漁業法
法令番号: 法律第三十四號
公布年月日: 明治34年4月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル漁業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月十二日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
內務大臣 文學博士 男爵 末松謙澄
農商務大臣 林有造
法律第三十四號
漁業法
第一條 本法ニ於テ漁業ト稱スルハ營利ノ目的ヲ以テ水產動植物ノ採捕又ハ養殖ヲ業トスルヲ謂フ
本法ニ於テ漁業者ト稱スルハ漁業ヲ爲ス者及漁業權ヲ享有スル者ヲ謂フ
第二條 私有水面ニハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本法ノ規定ヲ適用セス
第三條 漁具ヲ定置シ又ハ水面ヲ區畫シテ漁業ヲ爲スノ權利ヲ得ムトスル者ハ行政官廳ノ免許ヲ受クヘシ其ノ免許ヲ受クヘキ漁業ノ種類ハ主務大臣之ヲ指定ス
前項ノ外主務大臣ニ於テ免許ヲ必要ト認ムル漁業ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 水面ヲ專用シテ漁業ヲ爲スノ權利ヲ得ムトスル者ハ行政官廳ノ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ハ漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ヲ專用セムトスル場合ヲ除クノ外從來ノ慣行アルニ非サレハ之ヲ與ヘス
第五條 漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ノ專用ヲ出願シタルトキハ行政官廳ハ漁業ノ種類ヲ限定シテ免許ヲ與フルコトヲ得
從來ノ慣行ニ因リ前條ノ免許ヲ出願シタルトキハ行政官廳ハ其ノ慣行ニ因リ漁場ノ區域及漁業ノ種類ヲ定メ之ヲ免許ス
第六條 漁業免許ノ期間ハ二十箇年以內トス但シ第九條第一項ニ依リ免許ヲ停止シタル期間ハ免許期間ニ算入セス
免許期間ハ免許ヲ受ケタル者ノ申請ニ因リ之ヲ更新スルコトヲ得
第七條 漁業權ハ相續、讓渡、共有及貸付ノ目的ト爲スコトヲ得但シ地先水面專用ノ漁業權ヲ處分スルハ行政官廳ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第八條 漁業權ハ免許ヲ受ケタル日ヨリ一箇年間漁業ニ從事スル者ナキトキハ行政官廳ニ於テ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得引續キ二箇年間休業シタルトキ亦同シ但シ行政官廳ノ認可ヲ受ケ休業シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九條第一項ニ依リ免許ヲ停止シタル期間ハ前項ノ期間ニ算入セス
第九條 行政官廳ハ水產動植物ノ蕃殖保護其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ漁業免許ヲ制限シ若ハ停止シ又ハ之ヲ取消スコトヲ得
漁業者ニシテ本法又ハ本法ニ基ツキテ發スル命令ノ規定ニ違背シタルトキ亦前項ニ同シ
第十條 漁場ノ區域又ハ方位ヲ標示スル爲標識ヲ建設セムトスル者ハ他人ノ土地ニ立入リ又ハ之ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ漁業者ハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第十一條 行政官廳ハ漁業者ニ漁場ノ標識ノ建設ヲ命スルコトヲ得
第十二條 第十條ニ依リ他人ノ土地ニ立入リ又ハ之ヲ使用スルカ爲生シタル損失ハ其ノ請求ニ依リ之ヲ補償スヘシ
第十三條 地方長官ハ水產動植物ノ蕃殖保護又ハ漁業取締ノ爲主務大臣ノ認可ヲ得テ左ノ命令ヲ發スルコトヲ得
一 水產動植物ノ採捕若ハ販賣ニ關スル制限又ハ禁止
一 漁具、漁船若ハ採捕ノ方法ニ關スル制限又ハ禁止
一 漁業者ノ數又ハ其ノ資格ノ制限
一 水產動植物ニ有害ナル物質ノ遺棄ニ關スル制限又ハ禁止
主務大臣ニ於テ前項ノ制限又ハ禁止ヲ爲スノ必要アリト認ムルトキハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前二項ノ命令ニハ漁具及漁獲物ノ沒收ニ關スル罰則ヲ設クルコトヲ得
第十四條 主務大臣ハ遡河魚類ノ通路ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ一定ノ區域內ニ於ケル工作物設置ノ制限又ハ禁止ニ關スル命令ヲ發スルコトヲ得
工作物ニシテ遡河魚類ノ通路ヲ害スルモノト認ムルトキハ主務大臣ハ其ノ所有者ニ除害工事ヲ命スルコトヲ得
第十五條 前條第二項ニ依リ除害工事ヲ命シタルトキハ主務大臣ハ工作物ノ所有者ニ對シ相當ノ金額ヲ補償スヘシ但シ利害關係人ノ申請ニ依リ除害工事ヲ命シタルトキハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ申請者之ヲ補償スヘシ
第十六條 行政官廳ハ水產動植物ノ蕃殖保護ニ必要アリト認ムルトキハ公有水面ニ通スル私有水面ニ前三條ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第十七條 漁業ニ從事スル雇人及雇主ノ取締ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 一定ノ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者ハ行政官廳ノ認可ヲ得テ漁業組合ヲ設置スルコトヲ得
漁業組合ノ地區ハ濱、浦、漁村其ノ他漁業者ノ部落ノ區域ニ依リ之ヲ定ムヘシ
前項ノ區域ニ依リ難キ場合ニ於テハ市町村又ハ之ニ準スヘキ區域內ニ於テ其ノ地區ヲ定ムルコトヲ得
北海道ニ於テハ郡ヲ以テ漁業組合ノ地區ト爲スコトヲ得
第十九條 漁業組合ハ漁業權ノ享有及行使ニ付權利ヲ有シ義務ヲ負フ但シ自ラ漁業ヲ爲スコトヲ得ス
第二十條 漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ノ專用ノ免許ヲ受ケタルトキハ組合規約ノ定ムル所ニ依リ組合員ヲシテ漁業ヲ爲サシムヘシ
第二十一條 漁業組合ノ設置、管理及監督ニ關スル規定ハ主務大臣之ヲ定ム
第二十二條 漁業者又ハ水產動植物ノ製造若ハ販賣ヲ業トスル者ハ水產業ノ改良發達及水產動植物ノ蕃殖保護其ノ他水產業ニ關シ共同ノ利益ヲ圖ル爲水產組合ヲ設置スルコトヲ得
水產組合ニ關シテハ重要物產同業組合法ノ規定ヲ準用ス但シ同法中農商務大臣ニ屬スル職權ハ主務大臣之ヲ行フ
第二十三條 漁業免許若ハ其ノ更新ヲ拒否セラレタル者又ハ第八條、第九條若ハ第十四條第二項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服ナルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ處分ニ依リ違法ニ權利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四條 漁業免許ノ違法許可若ハ其ノ更新ニ依リ權利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十五條 漁場ノ區域、漁業權ノ範圍又ハ漁業ノ方法ニ付漁業者ノ間ニ爭アルトキハ關係者ヨリ行政官廳ニ裁決ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ依リ違法ニ權利ヲ傷害セラレタリトスル申請者又ハ爭議ノ相手方ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十六條 免許ニ依ラスシテ免許ヲ受クヘキ漁業ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス免許ノ停止中又ハ免許ノ條件若ハ制限ニ違背シテ漁業ヲ爲シタル者亦同シ
前項ノ場合ニ於テハ漁獲物及何人ノ所有ヲ問ハス漁具ヲ沒收ス但シ沒收スヘキ漁獲物ヲ旣ニ讓渡シ又ハ消費シタルトキハ其ノ代金ヲ追徵ス
第二十七條 使用人、漁夫其ノ他ノ從業者ノ所爲ハ漁業者ノ所爲ト看做シ前條ノ罰則ハ之ヲ漁業者ニ適用ス
第二十八條 第三條、第四條ノ權利ヲ侵害シタル者ハ被害者ノ吿訴ニ因リ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 漁場ノ標識ヲ移轉シ又ハ毀壞シタル者ハ三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十條 明治三十三年法律第五十二號ノ規程ハ本法又ハ本法ニ基ツキテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ適用ス
附 則
第三十一條 本法ハ明治三十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十二條 本法ノ規定ハ臘虎膃肭獸獵法ノ效力ヲ妨ケス
第三十三條 本法施行前ニ受ケタル漁業ノ免許又ハ公有水面使用免許ニ依ル第三條ノ漁業者ハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス但シ其ノ免許期間ハ第六條ノ期間內ニ於テ行政官廳之ヲ定ム
第三十四條 從來ノ慣行ニ因ル第三條又ハ第四條ノ漁業者ハ本法施行ノ日ヨリ一箇年以內ニ出願スルトキハ之ニ免許ヲ與フヘシ
前項ノ漁業者ハ其ノ免許ヲ出願シタル者ニ在リテハ許否ノ處分ヲ受クル迄ノ間其ノ他ニ在リテハ本法施行後一箇年間仍從前ノ例ニ依リ漁業ヲ爲スコトヲ得
第三十五條 本法施行前ニ於テ水產業ノ改良發達及水產動植物ノ蕃殖保護其ノ他水產業ニ關シ共同ノ利益ヲ圖ル爲行政官廳ノ認可ヲ得テ設置シタル組合ニシテ本法又ハ本法ニ基ツキテ發スル命令ノ規定ニ牴觸セサルモノハ本法施行ノ日ヨリ本法ニ依ル水產組合ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル漁業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月十二日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
内務大臣 文学博士 男爵 末松謙澄
農商務大臣 林有造
法律第三十四号
漁業法
第一条 本法ニ於テ漁業ト称スルハ営利ノ目的ヲ以テ水産動植物ノ採捕又ハ養殖ヲ業トスルヲ謂フ
本法ニ於テ漁業者ト称スルハ漁業ヲ為ス者及漁業権ヲ享有スル者ヲ謂フ
第二条 私有水面ニハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本法ノ規定ヲ適用セス
第三条 漁具ヲ定置シ又ハ水面ヲ区画シテ漁業ヲ為スノ権利ヲ得ムトスル者ハ行政官庁ノ免許ヲ受クヘシ其ノ免許ヲ受クヘキ漁業ノ種類ハ主務大臣之ヲ指定ス
前項ノ外主務大臣ニ於テ免許ヲ必要ト認ムル漁業ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 水面ヲ専用シテ漁業ヲ為スノ権利ヲ得ムトスル者ハ行政官庁ノ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ハ漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ヲ専用セムトスル場合ヲ除クノ外従来ノ慣行アルニ非サレハ之ヲ与ヘス
第五条 漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ノ専用ヲ出願シタルトキハ行政官庁ハ漁業ノ種類ヲ限定シテ免許ヲ与フルコトヲ得
従来ノ慣行ニ因リ前条ノ免許ヲ出願シタルトキハ行政官庁ハ其ノ慣行ニ因リ漁場ノ区域及漁業ノ種類ヲ定メ之ヲ免許ス
第六条 漁業免許ノ期間ハ二十箇年以内トス但シ第九条第一項ニ依リ免許ヲ停止シタル期間ハ免許期間ニ算入セス
免許期間ハ免許ヲ受ケタル者ノ申請ニ因リ之ヲ更新スルコトヲ得
第七条 漁業権ハ相続、譲渡、共有及貸付ノ目的ト為スコトヲ得但シ地先水面専用ノ漁業権ヲ処分スルハ行政官庁ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第八条 漁業権ハ免許ヲ受ケタル日ヨリ一箇年間漁業ニ従事スル者ナキトキハ行政官庁ニ於テ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得引続キ二箇年間休業シタルトキ亦同シ但シ行政官庁ノ認可ヲ受ケ休業シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九条第一項ニ依リ免許ヲ停止シタル期間ハ前項ノ期間ニ算入セス
第九条 行政官庁ハ水産動植物ノ蕃殖保護其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ漁業免許ヲ制限シ若ハ停止シ又ハ之ヲ取消スコトヲ得
漁業者ニシテ本法又ハ本法ニ基ツキテ発スル命令ノ規定ニ違背シタルトキ亦前項ニ同シ
第十条 漁場ノ区域又ハ方位ヲ標示スル為標識ヲ建設セムトスル者ハ他人ノ土地ニ立入リ又ハ之ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ漁業者ハ行政官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第十一条 行政官庁ハ漁業者ニ漁場ノ標識ノ建設ヲ命スルコトヲ得
第十二条 第十条ニ依リ他人ノ土地ニ立入リ又ハ之ヲ使用スルカ為生シタル損失ハ其ノ請求ニ依リ之ヲ補償スヘシ
第十三条 地方長官ハ水産動植物ノ蕃殖保護又ハ漁業取締ノ為主務大臣ノ認可ヲ得テ左ノ命令ヲ発スルコトヲ得
一 水産動植物ノ採捕若ハ販売ニ関スル制限又ハ禁止
一 漁具、漁船若ハ採捕ノ方法ニ関スル制限又ハ禁止
一 漁業者ノ数又ハ其ノ資格ノ制限
一 水産動植物ニ有害ナル物質ノ遺棄ニ関スル制限又ハ禁止
主務大臣ニ於テ前項ノ制限又ハ禁止ヲ為スノ必要アリト認ムルトキハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前二項ノ命令ニハ漁具及漁獲物ノ没収ニ関スル罰則ヲ設クルコトヲ得
第十四条 主務大臣ハ遡河魚類ノ通路ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ一定ノ区域内ニ於ケル工作物設置ノ制限又ハ禁止ニ関スル命令ヲ発スルコトヲ得
工作物ニシテ遡河魚類ノ通路ヲ害スルモノト認ムルトキハ主務大臣ハ其ノ所有者ニ除害工事ヲ命スルコトヲ得
第十五条 前条第二項ニ依リ除害工事ヲ命シタルトキハ主務大臣ハ工作物ノ所有者ニ対シ相当ノ金額ヲ補償スヘシ但シ利害関係人ノ申請ニ依リ除害工事ヲ命シタルトキハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ申請者之ヲ補償スヘシ
第十六条 行政官庁ハ水産動植物ノ蕃殖保護ニ必要アリト認ムルトキハ公有水面ニ通スル私有水面ニ前三条ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第十七条 漁業ニ従事スル雇人及雇主ノ取締ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 一定ノ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者ハ行政官庁ノ認可ヲ得テ漁業組合ヲ設置スルコトヲ得
漁業組合ノ地区ハ浜、浦、漁村其ノ他漁業者ノ部落ノ区域ニ依リ之ヲ定ムヘシ
前項ノ区域ニ依リ難キ場合ニ於テハ市町村又ハ之ニ準スヘキ区域内ニ於テ其ノ地区ヲ定ムルコトヲ得
北海道ニ於テハ郡ヲ以テ漁業組合ノ地区ト為スコトヲ得
第十九条 漁業組合ハ漁業権ノ享有及行使ニ付権利ヲ有シ義務ヲ負フ但シ自ラ漁業ヲ為スコトヲ得ス
第二十条 漁業組合ニ於テ其ノ地先水面ノ専用ノ免許ヲ受ケタルトキハ組合規約ノ定ムル所ニ依リ組合員ヲシテ漁業ヲ為サシムヘシ
第二十一条 漁業組合ノ設置、管理及監督ニ関スル規定ハ主務大臣之ヲ定ム
第二十二条 漁業者又ハ水産動植物ノ製造若ハ販売ヲ業トスル者ハ水産業ノ改良発達及水産動植物ノ蕃殖保護其ノ他水産業ニ関シ共同ノ利益ヲ図ル為水産組合ヲ設置スルコトヲ得
水産組合ニ関シテハ重要物産同業組合法ノ規定ヲ準用ス但シ同法中農商務大臣ニ属スル職権ハ主務大臣之ヲ行フ
第二十三条 漁業免許若ハ其ノ更新ヲ拒否セラレタル者又ハ第八条、第九条若ハ第十四条第二項ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服ナルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ処分ニ依リ違法ニ権利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四条 漁業免許ノ違法許可若ハ其ノ更新ニ依リ権利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十五条 漁場ノ区域、漁業権ノ範囲又ハ漁業ノ方法ニ付漁業者ノ間ニ争アルトキハ関係者ヨリ行政官庁ニ裁決ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ依リ違法ニ権利ヲ傷害セラレタリトスル申請者又ハ争議ノ相手方ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十六条 免許ニ依ラスシテ免許ヲ受クヘキ漁業ヲ為シタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス免許ノ停止中又ハ免許ノ条件若ハ制限ニ違背シテ漁業ヲ為シタル者亦同シ
前項ノ場合ニ於テハ漁獲物及何人ノ所有ヲ問ハス漁具ヲ没収ス但シ没収スヘキ漁獲物ヲ既ニ譲渡シ又ハ消費シタルトキハ其ノ代金ヲ追徴ス
第二十七条 使用人、漁夫其ノ他ノ従業者ノ所為ハ漁業者ノ所為ト看做シ前条ノ罰則ハ之ヲ漁業者ニ適用ス
第二十八条 第三条、第四条ノ権利ヲ侵害シタル者ハ被害者ノ告訴ニ因リ百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十九条 漁場ノ標識ヲ移転シ又ハ毀壊シタル者ハ三十円以下ノ罰金ニ処ス
第三十条 明治三十三年法律第五十二号ノ規程ハ本法又ハ本法ニ基ツキテ発スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ適用ス
附 則
第三十一条 本法ハ明治三十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十二条 本法ノ規定ハ臘虎膃肭獣猟法ノ効力ヲ妨ケス
第三十三条 本法施行前ニ受ケタル漁業ノ免許又ハ公有水面使用免許ニ依ル第三条ノ漁業者ハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス但シ其ノ免許期間ハ第六条ノ期間内ニ於テ行政官庁之ヲ定ム
第三十四条 従来ノ慣行ニ因ル第三条又ハ第四条ノ漁業者ハ本法施行ノ日ヨリ一箇年以内ニ出願スルトキハ之ニ免許ヲ与フヘシ
前項ノ漁業者ハ其ノ免許ヲ出願シタル者ニ在リテハ許否ノ処分ヲ受クル迄ノ間其ノ他ニ在リテハ本法施行後一箇年間仍従前ノ例ニ依リ漁業ヲ為スコトヲ得
第三十五条 本法施行前ニ於テ水産業ノ改良発達及水産動植物ノ蕃殖保護其ノ他水産業ニ関シ共同ノ利益ヲ図ル為行政官庁ノ認可ヲ得テ設置シタル組合ニシテ本法又ハ本法ニ基ツキテ発スル命令ノ規定ニ牴触セサルモノハ本法施行ノ日ヨリ本法ニ依ル水産組合ト看做ス