地租条例施行規則
法令番号: 勅令第四百四十四號
公布年月日: 明治43年12月21日
法令の形式: 勅令
朕地租條例施行規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年十二月二十日
內閣總理大臣兼大藏大臣 侯爵 桂太郞
勅令第四百四十四號
地租條例施行規則
第一條 土地ニハ番號ヲ附シ每筆其ノ地價ヲ定ム
第二條 一筆ノ土地ハ其ノ一部分左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テ之ヲ分割ス
一 別地目ト爲ルトキ
二 地租ヲ課スル土地ニシテ地租ヲ課セサル土地ト爲ルトキ
三 地租ヲ課セサル土地ニシテ地租ヲ課スル土地ト爲ルトキ
四 所有者ヲ異ニスルトキ
五 質權ノ目的ト爲ルトキ
六 百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的ト爲ルトキ
七 行政區劃ヲ異ニスルトキ
第三條 開墾著手後十年以內又ハ開墾鍬下年期中ニ於テ地目ヲ變換シタルトキハ開墾ハ之ヲ廢止シタルモノトス
第四條 地租條例第十七條ノ規定ニ依リ開墾地目ニ組換ヘタル土地若ハ官有地ヲ開拓シテ民有ニ歸セシ土地ニシテ開墾著手後十年以內若ハ鍬下年期中地類ヲ變換シタルトキ又ハ地租條例第十七條ノ規定ニ依リ變換地目ニ組換ヘタル土地ニシテ地價据置年期中地類ヲ變換シ若ハ變換前ノ地目ト同一ノ地目ニ變換シタルトキハ直ニ其ノ地價ヲ修正ス
第五條 地租條例第十七條ノ規定ニ依リ開墾地目ニ組換ヘタル土地若ハ官有地ヲ開拓シテ民有ニ歸セシ土地ニシテ開墾著手後十年以內若ハ鍬下年期中地目ヲ變換シタルトキ又ハ地租條例第十七條ノ規定ニ依リ變換地目ニ組換ヘタル土地ニシテ地價据置年期中變換前ノ地目ト異ナル地目ニ變換シタルトキハ地價ハ之ヲ修正セス
前項ノ場合ニ於テ變換地目ノ稅率カ舊地目ノ稅率ト同一ナラサルトキハ舊地目ニ對スル地租額ヲ變換地目ノ稅率ヲ以テ除シ之ヲ變換地目ニ對スル地價トシ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收スルニ至ル迄其ノ地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第六條 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立テ民有ニ歸セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ請ハサルトキハ直ニ其ノ地價ヲ定ム
第七條 荒地免租年期、免租繼年期又ハ低價年期中土地ノ形狀ヲ變更スルコトアルモ地目變換、地類變換又ハ開墾ト看做サス
第八條 地租條例第十六條第二項ノ場合ニ於テ開墾著手ノ年ヨリ十年目ニ成功セサル部分ノ土地ニ付テハ其ノ後成功シタル部分アル每ニ其ノ地價ヲ修正ス
第九條 荒地免租年期、免租繼年期又ハ低價年期中再ヒ荒地ト爲リ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ニ受ケタル年期ハ消滅ス
第十條 地目變換、地類變換又ハ開墾ニシテ他ノ法令ニ依リ許可ヲ要スルモノハ其ノ許可ノ出願ヲ以テ地租條例ニ依ル屆出ト看做ス
第十一條 地租條例第十六條第三項、第六項又ハ第二十條ノ規定ニ依リ鍬下年期、地價据置年期又ハ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ稅務署長ニ申請スヘシ
官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立テ民有ニ歸セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ民有ニ歸セシ後六十日內ニ稅務署長ニ申請スヘシ
第十二條 地租條例第二十一條、第二十三條若ハ第二十四條ノ規定又ハ明治三十四年法律第三十號ニ依リ低價年期、荒地免租繼年期又ハ年期延長ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ年期滿了後六十日內ニ稅務署長ニ申請スヘシ
第十三條 左ノ場合ニ於テハ土地ノ所有者又ハ納稅義務者ハ三十日內ニ稅務署長ニ屆出ツヘシ
一 地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタルトキ
二 開墾ニ著手シタルトキ、開墾成功シタルトキ、開墾ヲ廢止シタルトキ又ハ開墾ノ目的ヲ變更シタルトキ
三 地租ヲ課スル土地ヲ用惡水路、溜池、隄塘、井溝、水道用地、鐵道用地、軌道用地若ハ公衆ノ用ニ供スル道路ト爲シタルトキ又ハ之カ供用ヲ廢止シタルトキ
四 地租ヲ課スル土地ヲ公用若ハ公共ノ用ニ供シ又ハ之カ供用ヲ廢止シタルトキ
五 地租ヲ課スル土地ヲ地租條例第四條第一項第二號ノ規定ニ依リ公用若ハ公共ノ用ニ供スヘキモノト定メタルトキ又ハ一年內ニ公用若ハ公共ノ用ニ供セサルトキ
前項ノ場合ニ於テ地價ヲ定メ又ハ修正スヘキトキハ實地ノ情況ニ依リ近傍ノ類地ト其ノ地力ヲ比較シ其ノ地價ヲ見積リ土地ノ測量圖ト共ニ書面ヲ差出スヘシ
第十四條 一筆ノ土地ヲ分割シ又ハ數筆ノ土地ヲ合併セムトスルトキハ土地ノ所有者ハ稅務署長ニ屆出ツヘシ
第十五條 荒地免租年期ヲ有スル土地ニシテ其ノ年期明ニ至リ他ノ地目ニ變シタルトキ又ハ低價年期若ハ免租繼年期ヲ有スル土地ニシテ其ノ年期明ニ至リ原地價ニ復シ難キトキ若ハ他ノ地目ニ變シタルトキハ年期滿了ノ後六十日內ニ土地所有者又ハ納稅義務者ヨリ稅務署長ニ屆出ツヘシ
第十六條 納稅義務者其ノ土地所在ノ市區町村內ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ地租ニ關スル事務ヲ處理セシムル爲其ノ市區町村內ニ住所ヲ有スル者ヲ納稅管理人ト定メ其ノ市區町村長又ハ戶長ニ屆出ツヘシ
前項ノ町村ト稱スルハ町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ戶長ノ職務ヲ行フ區域トス
附 則
本令ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕地租条例施行規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年十二月二十日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵 桂太郎
勅令第四百四十四号
地租条例施行規則
第一条 土地ニハ番号ヲ附シ毎筆其ノ地価ヲ定ム
第二条 一筆ノ土地ハ其ノ一部分左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テ之ヲ分割ス
一 別地目ト為ルトキ
二 地租ヲ課スル土地ニシテ地租ヲ課セサル土地ト為ルトキ
三 地租ヲ課セサル土地ニシテ地租ヲ課スル土地ト為ルトキ
四 所有者ヲ異ニスルトキ
五 質権ノ目的ト為ルトキ
六 百年ヨリ長キ存続期間ノ定アル地上権ノ目的ト為ルトキ
七 行政区画ヲ異ニスルトキ
第三条 開墾著手後十年以内又ハ開墾鍬下年期中ニ於テ地目ヲ変換シタルトキハ開墾ハ之ヲ廃止シタルモノトス
第四条 地租条例第十七条ノ規定ニ依リ開墾地目ニ組換ヘタル土地若ハ官有地ヲ開拓シテ民有ニ帰セシ土地ニシテ開墾著手後十年以内若ハ鍬下年期中地類ヲ変換シタルトキ又ハ地租条例第十七条ノ規定ニ依リ変換地目ニ組換ヘタル土地ニシテ地価据置年期中地類ヲ変換シ若ハ変換前ノ地目ト同一ノ地目ニ変換シタルトキハ直ニ其ノ地価ヲ修正ス
第五条 地租条例第十七条ノ規定ニ依リ開墾地目ニ組換ヘタル土地若ハ官有地ヲ開拓シテ民有ニ帰セシ土地ニシテ開墾著手後十年以内若ハ鍬下年期中地目ヲ変換シタルトキ又ハ地租条例第十七条ノ規定ニ依リ変換地目ニ組換ヘタル土地ニシテ地価据置年期中変換前ノ地目ト異ナル地目ニ変換シタルトキハ地価ハ之ヲ修正セス
前項ノ場合ニ於テ変換地目ノ税率カ旧地目ノ税率ト同一ナラサルトキハ旧地目ニ対スル地租額ヲ変換地目ノ税率ヲ以テ除シ之ヲ変換地目ニ対スル地価トシ修正地価ニ依リ地租ヲ徴収スルニ至ル迄其ノ地価ニ依リ地租ヲ徴収ス
第六条 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立テ民有ニ帰セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ請ハサルトキハ直ニ其ノ地価ヲ定ム
第七条 荒地免租年期、免租継年期又ハ低価年期中土地ノ形状ヲ変更スルコトアルモ地目変換、地類変換又ハ開墾ト看做サス
第八条 地租条例第十六条第二項ノ場合ニ於テ開墾著手ノ年ヨリ十年目ニ成功セサル部分ノ土地ニ付テハ其ノ後成功シタル部分アル毎ニ其ノ地価ヲ修正ス
第九条 荒地免租年期、免租継年期又ハ低価年期中再ヒ荒地ト為リ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ニ受ケタル年期ハ消滅ス
第十条 地目変換、地類変換又ハ開墾ニシテ他ノ法令ニ依リ許可ヲ要スルモノハ其ノ許可ノ出願ヲ以テ地租条例ニ依ル届出ト看做ス
第十一条 地租条例第十六条第三項、第六項又ハ第二十条ノ規定ニ依リ鍬下年期、地価据置年期又ハ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ税務署長ニ申請スヘシ
官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立テ民有ニ帰セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ民有ニ帰セシ後六十日内ニ税務署長ニ申請スヘシ
第十二条 地租条例第二十一条、第二十三条若ハ第二十四条ノ規定又ハ明治三十四年法律第三十号ニ依リ低価年期、荒地免租継年期又ハ年期延長ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ年期満了後六十日内ニ税務署長ニ申請スヘシ
第十三条 左ノ場合ニ於テハ土地ノ所有者又ハ納税義務者ハ三十日内ニ税務署長ニ届出ツヘシ
一 地目ヲ変換シ又ハ地類ヲ変換シタルトキ
二 開墾ニ著手シタルトキ、開墾成功シタルトキ、開墾ヲ廃止シタルトキ又ハ開墾ノ目的ヲ変更シタルトキ
三 地租ヲ課スル土地ヲ用悪水路、溜池、隄塘、井溝、水道用地、鉄道用地、軌道用地若ハ公衆ノ用ニ供スル道路ト為シタルトキ又ハ之カ供用ヲ廃止シタルトキ
四 地租ヲ課スル土地ヲ公用若ハ公共ノ用ニ供シ又ハ之カ供用ヲ廃止シタルトキ
五 地租ヲ課スル土地ヲ地租条例第四条第一項第二号ノ規定ニ依リ公用若ハ公共ノ用ニ供スヘキモノト定メタルトキ又ハ一年内ニ公用若ハ公共ノ用ニ供セサルトキ
前項ノ場合ニ於テ地価ヲ定メ又ハ修正スヘキトキハ実地ノ情況ニ依リ近傍ノ類地ト其ノ地力ヲ比較シ其ノ地価ヲ見積リ土地ノ測量図ト共ニ書面ヲ差出スヘシ
第十四条 一筆ノ土地ヲ分割シ又ハ数筆ノ土地ヲ合併セムトスルトキハ土地ノ所有者ハ税務署長ニ届出ツヘシ
第十五条 荒地免租年期ヲ有スル土地ニシテ其ノ年期明ニ至リ他ノ地目ニ変シタルトキ又ハ低価年期若ハ免租継年期ヲ有スル土地ニシテ其ノ年期明ニ至リ原地価ニ復シ難キトキ若ハ他ノ地目ニ変シタルトキハ年期満了ノ後六十日内ニ土地所有者又ハ納税義務者ヨリ税務署長ニ届出ツヘシ
第十六条 納税義務者其ノ土地所在ノ市区町村内ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ地租ニ関スル事務ヲ処理セシムル為其ノ市区町村内ニ住所ヲ有スル者ヲ納税管理人ト定メ其ノ市区町村長又ハ戸長ニ届出ツヘシ
前項ノ町村ト称スルハ町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ戸長ノ職務ヲ行フ区域トス
附 則
本令ハ明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス