土地収用法施行令
法令番号: 勅令第九十九號
公布年月日: 明治33年3月31日
法令の形式: 勅令
朕土地收用法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月三十日
內務大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第九十九號
土地收用法施行令
第一條 土地收用法第十條第三項及第十一條第一項ニ規定シタル行政廳ノ職權ハ市町村長之ヲ行フ
第二條 土地收用法第九條、第十一條又ハ第二十條ノ規定ニ依リ起業者ノ爲土地ニ立入リ又ハ障害物ヲ除却スル者ハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
日出前日沒後邸內ニ立入ル者又ハ障害物ヲ除却スル者ハ行政廳ノ許可證ヲ携帶スヘシ
第三條 起業者カ內閣ノ認定ヲ受ケムトスル場合ニ於テ起業地內ニ左ニ揭ケタル土地アルトキハ其ノ土地ニ關スル調書及圖面ヲ申請書ニ添付スヘシ
一 御陵墓地及御料地
二 國有地
三 現ニ公用ニ供スル土地
四 社寺境內地
五 名所、舊蹟及古墳墓
第四條 土地收用法第十四條ノ規定ニ依ル公吿ハ官報ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第五條 內閣ノ認定ノ公吿ノ後事業ヲ廢止變更シタルニ因リテ土地收用法第十九條ノ申請ヲ爲スノ必要ナキニ至リタルトキハ起業者ハ之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
地方長官前項ノ屆出ヲ受ケタルトキハ之ヲ公吿スヘシ
第六條 土地收用法第二十一條ノ規定ニ依リ調書ヲ作リタル者ハ之ニ署名又ハ捺印スヘシ
第七條 土地收用法第二十四條ノ規定ニ依リ公吿ヲ爲シタルトキハ市町村長ハ縱覽期間ノ始期ヲ地方長官ニ報吿スヘシ
第八條 土地收用法第三十二條ノ規定ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ工事計畫書及圖面ヲ添ヘ左ニ揭ケタル事項ヲ記載シ出願スヘシ
一 工事ノ種類
二 收用又ハ使用スヘキ土地ノ細目
三 其ノ必要ヲ生セシメタル事業トノ關係
本條ノ場合ニ於テハ第三條ノ規定ヲ準用ス
第九條 土地收用法第三十二條ノ規定ニ依リ許可ヲ與ヘタルトキハ地方長官ハ收用又ハ使用スヘキ土地ノ細目ト共ニ起業者及工事ノ種類ヲ公吿シ又ハ之ヲ土地所有者及關係人ニ通知スヘシ
第十條 土地收用法第十九條ノ地方長官ノ公吿又ハ通知ノ後事業ヲ廢止變更シタルニ因リテ土地ヲ收用又ハ使用スルノ必要ナキニ至リタルトキハ起業者ハ之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
地方長官前項ノ屆出ヲ受ケタルトキハ之ヲ公吿シ又ハ土地所有者及關係人ニ通知スヘシ
第十一條 收用審査會會長及委員ニハ旅費ヲ支給ス
第十二條 收用審査會會長及高等文官ニシテ委員タル者ノ旅費額及其ノ支給方法ハ內國旅費規則ノ定ムル所ニ依ル
高等文官ニ非サル委員ノ旅費額及其ノ支給方法ハ府縣制第九十四條ノ規定ニ從ヒ定ムル所ニ依ル
第十三條 鑑定人及事實參考人ノ旅費額ハ左ノ範圍內ニ於テ收用審査會ノ定ムル所ニ依ル
一 汽車賃一哩ニ付三錢以上六錢以下
二 船賃一海里ニ付三錢以上六錢以下
三 車馬賃一里ニ付十錢以上三十錢以下
通路兩線以上アルトキハ最近ノ通路ヲ以テ旅費ヲ算定ス
第十四條 鑑定人及事實參考人ノ手當ハ一日金一圓乃至五圓ノ範圍內ニ於テ收用審査會ノ定ムル所ニ依ル
鑑定ヲ爲スニ付數多ノ時間又ハ特別ノ技能若ハ費用ヲ要スルトキハ前項ノ手當ノ外別ニ相當ノ金額ヲ給スルコトヲ得
第十五條 土地收用法第五十九條ノ規定ニ依リ地方長官カ決定ヲ爲シタル場合ニ於テハ前二條ノ旅費額及手當ハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
第十六條 土地收用法第五十六條ニ規定シタル行政廳ノ職權ハ地方長官之ヲ行フ但シ物件ノ附加增置ニ關シテハ之ヲ郡市長ニ委任スルコトヲ得
第十七條 土地收用法第六十七條ノ規定ニ依ル公吿ハ其ノ地方ノ新聞紙ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第十八條 土地收用法第七十四條ニ規定シタル行政廳ノ職權ハ同法第七十一條ノ場合ニ於テハ市町村長之ヲ行ヒ其ノ他ノ場合ニ於テハ地方長官之ヲ行フ
附 則
本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕土地収用法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年三月三十日
内務大臣 侯爵 西郷従道
勅令第九十九号
土地収用法施行令
第一条 土地収用法第十条第三項及第十一条第一項ニ規定シタル行政庁ノ職権ハ市町村長之ヲ行フ
第二条 土地収用法第九条、第十一条又ハ第二十条ノ規定ニ依リ起業者ノ為土地ニ立入リ又ハ障害物ヲ除却スル者ハ其ノ証票ヲ携帯スヘシ
日出前日没後邸内ニ立入ル者又ハ障害物ヲ除却スル者ハ行政庁ノ許可証ヲ携帯スヘシ
第三条 起業者カ内閣ノ認定ヲ受ケムトスル場合ニ於テ起業地内ニ左ニ掲ケタル土地アルトキハ其ノ土地ニ関スル調書及図面ヲ申請書ニ添付スヘシ
一 御陵墓地及御料地
二 国有地
三 現ニ公用ニ供スル土地
四 社寺境内地
五 名所、旧蹟及古墳墓
第四条 土地収用法第十四条ノ規定ニ依ル公告ハ官報ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第五条 内閣ノ認定ノ公告ノ後事業ヲ廃止変更シタルニ因リテ土地収用法第十九条ノ申請ヲ為スノ必要ナキニ至リタルトキハ起業者ハ之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
地方長官前項ノ届出ヲ受ケタルトキハ之ヲ公告スヘシ
第六条 土地収用法第二十一条ノ規定ニ依リ調書ヲ作リタル者ハ之ニ署名又ハ捺印スヘシ
第七条 土地収用法第二十四条ノ規定ニ依リ公告ヲ為シタルトキハ市町村長ハ縦覧期間ノ始期ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第八条 土地収用法第三十二条ノ規定ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受ケムトスル者ハ工事計画書及図面ヲ添ヘ左ニ掲ケタル事項ヲ記載シ出願スヘシ
一 工事ノ種類
二 収用又ハ使用スヘキ土地ノ細目
三 其ノ必要ヲ生セシメタル事業トノ関係
本条ノ場合ニ於テハ第三条ノ規定ヲ準用ス
第九条 土地収用法第三十二条ノ規定ニ依リ許可ヲ与ヘタルトキハ地方長官ハ収用又ハ使用スヘキ土地ノ細目ト共ニ起業者及工事ノ種類ヲ公告シ又ハ之ヲ土地所有者及関係人ニ通知スヘシ
第十条 土地収用法第十九条ノ地方長官ノ公告又ハ通知ノ後事業ヲ廃止変更シタルニ因リテ土地ヲ収用又ハ使用スルノ必要ナキニ至リタルトキハ起業者ハ之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
地方長官前項ノ届出ヲ受ケタルトキハ之ヲ公告シ又ハ土地所有者及関係人ニ通知スヘシ
第十一条 収用審査会会長及委員ニハ旅費ヲ支給ス
第十二条 収用審査会会長及高等文官ニシテ委員タル者ノ旅費額及其ノ支給方法ハ内国旅費規則ノ定ムル所ニ依ル
高等文官ニ非サル委員ノ旅費額及其ノ支給方法ハ府県制第九十四条ノ規定ニ従ヒ定ムル所ニ依ル
第十三条 鑑定人及事実参考人ノ旅費額ハ左ノ範囲内ニ於テ収用審査会ノ定ムル所ニ依ル
一 汽車賃一哩ニ付三銭以上六銭以下
二 船賃一海里ニ付三銭以上六銭以下
三 車馬賃一里ニ付十銭以上三十銭以下
通路両線以上アルトキハ最近ノ通路ヲ以テ旅費ヲ算定ス
第十四条 鑑定人及事実参考人ノ手当ハ一日金一円乃至五円ノ範囲内ニ於テ収用審査会ノ定ムル所ニ依ル
鑑定ヲ為スニ付数多ノ時間又ハ特別ノ技能若ハ費用ヲ要スルトキハ前項ノ手当ノ外別ニ相当ノ金額ヲ給スルコトヲ得
第十五条 土地収用法第五十九条ノ規定ニ依リ地方長官カ決定ヲ為シタル場合ニ於テハ前二条ノ旅費額及手当ハ地方長官ノ定ムル所ニ依ル
第十六条 土地収用法第五十六条ニ規定シタル行政庁ノ職権ハ地方長官之ヲ行フ但シ物件ノ附加増置ニ関シテハ之ヲ郡市長ニ委任スルコトヲ得
第十七条 土地収用法第六十七条ノ規定ニ依ル公告ハ其ノ地方ノ新聞紙ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第十八条 土地収用法第七十四条ニ規定シタル行政庁ノ職権ハ同法第七十一条ノ場合ニ於テハ市町村長之ヲ行ヒ其ノ他ノ場合ニ於テハ地方長官之ヲ行フ
附 則
本令ハ明治三十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス