地方森林会規則
法令番号: 勅令第三百四十七號
公布年月日: 明治40年12月26日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ地方森林會規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年十二月二十五日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 松岡康毅
勅令第三百四十七號
地方森林會規則
第一條 地方森林會ハ農商務大臣ノ監督ニ屬シ森林法ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事項ヲ審議ス
第二條 地方森林會ハ會長一人議員十四人以內ヲ以テ之ヲ組織ス
第三條 地方森林會ノ會長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ地方長官事故アルトキハ其ノ代理者之ニ代ハル
議員ハ左ニ揭クル者ニ就キ農商務大臣之ヲ命ス
一 府縣高等官 二人
二 大林區署高等官 一人
三 鑛山監督署高等官 一人
四 府縣名譽職參事會員中ヨリ互選シタル者 二人
五 森林事業ニ經驗アル者
六 治水、土木、鑛山、農業又ハ水產事業ニ經驗アル者
前項ニ揭クル者ノ外御料地所在ノ府縣ニ在リテハ帝室林野管理局高等官ヲ議員ニ命スルコトヲ得
第四條 會長ハ會務ヲ統理シ會ヲ代表シ會議ノ議長ト爲ル
第五條 官吏ニシテ議員タル者ノ外議員ノ任期ハ二年トス但シ府縣名譽職參事會員ノ互選ニ係ル者ノ任期ハ府縣名譽職參事會員ノ任期ニ依ル
第六條 地方森林會ニ幹事一人書記若干人ヲ置ク幹事ハ府縣高等官中ヨリ書記ハ府縣判任官中ヨリ地方長官之ヲ命ス
第七條 幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理シ書記ハ會長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第八條 地方森林會ノ審議スヘキ事項ニシテ其ノ利害關係二府縣以上ニ涉ルモノニ付關係地方長官中必要アリト認ムル者アルトキハ關係地方森林會聯合シテ開會スヘシ其ノ開會地及開會、閉會ノ期日竝其ノ召集ニ關スル事項ハ關係地方長官之ヲ協定シ審議事項ト共ニ開會前之ヲ農商務大臣ニ報吿スヘシ
第九條 聯合地方森林會ハ關係地方森林會ノ議員ヲ以テ組織シ其ノ議長、幹事、書記ハ開會地ノ地方森林會ノ會長、幹事、書記ヲ以テ之ニ充テ其ノ會務規則ハ開會地地方森林會ノ規則ニ依ル
聯合地方森林會ノ決議ハ關係地方森林會ノ決議ト看做ス
第十條 議員ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ其ノ事件ノ審議ニ參與スルコトヲ得ス
一 保安林ノ編入解除ニ付テハ申請者、森林法第十八條ノ通知ヲ受ケタル者及之ニ屬スル旣存ノ權利ヲ承繼シタル者
二 森林法ニ依ル裁決ニ付テハ當事者、土地所有者及同法第三十八條ノ關係人
議員前項各號ノ一ニ該當スル者ノ配偶者、四親等內ノ親族、戶主、家族、代理人及保佐人ナルトキ又ハ前項各號ノ一ニ該當スル市町村ノ市參事會員、町村長、合名會社ノ社員、合資會社及株式合資會社ノ無限責任社員竝法人ノ役員ナルトキ亦前項ニ同シ
第十一條 森林法ニ依リ地方森林會ノ裁決ヲ申請シタル者アルトキハ會長之ヲ相手方ニ通知スヘシ
第十二條 前條ノ通知ヲ受ケタル者ハ其ノ通知後二週間內ニ意見書ヲ地方森林會ニ提出スルコトヲ得
第十三條 地方森林會ハ前條ノ期間經過後ニ非サレハ裁決ノ申請ニ係ル事件ヲ審議スルコトヲ得ス
第十四條 裁決ハ其ノ當事者ノ申立テタル範圍ヲ超ユルコトヲ得ス
第十五條 裁決ハ理由ヲ附シ文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第十六條 地方森林會ニ於テ裁決ヲ爲ス爲必要アリト認ムルトキハ鑑定人ヲ選ヒ其ノ意見ヲ聽クコトヲ得
第十條ノ規定ハ前項ノ鑑定人ニ之ヲ準用ス
第十七條 地方森林會ニ於テ必要アリト認ムルトキハ當事者又ハ利害關係人ヲ呼出シ其ノ意見ヲ聽キ又ハ利害關係ヲ有セサル者ヲ呼出シ事實參考ノ爲其ノ供述ヲ聽クコトヲ得
第十八條 鑑定人及事實參考人ハ旅費及手當ヲ請求スルコトヲ得
第十九條 會長、官吏ニシテ議員タル者、幹事及書記ノ旅費ハ所屬官廳ノ經費ヲ以テ之ニ充ツ
第二十條 前條ノ費用ヲ除クノ外鑑定人、事實參考人及議員ノ旅費、手當其ノ他地方森林會ノ費用ハ府縣ノ負擔トス但シ聯合地方森林會ニ付テハ議員ノ旅費、手當ヲ除クノ外開會地府縣ノ負擔トス
第二十一條 地方森林會ニ於テ裁決ニ關シ要スル費用中左ニ揭クルモノハ府縣ニ於テ起業者ヨリ之ヲ徵收ス
一 鑑定人及事實參考人ノ旅費及手當
二 裁決書謄本ノ調製費
三 郵便及電信料
四 傭人料
五 其ノ他農商務大臣ノ指定シタルモノ
第二十二條 前條ノ規定ハ第二十三條ノ規定ニ依リ地方森林會ノ裁決ヲ取消シタル場合ニ於テ更ニ開クヘキ地方森林會ニ要スル費用ニ付之ヲ適用セス
第二十三條 地方森林會カ其ノ權限ヲ超エ又ハ法令ノ規定ニ違反シテ爲シタル決議及裁決ハ農商務大臣之ヲ取消スコトヲ得
第二十四條 地方森林會ハ會務處理ノ爲必要ナル規則ヲ議定シ農商務大臣ニ報吿スヘシ
前項ノ規則ニ對シ農商務大臣ハ更正ヲ命スルコトヲ得
第二十五條 故ナク鑑定人タルコトヲ拒ミタル者又ハ鑑定人カ故ナク鑑定ヲ爲スコトヲ拒ミタルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 鑑定人トシテ地方森林會ニ呼出サレタル者詐僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ重禁錮ニ處ス賄賂其ノ他ノ方法ヲ以テ人ニ囑託シテ詐僞ノ鑑定ヲ爲サシメタル者亦同シ
第二十七條 鑑定人又ハ事實參考人故ナク出頭セサルトキハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本令ハ森林法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ地方森林會議員タル者ハ本令ニ依リ各其ノ職ヲ命セラレタルモノト看做ス但シ其ノ任期ハ前後通算ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ地方森林会規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年十二月二十五日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 松岡康毅
勅令第三百四十七号
地方森林会規則
第一条 地方森林会ハ農商務大臣ノ監督ニ属シ森林法ニ依リ其ノ権限ニ属スル事項ヲ審議ス
第二条 地方森林会ハ会長一人議員十四人以内ヲ以テ之ヲ組織ス
第三条 地方森林会ノ会長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ地方長官事故アルトキハ其ノ代理者之ニ代ハル
議員ハ左ニ掲クル者ニ就キ農商務大臣之ヲ命ス
一 府県高等官 二人
二 大林区署高等官 一人
三 鉱山監督署高等官 一人
四 府県名誉職参事会員中ヨリ互選シタル者 二人
五 森林事業ニ経験アル者
六 治水、土木、鉱山、農業又ハ水産事業ニ経験アル者
前項ニ掲クル者ノ外御料地所在ノ府県ニ在リテハ帝室林野管理局高等官ヲ議員ニ命スルコトヲ得
第四条 会長ハ会務ヲ統理シ会ヲ代表シ会議ノ議長ト為ル
第五条 官吏ニシテ議員タル者ノ外議員ノ任期ハ二年トス但シ府県名誉職参事会員ノ互選ニ係ル者ノ任期ハ府県名誉職参事会員ノ任期ニ依ル
第六条 地方森林会ニ幹事一人書記若干人ヲ置ク幹事ハ府県高等官中ヨリ書記ハ府県判任官中ヨリ地方長官之ヲ命ス
第七条 幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理シ書記ハ会長又ハ幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第八条 地方森林会ノ審議スヘキ事項ニシテ其ノ利害関係二府県以上ニ渉ルモノニ付関係地方長官中必要アリト認ムル者アルトキハ関係地方森林会連合シテ開会スヘシ其ノ開会地及開会、閉会ノ期日並其ノ召集ニ関スル事項ハ関係地方長官之ヲ協定シ審議事項ト共ニ開会前之ヲ農商務大臣ニ報告スヘシ
第九条 連合地方森林会ハ関係地方森林会ノ議員ヲ以テ組織シ其ノ議長、幹事、書記ハ開会地ノ地方森林会ノ会長、幹事、書記ヲ以テ之ニ充テ其ノ会務規則ハ開会地地方森林会ノ規則ニ依ル
連合地方森林会ノ決議ハ関係地方森林会ノ決議ト看做ス
第十条 議員ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ其ノ事件ノ審議ニ参与スルコトヲ得ス
一 保安林ノ編入解除ニ付テハ申請者、森林法第十八条ノ通知ヲ受ケタル者及之ニ属スル既存ノ権利ヲ承継シタル者
二 森林法ニ依ル裁決ニ付テハ当事者、土地所有者及同法第三十八条ノ関係人
議員前項各号ノ一ニ該当スル者ノ配偶者、四親等内ノ親族、戸主、家族、代理人及保佐人ナルトキ又ハ前項各号ノ一ニ該当スル市町村ノ市参事会員、町村長、合名会社ノ社員、合資会社及株式合資会社ノ無限責任社員並法人ノ役員ナルトキ亦前項ニ同シ
第十一条 森林法ニ依リ地方森林会ノ裁決ヲ申請シタル者アルトキハ会長之ヲ相手方ニ通知スヘシ
第十二条 前条ノ通知ヲ受ケタル者ハ其ノ通知後二週間内ニ意見書ヲ地方森林会ニ提出スルコトヲ得
第十三条 地方森林会ハ前条ノ期間経過後ニ非サレハ裁決ノ申請ニ係ル事件ヲ審議スルコトヲ得ス
第十四条 裁決ハ其ノ当事者ノ申立テタル範囲ヲ超ユルコトヲ得ス
第十五条 裁決ハ理由ヲ附シ文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第十六条 地方森林会ニ於テ裁決ヲ為ス為必要アリト認ムルトキハ鑑定人ヲ選ヒ其ノ意見ヲ聴クコトヲ得
第十条ノ規定ハ前項ノ鑑定人ニ之ヲ準用ス
第十七条 地方森林会ニ於テ必要アリト認ムルトキハ当事者又ハ利害関係人ヲ呼出シ其ノ意見ヲ聴キ又ハ利害関係ヲ有セサル者ヲ呼出シ事実参考ノ為其ノ供述ヲ聴クコトヲ得
第十八条 鑑定人及事実参考人ハ旅費及手当ヲ請求スルコトヲ得
第十九条 会長、官吏ニシテ議員タル者、幹事及書記ノ旅費ハ所属官庁ノ経費ヲ以テ之ニ充ツ
第二十条 前条ノ費用ヲ除クノ外鑑定人、事実参考人及議員ノ旅費、手当其ノ他地方森林会ノ費用ハ府県ノ負担トス但シ連合地方森林会ニ付テハ議員ノ旅費、手当ヲ除クノ外開会地府県ノ負担トス
第二十一条 地方森林会ニ於テ裁決ニ関シ要スル費用中左ニ掲クルモノハ府県ニ於テ起業者ヨリ之ヲ徴収ス
一 鑑定人及事実参考人ノ旅費及手当
二 裁決書謄本ノ調製費
三 郵便及電信料
四 傭人料
五 其ノ他農商務大臣ノ指定シタルモノ
第二十二条 前条ノ規定ハ第二十三条ノ規定ニ依リ地方森林会ノ裁決ヲ取消シタル場合ニ於テ更ニ開クヘキ地方森林会ニ要スル費用ニ付之ヲ適用セス
第二十三条 地方森林会カ其ノ権限ヲ超エ又ハ法令ノ規定ニ違反シテ為シタル決議及裁決ハ農商務大臣之ヲ取消スコトヲ得
第二十四条 地方森林会ハ会務処理ノ為必要ナル規則ヲ議定シ農商務大臣ニ報告スヘシ
前項ノ規則ニ対シ農商務大臣ハ更正ヲ命スルコトヲ得
第二十五条 故ナク鑑定人タルコトヲ拒ミタル者又ハ鑑定人カ故ナク鑑定ヲ為スコトヲ拒ミタルトキハ四十円以下ノ罰金ニ処ス
第二十六条 鑑定人トシテ地方森林会ニ呼出サレタル者詐偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ一年以下ノ重禁錮ニ処ス賄賂其ノ他ノ方法ヲ以テ人ニ嘱託シテ詐偽ノ鑑定ヲ為サシメタル者亦同シ
第二十七条 鑑定人又ハ事実参考人故ナク出頭セサルトキハ二十円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本令ハ森林法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ地方森林会議員タル者ハ本令ニ依リ各其ノ職ヲ命セラレタルモノト看做ス但シ其ノ任期ハ前後通算ス