粗製樟脳、樟脳油専売法
法令番号: 法律第五號
公布年月日: 明治36年6月17日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル粗製樟腦、樟腦油專賣法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年六月十六日
內閣總理大臣 伯爵 桂太郞
內務大臣 男爵 內海忠勝
農商務大臣 男爵 平田東助
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
法律第五號
粗製樟腦、樟腦油專賣法
第一條 政府ハ粗製樟腦、樟腦油ノ專賣權ヲ有ス
第二條 粗製樟腦、樟腦油ヲ製造スル者ハ總テ其ノ粗製樟腦、樟腦油ヲ政府ニ納付スヘシ納付ノ期限及場所ハ政府之ヲ指定ス
第三條 政府ハ收納シタル粗製樟腦、樟腦油ニ對シ補償金ヲ交付ス補償金ハ政府之ヲ定メ豫メ公示スヘシ
第四條 政府ヨリ賣渡シタル粗製樟腦、樟腦油ニ非サレハ所有、所持、讓渡、質入若ハ消費シ、外國ニ輸出シ又ハ內地臺灣間ノ輸送ヲ爲スコトヲ得ス但シ納付期限前又ハ正當ノ事由ニ因リ納付ヲ遲延シタル場合ニ於テ所有、所持スルハ此ノ限ニ在ラス
第五條 樟腦、樟腦油ハ政府指定ノ港灣ニ由ルニ非サレハ之ヲ外國ニ輸出シ又ハ內地臺灣間ノ輸送ヲ爲スコトヲ得ス
第六條 粗製樟腦、樟腦油ヲ製造セムトル者又ハ粗製樟腦ヲ精製セムトスル者ハ製造場、竈數、一箇年ノ生產見込量目及製造著手ノ時期ヲ定メ政府ノ許可ヲ受クヘシ
前項ニ依リ許可ヲ受ケタル事項ヲ變更シ又ハ製造ヲ廢止セムトスルトキハ政府ノ許可ヲ受クヘシ
第七條 相續ニ因リ樟腦、樟腦油ノ製造ヲ繼承シタルトキハ政府ニ屆出ツヘシ
相續ニ因ルノ外製造ヲ繼承セムトスルトキハ政府ノ許可ヲ受クヘシ
第八條 粗製樟腦、樟腦油ノ製造者ハ粗製樟腦ノ精製者ト相兼ヌルコトヲ得ス
第九條 政府ハ樟腦、樟腦油ノ需要供給ノ情況ニ依リ粗製樟腦、樟腦油ノ製造ヲ制限スルコトヲ得
第十條 樟腦、樟腦油ノ製造ノ許可ヲ受ケタル者本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違背シ又ハ豫定ノ條件ヲ履行セサルトキハ政府ハ其ノ許可ヲ取消スコトヲ得
蕃地ノ狀況ニシテ公安上必要アリト認ムルトキハ政府ハ粗製樟腦、樟腦油ノ製造ヲ停止シ又ハ製造ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十一條 樟腦、樟腦油ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
第十二條 當該官吏ハ樟腦、樟腦油ノ製造ニ關スル一切ノ帳簿ヲ檢査シ又ハ樟腦、樟腦油ノ製造場、貯藏場其ノ他樟腦、樟腦油ノ所在ト認ムル場所ニ就キ檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第十三條 樟腦、樟腦油ハ總テ定價ヲ以テ之ヲ賣渡ス但シ必要ト認ムル場合ハ競爭ニ付スルコトヲ得
第十四條 政府ヨリ賣渡ヲ爲ササル粗製樟腦、樟腦油ニシテ犯人以外ノ所有ニ係ルモノハ之ヲ政府ニ收納ス此ノ場合ニ於テハ他物ヲ混和シタル粗製樟腦、樟腦油ヲ除クノ外第三條ニ準シ補償金ヲ交付ス
第十五條 納付前粗製樟腦、樟腦油ニ他物ヲ混和シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ粗製樟腦、樟腦油ハ之ヲ沒收ス
第十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ十圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ犯罪ニ係ル樟腦、樟腦油ハ之ヲ沒收シ旣ニ讓渡、消費シ又ハ輸出シタルトキハ其ノ代價ニ相當スル金額ヲ追徵ス
一 第四條又ハ第五條ニ違背シタル者
二 許可ヲ受ケスシテ粗製樟腦、樟腦油ヲ製造シ又ハ粗製樟腦ヲ精製シタル者
三 許可ヲ受ケスシテ許可ヲ受ケタル事項ヲ變更シ又ハ製造ヲ廢止シタル者
四 第九條ノ制限又ハ第十條第二項ノ停止ノ處分ニ違背シタル者
第十七條 相續ニ因リ樟腦、樟腦油ノ製造ヲ繼承シタルトキ其ノ屆出ヲ爲ササル者ハ一圓以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第十八條 樟腦、樟腦油ノ製造者帳簿ノ記載又ハ事實ノ申吿ヲ詐リ若ハ之ヲ怠リタルトキハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條 當該官吏ノ尋問ニ對シ虛僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ當該官吏ノ職務執行ヲ拒ミ、之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ刑法ニ正條アルモノハ刑法ニ依ル
第二十條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違背シタル者ニハ刑法ノ減輕、再犯加重及數罪俱發ノ例ヲ用井ス
第二十一條 當業者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依リ當業者ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十二條 樟腦、樟腦油ノ製造者又ハ取引人ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ違背シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十三條 間接國稅犯則者處分法及明治三十三年法律第五十二號ノ規定ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
間接國稅犯則者處分法中收稅官吏及稅務署長ニ屬スル職務ヲ行フヘキ官吏ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 本法施行ノ爲必要ナル規定ニシテ主務大臣ノ定ムヘキ事項ハ臺灣ニ於テハ臺灣總督之ヲ定ム
附 則
第二十五條 本法ハ明治三十六年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
臺灣樟腦及樟腦油專賣規則竝臺灣樟腦及樟腦油製造規則ハ之ヲ廢止ス
第二十六條 本法施行ノ際內地ニ於テ樟腦、樟腦油ノ製造者又ハ取引人ノ所有スル粗製樟腦、樟腦油ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ準シ之ヲ政府ニ納付スヘシ
第二十七條 本法施行ノ際內地ニ於テ樟腦、樟腦油ノ製造者又ハ取引人以外ノ者ノ所有ニ係ル粗製樟腦、樟腦油ニ關シテハ本法ノ規定ヲ適用セス
第二十八條 本法施行ノ際內地ニ於テ樟腦、樟腦油ヲ製造スル者ハ明治三十六年十一月一日迄ニ本法ニ依リ許可ヲ受クヘシ其ノ期間內ハ從前ノ製造ヲ繼續スルコトヲ得
第二十九條 臺灣樟腦及樟腦油製造規則ニ依リ特許ヲ受ケタル者ハ其ノ期間滿了ノ日迄本法ニ依リ許可ヲ受ケタルモノト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル粗製樟脳、樟脳油専売法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年六月十六日
内閣総理大臣 伯爵 桂太郎
内務大臣 男爵 内海忠勝
農商務大臣 男爵 平田東助
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
法律第五号
粗製樟脳、樟脳油専売法
第一条 政府ハ粗製樟脳、樟脳油ノ専売権ヲ有ス
第二条 粗製樟脳、樟脳油ヲ製造スル者ハ総テ其ノ粗製樟脳、樟脳油ヲ政府ニ納付スヘシ納付ノ期限及場所ハ政府之ヲ指定ス
第三条 政府ハ収納シタル粗製樟脳、樟脳油ニ対シ補償金ヲ交付ス補償金ハ政府之ヲ定メ予メ公示スヘシ
第四条 政府ヨリ売渡シタル粗製樟脳、樟脳油ニ非サレハ所有、所持、譲渡、質入若ハ消費シ、外国ニ輸出シ又ハ内地台湾間ノ輸送ヲ為スコトヲ得ス但シ納付期限前又ハ正当ノ事由ニ因リ納付ヲ遅延シタル場合ニ於テ所有、所持スルハ此ノ限ニ在ラス
第五条 樟脳、樟脳油ハ政府指定ノ港湾ニ由ルニ非サレハ之ヲ外国ニ輸出シ又ハ内地台湾間ノ輸送ヲ為スコトヲ得ス
第六条 粗製樟脳、樟脳油ヲ製造セムトル者又ハ粗製樟脳ヲ精製セムトスル者ハ製造場、竈数、一箇年ノ生産見込量目及製造著手ノ時期ヲ定メ政府ノ許可ヲ受クヘシ
前項ニ依リ許可ヲ受ケタル事項ヲ変更シ又ハ製造ヲ廃止セムトスルトキハ政府ノ許可ヲ受クヘシ
第七条 相続ニ因リ樟脳、樟脳油ノ製造ヲ継承シタルトキハ政府ニ届出ツヘシ
相続ニ因ルノ外製造ヲ継承セムトスルトキハ政府ノ許可ヲ受クヘシ
第八条 粗製樟脳、樟脳油ノ製造者ハ粗製樟脳ノ精製者ト相兼ヌルコトヲ得ス
第九条 政府ハ樟脳、樟脳油ノ需要供給ノ情況ニ依リ粗製樟脳、樟脳油ノ製造ヲ制限スルコトヲ得
第十条 樟脳、樟脳油ノ製造ノ許可ヲ受ケタル者本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ違背シ又ハ予定ノ条件ヲ履行セサルトキハ政府ハ其ノ許可ヲ取消スコトヲ得
蕃地ノ状況ニシテ公安上必要アリト認ムルトキハ政府ハ粗製樟脳、樟脳油ノ製造ヲ停止シ又ハ製造ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十一条 樟脳、樟脳油ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造ニ関スル事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ
第十二条 当該官吏ハ樟脳、樟脳油ノ製造ニ関スル一切ノ帳簿ヲ検査シ又ハ樟脳、樟脳油ノ製造場、貯蔵場其ノ他樟脳、樟脳油ノ所在ト認ムル場所ニ就キ検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
第十三条 樟脳、樟脳油ハ総テ定価ヲ以テ之ヲ売渡ス但シ必要ト認ムル場合ハ競争ニ付スルコトヲ得
第十四条 政府ヨリ売渡ヲ為ササル粗製樟脳、樟脳油ニシテ犯人以外ノ所有ニ係ルモノハ之ヲ政府ニ収納ス此ノ場合ニ於テハ他物ヲ混和シタル粗製樟脳、樟脳油ヲ除クノ外第三条ニ準シ補償金ヲ交付ス
第十五条 納付前粗製樟脳、樟脳油ニ他物ヲ混和シタル者ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処シ其ノ粗製樟脳、樟脳油ハ之ヲ没収ス
第十六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ十円以上五百円以下ノ罰金ニ処シ其ノ犯罪ニ係ル樟脳、樟脳油ハ之ヲ没収シ既ニ譲渡、消費シ又ハ輸出シタルトキハ其ノ代価ニ相当スル金額ヲ追徴ス
一 第四条又ハ第五条ニ違背シタル者
二 許可ヲ受ケスシテ粗製樟脳、樟脳油ヲ製造シ又ハ粗製樟脳ヲ精製シタル者
三 許可ヲ受ケスシテ許可ヲ受ケタル事項ヲ変更シ又ハ製造ヲ廃止シタル者
四 第九条ノ制限又ハ第十条第二項ノ停止ノ処分ニ違背シタル者
第十七条 相続ニ因リ樟脳、樟脳油ノ製造ヲ継承シタルトキ其ノ届出ヲ為ササル者ハ一円以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第十八条 樟脳、樟脳油ノ製造者帳簿ノ記載又ハ事実ノ申告ヲ詐リ若ハ之ヲ怠リタルトキハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処ス
第十九条 当該官吏ノ尋問ニ対シ虚偽ノ答弁ヲ為シ又ハ当該官吏ノ職務執行ヲ拒ミ、之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタル者ハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処ス其ノ刑法ニ正条アルモノハ刑法ニ依ル
第二十条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ違背シタル者ニハ刑法ノ減軽、再犯加重及数罪俱発ノ例ヲ用井ス
第二十一条 当業者カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ依リ当業者ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十二条 樟脳、樟脳油ノ製造者又ハ取引人ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ違背シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十三条 間接国税犯則者処分法及明治三十三年法律第五十二号ノ規定ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
間接国税犯則者処分法中収税官吏及税務署長ニ属スル職務ヲ行フヘキ官吏ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四条 本法施行ノ為必要ナル規定ニシテ主務大臣ノ定ムヘキ事項ハ台湾ニ於テハ台湾総督之ヲ定ム
附 則
第二十五条 本法ハ明治三十六年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
台湾樟脳及樟脳油専売規則並台湾樟脳及樟脳油製造規則ハ之ヲ廃止ス
第二十六条 本法施行ノ際内地ニ於テ樟脳、樟脳油ノ製造者又ハ取引人ノ所有スル粗製樟脳、樟脳油ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ準シ之ヲ政府ニ納付スヘシ
第二十七条 本法施行ノ際内地ニ於テ樟脳、樟脳油ノ製造者又ハ取引人以外ノ者ノ所有ニ係ル粗製樟脳、樟脳油ニ関シテハ本法ノ規定ヲ適用セス
第二十八条 本法施行ノ際内地ニ於テ樟脳、樟脳油ヲ製造スル者ハ明治三十六年十一月一日迄ニ本法ニ依リ許可ヲ受クヘシ其ノ期間内ハ従前ノ製造ヲ継続スルコトヲ得
第二十九条 台湾樟脳及樟脳油製造規則ニ依リ特許ヲ受ケタル者ハ其ノ期間満了ノ日迄本法ニ依リ許可ヲ受ケタルモノト看做ス