市、市長、区、区長ニ之ヲ準用ス