外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法
法令番号: 法律第63号
公布年月日: 明治38年3月13日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

現行制度では、外国裁判所から日本国内での送達や証拠調べの嘱託があっても、帝国裁判所はこれに応じることができない。また、外国の公使・領事による司法権の行使は主権の観点から認められない。一方、民事訴訟法では日本から外国への嘱託について規定があるものの、国際司法共助は相互主義が原則であるため、実際には機能していない。交通の発達により国際関係が複雑化する中、この状況は裁判所や利害関係者に多大な不便をもたらしている。この欠点を補うため、相互条件下での司法共助を可能とする本法案を提出するものである。

参照した発言:
第21回帝国議会 衆議院 本会議 第19号

審議経過

第21回帝国議会

衆議院
(明治38年2月21日)
(明治38年2月23日)
貴族院
(明治38年2月25日)
(明治38年2月27日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
內閣總理大臣 伯爵 桂太郞
外務大臣 男爵 小村壽太郞
司法大臣 波多野敬直
法律第六十三號
外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法
第一條 裁判所ハ外國裁判所ノ囑託ニ因リ民事及刑事ノ訴訟事件ニ關スル書類ノ送達及證據調ニ付法律上ノ輔助ヲ爲ス
法律上ノ輔助ハ所要ノ事務ヲ取扱フヘキ地ヲ管轄スル區裁判所ニ於テ之ヲ爲ス
第二條 受託事項カ他ノ裁判所ノ管轄ニ屬スルトキハ受託裁判所ハ囑託ヲ管轄裁判所ニ移送スヘシ
第三條 受託事項ハ日本ノ法律ニ依リ之ヲ施行スヘシ
第四條 囑託ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ拒絕スヘシ
一 日本ノ法律ニ依レハ受託事項カ其ノ施行ヲ許スヘキモノニ非サルトキ
二 受託事項カ受託裁判所ノ管轄ニ屬セサル場合ニ於テ第二條ノ手續ヲ爲スコト能ハサルトキ
三 相互條件ノ存セサルトキ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年三月十一日
内閣総理大臣 伯爵 桂太郎
外務大臣 男爵 小村寿太郎
司法大臣 波多野敬直
法律第六十三号
外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法
第一条 裁判所ハ外国裁判所ノ嘱託ニ因リ民事及刑事ノ訴訟事件ニ関スル書類ノ送達及証拠調ニ付法律上ノ輔助ヲ為ス
法律上ノ輔助ハ所要ノ事務ヲ取扱フヘキ地ヲ管轄スル区裁判所ニ於テ之ヲ為ス
第二条 受託事項カ他ノ裁判所ノ管轄ニ属スルトキハ受託裁判所ハ嘱託ヲ管轄裁判所ニ移送スヘシ
第三条 受託事項ハ日本ノ法律ニ依リ之ヲ施行スヘシ
第四条 嘱託ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ拒絶スヘシ
一 日本ノ法律ニ依レハ受託事項カ其ノ施行ヲ許スヘキモノニ非サルトキ
二 受託事項カ受託裁判所ノ管轄ニ属セサル場合ニ於テ第二条ノ手続ヲ為スコト能ハサルトキ
三 相互条件ノ存セサルトキ