第七條 何人ト雖要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ要塞地帶內水陸ノ形狀ヲ測量、撮影、摸寫、錄取スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ要塞地帶外ト雖第三區ノ境界線ヨリ外方三千五百間以內ノ區域ニ於テ之ヲ適用ス
第八條 要塞司令官ハ要塞地帶內ニ入リ兵備ノ狀況其ノ他地形等ヲ視察スル者ト認メタルトキハ之ヲ要塞地帶外ニ退去セシムルコトヲ得
第九條 要塞地帶ノ第一區ニ屬スル水面ニ在リテハ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ漁獵、採藻及艦船ノ繫泊、土砂ノ掘鑿ヲ爲スコトヲ得ス
第十條 第一區內ニ於テ新設スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
三 不燃質物ヲ以テ築造セル高サ二尺ヲ超ユル諸般ノ築造物
第十一條 第一區內ニ於テ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ新設スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
四 容易ニ他ニ移動スヘカラサル器械器具ヲ備フル家屋
第十二條 第二區內ニ於テ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ新設スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
三 不燃質物ヲ以テ築造セル高サ三尺ヲ超ユル諸般ノ築造物
第十三條 第一區第二區內ニ於テ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ屋內ト屋外トヲ問ハス累積スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
一 第一區內ニ於テハ高サ五尺、第二區內ニ於テハ高サ八尺以上ニ累積スル不燃質物及石炭類
二 第一區內ニ於テハ高サ一丈三尺、第二區內ニ於テハ高サ一丈七尺以上ニ累積スル薪炭及竹木材
第十四條 第一區第二區內ニ於テハ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ家屋倉庫及諸般ノ築造物ヲ改築增築スルコトヲ得ス
第十五條 各區內ニ於テ要塞司令官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ新設若ハ變更スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
一 地表ノ高低ヲ永久ニ變更スル土工卽チ堆土、開鑿等
第十六條 各區內ニ於テ陸軍大臣ノ許可ヲ得ルニ非サレハ新設若ハ變更スルコトヲ得サルモノ左ノ如シ
第十七條 本章ノ禁止制限ニ違背シ新設改築增築變更シタル家屋倉庫其ノ他ノ築造物又ハ累積物等ハ違背者ヲシテ期限ヲ定メテ之ヲ除去セシメ地形ノ變更ニ係ルモノハ之ヲ復舊セシメ期限內ニ除去復舊セサルトキ若ハ其ノ期限內ニ終了スルノ見込ナキトキ又ハ其ノ方法宜シキヲ得サルトキハ官廳ニ於テ自ラ之ヲ執行シ又ハ第三者ヲシテ之ヲ執行セシメ其ノ費用ヲ義務者ヨリ徵收スルコトヲ得
前項義務者ニ於テ負擔スヘキ費用ハ國稅ノ滯納處分ニ關スル規定ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但シ政府ハ國稅ニ次キ先取權ヲ有ス
本條ノ處分ハ第十六條ノ違背者ニ就テハ陸軍大臣之ヲ爲シ其ノ他ノ違背者ニ就テハ要塞司令官之ヲ爲スヘシ
第十八條 地帶ノ禁止制限ニ關シ官廳ノ處分ニ服セサル者ハ其ノ處分ニ就テノ吿示又ハ通達ヲ受タル日ヨリ三十日以內ニ陸軍大臣ニ訴願スルコトヲ得但シ訴願中處分ノ執行ヲ妨ケス
第十九條 陸軍大臣ハ場合ニ依リ或區域內ニ限リ特ニ本章禁止制限ノ全部若ハ一部ヲ解除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ解除ノ事項及其ノ區域ヲ吿示ス之ヲ變更スルトキ亦同シ
第二十條 本章ノ禁止及制限ハ陸海軍又ハ陸海軍官廳ノ行動又ハ施設ニ對シテハ之ヲ適用セス但シ陸軍防禦營造物ノ地帶及第七條第二項ノ區域ニシテ海軍防禦營造物ノ地帶及第七條第二項ノ區域ト相關聯スル場合若ハ軍港要港又ハ海軍用地ニ係ル場合竝陸軍用地カ海軍防禦營造物ノ地帶及第七條第二項ノ區域ト相關聯スル場合ニ於テ當該陸軍官廳若ハ海軍官廳カ此ノ法律ニ揭クル許可又ハ承認ヲ爲シ若ハ第十九條ノ處分ヲ爲サントスルトキハ陸軍官廳ハ當該海軍官廳ニ海軍官廳ハ當該陸軍官廳ニ協議スルコトヲ要ス
第二十一條 陸海軍以外ノ官廳ニ於テ第七條第九條第十一條乃至第十五條ニ揭クル事項ヲ爲サントスルトキハ要塞司令官ノ承認第十六條ニ揭クル事項ヲ爲サントスルトキハ陸軍大臣ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス