地租条例施行規則
法令番号: 勅令第百十一號
公布年月日: 明治32年3月31日
法令の形式: 勅令
朕地租條例施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月三十一日
大藏大臣 伯爵 松方正義
勅令第百十一號
地租條例施行規則
第一條 土地ニハ番號ヲ付シ每筆其ノ地價ヲ定ム
第二條 一筆ノ土地中一部分左ノ事項ニ該當スルトキハ之ヲ分割ス
一 別地目トナルトキ
二 有租地ニシテ免租地トナルトキ
三 免租地ニシテ有租地トナルトキ
四 所有者ヲ異ニスルトキ
五 質權ノ目的トナルトキ
第三條 地租條例第四條ニ依リ地租ヲ免スヘキ公立學校地、鄕村社地ハ借地ニアラサルモノニ限ル
第四條 第一類地ヲ第二類地ニ變換スルモノヲ地類變換ト謂フ
第五條 地目變換又ハ地類變換ノ後五年以內ニ於テ更ニ地目變換又ハ地類變換ヲ爲シタルトキハ再度ノ變換ヨリ六年目ニ至リ其ノ地目ニ對スル修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第六條 地目變換ノ後五年以內ニ於テ開墾ヲ爲ストキハ開墾著手ノ年ヨリ十年目又ハ鍬下年期明ニ至リ其ノ成功部分ノ地價ヲ修正シテ地租ヲ徵收ス
地類變換ヲ爲シタル後五年以內ニ於テ再ヒ第一類地トナストキハ變換ヲ取消シタルモノトス其ノ當初ノ地目ト異リタル第一類地ト爲ストキハ地目變換ヲ爲シタルモノトス
第七條 開墾著手後十年以內又ハ鍬下年期中ニ於テ地目ヲ變換シタルトキハ開墾ハ廢止シタルモノトシ變換ヨリ六年目ニ至リ其ノ地目ニ對スル修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第八條 地目變換若ハ地類變換ヲ爲シタル後五年以內ニ於テ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ變換ヲ取消シタルモノトス其ノ荒地免租年期明ニ至リ當初ノ地目ト異リタル土地ト爲シタルトキハ其ノ地目ニ依リ地價ヲ修正シ地租ヲ徵收ス
第九條 地租條例第十條第一項ニ違犯スル者其ノ變換ヨリ六年目以後ニ於テ發覺シタルトキハ其ノ發覺ノ年ニ於テ現地目ニ依リ地價ヲ修正シ其ノ年ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第十條 地目變換又ハ開墾ニシテ許可ヲ受クルコトヲ要スルモノハ許可出願ヲ以テ屆出ト看做ス
第十一條 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立民有ニ歸セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ請ハサルトキハ其ノ地ノ現況ニ依リ地價ヲ定ム
第十二條 荒地免租年期中又ハ低價年期中土地ノ形狀ヲ變更スルコトアルモ地目變換地類變換又ハ開墾ト看做サス
第十三條 荒地免租年期中又ハ低價年期中再ヒ荒地トナリ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ニ受ケタル荒地免租年期又ハ低價年期ハ消滅ス
第十四條 地租條例第十六條第十八條第二十條第二十一條第二十三條第二十四條及森林法第五十六條ニ依リ鍬下年期、地價据置年期、免租年期、繼年期又ハ低價年期ヲ受ケントスル者ハ稅務管理局長ニ願出ツヘシ
第十五條 左ノ場合ニ於テハ所有者ハ稅務管理局長ニ屆出ツヘシ
一 有租地ヲ用惡水路、溜池、堤塘、井溝、鐵道用地、公衆ノ用ニ供スル道路、水道用地及傳染病院、隔離病舍、隔離所、消毒所ノ敷地ト爲ストキ
二 地目變換又ハ地類變換ヲ爲シタルトキ
三 開墾ヲ爲サムトスルトキ、開墾成功シタルトキ又ハ開墾ヲ廢止シタルトキ
四 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立民有ニ歸セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ヲ請ハサルトキ
五 鍬下年期明、地價据置年期明、新開免租年期明、荒地免租年期明、低價年期明ニ至リタルトキ
六 數筆ノ土地ヲ合併シ又ハ一筆ノ土地ヲ分割セムトスルトキ
前項ノ場合ニ於テ地價ノ設定又ハ修正ヲ要スルトキハ實地ノ情況ニ依リ近傍ノ類地ト其ノ地力ヲ比較シ相當ノ地位等級ヲ見積リ土地ノ測量圖ト共ニ書面ヲ差出スヘシ
第十六條 地租ヲ納ムヘキ者其ノ所有土地所在地ノ市區町村內ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ地租ニ關スル事務ヲ管理セシムル爲其ノ市區町村內ニ住居スル者ヲ納稅管理人ト爲シ其ノ市區町村長又ハ戶長ニ申吿スヘシ
朕地租条例施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月三十一日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
勅令第百十一号
地租条例施行規則
第一条 土地ニハ番号ヲ付シ毎筆其ノ地価ヲ定ム
第二条 一筆ノ土地中一部分左ノ事項ニ該当スルトキハ之ヲ分割ス
一 別地目トナルトキ
二 有租地ニシテ免租地トナルトキ
三 免租地ニシテ有租地トナルトキ
四 所有者ヲ異ニスルトキ
五 質権ノ目的トナルトキ
第三条 地租条例第四条ニ依リ地租ヲ免スヘキ公立学校地、郷村社地ハ借地ニアラサルモノニ限ル
第四条 第一類地ヲ第二類地ニ変換スルモノヲ地類変換ト謂フ
第五条 地目変換又ハ地類変換ノ後五年以内ニ於テ更ニ地目変換又ハ地類変換ヲ為シタルトキハ再度ノ変換ヨリ六年目ニ至リ其ノ地目ニ対スル修正地価ニ依リ地租ヲ徴収ス
第六条 地目変換ノ後五年以内ニ於テ開墾ヲ為ストキハ開墾著手ノ年ヨリ十年目又ハ鍬下年期明ニ至リ其ノ成功部分ノ地価ヲ修正シテ地租ヲ徴収ス
地類変換ヲ為シタル後五年以内ニ於テ再ヒ第一類地トナストキハ変換ヲ取消シタルモノトス其ノ当初ノ地目ト異リタル第一類地ト為ストキハ地目変換ヲ為シタルモノトス
第七条 開墾著手後十年以内又ハ鍬下年期中ニ於テ地目ヲ変換シタルトキハ開墾ハ廃止シタルモノトシ変換ヨリ六年目ニ至リ其ノ地目ニ対スル修正地価ニ依リ地租ヲ徴収ス
第八条 地目変換若ハ地類変換ヲ為シタル後五年以内ニ於テ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ変換ヲ取消シタルモノトス其ノ荒地免租年期明ニ至リ当初ノ地目ト異リタル土地ト為シタルトキハ其ノ地目ニ依リ地価ヲ修正シ地租ヲ徴収ス
第九条 地租条例第十条第一項ニ違犯スル者其ノ変換ヨリ六年目以後ニ於テ発覚シタルトキハ其ノ発覚ノ年ニ於テ現地目ニ依リ地価ヲ修正シ其ノ年ヨリ修正地価ニ依リ地租ヲ徴収ス
第十条 地目変換又ハ開墾ニシテ許可ヲ受クルコトヲ要スルモノハ許可出願ヲ以テ届出ト看做ス
第十一条 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立民有ニ帰セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ノ許可ヲ請ハサルトキハ其ノ地ノ現況ニ依リ地価ヲ定ム
第十二条 荒地免租年期中又ハ低価年期中土地ノ形状ヲ変更スルコトアルモ地目変換地類変換又ハ開墾ト看做サス
第十三条 荒地免租年期中又ハ低価年期中再ヒ荒地トナリ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ニ受ケタル荒地免租年期又ハ低価年期ハ消滅ス
第十四条 地租条例第十六条第十八条第二十条第二十一条第二十三条第二十四条及森林法第五十六条ニ依リ鍬下年期、地価据置年期、免租年期、継年期又ハ低価年期ヲ受ケントスル者ハ税務管理局長ニ願出ツヘシ
第十五条 左ノ場合ニ於テハ所有者ハ税務管理局長ニ届出ツヘシ
一 有租地ヲ用悪水路、溜池、堤塘、井溝、鉄道用地、公衆ノ用ニ供スル道路、水道用地及伝染病院、隔離病舎、隔離所、消毒所ノ敷地ト為ストキ
二 地目変換又ハ地類変換ヲ為シタルトキ
三 開墾ヲ為サムトスルトキ、開墾成功シタルトキ又ハ開墾ヲ廃止シタルトキ
四 官有地ヲ開拓シ又ハ官有ノ水面ヲ埋立民有ニ帰セシ土地ニ付鍬下年期又ハ新開免租年期ヲ請ハサルトキ
五 鍬下年期明、地価据置年期明、新開免租年期明、荒地免租年期明、低価年期明ニ至リタルトキ
六 数筆ノ土地ヲ合併シ又ハ一筆ノ土地ヲ分割セムトスルトキ
前項ノ場合ニ於テ地価ノ設定又ハ修正ヲ要スルトキハ実地ノ情況ニ依リ近傍ノ類地ト其ノ地力ヲ比較シ相当ノ地位等級ヲ見積リ土地ノ測量図ト共ニ書面ヲ差出スヘシ
第十六条 地租ヲ納ムヘキ者其ノ所有土地所在地ノ市区町村内ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ地租ニ関スル事務ヲ管理セシムル為其ノ市区町村内ニ住居スル者ヲ納税管理人ト為シ其ノ市区町村長又ハ戸長ニ申告スヘシ