電気測定法
法令番号: 法律第二十六號
公布年月日: 明治43年3月26日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル電氣測定法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月二十五日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
遞信大臣 男爵 後藤新平
法律第二十六號
電氣測定法
第一條 電氣ノ測定ニ於テハ電氣抵抗ハ「オーム」、電流ハ「アムペア」、電壓ハ「ヴォルト」、電力ハ「ワット」ヲ以テ單位トス
第二條 「オーム」ハ氷ノ融解溫度ニ於テ質量一四、四五二一「グラム」長サ一〇六、三〇〇「センチメートル」ニシテ均一ナル切斷面積ヲ有スル水銀柱ノ不變電流ニ對スル電氣抵抗ヲ謂フ
第三條 「アムペア」ハ硝酸銀ノ水溶液ヲ通過シ每秒〇、〇〇一一一八〇〇「グラム」ノ銀ヲ分離スル不變電流ヲ謂フ
第四條 「ヴォルト」ハ一「オーム」ノ電氣抵抗ヲ有スル導體ニ一「アムペア」ノ不變電流ヲ發生セシムル爲要スル不變電壓ヲ謂フ
第五條 「ワット」ハ一「ヴォルト」ノ電壓ニ於テ一「アムペア」ノ不變電流ニ依リ每秒費サルル電氣勢力ヲ以テ表示スル電力ヲ謂フ
第六條 本法ニ依ル電氣單位ハ主務官廳ニ保管スル標準器ニ依リ之ヲ現示ス
第七條 電氣ノ取引ニ使用スル電氣計器ハ檢定ヲ受クヘシ
電氣計器ノ公差及檢定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル電氣計器ヲ電氣ノ取引ニ使用シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 檢定ヲ受ケサルモノ
二 檢定ニ合格セサルモノ
三 檢定ノ效力ヲ失ヒタルモノ
第九條 電氣ノ取引ニ於テ其ノ計量ヲ詐ルノ目的ヲ以テ不正ニ電氣計器ヲ使用シタル者ハ罰前條ニ同シ
第十條 明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
第十一條 電氣單位ノ倍數及分數ノ名稱、不變電流以外ノ場合ニ於ケル電流電壓及電力ノ計算方法竝第一條ニ揭ケタル以外ノ電氣單位ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
附 則
本法ハ第七條及第八條ヲ除クノ外明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
第七條及第八條ノ施行期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條及第八條施行前ヨリ引續キ電氣ノ取引ニ使用スル電氣計器ニ付テハ別ニ勅令ヲ以テ定ムル期間第八條ノ規定ヲ適用セス
第七條及第八條施行前ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ主務官廳ノ試驗ニ合格シタル電氣計器ハ本法ノ檢定ニ合格シタルモノト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル電気測定法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年三月二十五日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
逓信大臣 男爵 後藤新平
法律第二十六号
電気測定法
第一条 電気ノ測定ニ於テハ電気抵抗ハ「オーム」、電流ハ「アムペア」、電圧ハ「ヴォルト」、電力ハ「ワット」ヲ以テ単位トス
第二条 「オーム」ハ氷ノ融解温度ニ於テ質量一四、四五二一「グラム」長サ一〇六、三〇〇「センチメートル」ニシテ均一ナル切断面積ヲ有スル水銀柱ノ不変電流ニ対スル電気抵抗ヲ謂フ
第三条 「アムペア」ハ硝酸銀ノ水溶液ヲ通過シ毎秒〇、〇〇一一一八〇〇「グラム」ノ銀ヲ分離スル不変電流ヲ謂フ
第四条 「ヴォルト」ハ一「オーム」ノ電気抵抗ヲ有スル導体ニ一「アムペア」ノ不変電流ヲ発生セシムル為要スル不変電圧ヲ謂フ
第五条 「ワット」ハ一「ヴォルト」ノ電圧ニ於テ一「アムペア」ノ不変電流ニ依リ毎秒費サルル電気勢力ヲ以テ表示スル電力ヲ謂フ
第六条 本法ニ依ル電気単位ハ主務官庁ニ保管スル標準器ニ依リ之ヲ現示ス
第七条 電気ノ取引ニ使用スル電気計器ハ検定ヲ受クヘシ
電気計器ノ公差及検定ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル電気計器ヲ電気ノ取引ニ使用シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 検定ヲ受ケサルモノ
二 検定ニ合格セサルモノ
三 検定ノ効力ヲ失ヒタルモノ
第九条 電気ノ取引ニ於テ其ノ計量ヲ詐ルノ目的ヲ以テ不正ニ電気計器ヲ使用シタル者ハ罰前条ニ同シ
第十条 明治三十三年法律第五十二号ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
第十一条 電気単位ノ倍数及分数ノ名称、不変電流以外ノ場合ニ於ケル電流電圧及電力ノ計算方法並第一条ニ掲ケタル以外ノ電気単位ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
附 則
本法ハ第七条及第八条ヲ除クノ外明治四十四年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
第七条及第八条ノ施行期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七条及第八条施行前ヨリ引続キ電気ノ取引ニ使用スル電気計器ニ付テハ別ニ勅令ヲ以テ定ムル期間第八条ノ規定ヲ適用セス
第七条及第八条施行前ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ主務官庁ノ試験ニ合格シタル電気計器ハ本法ノ検定ニ合格シタルモノト看做ス