通行税は施行以来長年月を経過し、国民が慣れ親しんだ租税で、納税者の苦痛も少なく徴収費用も比較的少額である一方で、社会政策上不適当な租税である。実際の税収を見ても、大部分は電車や汽車の三等乗客による負担であり、これら中産階級以下の負担分を免除すれば財政上存続する理由を失う。理論的根拠に乏しく、中産階級以下の多数国民が負担しているため、単に徴収が容易という薄弱な理由で存続させることは租税制度として公正を欠くため廃止する。ただし、廃止を機に公共団体や民間で運賃を増額するような事態は本税廃止を無意義にするため、政府として適切な対策を講じる。
参照した発言:
第51回帝国議会 衆議院 本会議 第6号