開墾助成法
法令番号: 法律第四十二號
公布年月日: 大正8年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル開墾助成法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月四日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 男爵 高橋是淸
農商務大臣 山本達雄
法律第四十二號
開墾助成法
第一條 土地ノ農業上ノ利用ヲ增進スル目的ヲ以テ左ニ揭クル事業ヲ行フ者ニ對シ主務大臣ハ助成金ヲ交付スルコトヲ得
一 開墾、湖海ノ埋立若ハ干拓又ハ開田
二 前號ニ揭クル事業ニ伴フ灌漑排水ニ關スル施設又ハ道路堤塘ノ新設若ハ變更
第二條 助成金ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工事開始ノ年ヨリ工事終了後四年ニ至ル期間內ニ於テ之ヲ交付ス
前項助成金ノ年額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業ノ爲其ノ交付ノ日迄ニ支出シタル總金額ノ百分ノ六以內トス
第三條 主務大臣ハ助成金ノ交付ヲ受クル者ニ對シ助成金交付ノ土地、事業又ハ事業ニ依リテ生シタル設備ニ關シ報告ヲ命シ、當該官吏若ハ吏員ヲシテ書類會計物件若ハ工事ヲ檢査セシメ又ハ監督上必要ナル命令ヲ發シ若ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四條 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ主務大臣ハ助成金ノ交付ヲ受クル者ニ對シ助成金ノ交付ヲ停止シ若ハ廢止シ又ハ助成金ノ全部若ハ一部ノ償還ヲ命スルコトヲ得
一 本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲シタル處分ニ違反シタルトキ
二 事業ノ全部又ハ一部ノ停止又ハ廢止アリタルトキ
三 助成金交付ノ土地又ハ事業ニ依リテ生シタル設備ヲ農業上ニ利用セサルニ至リタルトキ
四 助成金交付ノ條件ニ違反シタルトキ
五 詐欺ノ手段ヲ以テ助成金ノ交付ヲ受ケタルトキ
第五條 私人ノ助成金償還ニ付テハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但シ先取特權ノ順位ハ國稅ニ次クモノトス
第六條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ北海道ニ之ヲ施行セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル開墾助成法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月四日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 男爵 高橋是清
農商務大臣 山本達雄
法律第四十二号
開墾助成法
第一条 土地ノ農業上ノ利用ヲ増進スル目的ヲ以テ左ニ掲クル事業ヲ行フ者ニ対シ主務大臣ハ助成金ヲ交付スルコトヲ得
一 開墾、湖海ノ埋立若ハ干拓又ハ開田
二 前号ニ掲クル事業ニ伴フ灌漑排水ニ関スル施設又ハ道路堤塘ノ新設若ハ変更
第二条 助成金ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工事開始ノ年ヨリ工事終了後四年ニ至ル期間内ニ於テ之ヲ交付ス
前項助成金ノ年額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業ノ為其ノ交付ノ日迄ニ支出シタル総金額ノ百分ノ六以内トス
第三条 主務大臣ハ助成金ノ交付ヲ受クル者ニ対シ助成金交付ノ土地、事業又ハ事業ニ依リテ生シタル設備ニ関シ報告ヲ命シ、当該官吏若ハ吏員ヲシテ書類会計物件若ハ工事ヲ検査セシメ又ハ監督上必要ナル命令ヲ発シ若ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四条 左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ主務大臣ハ助成金ノ交付ヲ受クル者ニ対シ助成金ノ交付ヲ停止シ若ハ廃止シ又ハ助成金ノ全部若ハ一部ノ償還ヲ命スルコトヲ得
一 本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ依リテ為シタル処分ニ違反シタルトキ
二 事業ノ全部又ハ一部ノ停止又ハ廃止アリタルトキ
三 助成金交付ノ土地又ハ事業ニ依リテ生シタル設備ヲ農業上ニ利用セサルニ至リタルトキ
四 助成金交付ノ条件ニ違反シタルトキ
五 詐欺ノ手段ヲ以テ助成金ノ交付ヲ受ケタルトキ
第五条 私人ノ助成金償還ニ付テハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得但シ先取特権ノ順位ハ国税ニ次クモノトス
第六条 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ依ル職権ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ北海道ニ之ヲ施行セス