内国旅費規則
法令番号: 勅令第三百三十三號
公布年月日: 明治30年9月27日
法令の形式: 勅令
朕內國旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十四日
內閣總理大臣兼大藏大臣 伯爵 松方正義
勅令第三百三十三號
內國旅費規則
第一條 內國旅費ハ官吏公務ニ依リ本邦內ヲ旅行スルトキ之ヲ支給ス
第二條 內國旅費ハ分テ四等トシ別表定ムル處ニ從ヒ順路ニ依リ之ヲ支給ス
第三條 汽車旅行ニハ哩數ニ應シ汽車賃ヲ水路旅行ニハ海里數ニ應シ船賃ヲ其ノ他ノ旅行ハ陸路旅行トシ里數ニ應シ車馬賃ヲ支給ス
宿泊料ハ夜數ニ應シ日當ハ日數ニ應シ之ヲ支給ス但シ水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セス
官用ノ船舶ニテ旅行シ官ヨリ賄ヲ爲ササルトキハ食卓料ヲ支給ス
第四條 官用ノ舟車馬等ニテ旅行スルトキハ本令ノ汽車賃船賃車馬賃ヲ支給セス
旅行ノ性質又ハ地方ノ情況ニヨリ定額ノ汽車賃船賃車馬賃ヲ以テ支辨シ難キ場合ハ實費ヲ以テ支給スルコトヲ得
第五條 强雨積雪又ハ道路險惡ノ爲メ定額ノ車馬賃ニテ支辨シ難キ場合ハ定額二倍以內ノ車馬賃ヲ支給スルコトヲ得
第六條 汽車賃船賃車馬賃ハ旅行ノ種類每ニ經過セシ路程ヲ合算シテ之ヲ支給ス但シ一位未滿端數ノ路程ハ切捨トス
第七條 年度若ハ日ニ依リテ旅費ヲ區分シテ計算スルノ必要アル場合ニ於テ汽車旅行若ハ水路旅行ニシテ其ノ區分判明ナラサルトキハ最近ノ到達地ニ著シタル日ヲ以テ其ノ路程ヲ區別シテ計算ス
第八條 陸路六里未滿汽車十哩未滿水路十海里未滿ノ旅行ニハ日當ヲ支給セス但シ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタルトキハ日當及宿泊料ヲ支給ス
第九條 在勤廳所在地ノ市區町村內ヲ巡迴シ遠距離ニ涉ルトキハ一日五十錢以內ノ車馬賃ヲ支給スルコトヲ得
第十條 赴任ノ場合ニハ舊任地ヨリ新任地マテ汽車賃船賃及車馬賃ニ限リ定額ノ二倍ヲ支給ス
第十一條 旅行中私事ノ爲メ許可ヲ得テ迂路ヲ通過スルトキハ順路ノ路程ニ應シ旅費ヲ支給ス
第十二條 旅行中廢官退官非職退職若ハ死亡ノモノニハ前官若ハ本官相當ヲ以テ舊任地マテノ旅費ヲ支給ス但シ刑事裁判又ハ懲戒處分ニ依リ退官ノモノハ此ノ限ニアラス
第十三條 前二條ノ場合ニ於テ日數ノ計算方ハ汽車旅行ハ一日二百哩詰水路旅行ハ一日百海里詰陸路旅行ハ一日十二里詰トス但シ數種ノ旅行相跨ルトキハ各其ノ路程十二分ノ一ヲ以テ一時間ノ行程トシ一日ノ旅行ヲ十二時間トス但シ通算上ヨリ生スル一日未滿ノ端數ハ一日トシテ之ヲ計算ス
第十四條 測量土木工事等ノ爲メ現場ヲ巡迴スル官吏又ハ平常旅行ヲ要スル官吏ニ對シテ各省大臣ハ特ニ其ノ旅費額ヲ定メ月額又ハ日額ヲ以テ之ヲ支給スルコトヲ得
第十五條 各省大臣ハ旅費ノ定額ヲ減少シ若ハ其ノ一部ヲ支給セサルコトヲ得
第十六條 事務引繼殘務取調等ノ爲メ廢官若ハ退官者ニ旅行ヲ命スルトキハ前官相當ノ旅費ヲ支給ス
第十七條 新ニ任用スル爲メ召喚スルトキハ新任官相當ノ旅費ヲ支給ス
第十八條 陸海軍武官文官及警察官ノ旅費ハ主任大臣大藏大臣ト協議シ別ニ之ヲ定ム
第十九條 雇員其ノ他本令ニ明文ナキモノノ旅費ハ別表ニ準シ主任大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ム
附 則
第二十條 各省大臣ハ當分ノ內臺灣內ノ旅行ニ限リ旅費定額ヲ以テ支辨シ難シト認ムル場合ニ於テハ大藏大臣ニ協議シ定額ノ旅費ニ對シ必要ノ增額ヲ爲スコトヲ得
第二十一條 各省大臣ハ當分ノ內臺灣在勤滿二年以上ニシテ廢官諭旨退官若ハ非職トナリ三十日以內ニ同地出發歸鄕スルモノニハ前官若ハ本官相當ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ日數ノ計算方ハ第十三條ノ例ニ據ル
臺灣在勤中死亡ノ者アルトキハ本條ニ準シ歸鄕旅費ニ相當スル金額ヲ遺族ニ支給ス
第二十二條 本令ハ明治三十年十月一日ヨリ施行ス
(別表)
旅費額
等級
汽車賃一哩ニ付
船賃一海里ニ付
車馬賃一里ニ付
宿泊料一夜ニ付
日當一日ニ付
食卓料一日ニ付
一等
親任官
六錢
七錢
三十五錢
三圓
二圓五十錢
一圓七十錢
二等
勅任官
五錢
六錢
三十錢
二圓
一圓五十錢
一圓五十錢
三等
奏任官
四錢
五錢
二十錢
一圓五十錢
一圓
一圓二十錢
四等
判任官
三錢
四錢
十五錢
一圓
五十錢
九十錢
朕内国旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十四日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 伯爵 松方正義
勅令第三百三十三号
内国旅費規則
第一条 内国旅費ハ官吏公務ニ依リ本邦内ヲ旅行スルトキ之ヲ支給ス
第二条 内国旅費ハ分テ四等トシ別表定ムル処ニ従ヒ順路ニ依リ之ヲ支給ス
第三条 汽車旅行ニハ哩数ニ応シ汽車賃ヲ水路旅行ニハ海里数ニ応シ船賃ヲ其ノ他ノ旅行ハ陸路旅行トシ里数ニ応シ車馬賃ヲ支給ス
宿泊料ハ夜数ニ応シ日当ハ日数ニ応シ之ヲ支給ス但シ水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セス
官用ノ船舶ニテ旅行シ官ヨリ賄ヲ為ササルトキハ食卓料ヲ支給ス
第四条 官用ノ舟車馬等ニテ旅行スルトキハ本令ノ汽車賃船賃車馬賃ヲ支給セス
旅行ノ性質又ハ地方ノ情況ニヨリ定額ノ汽車賃船賃車馬賃ヲ以テ支弁シ難キ場合ハ実費ヲ以テ支給スルコトヲ得
第五条 強雨積雪又ハ道路険悪ノ為メ定額ノ車馬賃ニテ支弁シ難キ場合ハ定額二倍以内ノ車馬賃ヲ支給スルコトヲ得
第六条 汽車賃船賃車馬賃ハ旅行ノ種類毎ニ経過セシ路程ヲ合算シテ之ヲ支給ス但シ一位未満端数ノ路程ハ切捨トス
第七条 年度若ハ日ニ依リテ旅費ヲ区分シテ計算スルノ必要アル場合ニ於テ汽車旅行若ハ水路旅行ニシテ其ノ区分判明ナラサルトキハ最近ノ到達地ニ著シタル日ヲ以テ其ノ路程ヲ区別シテ計算ス
第八条 陸路六里未満汽車十哩未満水路十海里未満ノ旅行ニハ日当ヲ支給セス但シ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタルトキハ日当及宿泊料ヲ支給ス
第九条 在勤庁所在地ノ市区町村内ヲ巡迴シ遠距離ニ渉ルトキハ一日五十銭以内ノ車馬賃ヲ支給スルコトヲ得
第十条 赴任ノ場合ニハ旧任地ヨリ新任地マテ汽車賃船賃及車馬賃ニ限リ定額ノ二倍ヲ支給ス
第十一条 旅行中私事ノ為メ許可ヲ得テ迂路ヲ通過スルトキハ順路ノ路程ニ応シ旅費ヲ支給ス
第十二条 旅行中廃官退官非職退職若ハ死亡ノモノニハ前官若ハ本官相当ヲ以テ旧任地マテノ旅費ヲ支給ス但シ刑事裁判又ハ懲戒処分ニ依リ退官ノモノハ此ノ限ニアラス
第十三条 前二条ノ場合ニ於テ日数ノ計算方ハ汽車旅行ハ一日二百哩詰水路旅行ハ一日百海里詰陸路旅行ハ一日十二里詰トス但シ数種ノ旅行相跨ルトキハ各其ノ路程十二分ノ一ヲ以テ一時間ノ行程トシ一日ノ旅行ヲ十二時間トス但シ通算上ヨリ生スル一日未満ノ端数ハ一日トシテ之ヲ計算ス
第十四条 測量土木工事等ノ為メ現場ヲ巡迴スル官吏又ハ平常旅行ヲ要スル官吏ニ対シテ各省大臣ハ特ニ其ノ旅費額ヲ定メ月額又ハ日額ヲ以テ之ヲ支給スルコトヲ得
第十五条 各省大臣ハ旅費ノ定額ヲ減少シ若ハ其ノ一部ヲ支給セサルコトヲ得
第十六条 事務引継残務取調等ノ為メ廃官若ハ退官者ニ旅行ヲ命スルトキハ前官相当ノ旅費ヲ支給ス
第十七条 新ニ任用スル為メ召喚スルトキハ新任官相当ノ旅費ヲ支給ス
第十八条 陸海軍武官文官及警察官ノ旅費ハ主任大臣大蔵大臣ト協議シ別ニ之ヲ定ム
第十九条 雇員其ノ他本令ニ明文ナキモノノ旅費ハ別表ニ準シ主任大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ム
附 則
第二十条 各省大臣ハ当分ノ内台湾内ノ旅行ニ限リ旅費定額ヲ以テ支弁シ難シト認ムル場合ニ於テハ大蔵大臣ニ協議シ定額ノ旅費ニ対シ必要ノ増額ヲ為スコトヲ得
第二十一条 各省大臣ハ当分ノ内台湾在勤満二年以上ニシテ廃官諭旨退官若ハ非職トナリ三十日以内ニ同地出発帰郷スルモノニハ前官若ハ本官相当ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ日数ノ計算方ハ第十三条ノ例ニ拠ル
台湾在勤中死亡ノ者アルトキハ本条ニ準シ帰郷旅費ニ相当スル金額ヲ遺族ニ支給ス
第二十二条 本令ハ明治三十年十月一日ヨリ施行ス
(別表)
旅費額
等級
汽車賃一哩ニ付
船賃一海里ニ付
車馬賃一里ニ付
宿泊料一夜ニ付
日当一日ニ付
食卓料一日ニ付
一等
親任官
六銭
七銭
三十五銭
三円
二円五十銭
一円七十銭
二等
勅任官
五銭
六銭
三十銭
二円
一円五十銭
一円五十銭
三等
奏任官
四銭
五銭
二十銭
一円五十銭
一円
一円二十銭
四等
判任官
三銭
四銭
十五銭
一円
五十銭
九十銭