第一條 本法ニ於テ無盡ト稱スルハ一定ノ口數ト給付金額トヲ定メ定期ニ掛金ヲ拂込マシメ一口每ニ抽籤入札其ノ他類似ノ方法ニ依リ掛金者ニ對シ金錢ノ給付ヲ爲スヲ謂フ無盡類似ノ方法ニ依リ金錢又ハ有價證券ノ給付ヲ爲スモノ亦同シ但シ賭博又ハ富籤ニ類似スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二條 無盡ノ營業ハ主務大臣ノ免許ヲ受クルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第三條 無盡業ノ免許ヲ受ケムトスルトキハ資本金額及營業所ヲ定メ主務大臣ニ申請スヘシ
無盡業ヲ營ム會社ノ資本又ハ財產ヲ目的トスル出資ノ總額ハ三萬圓其ノ金錢ヲ以テスル拂込金額ハ一萬五千圓ヲ下ルコトヲ得ス
第一項ノ申請ヲ爲スニハ申請書ニ事業方法ヲ記載シタル書面及無盡契約約款ヲ添附シ會社ニ在リテハ尙定款ヲ添附スヘシ
第四條 無盡業ヲ營ム會社ハ其ノ商號中ニ無盡ナル文字ヲ用ウヘシ
會社ニ非サル無盡業者ハ其ノ營業ヲ表示スル名稱ヲ附シ其ノ名稱中ニ無盡ナル文字ヲ用ウヘシ
無盡業者ニ非サルモノハ其ノ商號又ハ營業ヲ表示スル名稱中ニ無盡ナル文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第五條 無盡業ヲ營ム會社ハ他ノ事業ヲ兼營スルコトヲ得ス
會社ニ非サル無盡業者カ他ノ事業ヲ兼營セムトスルトキハ主務大臣ノ認許ヲ受クヘシ
第六條 無盡業ノ營業區域ハ道府縣ノ區域內ニ於テ之ヲ定メ會社ニ在リテハ定款中ニ其ノ他ノ者ニ在リテハ事業方法書中ニ之ヲ記載スヘシ
第七條 無盡業ヲ營ム會社ノ合併ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第八條 無盡業者カ資本金額、營業所、事業方法又ハ無盡契約約款ヲ變更セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ會社カ定款ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ事業方法又ハ無盡契約約款ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第九條 無盡業者ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ營業上ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 國債證券、地方債證券其ノ他特別ノ法令ニ依リ設立シタル會社ノ債券又ハ株券ノ買入
三 掛金者ニ對シ旣ニ拂込ミタル掛金額ヲ限度トスル貸付
第十條 無盡業ヲ營ム株式會社カ會社財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタルトキハ無盡契約ニ基ク會社ノ債務ニ付各取締役ハ連帶シテ其ノ辨償ノ責ニ任ス
前項ノ責任ハ取締役カ退任ノ登記ヲ爲シタル後二年間仍存續ス
第十一條 無盡業者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ其ノ經營スル無盡ニ加入スルコトヲ得ス
會社ニ非スシテ無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ主務大臣ノ認許ヲ受ケタル場合ニ限リ其ノ管理スル無盡ニ加入スルコトヲ得
第十二條 無盡業ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役及使用人ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス自己ノ計算ニ於テ會社ト無盡契約ヲ爲シ又ハ會社ノ管理スル無盡ニ加入スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ會社ニ非サル無盡業者ノ使用人ニ付之ヲ準用ス
第十三條 無盡業者ハ無盡ノ缺口又ハ掛金ノ拂込ヲ爲ササル者アル場合ト雖第一囘ノ抽籤入札ノ後ハ給付金額ヲ減少シ又ハ掛金額ヲ增加スルコトヲ得ス
第十四條 無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ其ノ管理スル無盡ノ掛金ノ拂込ナキ場合ニ於テ掛金者ニ代リ掛金ノ拂込ヲ爲ス責ニ任ス
第十五條 無盡ノ管理ヲ爲ス無盡業者ハ其ノ管理スル無盡ノ加入者ニ代リ掛金ノ拂込及給付金ノ支拂ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
掛金ノ拂込又ハ給付金ノ支拂ニ關スル訴ニ於テハ無盡ノ管理者ハ原吿又ハ被吿ト爲ルコトヲ得
前項ノ訴ニ於テ言渡シタル判決ハ無盡ノ加入者ニ對シテモ其ノ效力ヲ有ス但シ各加入者ハ拂込ヲ了セサル掛金額ヲ超エテ執行ヲ受クルコトナシ
第十六條 無盡業者ハ每半年事業ノ報吿書ヲ作リ主務大臣ニ提出スヘシ
第十七條 無盡業者ハ每半年ノ貸借對照表ヲ作リ新聞紙又ハ事業方法書ニ定メタル方法ニ依リ之ヲ公吿スヘシ
第十八條 無盡業者ハ各無盡ニ付抽籤入札ノ都度其ノ收支ノ計算ヲ帳簿ニ記載シ次囘ノ抽籤入札ノ前日迄ニ之ヲ營業所ニ備ヘ置クヘシ
第十九條 掛金者ハ無盡業者ニ對シ營業時間內何時ニテモ前半年末貸借對照表ノ閱覽ヲ請求シ又ハ其ノ加入シタル無盡ノ掛金者五分ノ一以上ノ同意ヲ以テ前條ノ帳簿中其ノ加入シタル無盡ニ關スル部分ノ閱覽ヲ請求スルコトヲ得
第二十條 無盡業ヲ營ム會社ハ資本又ハ出資ノ總額ニ達スル迄ハ利益ヲ配當スル每ニ準備金トシテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第二十一條 主務大臣ハ何時ニテモ無盡業者ヲシテ其ノ事業報吿ヲ爲サシメ又ハ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第二十二條 主務大臣ハ無盡業者ノ業務又ハ財產ノ狀況ニ依リ掛金者ノ利益ヲ保護スル爲必要ト認ムルトキハ其ノ事業方法ノ變更又ハ事業ノ停止ヲ命シ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
無盡業者カ法令、定款又ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ事業ノ停止若ハ役員ノ改任ヲ命シ又ハ免許ヲ取消スコトヲ得
第二十三條 主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ無盡業ヲ營ミタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條 左ノ場合ニ於テハ會社ニ非サル無盡業者又ハ無盡業ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第五條、第八條第一項、第九條、第十一條、第十三條、第十六條乃至第十八條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 第六條ノ規定ニ依リ定メタル營業區域外ニ於テ營業ヲ爲シタルトキ
三 第八條第二項又ハ第二十二條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
四 正當ノ理由ナクシテ第十九條ノ閱覽ノ請求ヲ拒ミタルトキ
五 第二十一條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サス又ハ檢査ヲ妨ケタルトキ
第二十五條 第十二條ノ規定ニ違反シ無盡業者ト無盡契約ヲ爲シタル會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役若ハ使用人又ハ會社ニ非サル無盡業者ノ使用人ハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
無盡業者前項ノ無盡契約ヲ爲シタルトキハ會社ニ非サル無盡業者又ハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十六條 第二十條ノ規定ニ違反シタルトキハ會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、監査役ヲ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十七條 第四條第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處ス
第二十八條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ本法ニ定メタル過料ニ之ヲ準用ス
第二十九條 本法中主務大臣ノ職權ニ屬スル事項ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得