工業労働者最低年齢法
法令番号: 法律第三十四號
公布年月日: 大正12年3月30日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル工業勞働者最低年齡法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年三月二十九日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
內務大臣 水野鍊太郞
農商務大臣 荒井賢太郞
遞信大臣 子爵 前田利定
法律第三十四號
工業勞働者最低年齡法
第一條 本法ニ於テ工業ト稱スルハ左ニ揭クル事業ヲ謂フ
一 鑛業、砂鑛業、石切業其ノ他土地ヨリ鑛物ヲ採取スル事業
二 物品ノ製造、改造、淨洗、修理、裝飾、仕上、販賣ノ爲ニスル仕立、破壞若ハ解體ヲ爲シ又ハ材料ノ變造ヲ爲ス事業(造船業及電氣又ハ各種動力ノ發生、變更及傳導ヲ爲ス事業ヲ含ム)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、變更、解體又ハ其ノ準備若ハ基礎工事
四 道路、鐵道、軌道又ハ平水航路ニ於ケル旅客又ハ貨物ノ運送但シ主トシテ人力ニ依ル運送ヲ除ク
五 船渠、岸壁、波止場又ハ倉庫ニ於ケル貨物ノ取扱
第二條 十四歲未滿ノ者ハ工業ニ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ十二歲以上ノ者ニシテ尋常小學校ノ敎科ヲ修了シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ屬スル者ノミヲ使用スル事業又ハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ工業ニ關スル學校ニ於テ兒童ニ爲サシムル作業ニ之ヲ適用セス
第三條 十六歲未滿ノ者ヲ工業ニ使用スル場合ニ於テハ使用者ハ其ノ住所、氏名、生年月日及學歷ヲ記載シタル名簿ヲ調製シ作業場ニ備附クルコトヲ要ス但シ工場法施行令又ハ鑛業法ニ依ル名簿ノ備附アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第四條 當該官吏ハ作業場又ハ其ノ附屬建設物ニ臨檢スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
第五條 工業ニ就業シ若ハ就業セムトスル者又ハ使用者ハ就業シ又ハ就業セムトスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第六條 第二條ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第七條 第三條ノ規定ニ違反シタル者又ハ正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第八條 使用者營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者若ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ使用者ニ適用スヘキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第九條 使用者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ本法ニ違反スル所爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十條 本法ニ於テ使用者ニ關スル規定ハ工場法ノ適用ヲ受クル工場ニ在リテハ工業主ニ、工場管理人アル場合ニ於テハ工場管理人ニ、鑛業ニ在リテハ鑛業權者ニ、鑛業代理人アル場合ニ於テハ鑛業代理人ニ之ヲ適用ス
第十一條 本法ハ罰則ヲ除クノ外國、府縣、市町村其ノ他之ニ準スヘキ者ノ使用者タル場合ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際十二歲以上ノ者ヲ引續キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付第二條ノ規定ハ之ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル工業労働者最低年齢法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年三月二十九日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
内務大臣 水野錬太郎
農商務大臣 荒井賢太郎
逓信大臣 子爵 前田利定
法律第三十四号
工業労働者最低年齢法
第一条 本法ニ於テ工業ト称スルハ左ニ掲クル事業ヲ謂フ
一 鉱業、砂鉱業、石切業其ノ他土地ヨリ鉱物ヲ採取スル事業
二 物品ノ製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売ノ為ニスル仕立、破壊若ハ解体ヲ為シ又ハ材料ノ変造ヲ為ス事業(造船業及電気又ハ各種動力ノ発生、変更及伝導ヲ為ス事業ヲ含ム)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、変更、解体又ハ其ノ準備若ハ基礎工事
四 道路、鉄道、軌道又ハ平水航路ニ於ケル旅客又ハ貨物ノ運送但シ主トシテ人力ニ依ル運送ヲ除ク
五 船渠、岸壁、波止場又ハ倉庫ニ於ケル貨物ノ取扱
第二条 十四歳未満ノ者ハ工業ニ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ十二歳以上ノ者ニシテ尋常小学校ノ教科ヲ修了シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ属スル者ノミヲ使用スル事業又ハ行政官庁ノ認可ヲ受ケ工業ニ関スル学校ニ於テ児童ニ為サシムル作業ニ之ヲ適用セス
第三条 十六歳未満ノ者ヲ工業ニ使用スル場合ニ於テハ使用者ハ其ノ住所、氏名、生年月日及学歴ヲ記載シタル名簿ヲ調製シ作業場ニ備附クルコトヲ要ス但シ工場法施行令又ハ鉱業法ニ依ル名簿ノ備附アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第四条 当該官吏ハ作業場又ハ其ノ附属建設物ニ臨検スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ証票ヲ携帯スヘシ
第五条 工業ニ就業シ若ハ就業セムトスル者又ハ使用者ハ就業シ又ハ就業セムトスル者ノ戸籍ニ関シ戸籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ対シ無償ニテ証明ヲ求ムルコトヲ得
第六条 第二条ノ規定ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第七条 第三条ノ規定ニ違反シタル者又ハ正当ノ理由ナクシテ当該官吏ノ臨検ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第八条 使用者営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者若ハ禁治産者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ使用者ニ適用スヘキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第九条 使用者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ本法ニ違反スル所為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十条 本法ニ於テ使用者ニ関スル規定ハ工場法ノ適用ヲ受クル工場ニ在リテハ工業主ニ、工場管理人アル場合ニ於テハ工場管理人ニ、鉱業ニ在リテハ鉱業権者ニ、鉱業代理人アル場合ニ於テハ鉱業代理人ニ之ヲ適用ス
第十一条 本法ハ罰則ヲ除クノ外国、府県、市町村其ノ他之ニ準スヘキ者ノ使用者タル場合ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際十二歳以上ノ者ヲ引続キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付第二条ノ規定ハ之ヲ適用セス