無尽業法
法令番号: 法律第二十四號
公布年月日: 大正4年6月21日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル無盡業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年六月十九日
內閣總理大臣 伯爵 大隈重信
大藏大臣 若槻禮次郞
法律第二十四號
無盡業法
第一條 本法ニ於テ無盡ト稱スルハ一定ノ口數ト給付金額トヲ定メ定期ニ掛金ヲ拂込マシメ一口每ニ抽籤入札其ノ他類似ノ方法ニ依リ掛金者ニ對シ金錢ノ給付ヲ爲スヲ謂フ無盡類似ノ方法ニ依リ金錢又ハ有價證券ノ給付ヲ爲スモノ亦同シ但シ賭博又ハ富籤ニ類似スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二條 無盡ノ營業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
營業トシテ無盡ノ管理ヲ爲スハ之ヲ無盡業ト看做ス
第三條 無盡業ノ免許ヲ受ケムトスルトキハ資本金額及營業所ヲ定メ主務大臣ニ申請スヘシ
無盡業ヲ營ム會社ノ資本又ハ財產ヲ目的トスル出資ノ總額ハ三萬圓其ノ金錢ヲ以テスル拂込金額ハ一萬五千圓ヲ下ルコトヲ得ス
第一項ノ申請ヲ爲スニハ申請書ニ事業方法ヲ記載シタル書面及無盡契約約款ヲ添附シ會社ニ在リテハ尙定款ヲ添附スヘシ
第四條 無盡業ヲ營ム會社ハ其ノ商號中ニ無盡ナル文字ヲ用ウヘシ
會社ニ非サル無盡業者ハ其ノ營業ヲ表示スル名稱ヲ附シ其ノ名稱中ニ無盡ナル文字ヲ用ウヘシ
無盡業者ニ非サルモノハ其ノ商號又ハ營業ヲ表示スル名稱中ニ無盡ナル文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第五條 無盡業ヲ營ム會社ハ他ノ事業ヲ兼營スルコトヲ得ス
會社ニ非サル無盡業者カ他ノ事業ヲ兼營セムトスルトキハ主務大臣ノ認許ヲ受クヘシ
第六條 無盡業ノ營業區域ハ道府縣ノ區域內ニ於テ之ヲ定メ會社ニ在リテハ定款中ニ其ノ他ノ者ニ在リテハ事業方法書中ニ之ヲ記載スヘシ
第七條 無盡業ヲ營ム會社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第八條 無盡業者カ資本金額、營業所、事業方法又ハ無盡契約約款ヲ變更セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ會社カ定款ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ事業方法又ハ無盡契約約款ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第九條 無盡業者ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ營業上ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 國債證券、地方債證券其ノ他特別ノ法令ニ依リ設立シタル會社ノ債券又ハ株券ノ買入
二 前號ノ有價證券ヲ擔保トスル貸付
三 掛金者ニ對シ旣ニ拂込ミタル掛金額ヲ限度トスル貸付
四 銀行ヘノ預ケ金又ハ郵便貯金
第十條 無盡業ヲ營ム株式會社カ會社財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタルトキハ無盡契約ニ基ク會社ノ債務ニ付各取締役ハ連帶シテ其ノ辨償ノ責ニ任ス
前項ノ責任ハ取締役カ退任ノ登記ヲ爲シタル後二年間仍存續ス
第十一條 無盡業者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ其ノ經營スル無盡ニ加入スルコトヲ得ス
會社ニ非スシテ無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ主務大臣ノ認許ヲ受ケタル場合ニ限リ其ノ管理スル無盡ニ加入スルコトヲ得
第十二條 無盡業ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役及使用人ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ會社ト無盡契約ヲ爲シ又ハ會社ノ管理スル無盡ニ加入スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ會社ニ非サル無盡業者ノ使用人ニ付之ヲ準用ス
第十三條 無盡業者ハ無盡ノ缺口又ハ掛金ノ拂込ヲ爲ササル者アル場合ト雖第一囘ノ抽籤入札ノ後ハ給付金額ヲ減少シ又ハ掛金額ヲ增加スルコトヲ得ス
第十四條 無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ其ノ管理スル無盡ノ掛金ノ拂込ナキ場合ニ於テ掛金者ニ代リ掛金ノ拂込ヲ爲ス責ニ任ス
第十五條 無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ其ノ管理スル無盡ノ加入者ニ代リ掛金ノ拂込及給付金ノ支拂ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
掛金ノ拂込又ハ給付金ノ支拂ニ關スル訴ニ於テハ無盡ノ管理者ハ原吿又ハ被吿ト爲ルコトヲ得
前項ノ訴ニ於テ言渡シタル判決ハ無盡ノ加入者ニ對シテモ其ノ效力ヲ有ス但シ各加入者ハ拂込ヲ了セサル掛金額ヲ超エテ執行ヲ受クルコトナシ
第十六條 無盡業者ハ每半年事業ノ報吿書ヲ作リ主務大臣ニ提出スヘシ
第十七條 無盡業者ハ每半年ノ貸借對照表ヲ作リ新聞紙又ハ事業方法書ニ定メタル方法ニ依リ之ヲ公吿スヘシ
第十八條 無盡業者ハ各無盡ニ付抽籤入札ノ都度其ノ收支ノ計算ヲ帳簿ニ記載シ次囘ノ抽籤入札ノ前日迄ニ之ヲ營業所ニ備ヘ置クヘシ
第十九條 掛金者ハ無盡業者ニ對シ營業時間內何時ニテモ前半年末貸借對照表ノ閱覽ヲ請求シ又ハ其ノ加入シタル無盡ノ掛金者五分ノ一以上ノ同意ヲ以テ前條ノ帳簿中其ノ加入シタル無盡ニ關スル部分ノ閱覽ヲ請求スルコトヲ得
第二十條 無盡業ヲ營ム會社ハ資本又ハ出資ノ總額ニ達スル迄ハ利益ヲ配當スル每ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第二十一條 主務大臣ハ何時ニテモ無盡業者ヲシテ其ノ事業報吿ヲ爲サシメ又ハ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第二十二條 主務大臣ハ無盡業者ノ業務又ハ財產ノ狀況ニ依リ掛金者ノ利益ヲ保護スル爲必要ト認ムルトキハ其ノ事業方法ノ變更又ハ事業ノ停止ヲ命シ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
無盡業者カ法令、定款又ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ事業ノ停止若ハ役員ノ改任ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三條 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ無盡業ヲ營ミタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條 左ノ場合ニ於テハ會社ニ非サル無盡業者又ハ無盡業ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第五條、第八條第一項、第九條、第十一條、第十三條、第十六條乃至第十八條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第六條ノ規定ニ依リ定メタル營業區域外ニ於テ營業ヲ爲シタルトキ
三 第八條第二項又ハ第二十二條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
四 正當ノ理由ナクシテ第十九條ノ閱覽ノ請求ヲ拒ミタルトキ
五 第二十一條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サス又ハ檢査ヲ妨ケタルトキ
第二十五條 第十二條ノ規定ニ違反シ無盡業者ト無盡契約ヲ爲シタル會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役若ハ使用人又ハ會社ニ非サル無盡業者ノ使用人ハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
無盡業者前項ノ無盡契約ヲ爲シタルトキハ會社ニ非サル無盡業者又ハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十六條 第二十條ノ規定ニ違反シタルトキハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十七條 第四條第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處ス
第二十八條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ本法ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
第二十九條 本法中主務大臣ノ職權ニ屬スル事項ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
附 則
第三十條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條 本法施行ノ際現ニ無盡業ヲ營ム者ハ本法施行前ニ爲シタル無盡契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ニ關スル業務ニ限リ之ヲ繼續スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第十五條、第十六條、第十八條、第二十一條乃至第二十四條及第二十八條ノ規定ヲ準用ス
第三十二條 本法施行ノ際迄六月以上引續キ他ノ事業ト共ニ無盡業ヲ營ム會社カ無盡業ノ免許ヲ申請シ之ヲ免許スル場合ニ於テ主務大臣ハ其ノ免許ト共ニ五年內ノ期間ヲ定メ其ノ營メル他ノ事業ノ兼營ヲ認許スルコトヲ得
第三十三條 本法施行ノ際迄六月以上引續キ二箇以上ノ道府縣ニ亙リ無盡業ヲ營ム者カ無盡業ノ免許ヲ申請シ之ヲ免許スル場合ニ於テ主務大臣ハ其ノ免許ト共ニ五年內ノ期間ヲ定メ其ノ營業區域外ニ於ケル營業ノ繼續ヲ認許スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認許ヲ受ケ其ノ營業區域外ニ於テ爲シタル無盡契約ニ關シテハ無盡業者ハ認許期間滿了後其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ニ關スル業務ニ限リ之ヲ繼續スルコトヲ得
第三十四條 本法施行ノ際迄六月以上引續キ無盡業ヲ營ム會社カ無盡業ノ免許ヲ申請スル場合ニ於テハ其ノ資本又ハ出資ノ金錢ヲ以テスル拂込金額ニ付第三條ノ規定ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル無尽業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年六月十九日
内閣総理大臣 伯爵 大隈重信
大蔵大臣 若槻礼次郎
法律第二十四号
無尽業法
第一条 本法ニ於テ無尽ト称スルハ一定ノ口数ト給付金額トヲ定メ定期ニ掛金ヲ払込マシメ一口毎ニ抽籤入札其ノ他類似ノ方法ニ依リ掛金者ニ対シ金銭ノ給付ヲ為スヲ謂フ無尽類似ノ方法ニ依リ金銭又ハ有価証券ノ給付ヲ為スモノ亦同シ但シ賭博又ハ富籤ニ類似スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二条 無尽ノ営業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
営業トシテ無尽ノ管理ヲ為スハ之ヲ無尽業ト看做ス
第三条 無尽業ノ免許ヲ受ケムトスルトキハ資本金額及営業所ヲ定メ主務大臣ニ申請スヘシ
無尽業ヲ営ム会社ノ資本又ハ財産ヲ目的トスル出資ノ総額ハ三万円其ノ金銭ヲ以テスル払込金額ハ一万五千円ヲ下ルコトヲ得ス
第一項ノ申請ヲ為スニハ申請書ニ事業方法ヲ記載シタル書面及無尽契約約款ヲ添附シ会社ニ在リテハ尚定款ヲ添附スヘシ
第四条 無尽業ヲ営ム会社ハ其ノ商号中ニ無尽ナル文字ヲ用ウヘシ
会社ニ非サル無尽業者ハ其ノ営業ヲ表示スル名称ヲ附シ其ノ名称中ニ無尽ナル文字ヲ用ウヘシ
無尽業者ニ非サルモノハ其ノ商号又ハ営業ヲ表示スル名称中ニ無尽ナル文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第五条 無尽業ヲ営ム会社ハ他ノ事業ヲ兼営スルコトヲ得ス
会社ニ非サル無尽業者カ他ノ事業ヲ兼営セムトスルトキハ主務大臣ノ認許ヲ受クヘシ
第六条 無尽業ノ営業区域ハ道府県ノ区域内ニ於テ之ヲ定メ会社ニ在リテハ定款中ニ其ノ他ノ者ニ在リテハ事業方法書中ニ之ヲ記載スヘシ
第七条 無尽業ヲ営ム会社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第八条 無尽業者カ資本金額、営業所、事業方法又ハ無尽契約約款ヲ変更セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ会社カ定款ヲ変更セムトスルトキ亦同シ
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ事業方法又ハ無尽契約約款ノ変更ヲ命スルコトヲ得
第九条 無尽業者ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ営業上ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 国債証券、地方債証券其ノ他特別ノ法令ニ依リ設立シタル会社ノ債券又ハ株券ノ買入
二 前号ノ有価証券ヲ担保トスル貸付
三 掛金者ニ対シ既ニ払込ミタル掛金額ヲ限度トスル貸付
四 銀行ヘノ預ケ金又ハ郵便貯金
第十条 無尽業ヲ営ム株式会社カ会社財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタルトキハ無尽契約ニ基ク会社ノ債務ニ付各取締役ハ連帯シテ其ノ弁償ノ責ニ任ス
前項ノ責任ハ取締役カ退任ノ登記ヲ為シタル後二年間仍存続ス
第十一条 無尽業者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ其ノ経営スル無尽ニ加入スルコトヲ得ス
会社ニ非スシテ無尽ノ管理ヲ為ス無尽業者ハ主務大臣ノ認許ヲ受ケタル場合ニ限リ其ノ管理スル無尽ニ加入スルコトヲ得
第十二条 無尽業ヲ営ム会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役及使用人ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ会社ト無尽契約ヲ為シ又ハ会社ノ管理スル無尽ニ加入スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ会社ニ非サル無尽業者ノ使用人ニ付之ヲ準用ス
第十三条 無尽業者ハ無尽ノ欠口又ハ掛金ノ払込ヲ為ササル者アル場合ト雖第一回ノ抽籤入札ノ後ハ給付金額ヲ減少シ又ハ掛金額ヲ増加スルコトヲ得ス
第十四条 無尽ノ管理ヲ為ス無尽業者ハ其ノ管理スル無尽ノ掛金ノ払込ナキ場合ニ於テ掛金者ニ代リ掛金ノ払込ヲ為ス責ニ任ス
第十五条 無尽ノ管理ヲ為ス無尽業者ハ其ノ管理スル無尽ノ加入者ニ代リ掛金ノ払込及給付金ノ支払ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
掛金ノ払込又ハ給付金ノ支払ニ関スル訴ニ於テハ無尽ノ管理者ハ原告又ハ被告ト為ルコトヲ得
前項ノ訴ニ於テ言渡シタル判決ハ無尽ノ加入者ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス但シ各加入者ハ払込ヲ了セサル掛金額ヲ超エテ執行ヲ受クルコトナシ
第十六条 無尽業者ハ毎半年事業ノ報告書ヲ作リ主務大臣ニ提出スヘシ
第十七条 無尽業者ハ毎半年ノ貸借対照表ヲ作リ新聞紙又ハ事業方法書ニ定メタル方法ニ依リ之ヲ公告スヘシ
第十八条 無尽業者ハ各無尽ニ付抽籤入札ノ都度其ノ収支ノ計算ヲ帳簿ニ記載シ次回ノ抽籤入札ノ前日迄ニ之ヲ営業所ニ備ヘ置クヘシ
第十九条 掛金者ハ無尽業者ニ対シ営業時間内何時ニテモ前半年末貸借対照表ノ閲覧ヲ請求シ又ハ其ノ加入シタル無尽ノ掛金者五分ノ一以上ノ同意ヲ以テ前条ノ帳簿中其ノ加入シタル無尽ニ関スル部分ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得
第二十条 無尽業ヲ営ム会社ハ資本又ハ出資ノ総額ニ達スル迄ハ利益ヲ配当スル毎ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第二十一条 主務大臣ハ何時ニテモ無尽業者ヲシテ其ノ事業報告ヲ為サシメ又ハ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
第二十二条 主務大臣ハ無尽業者ノ業務又ハ財産ノ状況ニ依リ掛金者ノ利益ヲ保護スル為必要ト認ムルトキハ其ノ事業方法ノ変更又ハ事業ノ停止ヲ命シ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
無尽業者カ法令、定款又ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スヘキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ事業ノ停止若ハ役員ノ改任ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三条 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ無尽業ヲ営ミタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十四条 左ノ場合ニ於テハ会社ニ非サル無尽業者又ハ無尽業ヲ営ム会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
一 第五条、第八条第一項、第九条、第十一条、第十三条、第十六条乃至第十八条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第六条ノ規定ニ依リ定メタル営業区域外ニ於テ営業ヲ為シタルトキ
三 第八条第二項又ハ第二十二条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ為シタル命令ニ違反シタルトキ
四 正当ノ理由ナクシテ第十九条ノ閲覧ノ請求ヲ拒ミタルトキ
五 第二十一条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サス又ハ検査ヲ妨ケタルトキ
第二十五条 第十二条ノ規定ニ違反シ無尽業者ト無尽契約ヲ為シタル会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役若ハ使用人又ハ会社ニ非サル無尽業者ノ使用人ハ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
無尽業者前項ノ無尽契約ヲ為シタルトキハ会社ニ非サル無尽業者又ハ会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
第二十六条 第二十条ノ規定ニ違反シタルトキハ会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十円以上千円以下ノ過料ニ処ス
第二十七条 第四条第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処ス
第二十八条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ本法ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
第二十九条 本法中主務大臣ノ職権ニ属スル事項ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
附 則
第三十条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一条 本法施行ノ際現ニ無尽業ヲ営ム者ハ本法施行前ニ為シタル無尽契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ニ関スル業務ニ限リ之ヲ継続スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第十五条、第十六条、第十八条、第二十一条乃至第二十四条及第二十八条ノ規定ヲ準用ス
第三十二条 本法施行ノ際迄六月以上引続キ他ノ事業ト共ニ無尽業ヲ営ム会社カ無尽業ノ免許ヲ申請シ之ヲ免許スル場合ニ於テ主務大臣ハ其ノ免許ト共ニ五年内ノ期間ヲ定メ其ノ営メル他ノ事業ノ兼営ヲ認許スルコトヲ得
第三十三条 本法施行ノ際迄六月以上引続キ二箇以上ノ道府県ニ亘リ無尽業ヲ営ム者カ無尽業ノ免許ヲ申請シ之ヲ免許スル場合ニ於テ主務大臣ハ其ノ免許ト共ニ五年内ノ期間ヲ定メ其ノ営業区域外ニ於ケル営業ノ継続ヲ認許スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認許ヲ受ケ其ノ営業区域外ニ於テ為シタル無尽契約ニ関シテハ無尽業者ハ認許期間満了後其ノ契約ノ完了スル迄仍其ノ契約ニ関スル業務ニ限リ之ヲ継続スルコトヲ得
第三十四条 本法施行ノ際迄六月以上引続キ無尽業ヲ営ム会社カ無尽業ノ免許ヲ申請スル場合ニ於テハ其ノ資本又ハ出資ノ金銭ヲ以テスル払込金額ニ付第三条ノ規定ヲ適用セス