染料医薬品製造奨励法
法令番号: 法律第十九號
公布年月日: 大正4年6月21日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル染料醫藥品製造奬勵法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年六月十九日
內閣總理大臣 伯爵 大隈重信
內務大臣 子爵 大浦兼武
農商務大臣 河野廣中
法律第十九號
染料醫藥品製造奬勵法
第一條 本法ニ於テ染料ト稱スルハ「アニリンソルト」、「アニリン」染料、「アリザリン」染料及人造藍ヲ謂ヒ醫藥品ト稱スルハ勅令ヲ以テ指定スル醫藥品ヲ謂フ
第二條 帝國法律ニ依リ設立シタル株式會社ニシテ其ノ資本ノ半額以上及議決權ノ過半數カ帝國臣民ニ屬スルモノ命令ノ定ムル所ニ依リ帝國ニ於テ染料又ハ醫藥品ノ製造業ヲ營ムトキハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ限リ之ニ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第三條 補助金額ハ會社ノ配當シ得ヘキ利益ヲ每營業年度ニ於テ其ノ拂込株金額ニ對シ年百分ノ八ノ割合ニ達セシムヘキ金額トス
前項ノ利益及補助金額ノ算出ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 會社ハ主務大臣ノ認可ヲ經ルニ非サレハ利益ノ處分ヲ爲スコトヲ得ス
第五條 主務大臣ハ補助金ノ交付ヲ終ル迄ハ會社ノ業務ヲ監督シ之カ爲必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第六條 主務大臣ハ會社カ法令若ハ補助ニ附シタル條件ニ違反シ又ハ之ニ基キテ爲シタル處分ニ從ハサルトキハ之ニ對シ補助金ノ全部又ハ一部ヲ交付セサルコトヲ得
第七條 詐欺ニ因リ會社カ補助金ヲ受ケタルトキハ其ノ金額ヲ償還セシム
前項ノ償還金ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但シ先取特權ノ順位ハ國稅ニ次クモノトス
第八條 染料又ハ醫藥品ノ製造ニ附隨シ勅令ヲ以テ指定スル石炭乾溜副生物ヲ原料トシテ藥品又ハ香料ヲ製造スル場合ニ於テハ之ヲ染料又ハ醫藥品ノ製造ト看做ス
第九條 勅令ヲ以テ指定スル火藥爆藥ノ原料藥品ノ製造ハ之ヲ染料又ハ醫藥品ノ製造ト看做ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル染料医薬品製造奨励法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年六月十九日
内閣総理大臣 伯爵 大隈重信
内務大臣 子爵 大浦兼武
農商務大臣 河野広中
法律第十九号
染料医薬品製造奨励法
第一条 本法ニ於テ染料ト称スルハ「アニリンソルト」、「アニリン」染料、「アリザリン」染料及人造藍ヲ謂ヒ医薬品ト称スルハ勅令ヲ以テ指定スル医薬品ヲ謂フ
第二条 帝国法律ニ依リ設立シタル株式会社ニシテ其ノ資本ノ半額以上及議決権ノ過半数カ帝国臣民ニ属スルモノ命令ノ定ムル所ニ依リ帝国ニ於テ染料又ハ医薬品ノ製造業ヲ営ムトキハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ限リ之ニ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第三条 補助金額ハ会社ノ配当シ得ヘキ利益ヲ毎営業年度ニ於テ其ノ払込株金額ニ対シ年百分ノ八ノ割合ニ達セシムヘキ金額トス
前項ノ利益及補助金額ノ算出ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 会社ハ主務大臣ノ認可ヲ経ルニ非サレハ利益ノ処分ヲ為スコトヲ得ス
第五条 主務大臣ハ補助金ノ交付ヲ終ル迄ハ会社ノ業務ヲ監督シ之カ為必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第六条 主務大臣ハ会社カ法令若ハ補助ニ附シタル条件ニ違反シ又ハ之ニ基キテ為シタル処分ニ従ハサルトキハ之ニ対シ補助金ノ全部又ハ一部ヲ交付セサルコトヲ得
第七条 詐欺ニ因リ会社カ補助金ヲ受ケタルトキハ其ノ金額ヲ償還セシム
前項ノ償還金ハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得但シ先取特権ノ順位ハ国税ニ次クモノトス
第八条 染料又ハ医薬品ノ製造ニ附随シ勅令ヲ以テ指定スル石炭乾溜副生物ヲ原料トシテ薬品又ハ香料ヲ製造スル場合ニ於テハ之ヲ染料又ハ医薬品ノ製造ト看做ス
第九条 勅令ヲ以テ指定スル火薬爆薬ノ原料薬品ノ製造ハ之ヲ染料又ハ医薬品ノ製造ト看做ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム