第一條 銃砲火藥類取締法第三條第一項ノ許可ヲ受ケントスル者ハ計畫說明書、圖案其ノ他必要ナル事項ヲ具シ製造地廳府縣長官ヲ經由シ主務省ニ願出ヘシ
試驗製造ニ關スル危害豫防ノ方法ニ付テハ廳府縣長官ノ指揮監督ヲ受クヘシ
試驗ノ爲製造シタル軍用銃砲及火藥類ハ主務省ノ檢査ヲ受クヘシ
第二條 銃砲火藥類取締法第六條ニ依リ火藥商ニ與フル許可ヲ分チテ甲乙ノ二種トス
甲種ノ許可ヲ受ケタル火藥商ハ火藥類ニ關スル各種ノ商行爲ヲ爲スコトヲ得
乙種ノ許可ヲ受ケタル火藥商ハ火藥類ヲ輸入シ之ヲ官廳又ハ火藥商ニ賣渡スノ外火藥類ニ關スル他ノ商行爲ヲ爲スコトヲ得ス
本令施行前火藥商ノ許可ヲ受ケタル者ハ甲種ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス但シ輸入及卸賣ノ營業ニ限リ許可ヲ受ケタル者ハ乙種ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第三條 銃砲製造營業者ニ非サル者非軍用銃砲ヲ製造シタルトキハ製造ヲ竣リタル日ヨリ十日以內ニ其ノ銃砲ノ說明書及圖案ヲ具シ製造シタル銃砲ノ數ヲ廳府縣長官ニ屆出其ノ檢査ヲ受クヘシ
第四條 銃砲商ニ非サル者ハ所轄警察官署ノ許可ヲ受クルニ非サレハ軍用銃砲ノ讓渡賣渡交換贈與以下傚之ヲ受クルコトヲ得ス
前項ニ依リテ與ヘタル許可證ハ一箇月間其ノ效力ヲ有ス
第五條 火藥商ニ非サル者ハ劇發火藥綿火藥、ナイトログリセリン、ダイナマイト、雷汞、其ノ他劇發質ノ物品及左ノ數量ヲ超過スル他ノ火藥類ヲ所持スルコトヲ得ス但シ第六條若ハ第八條ノ許可ヲ受ケタル者ハ此ノ限ニ在ラス
第六條 火藥商ニ非サル者ハ第八條ノ許可ヲ受クル場合ト同一ノ條件ヲ有スルニ非サレハ火藥類輸入ノ許可ヲ受クルコトヲ得ス
火藥類輸入ノ許可ヲ受ケントスル者ハ種類數量及使用ノ目的ヲ具シ使用地廳府縣長官ニ願出ヘシ但シ使用地ノ定マラサル場合ニ於テハ所轄廳府縣長官ニ願出ヘシ
前項ノ許可ハ一箇年間其ノ效力ヲ有ス但シ廳府縣長官ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得
第七條 火藥商ニ非サル者火藥類ヲ讓受ケントスルトキハ種類數量及使用ノ目的ヲ具シ所轄警察官署ノ許可ヲ受クヘシ但シ狩獵免許若ハ火藥類ヲ要スル工業ノ許可ヲ受ケタル者ハ此ノ限ニ在ラス
第八條 鑛業用土工用船內銃砲用漁業用煙火製造用及火藥類ヲ要スル工業用ノ爲劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ヲ讓受ケントスル者ハ種類數量及使用ノ目的ヲ具シ使用地廳府縣長官ノ許可ヲ受クヘシ但シ使用地ノ定マラサル場合ニ於テハ所轄廳府縣長官ノ許可ヲ受クヘシ
廳府縣長官前項ニ揭ケタル使用ノ目的ヲ有セサル者ニ對シ劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ノ讓受ヲ許可スルノ必要アリト認ムルトキハ其ノ事由ヲ具シ內務大臣ノ指揮ヲ受クヘシ
本條ノ許可ハ廳府縣長官ニ於テ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得
第九條 使用ノ目的ヲ具シテ輸入又ハ讓受ノ許可ヲ受ケタル火藥類ハ其ノ許可ヲ與ヘタル官廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ他ノ目的ニ使用スルコトヲ得ス
第十條 警察官憲兵ニ於テ必要ト認ムルトキハ銃砲製造營業者、銃砲商及火藥商ノ帳簿ヲ檢査スルコトヲ得
第十二條 劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ハ火藥庫若ハ警察官ノ檢査ヲ受ケタル倉庫ニ非サレハ貯藏スルコトヲ得ス但シ鑛業土工ニ要スル火藥類ハ其ノ事業中假貯藏所ニ貯藏スルコトヲ得
第十三條 火藥庫倉庫及假貯藏所ニ貯藏スル火藥類ハ左ノ數量ヲ超過スルコトヲ得ス
庫ノ種類
火藥類ノ種類
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火藥庫
假貯藏所
|
倉庫 |
火藥 |
一萬貫目 |
十貫目 |
雷管信管類 |
五百貫目 |
一萬箇 |
劇發火藥 |
五百貫目 |
一貫目 |
小銃實包 |
無制限 |
一萬發 |
導火線 |
無制限 |
千間 |
第十四條 火藥庫及假貯藏所ニハ他ノ物品ヲ貯藏スルコトヲ得ス
劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル火藥類ヲ貯藏シタル倉庫ニハ發火ノ虞アル他ノ物品ヲ貯藏スルコトヲ得ス
第十五條 火藥庫又ハ假貯藏所ハ其ノ位置竝建設ノ方法ヲ具シ且假貯藏所ニ在テハ貯藏スヘキ火藥類ノ種類數量ヲ記シ廳府縣長官ニ差出シ其ノ許可ヲ受クルニ非サレハ建設スルコトヲ得ス
火藥庫又ハ假貯藏所ノ建築修繕又ハ模樣替ノ工事ヲ竣リタルトキハ警察官ノ檢査ヲ受クヘシ
第十六條 火藥庫ハ土藏又ハ煉瓦造ニシテ屋根ハ輕量ノ不燃質物ヲ用井內部ニハ鐵類石瓦ヲ露ハサス窻ニハ透明ノ硝子ヲ用井ルコトヲ得ス
火藥庫ニハ避雷針ヲ設クヘシ避雷針ハ其ノ尖頭ヨリ屋端ノ最モ遠隔セル㸃ニ至ル想像的直線ト四十五度以內ノ角度ヲ有セシムヘシ
火藥庫ノ周圍ニハ二間以上ノ距離ニ於テ高八尺以上ノ土堤ヲ築キ其ノ境界ト爲スヘシ
第十七條 警察官憲兵ハ何時ニテモ火藥庫倉庫及假貯藏所ヲ檢査シ修繕ヲ命シ又ハ火藥類ノ貯藏ヲ禁止若ハ停止スルコトヲ得
第十八條 火藥庫及假貯藏所ノ境界ハ皇居離宮ノ區域ヨリ十町以上ノ距離ヲ保有スヘシ
火藥庫及假貯藏所ノ境界ハ皇陵、社寺境內、公園、火ヲ取扱フ場所、發火質物品ヲ蓄積スル場所、瓦斯ノ傳導管、宅地、公道、鐵道、電線、汽船ノ航路其ノ他內務大臣ノ指定シタル箇所ヨリ五十間以上又蓄積セル燃質物ヨリ十四間以上ノ距離ヲ保有スヘシ但シ火藥庫ト火藥庫ト其ノ境界ヲ接スルハ此ノ限ニ在ラス
假貯藏所ニ付テハ廳府縣長官必要ト認ムルトキハ前二項ノ距離以上ニ於テ特ニ其ノ距離ヲ指定スルコトアルヘシ
第十九條 第十三條第一項ニ依リ倉庫ニ貯藏シ得ル數量ヲ超過スル火藥類ヲ運搬セントスルトキハ其ノ種類、數量、運搬ノ日時、通路及運搬先ヲ記シ所轄警察官署ノ許可ヲ受ケ其ノ許可證ヲ携帶スヘシ
第二十條 劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ノ運搬ハ第十一條ニ準據スヘシ
第二十一條 劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ハ警察官署ノ許可ヲ受クルニ非サレハ日出前日沒後ニ於テ授受荷造等ヲ爲スコトヲ得ス
第二十二條 警察官憲兵ハ危害豫防ノ爲必要ト認ムルトキハ本令ニ規定スルモノノ外軍用銃砲及火藥類ノ貯藏運搬其ノ他ノ取扱ニ關シ相當ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第一條第二項廳府縣長官ノ指揮命令ニ違背シタル者
三 第八條ノ許可ヲ受ケサル者ニ劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ヲ讓渡シタル者
六 第十二條乃至第十六條及第十八條第一項第二項ニ違背シ若ハ第十八條第三項ニ依ル命令ニ違背シテ火藥類ヲ貯藏シタル者
七 第十七條ノ檢査ヲ拒ミ又ハ命令ヲ受ケテ修繕ヲ爲サス又ハ貯藏ノ禁止若ハ停止ノ命令ニ從ハサル者
第二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第四條ノ許可ヲ受ケサル者ニ軍用銃砲ヲ讓渡シタル者
二 第七條ノ許可ヲ受ケス又ハ其ノ但書ニ該當セサル者ニ火藥類ヲ讓渡シタル者
三 第八條ノ許可ヲ受ケスシテ劇發火藥若ハ第五條ニ揭ケタル數量ヲ超過スル他ノ火藥類ヲ讓受ケタル者
第二十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ十圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第一條第三項第三條ニ違背シタル者及第一條第三項若ハ第三條ノ檢査ヲ受ケサル火藥類若ハ銃砲ヲ使用若ハ讓渡シタル者