肥料取締法
法令番号: 法律第五十一號
公布年月日: 明治41年4月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル肥料取締法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年四月十一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 松岡康毅
法律第五十一號
肥料取締法
第一條 本法ニ於テ肥料ト稱スルハ植物ノ營養ニ供用スル物料ヲ謂フ
第二條 肥料ノ製造、輸入、移入又ハ賣買ヲ營業ト爲サムトスル者ハ地方長官ノ免許ヲ受クヘシ
肥料ノ調合又ハ製造業ニ伴フ肥料ト爲ルヘキ副產物ノ產出ハ之ヲ肥料ノ製造ト看做ス
前項ノ製造業及副產物ハ主務大臣之ヲ指定ス
第三條 前條第一項ノ免許願書ニハ製造者ニ在リテハ製造場ノ位置、製造及藏置ニ關スル設備、肥料ノ名稱及製造方法ヲ、輸入者、移入者又ハ賣買者ニ在リテハ肥料ノ名稱及營業所ノ位置ヲ記載スヘシ
前項ニ依リ願書ニ記載シタル事項ヲ變更セムトスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第四條 肥料營業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ肥料ニ保證票ヲ添附スヘシ
第五條 當該官吏ハ肥料營業者、運送業者又ハ倉庫業者ノ店舖、倉庫、工場、船車等ニ臨檢シ物品及帳簿其ノ他ノ書類ニ就キ檢査ヲ爲シ必要ナル分量ニ限リ無償ニテ肥料又ハ製造原料ヲ收去スルコトヲ得
當該官吏臨檢ノ際肥料ニ關スル犯罪アリト認ムルトキハ搜索ヲ爲シ又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スヘキ物件ノ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、搜索及差押ニ關シテハ間接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第六條 肥料營業ノ免許ヲ受ケタル者正當ノ理由ナクシテ其ノ免許ノ日ヨリ一年以內ニ開業セス又ハ一年以上其ノ營業ヲ休止シタルトキハ地方長官ハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第七條 肥料營業者本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違反シタルトキ又ハ公益上必要ト認ムルトキハ地方長官ハ免許ヲ取消シ又ハ營業ヲ停止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ地方長官ハ其ノ營業者ニ對シ三年ヲ超過セサル期間肥料營業ニ關スル一切ノ行爲ヲ禁スルコトヲ得
第八條 植物ノ營養ニ供用スル物料ニシテ地方長官ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ得テ指定シタルモノハ之ヲ他ノ用途ニ供スル爲製造、輸入、移入又ハ賣買スル場合ニ限リ本法ヲ適用セス
第九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ二千圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ肥料及原料ハ刑法第十九條ノ物ニ非サル場合ト雖之ヲ沒收スルコトヲ得
一 詐欺ノ行爲ヲ以テ免許ヲ受ケタル者
二 肥料ヲ僞造シ又ハ人ヲ欺罔スルノ目的ヲ以テ肥料ニ他物ヲ混和シタル營業者
三 僞造シ又ハ人ヲ欺罔スル目的ヲ以テ他物ヲ混和シタル肥料ヲ輸入、移入又ハ授受シタル營業者
四 肥料ニ虛僞ノ保證票ヲ添附シタル營業者又ハ他人ノ保證票若ハ他人ノ保證票ヲ有スル容器ヲ他ノ肥料ニ使用シタル營業者
五 虛僞ノ保證票ヲ添附シタル肥料又ハ他人ノ保證票若ハ他人ノ保證票ヲ有スル容器ヲ使用シタル肥料ヲ輸入、移入又ハ授受シタル營業者
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處シ第一號乃至第四號ノ場合ニ於テハ其ノ肥料及原料カ刑法第十九條ノ物ニ非サルトキト雖之ヲ沒收スルコトヲ得
一 免許ヲ受ケスシテ肥料營業ヲ爲シタル者
二 第七條ニ依ル命令ニ違反シタル者
三 免許又ハ認可ヲ受ケサル製造方法ニ依リ肥料ヲ製造シタル營業者
四 免許又ハ認可ヲ受ケサル肥料ヲ製造、輸入、移入又ハ賣買シタル營業者
五 認可ヲ受ケスシテ製造場ノ位置又ハ製造若ハ藏置ニ關スル設備ヲ變更シタル營業者
第十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第四條ニ依ル保證票ヲ添附セサル營業者
二 第五條ニ依ル處分ヲ拒ミタル者
第十二條 肥料營業者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十三條 肥料營業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十四條 明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ於ケル肥料ノ製造販賣又ハ販賣ノ免許ノ效力ハ明治四十一年十二月三十一日限トス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル肥料取締法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年四月十一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 松岡康毅
法律第五十一号
肥料取締法
第一条 本法ニ於テ肥料ト称スルハ植物ノ営養ニ供用スル物料ヲ謂フ
第二条 肥料ノ製造、輸入、移入又ハ売買ヲ営業ト為サムトスル者ハ地方長官ノ免許ヲ受クヘシ
肥料ノ調合又ハ製造業ニ伴フ肥料ト為ルヘキ副産物ノ産出ハ之ヲ肥料ノ製造ト看做ス
前項ノ製造業及副産物ハ主務大臣之ヲ指定ス
第三条 前条第一項ノ免許願書ニハ製造者ニ在リテハ製造場ノ位置、製造及蔵置ニ関スル設備、肥料ノ名称及製造方法ヲ、輸入者、移入者又ハ売買者ニ在リテハ肥料ノ名称及営業所ノ位置ヲ記載スヘシ
前項ニ依リ願書ニ記載シタル事項ヲ変更セムトスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第四条 肥料営業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ肥料ニ保証票ヲ添附スヘシ
第五条 当該官吏ハ肥料営業者、運送業者又ハ倉庫業者ノ店舗、倉庫、工場、船車等ニ臨検シ物品及帳簿其ノ他ノ書類ニ就キ検査ヲ為シ必要ナル分量ニ限リ無償ニテ肥料又ハ製造原料ヲ収去スルコトヲ得
当該官吏臨検ノ際肥料ニ関スル犯罪アリト認ムルトキハ捜索ヲ為シ又ハ犯罪ノ事実ヲ証明スヘキ物件ノ差押ヲ為スコトヲ得
臨検、捜索及差押ニ関シテハ間接国税犯則者処分法ヲ準用ス
第六条 肥料営業ノ免許ヲ受ケタル者正当ノ理由ナクシテ其ノ免許ノ日ヨリ一年以内ニ開業セス又ハ一年以上其ノ営業ヲ休止シタルトキハ地方長官ハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第七条 肥料営業者本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ違反シタルトキ又ハ公益上必要ト認ムルトキハ地方長官ハ免許ヲ取消シ又ハ営業ヲ停止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ地方長官ハ其ノ営業者ニ対シ三年ヲ超過セサル期間肥料営業ニ関スル一切ノ行為ヲ禁スルコトヲ得
第八条 植物ノ営養ニ供用スル物料ニシテ地方長官ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ得テ指定シタルモノハ之ヲ他ノ用途ニ供スル為製造、輸入、移入又ハ売買スル場合ニ限リ本法ヲ適用セス
第九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ二千円以下ノ罰金ニ処シ其ノ肥料及原料ハ刑法第十九条ノ物ニ非サル場合ト雖之ヲ没収スルコトヲ得
一 詐欺ノ行為ヲ以テ免許ヲ受ケタル者
二 肥料ヲ偽造シ又ハ人ヲ欺罔スルノ目的ヲ以テ肥料ニ他物ヲ混和シタル営業者
三 偽造シ又ハ人ヲ欺罔スル目的ヲ以テ他物ヲ混和シタル肥料ヲ輸入、移入又ハ授受シタル営業者
四 肥料ニ虚偽ノ保証票ヲ添附シタル営業者又ハ他人ノ保証票若ハ他人ノ保証票ヲ有スル容器ヲ他ノ肥料ニ使用シタル営業者
五 虚偽ノ保証票ヲ添附シタル肥料又ハ他人ノ保証票若ハ他人ノ保証票ヲ有スル容器ヲ使用シタル肥料ヲ輸入、移入又ハ授受シタル営業者
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金又ハ科料ニ処シ第一号乃至第四号ノ場合ニ於テハ其ノ肥料及原料カ刑法第十九条ノ物ニ非サルトキト雖之ヲ没収スルコトヲ得
一 免許ヲ受ケスシテ肥料営業ヲ為シタル者
二 第七条ニ依ル命令ニ違反シタル者
三 免許又ハ認可ヲ受ケサル製造方法ニ依リ肥料ヲ製造シタル営業者
四 免許又ハ認可ヲ受ケサル肥料ヲ製造、輸入、移入又ハ売買シタル営業者
五 認可ヲ受ケスシテ製造場ノ位置又ハ製造若ハ蔵置ニ関スル設備ヲ変更シタル営業者
第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第四条ニ依ル保証票ヲ添附セサル営業者
二 第五条ニ依ル処分ヲ拒ミタル者
第十二条 肥料営業者カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十三条 肥料営業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十四条 明治三十三年法律第五十二号ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ於ケル肥料ノ製造販売又ハ販売ノ免許ノ効力ハ明治四十一年十二月三十一日限トス