税関貨物取扱人法
法令番号: 法律第二十八號
公布年月日: 明治34年4月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル稅關貨物取扱人法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月十二日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
大藏大臣 子爵 渡邊國武
法律第二十八號
稅關貨物取扱人法
第一條 本法ニ於テ稅關貨物取扱人ト稱スルハ貨主ノ爲ニ自己又ハ其ノ貨主ノ名ヲ以テ稅關ニ對シ貨物ニ關スル手續ノ取扱ヲ爲スヲ業トスル者ヲ謂フ
第二條 稅關貨物取扱人タラムト欲スル者ハ其ノ業務ニ從事セムトスル地ヲ管轄スル稅關長ノ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ヲ受クルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ免許料ヲ納ムヘシ
第三條 左ニ揭クル者ハ稅關貨物取扱人タルコトヲ得ス
第一 剝奪公權者及停止公權者
第二 身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者及家資分產若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄ノ者
第三 國稅滯納處分ヲ受ケ滿一箇年ヲ經過セサル者
第四 重禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者及關稅法第七十四條乃至第七十六條ノ規定ニ違反シ處罰ヲ受ケ滿三箇年ヲ經過セサル者
第四條 稅關貨物取扱人ハ其ノ業務ニ關シテ所轄稅關長ノ監督ヲ受ク
第五條 稅關貨物取扱人ハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ身元保證トシテ金錢又ハ有價證券ヲ提供スルコトヲ要ス但シ身元保證金額ハ五千圓以上トス
稅關貨物取扱人ハ前項ノ身元保證物ヲ提供シタル後ニ非サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第六條 稅關貨物取扱人稅關ニ納付スヘキ金錢ヲ納付セサルトキハ稅關ハ身元保證物ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
稅關貨物取扱人ノ業務上ノ過失ニ因リ損害ヲ受ケタル貨主ハ其ノ債權ニ付他ノ債權者ニ先チ身元保證物ニ依リ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第七條 稅關貨物取扱人ハ貨物ノ受取、引渡、保管及運送ニ關シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ證明スルニ非サレハ其ノ貨物ノ取扱料ヲ請求スルコトヲ得ス
第八條 稅關貨物取扱人ハ取扱貨物ニ關シ受取ルヘキ取扱料、稅金其ノ他委託者ノ爲ニ爲シタル立替ニ付テノミ其ノ貨物ヲ留置スルコトヲ得
第九條 稅關貨物取扱人ハ取扱料ノ最高額ヲ定メ所轄稅關長ノ認可ヲ受クヘシ其ノ之ヲ變更スルトキ亦同シ
第十條 稅關貨物取扱人其ノ業務ニ關スル法令ニ違反シ又ハ稅關長ノ職權ニ基ケル命令ニ違反シタルトキハ稅關長ハ其ノ營業ヲ停止シ若ハ其ノ營業ノ免許ヲ取消スコトヲ得但シ營業停止ノ期間ハ三箇月以內トス
第十一條 前條ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服ナルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ處分ニ因リテ違法ニ權利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十二條 免許ヲ受ケスシテ稅關貨物取扱人ノ業務ヲ行ヒタル者又ハ第五條第二項ニ違反シタル者又ハ第九條ノ認可ヲ受ケス若ハ認可ニ違反シテ取扱料ヲ取得シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十三條 稅關貨物取扱人ノ代理人、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタル行爲ハ稅關貨物取扱人ノ行爲ト看做ス
明治三十三年法律第五十二號ハ本法ニ之ヲ準用ス
附 則
本法ハ明治三十四年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル税関貨物取扱人法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年四月十二日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
大蔵大臣 子爵 渡辺国武
法律第二十八号
税関貨物取扱人法
第一条 本法ニ於テ税関貨物取扱人ト称スルハ貨主ノ為ニ自己又ハ其ノ貨主ノ名ヲ以テ税関ニ対シ貨物ニ関スル手続ノ取扱ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
第二条 税関貨物取扱人タラムト欲スル者ハ其ノ業務ニ従事セムトスル地ヲ管轄スル税関長ノ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ヲ受クルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ免許料ヲ納ムヘシ
第三条 左ニ掲クル者ハ税関貨物取扱人タルコトヲ得ス
第一 剥奪公権者及停止公権者
第二 身代限ノ処分ヲ受ケ債務ノ弁償ヲ終ヘサル者及家資分産若ハ破産ノ宣告ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復権ノ決定確定スルニ至ル迄ノ者
第三 国税滞納処分ヲ受ケ満一箇年ヲ経過セサル者
第四 重禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者及関税法第七十四条乃至第七十六条ノ規定ニ違反シ処罰ヲ受ケ満三箇年ヲ経過セサル者
第四条 税関貨物取扱人ハ其ノ業務ニ関シテ所轄税関長ノ監督ヲ受ク
第五条 税関貨物取扱人ハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ身元保証トシテ金銭又ハ有価証券ヲ提供スルコトヲ要ス但シ身元保証金額ハ五千円以上トス
税関貨物取扱人ハ前項ノ身元保証物ヲ提供シタル後ニ非サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第六条 税関貨物取扱人税関ニ納付スヘキ金銭ヲ納付セサルトキハ税関ハ身元保証物ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
税関貨物取扱人ノ業務上ノ過失ニ因リ損害ヲ受ケタル貨主ハ其ノ債権ニ付他ノ債権者ニ先チ身元保証物ニ依リ弁済ヲ受クルノ権利ヲ有ス
第七条 税関貨物取扱人ハ貨物ノ受取、引渡、保管及運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ其ノ貨物ノ取扱料ヲ請求スルコトヲ得ス
第八条 税関貨物取扱人ハ取扱貨物ニ関シ受取ルヘキ取扱料、税金其ノ他委託者ノ為ニ為シタル立替ニ付テノミ其ノ貨物ヲ留置スルコトヲ得
第九条 税関貨物取扱人ハ取扱料ノ最高額ヲ定メ所轄税関長ノ認可ヲ受クヘシ其ノ之ヲ変更スルトキ亦同シ
第十条 税関貨物取扱人其ノ業務ニ関スル法令ニ違反シ又ハ税関長ノ職権ニ基ケル命令ニ違反シタルトキハ税関長ハ其ノ営業ヲ停止シ若ハ其ノ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得但シ営業停止ノ期間ハ三箇月以内トス
第十一条 前条ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服ナルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ処分ニ因リテ違法ニ権利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十二条 免許ヲ受ケスシテ税関貨物取扱人ノ業務ヲ行ヒタル者又ハ第五条第二項ニ違反シタル者又ハ第九条ノ認可ヲ受ケス若ハ認可ニ違反シテ取扱料ヲ取得シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第十三条 税関貨物取扱人ノ代理人、雇人其ノ他ノ従業者カ其ノ業務ニ関シ本法ニ違反シタル行為ハ税関貨物取扱人ノ行為ト看做ス
明治三十三年法律第五十二号ハ本法ニ之ヲ準用ス
附 則
本法ハ明治三十四年七月一日ヨリ之ヲ施行ス