特許弁理士令
法令番号: 勅令第三百號
公布年月日: 明治42年10月25日
法令の形式: 勅令
朕特許辨理士令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年十月二十三日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
農商務大臣 男爵 大浦兼武
勅令第三百號
特許辨理士令
第一條 帝國內ニ住所ヲ有スル成年以上ノ能力者ニシテ特許辨理士試驗ニ合格シタル者ハ特許辨理士タル資格ヲ有ス
特許辨理士試驗ニ關スル事項ハ主務大臣之ヲ定ム
第二條 左ニ揭クル者ハ試驗ヲ要セスシテ特許辨理士タル資格ヲ有ス
一 辯護士タル資格ヲ有スル者
二 文官高等試驗又ハ判事檢事登用試驗ニ合格シタル者
三 一年以上特許局若ハ統監府特許局ノ高等文官タリシ者又ハ二年以上特許局審査官補若ハ統監府特許局審査官補タリシ者
第三條 左ニ揭クル者ハ特許辨理士試驗委員ノ詮衡ニ依リ試驗ヲ要セスシテ特許辨理士タル資格ヲ有ス
一 學位ヲ有スル者
二 帝國大學分科大學又ハ之ト學科程度同等以上ト認ムル內外國ノ學校ニ於テ定規ノ課業ヲ卒ヘタル者
第四條 左ニ揭クル者ハ特許辨理士タルコトヲ得ス
一 特許法第九十二條、第九十三條、第九十七條、意匠法第二十四條、第二十五條、第二十九條、商標法第二十三條、第二十四條、第二十八條又ハ實用新案法第二十二條、第二十三條、第二十七條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ經過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
二 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但シ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ經過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
三 破產若ハ家資分散ノ宣吿ヲ受ケ復權セサル者又ハ身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者
四 業務停止ノ期間中業務ヲ廢止シ未タ其ノ期間ノ經過セサル者又ハ業務禁止ノ處分アリタル日ヨリ三年ヲ經過セサル者
第五條 特許辨理士タラムトスル者ハ特許辨理士登錄簿ニ登錄ヲ受クヘシ
前項ノ登錄ヲ受ケムトスル者ハ其ノ住所、氏名及事務所ヲ記載シタル請求書ニ履歷書及登錄ニ必要ナル資格ヲ證スル書面ヲ添附シ之ヲ特許局長ニ請求スヘシ
第六條 特許辨理士ノ登錄ヲ受ケムトスル者ハ手數料トシテ金十圓ヲ納ムヘシ
前項ノ手數料ハ收入印紙ヲ請求書ニ貼付シ之ヲ納ムヘシ
第七條 特許辨理士ノ登錄ヲ爲シタルトキ又ハ其ノ登錄ヲ拒否シタルトキハ特許局長ハ之ヲ請求人ニ通知スヘシ
第八條 特許辨理士ノ登錄ノ拒否ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第九條 特許局長ハ特許辨理士登錄簿ニ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 特許辨理士ノ氏名、住所
二 事務所
三 登錄ノ年月日
四 懲戒
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ特許局長ハ特許辨理士ノ登錄ヲ抹消スヘシ
一 特許辨理士死亡シ若ハ業務ヲ廢止シタルトキ又ハ業務ヲ禁止セラレタルトキ
二 特許辨理士タルノ資格ヲ具ヘサルカ又ハ具ヘサルニ至リタルトキ
前項第二號ノ事由ニ依リ登錄ヲ抹消セムトスルトキハ特許辨理士試驗委員ノ議ヲ經ヘシ
第十一條 前條第一項第二號ノ事由ニ依リ登錄ヲ抹消シタルトキハ特許局長ハ之ヲ特許辨理士ニ通知スヘシ
第十二條 第十條第一項第二號ノ事由ニ依ル登錄ノ抹消ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第十三條 特許辨理士登錄簿ノ登錄又ハ其ノ抹消若ハ囘復ハ官報、特許公報、商標公報及實用新案公報ヲ以テ之ヲ公吿スヘシ
第十四條 第九條第一號若ハ第二號ノ事項ニ變更アリタルトキ又ハ業務ヲ廢止シタルトキハ特許辨理士ハ遲滯ナク之ヲ特許局長ニ屆出ツヘシ
特許辨理士死亡シタルトキハ其ノ相續人又ハ親族ヨリ遲滯ナク之ヲ特許局長ニ屆出ツヘシ
第十五條 特許辨理士ハ左ニ揭クル事件ニ付其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
一 相手方ノ代理人トシテ取扱ヒタル事件
二 特許局ニ在職中取扱ヒタル事件
第十六條 特許辨理士組合ヲ設ケタルトキハ組合規約ヲ定メテ特許局長ノ認可ヲ受クヘシ組合規約ヲ變更シタルトキ亦同シ
特許辨理士ノ組合ヲ解散シタルトキハ之ヲ特許局長ニ屆出ツヘシ
第十七條 特許辨理士ニシテ犯罪又ハ其ノ業務ニ關シ不正ノ行爲若ハ甚シキ怠慢アリタルトキハ主務大臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 業務ノ禁止
二 一年以內業務ノ停止
附 則
本令ハ特許法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
特許代理業者登錄規則ハ之ヲ廢止ス
舊特許法第四十五條、第四十七條、舊意匠法第十七條、第十九條、舊商標法第十六條、第十七條、舊實用新案法第四十六條、第四十八條又ハ特許代理業者登錄規則第十五條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ經過セサルトキハ特許辨理士タルコトヲ得ス
特許代理業者登錄規則ニ依ル特許代理業者名簿ハ本令ニ依ル特許辨理士登錄簿ト看做ス
朕特許弁理士令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年十月二十三日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
農商務大臣 男爵 大浦兼武
勅令第三百号
特許弁理士令
第一条 帝国内ニ住所ヲ有スル成年以上ノ能力者ニシテ特許弁理士試験ニ合格シタル者ハ特許弁理士タル資格ヲ有ス
特許弁理士試験ニ関スル事項ハ主務大臣之ヲ定ム
第二条 左ニ掲クル者ハ試験ヲ要セスシテ特許弁理士タル資格ヲ有ス
一 弁護士タル資格ヲ有スル者
二 文官高等試験又ハ判事検事登用試験ニ合格シタル者
三 一年以上特許局若ハ統監府特許局ノ高等文官タリシ者又ハ二年以上特許局審査官補若ハ統監府特許局審査官補タリシ者
第三条 左ニ掲クル者ハ特許弁理士試験委員ノ詮衡ニ依リ試験ヲ要セスシテ特許弁理士タル資格ヲ有ス
一 学位ヲ有スル者
二 帝国大学分科大学又ハ之ト学科程度同等以上ト認ムル内外国ノ学校ニ於テ定規ノ課業ヲ卒ヘタル者
第四条 左ニ掲クル者ハ特許弁理士タルコトヲ得ス
一 特許法第九十二条、第九十三条、第九十七条、意匠法第二十四条、第二十五条、第二十九条、商標法第二十三条、第二十四条、第二十八条又ハ実用新案法第二十二条、第二十三条、第二十七条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ経過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
二 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者但シ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ経過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
三 破産若ハ家資分散ノ宣告ヲ受ケ復権セサル者又ハ身代限ノ処分ヲ受ケ債務ノ弁償ヲ終ヘサル者
四 業務停止ノ期間中業務ヲ廃止シ未タ其ノ期間ノ経過セサル者又ハ業務禁止ノ処分アリタル日ヨリ三年ヲ経過セサル者
第五条 特許弁理士タラムトスル者ハ特許弁理士登録簿ニ登録ヲ受クヘシ
前項ノ登録ヲ受ケムトスル者ハ其ノ住所、氏名及事務所ヲ記載シタル請求書ニ履歴書及登録ニ必要ナル資格ヲ証スル書面ヲ添附シ之ヲ特許局長ニ請求スヘシ
第六条 特許弁理士ノ登録ヲ受ケムトスル者ハ手数料トシテ金十円ヲ納ムヘシ
前項ノ手数料ハ収入印紙ヲ請求書ニ貼付シ之ヲ納ムヘシ
第七条 特許弁理士ノ登録ヲ為シタルトキ又ハ其ノ登録ヲ拒否シタルトキハ特許局長ハ之ヲ請求人ニ通知スヘシ
第八条 特許弁理士ノ登録ノ拒否ニ対シ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第九条 特許局長ハ特許弁理士登録簿ニ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 特許弁理士ノ氏名、住所
二 事務所
三 登録ノ年月日
四 懲戒
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ特許局長ハ特許弁理士ノ登録ヲ抹消スヘシ
一 特許弁理士死亡シ若ハ業務ヲ廃止シタルトキ又ハ業務ヲ禁止セラレタルトキ
二 特許弁理士タルノ資格ヲ具ヘサルカ又ハ具ヘサルニ至リタルトキ
前項第二号ノ事由ニ依リ登録ヲ抹消セムトスルトキハ特許弁理士試験委員ノ議ヲ経ヘシ
第十一条 前条第一項第二号ノ事由ニ依リ登録ヲ抹消シタルトキハ特許局長ハ之ヲ特許弁理士ニ通知スヘシ
第十二条 第十条第一項第二号ノ事由ニ依ル登録ノ抹消ニ対シ不服アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第十三条 特許弁理士登録簿ノ登録又ハ其ノ抹消若ハ回復ハ官報、特許公報、商標公報及実用新案公報ヲ以テ之ヲ公告スヘシ
第十四条 第九条第一号若ハ第二号ノ事項ニ変更アリタルトキ又ハ業務ヲ廃止シタルトキハ特許弁理士ハ遅滞ナク之ヲ特許局長ニ届出ツヘシ
特許弁理士死亡シタルトキハ其ノ相続人又ハ親族ヨリ遅滞ナク之ヲ特許局長ニ届出ツヘシ
第十五条 特許弁理士ハ左ニ掲クル事件ニ付其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
一 相手方ノ代理人トシテ取扱ヒタル事件
二 特許局ニ在職中取扱ヒタル事件
第十六条 特許弁理士組合ヲ設ケタルトキハ組合規約ヲ定メテ特許局長ノ認可ヲ受クヘシ組合規約ヲ変更シタルトキ亦同シ
特許弁理士ノ組合ヲ解散シタルトキハ之ヲ特許局長ニ届出ツヘシ
第十七条 特許弁理士ニシテ犯罪又ハ其ノ業務ニ関シ不正ノ行為若ハ甚シキ怠慢アリタルトキハ主務大臣ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 業務ノ禁止
二 一年以内業務ノ停止
附 則
本令ハ特許法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
特許代理業者登録規則ハ之ヲ廃止ス
旧特許法第四十五条、第四十七条、旧意匠法第十七条、第十九条、旧商標法第十六条、第十七条、旧実用新案法第四十六条、第四十八条又ハ特許代理業者登録規則第十五条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ三年ヲ経過セサルトキハ特許弁理士タルコトヲ得ス
特許代理業者登録規則ニ依ル特許代理業者名簿ハ本令ニ依ル特許弁理士登録簿ト看做ス