第八條 森林ニシテ左ニ列記スル箇所ニ在ルモノハ保安林ニ編入スルコトヲ得
第九條 保安林ハ編入ノ原因消滅シ又ハ公益上特別ノ事由生シタルトキハ之ヲ解除スルコトヲ得
第十條 保安林ノ編入解除ハ府縣郡市町村其ノ他直接ノ利害ヲ有スル者ヨリ府縣知事ニ申請スルコトヲ得
第十一條 府縣知事ニ於テ保安林ノ編入解除ヲ必要ト認メ又ハ前條ノ申請ヲ受ケタルトキハ之ヲ地方森林會ノ會議ニ付スヘシ
第十二條 保安林ノ編入解除ヲ地方森林會ノ會議ニ付セムトスルトキハ開會三十日以前ニ府縣公報ヲ以テ吿示シ其ノ森林ノ所有者竝大林區署土木監督署ニ其ノ旨ヲ通知シ且所在市町村役場ニ揭示スヘシ
第十三條 保安林ニ編入ノ爲地方森林會ノ會議ニ付セムトスル森林ハ前條吿示ノ日ヨリ決定ノ日マテ其ノ立木ノ伐採、土石切芝ノ採取、樹根ノ採掘及開墾ヲ爲スコトヲ得ス
第十四條 保安林ノ編入解除ニ直接ノ利害ヲ有スル者其ノ編入解除ニ異議アルトキハ第十二條ノ吿示ノ日ヨリ二十五日以內ニ府縣知事ヲ經テ意見書ヲ地方森林會ニ提出スルコトヲ得
第十五條 府縣知事ハ地方森林會ノ答申書ニ意見ヲ付シ關係書類ヲ添ヘ之ヲ主務大臣ニ具申スヘシ
第十六條 保安林ノ編入解除ハ地方森林會ノ議決ヲ經テ主務大臣之ヲ決定ス
第十七條 保安林ノ編入解除ハ官報及府縣公報ヲ以テ吿示シ且其ノ森林ノ所有者ニ通達スヘシ
第十八條 保安林ノ編入解除ニ直接ノ利害ヲ有スル者其ノ編入解除ニ關スル處分ニ不服アルトキハ前條ノ吿示若ハ通達ヲ受ケタル日ヨリ九十日以內ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十九條 保安林ニ於テハ皆伐及開墾ヲ爲スコトヲ得ス
第二十條 府縣知事ノ許可ヲ得ルニ非サレハ保安林ニ於テ土石切芝ノ採取、樹根ノ採掘又ハ牛馬ノ放牧ヲ爲スコトヲ得ス
第二十一條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ保安林ノ伐木ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得
第二十二條 主務大臣ハ保安林ニ關シ其ノ森林ノ所有者ニ營林及保護ノ方法ヲ指定シ且其ノ使用收益ヲ制限スルコトヲ得
第二十三條 主務大臣ハ保安林又ハ開墾禁止ノ森林ヲ開墾シタル者ニ對シ復舊ノ造林ヲ命スルコトヲ得
第二十四條 前條ノ造林ヲ施行セス又ハ第二十二條ニ依リ指命シタル事項ヲ實施セサル者アルトキハ政府ニ於テ之ヲ行ヒ其ノ費用ヲ徵收スルコトヲ得
第二十五條 政府ニ於テ保安林ヲ買上ケムトスルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第二十六條 保安林ニ編入セラレタル爲損害ヲ蒙リタル森林所有者ハ其ノ伐木ヲ禁止セラレタル場合ニ於ケル直接ノ損害ニ限リ補償ヲ求ムルコトヲ得但シ御料林、國有林ニ對シテハ補償ヲ爲スノ限ニ在ラス
前項ノ損害ニシテ申請ニ係ルモノハ申請者之ヲ補償シ命令ニ係ルモノハ政府之ヲ補償ス但シ申請者ノ補償ニ係ルモノハ政府ニ於テ其ノ三分ノ一以內ヲ補助スルコトヲ得
第二十七條 第二十五條ノ買上價格又ハ前條ノ補償金額ニ付協議整ハサルトキハ地方森林會ヲシテ評決セシムヘシ若之ニ服セサル者ハ評決ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ九十日以內ニ裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十八條 保安林ニ編入セラレタル森林ハ地租及公課ヲ免ス
第二十九條 官地私木ノ森林ニシテ保安林ニ編入セラレタルモノハ借地料ヲ免ス
第三十條 從來ノ禁伐林、風致林又ハ伐木停止林ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ保安林トシ其ノ森林ニ對スル從來ノ制限ハ仍其ノ效力ヲ有ス